デスを食らった男   作:もっち~!

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SS:凶行の果てに

 

---イズ---

 

デンドロ内のクランホームで、ダン達の3回忌の法要が、月世の会の手によって、ひっそりと執り行われていた。あの一連の事件により、王国サイドのマスターが目減りした。王国サイドのマスターになると、実際に死が訪れると言う都市伝説が広まり、王国サイドのマスターが減っていったのだ。その上、アルター王国第一王女の暗殺、後を継いだ第二王女の暗殺、そして、第三王女が女王に即位するらしい。しかし、王国の運命も風前の灯火であろう。もう、楓の木と月世の会くらいしか有名なクランが残っていないのだから。

 

そんな静かな法要中に、激しい爆裂音が響いた。

 

「ドライフ皇国が進軍してきたぞ!」

 

ティアンの騎士が大声を上げている。なんで、こんな日を狙うんだ?戦意を喪失したと思ったのか?

 

「うっ!どうして…なんで…いやぁぁぁぁ~!」

 

月夜が突然苦しみ出した。それを皮切りに月夜の会のメンバー達が次々に苦しみだし…

 

「早く!ログアウトをしろ!」

 

誰かの声…急いでログアウトをした。何が起きたんだ?テレビのスイッチを入れると、臨時特番が流れていた。月世の会総本部が襲撃され、多数の死傷者が発生しているようだ。まさか、皇国軍は、リアルでも襲撃をしたのか?

 

いやな汗が垂れていく。そんな時、目の前が真っ赤になり…意識が飛んだ。

 

 

 

---フランチェスカ・ゴーティエ---

 

ゲーム内とリアルでの合同作戦である。監獄行きの私は、ゲーム内で戦え無い。だが、現実世界では、アルター王国のマスター達を消し去ることが可能である。この国の危険管理態勢は杜撰であり、簡単に劣化ウラン弾もどきが作れた。それを時限装置と組み合わせて、まず月世の会総本部に仕掛け、アルター王国のマスター達のログインしている場所に次々と仕掛けた。ゲーム内で襲撃する時間に合わせて、花火が上がるように時間を調整した。準備期間の1週間で仕掛けられるだけ、仕掛けて回った。

 

時間が余ったので、諸星洋菓子店に仕掛けようと向かうと、知らない女が攻撃してきた。付近を警邏中の警官に不審者として、その女を摘発したのだが、その女は警官の制止を無視して、私に攻撃を仕掛けて来た。マズい、人混みに紛れよう。

 

近くの駅に駆け込み、電車に乗り込んだ。車窓から見える女。ビルの屋上伝いに追って来ている。人間業ではあり得ないスピードと跳躍力で、いとも簡単にビルの屋上を私を追う様に移動していた。あの女には私が見えているのか?

 

次の駅で人混みに紛れて下車し、地下鉄に乗り込んだ。これなら追って来られないだろう。あの女、何者だ?この国には諜報機関は無いに等しいはずだが…

 

東京駅で乗り換えて、行き先を変えた。兎に角、人混みの多い場所へと向かう。王国のマスターに、あんな身体能力持ちがいただろうか?上位者は既に亡き者にしたはずだが。

 

 

 

---ダン---

 

朝目覚めると、イズ、マイユイ姉妹、カナデ、カスミと、あの世界に残っていた知り合い達とシュウがいた。

 

「始まったよ。滅亡までのカウントダウンがね。魔神は目覚め、狂った女と尋常ではない女が鬼ごっこをしているよ」

 

始まったのか…

 

「あの女…どこかの組織と共に、保管されていた核廃棄物を奪い、核爆弾もどきを時限装置で、君の関係者の住処で爆発させまくったよ」

 

核爆弾って…戦略系だろうに。それを対人に使ったのか?

 

「魔神が目覚めて、サーバーを満載したステーションは、地上に向けて降下中だ。計算では、東京湾に落下する」

 

そんな場所に落下って、津波被害が凄い事になりそうだ。

 

「現在東京は火の海だ。どこかのバカが仕掛けた爆弾のせいで…」

 

異世界にいる俺達は、何も出来ない。みんなの冥福を祈ることだけか?

 

「なぁ、宇宙ステーションは大気摩擦で焼失しないのか?」

 

「あぁ、君達の世界の技術なら可能だったが、管理AI達のいた世界の技術では、その程度では燃えない」

 

俺達の知らない金属で出来ているのか?異世界の問題を俺達の世界に投棄した結果がこれか…救いは無いのか?

 

 

 

---フランチェスカ・ゴーティエ---

 

想像以上に混んでいた。どうしてだ?スマホで確認すると、どこかの国の人工衛星が、落下しているって…その落下推定場所は東京湾だと…マズいことが連なるわね。まさか、あの女の差し金か?

 

空港に着くと、関係者以外立ち入り禁止のドアを入り、客室乗務員を一人シメ、服装を奪い離陸直前の飛行機に駆け込んだ。そして、離陸…これで追って来られないだろう。ギリギリ落下に巻き込まれずに、日本を脱出出来る。シートベルトサインが消え、トイレに向かう一人旅らしい女性客をシメ、服装を入れ替え、その女性の座っていた席に戻った。

 

うん?なんだ、あの戦闘機は?この飛行機と併走しているように見える。窓から戦闘機が見える。落下物からの護衛か?お気楽な国ね…って…この国の戦闘機では無い。どこの国のだ?

 

パン!

 

窓の割れる音、機内に響く叫び声、窓ガラスが割れ、空気が機外へと流れ出す。全身の力が抜けていく私は、空気圧により機外へと排出された。頭に激痛が走る。戦闘機の後部座席にはライフルを構えたあの女が…どうやって、追いついたんだ?機外に放り出された私の真上に人工衛星よりも大きな建造物が見えた。これって、宇宙ステーションでは?なんで、こんな物が落下してきたんだ?

 

 

 

---ダン---

 

目を瞑り、息を吐いたシュウ。終わったのだろうか?

 

「結末を知りたいかい?」

 

「あぁ…」

 

「…あの狂った女は、椋鳥姉に狙撃されて、死亡した」

 

「アネキが?」

 

レイの声が震えている。

 

「東京は壊滅…サーバーも全損…魔神は息絶えた。その代償はデカイ。あの狂った女の頼ったテロ組織により、日本の原発は総て破壊され、核有害物質は空気に拡散し、海すらも汚染した。これだけの犯罪をしたが、名が歴史に残る事は無い。もう、あの星に未来はないからだ」

 

「なぁ、オヤジ達は転生出来るんだよな?」

 

「あぁ、それは保証する。あの星はダメでも、今、新しい星を作っているから、そこに転生させる。事故、事件に巻き込まれた魂は、総て保護する。それが僕の仕事だからね」

 

シュウの暖かく柔らかい口調だが、彼のアリスを見る目は冷たい。

 

「お前達の本体には働いて貰うぞ。星を護る神としての役目を叩き込む。覚悟しておけよ」

 

そう言い残し、シュウは消えた。

 

「あの…ここはどこですか?」

 

マイに訊かれた。

 

「異世界にようこそ」

 

今は、新たな転移者達を歓迎することにするにしよう。

 

 

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