デスを食らった男   作:もっち~!

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新たな世界へと

 

---ダン----

 

シュウは俺の願いを叶えてくれたのだろうか。へそ曲がりな方法で…

 

村長から、シャーシャトーの沖に、薄らと岩が見えると報告があった。転移術の使える者と一緒に転移すると、何故か沖ノ鳥島だったらしい。まさか、アイツ、日本をまるごと転移させたのか?津波を被る寸前に?それとも大火災の起きる前の状態かな?焼け野原状態で異世界は辛いだろうし。

 

飛べる仲間と共に、現場へと飛んだ。確かに沖ノ鳥島のようだ。三等三角点である「北小島」があった。はぁい?ここから北へ1800Kmほど行けば、東京があるのか?天竜のテンちゃんに跨がり、北を目指す。飛行術の使えるミトとサトゥーが同行してくれた。

 

「あの規格外男…やらかしたんじゃないの?」

 

やらかしたと思う。地平線が丸い。この世界は平面のはずなのに。どこかの星に、貼り付けたようだ。俺達、地上の者の時間を止めて、せっせと貼ってくれたのだろう。もしかすると、管理AI達を練習生として酷使したかもしれない。

 

「あっ!あれって、富士山じゃない?」

 

富士山が見える。人気の無い三浦半島に降り立つと、京急線が動いている。だけど、お金が無い。

 

「お金か?あるよ」

 

何故かサトゥーが日本の通貨を持っていた。偽造したのか?硬貨ならば、シリアルナンバーが無い為、異世界スキルで楽勝だし。

 

京急線で品川へと向かう。久しぶりの満員電車…乗り継ぎ乗り継ぎ、我が家に辿り着いた。シャッターの降りている諸星洋菓子店。廃業したのかな?

 

「廃業はしていない。あぁ、この国では君達の姿は見えないからね。例外として、君の両親を君のいる国に招待すれば、会えるけどね。」

 

いつの間にか隣にいたシュウ。なんか、理を臍曲げている気がする。そんな裏技があるのか?ならば、接待に向いているラビの村に招待するかな。

 

「死んだ事実のある世界で、死んだ人間が見えたら、ダメだろ?仮に君の両親が、シガ王国など異世界の国に来れば、見えるんだよ」

 

そういうルールなんだな。まぁ確かに、死んでから随分経っているようだし、見えたら心霊現象だよな。たぶん、この世界は大陸ごとに違う異世界なんだろうな。って日本は大陸で無いが…だから例外ルールなのか?

 

「あぁ、写真とか鏡には写るから注意してくれ。ダンだけでなく、サトゥーもミトもだ」

 

「どの時点で転移させてくれたんだ?」

 

「イズ達が死んだ辺りだ。あと、リリアーナ、ミリアーヌ姉妹はアズライトの部屋に転移させてある。あっちはデジタルデータなので、ティアン全員は無理だったよ。人工魂の生産って時間がかかるんだよ」

 

その二人がいれば、アズライトも喜んでくれるだろう。

 

「アズライトの妹は既に暗殺されていたから、データが残っていなかった。あぁ、あの狂った女と君のいた国以外の人達の魂は、保護していない。君のいた国の魂だけだよ。持って来られたのはね。ユーリーの両親、クマ兄さんのお友達とか、他の国で死んだ、若しくは生きていた魂は持って来られなかった。僕は万能では無いので、その辺は了承して欲しい」

 

エリザベートはダメだったのか。マリーが悲しがるだろうな。

 

 

シュウの能力で、サトゥー、ミトの実家も巡り、迷宮都市セリビーラにある館に戻ってきた。館には村長と伯斗が待っていた。

 

「どうだった?」

 

「日本があったよ」

 

「交易すれば、和食文化が手に入るか」

 

「あぁ、入るぞ。但し、転移出来たのは日本だけだ。他の国は転移させていない。理由はダンには話したが、一番大きいのは言語体系の問題だ。理で共通語を日本語にしたからね。後の理由としては、あの星全部だと、貼り付ける面積が足り無い為だ」

 

言葉が通じるなら交易はしやすいが…日本のエネルギー事情は?石油、天然ガスが手に入らないだろうに。

 

「原発がある。現実時間では破壊されたが、貼り付ける際に、原発は修復させてある。あと、核爆弾もどきで破壊された被害は、ダイナマイト程度の被害にすり替えてある。当面は目を瞑るが、原発が事故を起こせば、その周辺は削除する。いずれ、核の代わりに魔石に置きかえるのはありかもな。はぁ~、じゃ帰るよ。徹夜仕事だったからな」

 

って、シュウが消えた。

 

『そうそう、あの日本はダン達のいた日本だ。村長と伯斗のいた日本とは違うから、期待しちゃダメだよ』

 

って、念話が届いた。

 

「そうなると交易の準備だな」

 

って、村長。

 

「エチゴヤにお任せください。転移できますから」

 

と、サトゥー。交易以前に、国交の樹立が先では無いのか?

 

 

 

---大岩太郎(日本国総理大臣)---

 

都内全域での多発テロ事件の翌日、世界が変わった。GPSが機能せず、国内各所で渋滞しているようだ。他国への連絡を試みるが、全く連絡が出来ず、偵察機を国境線まで飛ばすと、驚愕の事態が発覚した。

 

沖ノ鳥島の南に知らない大陸が現れていた。我が国の北側にあったはずの朝鮮半島、中国大陸は無く、北海道の北に目を向けると、北方4島はあるものの、樺太やロシア人の姿は確認出来なかったそうだ。

 

「これはどうなっているんだ?」

 

一夜にして、天変地異が起きたのか?各省庁は大騒ぎである。海外との交信がまるで出来ず、レーダー網は我が国の領域しか機能してしない。

 

「だから、説明しただろ?」

 

私の前に一人の青年がいる。信じられない話を私にしてきた。この国だけが異世界に転移し、地球は滅んだと…

 

「貴様は、何者だ?」

 

「僕はメッセンジャーだよ。その程度に思ってくれていいよ」

 

高校生くらいに見える青年。セキュリティが厳重な内閣緊急対策室に、突如として現れた。

 

「そんなラノベみたいな話があるかぁぁぁぁ~!」

 

「あるんだから、しょうが無いよね。でね、国交を樹立しに来たんだけど…」

 

正体不明の者と国交を結ぶ?あり得ないことだ。

 

「拒否する」

 

「拒否出来るの?この国って、自給率が低いはずだよね?僕も、並行世界の日本出身だから、知っているんだよ」

 

確かに、食料もエネルギー源も自給率が低い。だが…コイツがテロ組織かも知れないのに、国交なんか樹立が出来る訳がない。

 

「しょうが無いねぇ。裏から手を回すとします」

 

そう言い残し、青年の姿が忽然と消えた。

 

 

混乱を極めた夜…我が国を裏で取り仕切る代羽家の屋敷に呼ばれた。そこは聖域と呼ばれる樹海にあるエリアにあった。代羽家は古来より、日本を裏で取り仕切っていたそうで、総理大臣になった後、陛下に耳打ちで知らされたほど、極秘の存在らしい。代羽家の歴史は古く、話によると、あの黙示録の作者が始祖とも言われているそうだ。

 

樹海の一角でありながら、神々しさを感じる参道を車窓から眺めている。入り口から10分ほど進むと、大きな屋敷の玄関部分に着いた。執事らしき者が出迎えてくれ、屋敷の中に通された。樹海に向けて電柱なんか無いから自家発電であろうか。屋敷の中は電灯で明るかった。

 

客間に通されて、この館の主を待つ。しばらくすると、昼間に会った青年が現れた。

 

「代羽家現当主、代羽周太郎です」

 

この青年が、我が国を裏で取り仕切っていたようだ。

 

「昼間の話は与太では無いですよ。本当のことです」

 

妄想を話している青年。頭がおかしいのだろうか?こんなヤツが我が国を取り仕切るって、間違っているだろう。

 

「これでも、僕は2つの国で王なんですよ」

 

妄想が広がっている。ダメだ、話にならない。

 

「どうすれば信じて貰えますか?」

 

「ふん、ならば、その国に招待してくださいよ」

 

「困りましたねぇ…」

 

実在しない国なのだろうか、困った顔をしている。与太話って気づいているのだろう。

 

「生者は行けない場所だからね。一回、死んでみますか?」

 

そう言うと目の前の青年の姿が変化していく。鬼…白い翼を持った鬼に変身した。頭上には光輝く輪っかが3つ浮かんでいる。どんなトリックだ?えっ…痛みを感じて気づいた。私の左胸に、剣先が生えていた。

 

「死なないと連れて行けないんですよ。あぁ、後で蘇生はしますから、安心して死んで下さいね」

 

 

翌朝…無事?に現世へと還って来られた。この国の秘密を知る与党野党の総理経験者と協議し、彼らとの国交を結ぶことにした。

 

国民への説明を考えると、胃が痛い。

 

 

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