---管理AI 1号アリス---
ソレは突然現れた。我々の中で最強クラスの戦力を誇るハンプティダンプティ、ジャバウォック、バンダースナッチが束になっても敵わない。コイツは何者なんだ?
「神になった管理AIかぁ~。並行世界でもヤリ合ったんで、君達の戦力は分かっているよ」
「用件は何かな?」
雑用担当の管理AI 13号チェシャが、ソレに訊いた。
「許可無く、世界を作るって、どういうことかなってね」
許可?
「電脳世界で遊ぶ分には、目を瞑っていたけど、君達は宇宙の理を無視して、新たな世界を作った。ここ、次元の狭間でね」
確かに次元と次元の隙間に、世界を作り上げた。コイツは次元の狭間が領土とでも言うのか?
「そうだよ。ここは次元管理局の管理エリアなんだ。無許可だと困るんだよねぇ~。この書類に必要事項に記入してくれるかな?」
私の目の前に書類の束を置いたソイツ。
「お前は何者だ?」
あの世界の神の間たる、ここは、部外者は立ち入れないはずである。私達管理AIだけが存在出来る空間であるのだ。
「ここは僕の理で管理している空間なんだよ。その理から外れる?例外は認めないよ」
相手の種族、ステイタスがまるで見えない。私達の知らない者なのか?
「知らないってことは無いけど、見たのは初めてなんだろうね」
私達の知っている範囲で会った事の無い存在?なんだ?考えろ…考え無いと消されそうだ。
「そもそも未来から過去へ転移して、過去変は御法度なんだけどね。まぁ、理を知らないってことで、一度だけは大目に見て上げるよ」
なんだ、この上から目線は…上…まさか…
「神々しさって、実際は無いものさ。あれは人間の創作だよ」
コイツ…神なのか…全知全能なる…
「僕は全知全能になることを拒否したよ。だって、一人で何でも出来たら、つまらないだろ?不確定要素があるから、生きていて楽しいと思うんだよ」
拒否した…コイツ、間違い無い。神だ…確か、世界には創造神、維持神、破壊神の3柱がいるはずだが、コイツは?
「そんなチンケな存在じゃ無いよ。世界を司るのは配下の者の役目だよ。僕は宇宙そのものを司っている」
宇宙を?私達の知識の範囲外だな。マズいヤツに目を着けられたようだ。
「中々、面白い試みをしているようだし、彼らには強敵はいないみたいだね。彼らに強敵を与えること出来るよ。手を貸そうか?」
彼ら?ダン達のことだろうか。確かに、ダン、メイプル、マイルは、現時点で無敵である。目の前の存在は彼らに勝てるとでも言うのか?
「勝てるよ。持てる力を使えば。でも、それじゃ、つまらないでしょ?彼らが試練を乗り越えて、ラスボスとして僕が立ち塞がる方が、面白くないかな?」
きっと、彼の申し出は拒否出来ないのだろう。全員が束になっても勝てそうに無いし。
「決断が早いのはいいことだ。じゃ、そういうことで…彼らの試練のエリアを追加しておくね」
そう言い残すと、アイツは消えた。
◇
神のダンジョンの100階層から、新たな大陸へ飛べるようになっていた。神のダンジョンの100階層以降は、アイツが管理するようだ。その新しい大陸は神のダンジョン同様に、死んでも最初の街へ生きて飛ばされるだけのようだ。生かしながら、何度も殺す気なのか?
『死に戻り…ラノベでよくある展開だよ。君達は勉強が足り無いねぇ~』
AIの思考が読めるようだ。それも遠隔で…