---メイプル---
試練…全然楽しくない。豪快に相手を屠れない。ちまちまとサリーを持って来てくれ小魔物を仕留める日々。ダンさんに愚痴を零したら、
「試練ってそういう物だよ。楽しい試練は試練では無い」
っと、お叱りを受けた。豪快に相手を倒せるから、戦闘が好きだったのに…
「新作のケーキ、喰うか?」
生クリームでは無いようだけど、これは?
「このクリームは?」
「バタークリームだよ。バターとメレンゲと砂糖を混ぜた物だよ」
「生クリームの方が好きです」
最近、ダンさんの戦っているとこを見ていない。もしかして、勝てるのでは…甘かった。バタークリームよりも甘かった。またも瞬殺である。次の試練を超えればどうだろうか。
◇
第二の試練…タワータイプダンジョンの攻略。ガンガン戦えるようだ。確かにガンガン戦えるけど…次の階層に入ると、即エンカウントする魔物達。階層を繋ぐ階段が結構疲れる件…
「階段でスタミナを使わせているみたい」
サリーの回避速度が階数を経るごとに下がっていく。マイルがサリーの分を踏ん張ってくれるが、このダンジョンのもう一つの罠…1階層の定員が3名で、入った人順の為か、違うパーティーメンバーが混ざる場合がある。マイルで無い人が混ざると、キツい。階段に居るときに、メンバーがシャッフルされるようだ。
---ダン---
目の前にサガ帝国の皇女メリーエストがいる。
「一応、買って来たけど、どうする?」
サトゥーが奴隷商から買って来たそうだ。調教済みなのか、首には首輪が巻かれて折り、そこから伸びるリードをサトゥーが掴んでいた。でっぱい好きのサトゥー好みであるが、ちっぱい勇者のミトの手前、どうするか相談しに来たようだ。
「サトゥーの奴隷なんだろ?お前が好きにすれば良いだろ?」
原始人のような服装で、下着は勿論着けていない。所謂性奴隷状態なのだろう。
「エチゴヤに飼育部屋でも作って、飼えばどうだ?下手に人目に晒すと国際問題になると思うけど」
帝国の皇女を性奴隷って、マズいだろうに…
「勇者は売りに出ていなかったのか?」
「あぁ、そっちは出ていない」
勇者の行方が分からない。もしかすると、中層で犯罪組織の用心棒でもしているのかもしれない。
「リーンとセーラに頼んで、更生させるか?」
「頼めるか?」
「兄ぃ、いつまでリードを持っているのかな?」
感情がこもらないミトの声…リードを手放すサトゥー。この二人の関係性がよく分からない。
◇
リーン、セーラ、メリーと共に、ラビの村に来た。静養目的と、あのドM女に診察をして貰う為である。
桐野悠によるメリーエストの診察…薬物使用による洗脳、調教でダメダメ女になったようだ。
「治りそうか?」
「まぁ、治します」
悠の俺を見る目がオドオドしている。
「あの…見つめないでください。見つめられるだけで…私がダメになりそうです」
身を捩る悠。見つめてはいない。確かに、ゲーム内では、視姦プレイをした気がするが…
診察室を出て、メリーを個室に入院させることにした。セーラとリーンには、温泉旅館内の俺の部屋で生活して貰うか。
「お前、悠に何をしたんだ?」
伯斗に訊かれた。
「ゲーム内で視姦プレイ…」
「お前はド変態か?」
「かもしれない…お前には言われたくないけど。って、蓮か茜は召喚しないのか?」
悠よりも、その二人の方が好みである。
「次に呼ぶとしたら、茜かもしれない。俺的には息抜きが出来る相手だから」
悠と田原は天才タイプだが、茜は脳天気でどちらと言えば脳筋気味で楽なのであろう。俺的にもそうだけど。
「お前、茜とは問題は無いよな?」
「特になんかはしていないはずだが…」
いや、した覚えがある。ボコって、手足の自由を奪って、やりたい放題…うん!伯斗には内緒にしておこう。
「で、何か遭ったか?」
伯斗に、シュウのことを話しておく。魔王を名乗っているのだから、そのうち対決するだろうから。
「う~ん…そうか、アイツが接触したのか」
伯斗の知り合いだったみたいだ。魔王の敵で無いのか?
「戦ったことはあるのか?」
「強者とは、戦わずして、相手の力量を知る者だよ」
それは、敵前逃亡しましたね?
「魔王程度では、アイツの下僕程度だ。勝つなんてシーンが思い浮かばない」
恐ろしい目に遭ったらしい。聞くのが怖いので、聞かないことにする。うちのトップクラスを瞬殺したんだし。
「アイツの娘と、アール、アインズっていう配下の者には注意しろよ」
娘?●杉達也似なのに、娘がいるのか?一体いくつの時の子供だ?
「ソイツらは強いのか?」
「笑っちゃうほど強いぞ。特に娘の攻撃は回避しろ。いくらお前でも瞬殺されると思う」
とても危険らしい。カエデの防御でもダメなのか?
「配下の二人はリッチだ」
不死属性かよ~。狙撃が効かないのか。厄介だな。おっと、敵対するようなことを考えてはいけない。危険が一杯であると俺の危機管理スキルが物申している。
◇
リーン、セーラ姉妹が温泉施設にいるので、彼女達の祖父であるオーユゴック公爵を連れて行った。
「温泉とは良い物だな。我が公都に作れるか?」
「クボォーク王国に有りますので、そちらをご利用してください」
温泉ではなく銭湯ではあるが、違いは分かるまい。観光地として売るしか、現状外貨獲得の手段が無いアリサの国。
「王都に作れるか?」
「都市の下に迷宮があるので、無理ですね」
火山も無いしねぇ。排水処理設備もいるだろうし。
「そうか…では、クボォーク王国を視察をするかな」
一泊の視察であるが、ラビ人参を土産にして、公都へと送っていった。
次回はSS:凶行シリーズ?完結編の予定です(^^;