デスを食らった男   作:もっち~!

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格言

 

---ダン---

 

朝起きると…メイプルが見た事の無い黒い棒を持っていた。コイツ…夜遊びに一人で行ったなぁ!

 

「ねぇねぇ、ダンさん。コレ見て、見て下さいよ。いいでしょう」

 

とても嬉しそうなメイプル。俺は無言でメイプルの背後に回り、メイプルのこめかみを拳でグリグリとした。

 

「痛っ!痛いですよ~、止めて下さいよ~」

 

メイプルという盾で唯一の痛点であるこめかみに、教育的指導を加えていく。

 

「お前、一人で出歩いたんだな?」

 

「えっ…それは…その…」

 

<楓の木>では格言がある。『メイプルが一人で出掛けると、想像を絶した方向に化ける』と…天使化、悪魔化…などなど、コイツが一人抜け駆けすると、何かをやらかし、何かを得てきていた。

 

「今度から、誰かを…マイルを連れていけ。いいな!」

 

コイツは分かっていない。死後の世界にいるってことを。もし万が一、この世界で死ぬと、もう一緒にはいられなくなる可能性があるのだ。

 

「う、うん…次からはマイルと遊びに行ってくる」

 

最悪、マイルであれば転移が出来る。メイプルには転移術も転移魔法も無い。危険になった場合、逃げ帰る術がメイプルには無いのだ。

 

「で、今回は、どこへどうやって行ったんだ?」

 

グリグリの刑から解放してあげた涙目のメイプルが、こめかみを押さえて蹲っている。

 

「え~ぇっとですね…『時空渡り ダンさんの行った事の無いダンジョン』で転移しました」

 

涙目であるがドヤ顔のメイプル。俺の行ったことの無いダンジョン?どこの大陸のダンジョンに行ったんだ?今まで訪れた大陸で、ダンジョンへ行ったことが無いのは、村長のところか…いや、こいつの事だ、未だ俺が訪れていない大陸の可能性が大である。

 

「そこに俺達を連れて行け。メンバーはマイル、ミト、サトゥに俺だ」

 

チーター集団で乗り込むことにする。未知なるダンジョンは危険である。俺は、俺達が最強だと思っていない。だから、未知なる場所には、考えられる最強戦力で乗り込むことにした。

 

 

メイプルのスキルで転移した俺達。

 

ドースン!

 

と、何かの衝突音が聞こえ、下から光の粒子が立ち昇ってきた。下を見ると、見るも無惨な魔物の潰れていく様が見えた。俺達はダンジョンのどこかのフロアの天井近くに転移し、きっとフロアボスの頭上にメイプルが落下して、メイプルバスターをボスが食らったんだと思う。地面に降りると、そこは巨大なクレーターがあった。

 

「ダンさぁ~ん!宝箱がありますよ」

 

嬉しそうなメイプルの声。あの黒い棒は、フロアボスの討伐記念品なのだろう。俺は眩く輝く宝箱を開けた。そこには装備品ではなく、1枚の羊皮紙が出てきた。その羊皮紙を手に取ると、脳裏に声が響き渡った。

 

『そなたに、このダンジョンの所有権を譲る』

 

と…。再度羊皮紙を見ると勝手に燃え上がり、光の粒子となって、俺の身体に吸い込まれて行った。

 

『このダンジョンを、クボォーク王国へ移設しましょう』

 

次に脳裏に聞こえて来たのはアリスの声…このダンジョンって、移設出来るのか?

 

『出来ます。セーリュー市へ抜ける道沿いの国境近くに設置しますね』

 

アリスの声は、みんなにも聞こえたようだ。

 

「ねぇ、アリス、ここは何階層なのかな?」

 

『100階層です。いわゆる底になります。コア部屋で、更なる拡張が可能です』

 

マイルの問いに答えたアリス。100階層なのか…周囲を見回すと、古城が見えたので、みんなで手分けをして、そこを調べた。そこでわかったことは、ここはまだ来たことの無い大陸にあるダンジョンだったこと、神が地上にいる者達を鍛える為に作られたダンジョンであったこと、俺の前の所有者が神だったことくらいである。意味がわからん。

 

『移設が終わりました。ダンジョンの上には迷宮都市があって、みんな困惑しているようですよ』

 

と、アリスからの報告。それは困惑するだろう。一瞬で知らない場所に都市ごと転移したのだからさぁ。その街の責任者と話し合う必要があるな。攻め込まれたら、マズいし。

 

 

地上に転移した俺達。そこには街があった。アリスの報告通り、街の住民達が困惑している。まぁ、知らない場所に移設したからなぁ。

 

「アリス、街のエライ人と会談したい」

 

「わかりました。こちらへ」

 

アリスが現れて、俺達を先導していった。連れて行かれたのは冒険者ギルドであった。確かに、ダンジョンを管理するのは、そういう組織だよな。そして、ギルド長の部屋へと進んだ。

 

「お前達は何者だ?」

 

龍人の女性に訊かれた。彼女がギルド長か?

 

「ここ、クボォーク王国の者だ。このダンジョンは我が国の物になり、我が国に委譲され、移設した。それに付随して、この街はクボォーク王国に編入したので、収入の取り分などを取り決めたい」

 

俺はそう伝えた。彼女は当惑している。万が一に備えて、仲間達を街の周囲に展開して貰うよう、念話で指示を飛ばした。武力で抵抗された時の為である。サトゥーがみんなを迎えに行ってくれた。

 

「神のダンジョンの所有権を得たと言うのか?」

 

頷く俺、証拠は…彼女の目の前に、先ほどの羊皮紙の内容が、表示されていた。驚く彼女。まぁ、驚くよな。神様もどうせくれるなら、村長のような万能農具の方が面倒が少ないんだけど。ダンジョンを譲られても、面倒な予感しかしないし。

 

「メイプルとマイルで街中を制圧してくれ」

 

「はぁ~い!」

 

嬉しそうに出て行く二人。街の住民相手なら、危険は少ないだろう。俺、ミト、サトゥで、目の前の女性にプレッシャーを掛けていく。

 

 

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