---ダン---
九内からの救援要請を受けて、俺、マイル、メイプル、ミト、サトゥーで九内の元へ転移した。転移した王都は、方々で火柱が上がっていた。
「花火大会か?」
「はぁ?誰が、バカデカいドラゴンを焚いているって言うんだ?違う、魔族の襲撃だ」
なるほど…魔族って火に弱いのか?
「わかった。火柱が目印だな。手分けして、殲滅していこうか」
俺とメイプル、マイルで王城の近くの火柱に向かった。王城の正門前では、女性二人が、悪魔らしき者と戦っていた。
「悪魔が女性相手に何しているんだ?」
弱い者虐めにしか見えない。
「なんだ?貴様らは?ガキは引っ込んでいろ!」
ガキとして、メイプル達と一括りにされてしまった。う~ん…ちょっと複雑である。俺のどこを見れば、三頭身キャラに見えると言うのだ?見た目は平均であるが一応八頭身アバターだぞ!
「ねぇ、本気でいっていい?」
メイプルが上目遣いで訊いてきた。かわいく見せてもダメだ。お前の本気は、王都だけでなく、この国もが消滅してしまう。
「はどう砲禁止だぞ」
「じゃ、ダンさんも機龍は禁止だよね?」
そうなるな。
「じゃ、そういうことで」
『ウッドオクトパス』で、悪魔の両方の踵から股関節に向けて串刺しにした俺。動きを封じた悪魔に、マイルの剣技とメイプルの『捕食者』達が襲い掛かっていく。
「貴様らぁぁぁぁ~」
ズタボロになった悪魔は空へ逃げて、空に待機していた仲間の少女に食らいついた。悪魔って共食いするのか?
「マズい血だが…俺様の本気を見せてやる!」
コイツ、悪魔じゃなくて吸血鬼か?仲間の血を総て吸ったのか、瀕死の仲間が飲み終わったパウチパックのように投げ捨てられた。その結果、人型だった悪魔は狼に変身した。その上、ヤツの足下から黒いスライムが湧き出て来た。あれって、奈落だっけ?だが、奈落はメイプルとマイルを避けるようにして進軍している。で、俺のことも避けている…なんか無視された気分である。俺は黒いスライムを『強奪』してからの強制転移で、狼になった吸血鬼の内部に返品した。そうだ、あの捨てられた仲間を回収して、事情聴取しておくかな。『強奪』して、館のリビングへ強制転移させた。セーラが気づいて、回復術を掛けてくれるだろう。
「な、な、何?貴様…何をしたぁぁぁ~」
なんか苦しんでいるような狼になった悪魔?あれ?吸血鬼だっけ?。マイルが手にした聖剣と、『暴虐』化したメイプルの口が、狼に向かっていく。俺は、倒れている二人の女の元へ行き、回復術を施していく。
「あっ…あなたは…先日も、あり…ありがとうございました」
大柄な方の女に礼を言われた。先日?先日って…あぁ、あのちんちくりんな聖女の隣にいた女か?
「気にするな。俺は単なる援軍だ」
もう一人の女は、俺達を怯えた様子で見ている。なんでだ?振り返ると、メイプルとマイルによる地獄絵図が展開していた。あぁ、あの仲間と思われたのだな。
「終わったぞ」
ミトとサトゥーがやってきた。
「じゃ、帰るか」
俺達はラビ村に戻り、銭湯に寄ってから、館へ戻った。
---街尾 火楽---
ダン達の歓迎会が終わって数日…アルフレートとウルザがダンの元に留学をしたいと言い出した。
「どうして?」
「ここじゃ、僕達を真剣に躾けてくれる人が居ないから」
まぁ、我が家は放任主義である。したいように、させている。ダンによる躾けは、彼らの心に響いたのか?思いっきり心を折られていたけど…
「わかった。ダンに相談してみる。朝早くに出勤するって行っていたから、今から行くかな。誰か、一緒に行きたい人はいるかな?」
シーンとする室内。ルー達の顔から血の気が失せていく。産まれたことを後悔したのって、初めての経験なんだろう。怖い物なしだった彼女達の知った恐怖。強烈な精神ダメージだっただろう。ザブトンの仲間達も名乗り出ない。我が家にとって、ダンは恐怖の代名詞になっているようだ。実際はダンを怒らせた子供達、妻達に非があるわけで、彼は悪くないんだけど、善悪よりも恐怖のイメージが優先されるのだろう。
「あの…私が一緒に行っても良いですか?」
商談に来ていたゴロウン商会の会頭のマイケル=ゴロウンが名乗り出た。
「構わないですよ。ダンの家は隣家同然ですし」
彼の館と我が家は転移魔方陣で繋がっている。護衛の必要の無い、長距離旅行が一瞬で行けるのだ。アチラに行けば、ガード要員も必要が無い。彼らの戦力はオーバーキル気味であるから。はどう砲持ちがいるわ、メカゴ●ラ、メカキングギ●ラ。ガ●ラ、ギャ●スもいて、日本のアニメ、特撮好きには堪らない戦隊だった。異世界に来て初めて、来て良かったと思えるシーンだった。あんな部隊と戦いたくない。戦闘シーンを見ていたい、って思えたもの。
「じゃ、行きましょう」
「え?旅の用意は?」
「いりませんよ。直ぐ隣ですから」
転移魔方陣がある部屋に入り、転移術を発動させた。
---ダン---
館に帰ると、村長と知らない男がいた。
「ダンに頼みがあって来ました。息子のアルフレートと娘のウルザが、ダンの元に留学したいって申しまして」
「留学?教えられることは何も無いよ。俺、一介のパティシエだよ」
「躾けてくれたでしょ?我が家だと、子供達を力尽くで叱ってくれる者が少ないんだよ」
叱る?あの時は、メイプルとマイルだっけ…村長の子供達が上から目線の上、二人は幼女扱いされキレて…そんな子供のケンカに割って入った俺に、ウルザってヤツのパンチが俺の頬に入り、おでこにデコピンを返礼したのだが…失禁からの脱●で、エライ騒ぎに…まぁ、死人が出なくて良かったよな。
「じゃ、下働きでいいのか?」
「それはダンに任せるよ。クボォーク王国の再建事業だろ?」
「いや、それとは別にラビの村の再生も手伝っているんだ。俺の現場はラビの村の方だよ。って、その男は誰?」
「あぁ、紹介するよ。我が家の取引相手のゴロウン商会会頭のマイケル・ゴロウン氏だよ」
「マイケル・ゴロウンです。あなたのお噂はかねがね訊いております」
「商い関係は、エチゴヤのサトゥーが担当していますので、アイツと話してください」
「サトゥー様とお知り合いですか?」
「知り合いって言うか、うちの通商担当ですよ」
エチゴヤはクラン<楓の木>の通商部門である。クランは総合商社的な物だと理解している俺達。
「なんと…」
「村長、夕食はまだでしょ?今日は泊まって、明日現場を2つ見せて上げる。それで、どこに留学させたいか、決めてくれ」
「分かった」