デスを食らった男   作:もっち~!

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VS第一の試練

 

---メイプル---

 

漸く100階層をクリアした。いや、99階層までクリアした。100階層にはここに来た時点でクリアしていた。そう、私のヒップアタックで…

 

そして、新たな迷宮都市の祠に戻ってきた。屋台から美味しそうな香りが…串焼きのタレが焦げる香ばしい香りに負け、屋台巡り…腹を満たしてから、試練の迷宮へ向かった。第一の試練…一人につき100匹の魔物を狩ること。討伐証明部位を持ち帰ることとある。それは解体スキルを覚え無いとダメってことである。倒すだけなら簡単なのだが…全員で解体ギルドに向かい、解体スキルを学ぶことになった。

 

「これって、モザイク表示になるレベルよね?」

 

お腹に切り込み入れると、内臓がドバッと出てきて、サリーの心が折れそうだ。

 

「ダメ…兎さんを解体って…出来ないわ」

 

ミィの心は既に折れていた。一角兎を情け容赦無く燃やした【爆炎の暴虐者】と思えぬ言葉であるが、私も無理だわ。

 

「殺すだけなら誰でも出来る。解体して、命ある者を有効に利用出来てこそ、殺戮者と冒険者の線引きがあると思うんだよ」

 

と、ギルド長の言葉。そうかも知れないけど、実習で、こんなかわいい兎さんを使うのは、反則です。

 

「試練を超えられないようなヤツは、この先は無理だ。塔で殺戮三昧でもしていろ!」

 

う~ん…確かに、殺すだけなら簡単である。だけど、私は冒険者である。そんな悩んで居る私達の後ろで、貴族の嗜みとかでメーヴィスだけ、クリアしていた。マイルは解体スキルを持っているそうで、実習が免除らしい。

 

「メイプル…解体魔法を覚えるのも手だよ」

 

と、耳元で囁くマイル。その手があるのかぁぁぁぁぁ~!皆で巻物屋さんへ行き、解体魔法を覚え…ようやく試練のダンジョンへ足を踏み入れることが出来た。後で知ったことであるが、私達の舌を唸らせた串焼きは、実習で捌かれた兎さんの肉だったそうだ。

 

「美味しい肉と思えば、捌けるかも…」

 

って、ミィが、解体魔法を使わずに、ナイフで角のある兎さんを捌いていた。まぁ、美味しい肉なら捌けるかもね。そう言えば、ダンさんのお店で、カモを捌いたっけ…みんなで…

 

って、ダンジョンに魔物が見当たらない。探すスキルが必要では無いだろうか?マイルの探査スキルで、獲物の位置を教えて貰い、みんなで魔物を捌いていく。うん?素早さが足り無い私が不利では無いか?

 

「メイプルの分、私が狩ってくるから、焦らないでいいのよ」

 

と、サリー。トドメを刺さずに、魔物を持って来てくれる優しい友人のサリー。大物は現場でサリーが狩り、小物を…兎とかスライムとかを持って来てくれる。

 

 

 

---ダン---

 

「第一の試練は『忍耐』だよ。魔物を100匹見つけて倒して、捌く。根気のいるルーチンだよ」

 

今日も手土産を手にして、シュウがやってきた。俺のいた世界から父さんの作ったケーキを持って来てくれた。

 

「昭和を感じるバタークリームは捨てがたいよね」

 

うちのお店のブレンドの豆も買ってきてくれた。早速、その豆をミルして淹れた。この香り…忘れていたホームシックが押し寄せてきた。

 

「まだ、もう少し、あの世界は大丈夫だ」

 

「滅亡を止められないのか?」

 

「止められるが…破滅するぞ。あの世界の火薬庫は3つ有るんだ。3つ全部は止められない。魔神の復活を止めるには、デンドロのサーバーを破壊すれば良いが、宇宙空間にある。それを実行すれば、地上にスペースデブリが降り注ぎ…」

 

宇宙ステーションにサーバーを置いていたのか…

 

「地上と逆側にだとどうだ?」

 

「他の星を犠牲にするのか?自分さえ良ければかっ!さすが愚かな生き物の答えだな」

 

俺を軽蔑するような目つきのシュウ。

 

「じゃ、太陽へ転移では?燃えるだろ?」

 

「おいおい、太陽は可燃ゴミ処理場じゃないぞ!まして、あのステーションのエネルギー源は、君達人間の知らない物質だ。太陽を破壊する気か?」

 

そんな危険物を搭載しているのよ!コイツが来ている間、アリスはどこかに転移していて、留守である。アリスに罪悪感があるのだろうか?

 

「魔神が復活すれば、サーバーは吹き飛ぶ。それは、ステーションが地上へと落下するってことだ。避けられない。あと、あのイカレタ女だが、貯蔵している核廃棄物に手を出しそうだ」

 

ユーリーの姉は、核戦争でも起こすのか?

 

「問題の3つ目だが、呪術師のような聖騎士君の姉だよ。弟二人の死に疑問を持って、捜査中なんだが…凄腕の傭兵らしいぞ」

 

クマ兄さんの姉ってことか?その二人が核戦争を起こすのか?そういうのはゲーム内でして欲しい。

 

「それがさぁ~、人間じゃ無いって理由でゲームへのアクセスを拒否されたそうだよ。椋鳥姉って…」

 

へ?人間で無いって…まさか…異世界からの転生者なのか?

 

「その可能性は大だ。凄腕の傭兵の正体って…迂闊に近づくと、コチラの正体に気づくだろうか、接触はしていないけどね」

 

そうか。もしかすると、ユーリーの姉も転生者の可能性もあるのか?どの世界でも、異世界転生者は問題を起こすよな。って、俺もか?

 

 

五ノ村で村長と屋台を出している。シュウからかん水を手に入れることが出来、中華麺を作ることに成功したのだ。

 

「味噌ラーメン、醤油ラーメン限定だけど、売れるといいね」

 

村長は新作を作ると、お忍びで屋台を出し、客の反応を見て、製品化するか決めるそうだ。今回のラーメンを作るに当たり、チャーシューも凝った。炙って、野菜スープで煮込んでから、醤油を掛け流ししながら、燻製した。出汁も凝った。丸鳥でスープをとり、魚介スープで割った。そして、醤油ラーメンは焦がし醤油をスープで割った。味噌は特性合わせ味噌である。

 

「この世界の人の舌に合うかな?」

 

「ここまでキレの良い醤油は無かったからね。発酵菌の違うだけで、こうも味が違うとは…」

 

農業はプロでも、発酵は素人だったそうだ。まぁ、俺も発酵は素人である。

 

最初のお客さん…無言で食べ進め、醤油を2杯、味噌を1杯、醤油を1杯食べて行った。終始無言であった。合計4杯食べたのだ。旨かったに違いない。その後も、一口食べると無言になるお客さん達。2時間ほどで完売した。

 

「無言でしたね」

 

「美味しかったんだと思いますよ。一見さんでお替わりの人が多かったし」

 

旨かったのであれば成功なのかな。

 

後日、麺の秘密の問い合わせが、五ノ村の代官に殺到したそうだ。

 

「今までとの違いは、かん水ですよね?」

 

「ですよね。確か炭酸ナトリウムだから、重曹でも良いかと思いますよ」

 

この世界にかん水は無い。でも重曹はある。厳密に言うと重曹は炭酸水素ナトリウムであるが…シュウ曰く、『薬剤の持ち込みはしたく無い』だそうだ。かん水は手土産であり、持ち込みで無いと言うことのようだ。

 

「それか、炭酸ナトリウムをこの世界で作るかですね」

 

村長とエチゴヤの共同開発で、かん水を作り出したのは、半年くらい経ってからだった。

 

 

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