デスを食らった男   作:もっち~!

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チートコンビの敗北

 

 

---メイプル---

 

初めての敗北である。ダンさん以外に負けるとは…マイルも私もパニッくっていた。無敵に近いマイルの攻撃が通らず、無敵に近い私の防御力でダメージを貰う恐怖。もの凄く痛かった。初めて戦闘で怖いと感じてしまった。機械神の砲撃が効かなかった。エネルギー充填をしてのはどう砲を放つも、効果無いって、あのモンスターってチート過ぎるでしょう。

 

「「もっと強くならないと…」」

 

私とマイルの目標になるだろう。

 

「どんなモンスターだったの?」

 

サリーに訊かれた。

 

「首が10本、頭が10こ尻尾が5本だったかな」

 

「後、4本足で羽があって…」

 

「あっ!それって、トライヘキサじゃないか?」

 

って、クッキーの型抜きをしていたダンさんが声を上げた。

 

「トライヘキサって?」

 

「黙示録の獣と呼ばれる、神の作った最強の獣だよ。確か…シュウの使役モンスターだったはず。本来は七つの頭に十本の角だったけど、バランスが悪いから首を増設して10個の頭にしたってそうだよ」

 

「そうか!獣なんだ。ドラゴンの羽だからドラゴンだと思ったけど」

 

獣じゃ逆鱗は無いよね。

 

「物理攻撃は無効だったはずだ。魔法攻撃か、魔法を載せた剣技じゃないとダメだと思うよ。機械神は悪手だな」

 

悪手だったんだ…機械神での攻撃は…

 

 

 

---マイル---

 

あのバトルフィールドだとナノちゃん達の力は頼れなかった。私の本来の実力で挑むしか無いようだ。物理攻撃無効ってチート過ぎるでしょ。

 

「倒せる人っているの?」

 

ぼやくと、

 

「シュウが何度も倒したらしけど…」

 

ダンさんが答えてくれた。

 

「神様じゃ、比較対象にならないよ~」

 

メイプルもぼやく。

 

「うん?最初は、神になる前だったらしいよ。それも剣技だけで…身体は物理攻撃無効らしいが、どこかが斬れるらしい」

 

首が斬れたが、再生していた。う~ん…

 

「私に勝ったら、ヒントビデオを見せて上げるよ」

 

って、知らない女性が、隣にいた。私に絡み付くように抱きついているし、僅かだが膨らみを帯びた胸を揉んでいるし…何?この人…頬を重ねて来ているし。

 

「私が勝ったら、この子と、ソッチの子を借りるわよ」

 

って、返事を待たずに、私とサリーとメイプルがバトルフィールドに転移していた。目の前の女性は、細身で黒髪が長い美形な顔ダチであるが…

 

『ダイヤモンドダスト』

 

いきなりの魔法攻撃…細かい何かが広範囲で飛んで来た。剣で迎撃するしか無いかな?何だろう、この細かい粒は?擦るだけで肉が抉られていく。

 

『身捧ぐ慈愛』

 

メイプルがダメージを引き受けてくれた。だけど…ウソっ!ミンチになっていくメイプル。メイプルが光の粒子になって消えていくと、回避しきれなくなったサリーもミンチになり光の粒子に…剣で撃退して、女性の懐に入り込み、斬り裂く。だけど、剣が女性の手刀で根元から叩き折られ、続いて私の首も…首の無い自分の身体が見えて、意識が飛んだ。

 

 

 

---ダン---

 

たぶん、あれがシュウの娘だな。メイプルだけ帰って来たが、マイルとサリーは翌朝になるまで、戻って来なかった。帰って来た二人は、ヘロヘロになっていた上、目の下に隈が出来ているし。まるで精気をドレインされたようだ。

 

「朝日がオレンジ色に見える…あれって、夕日かな?」

 

朝帰りで夕日は無いだろうに。ツッコミ役のサリーらしく無い発言である。

 

「一晩中、プレイって、タフ過ぎる。あぁ…女性同士ってあんなプレイなんだな…」

 

無尽蔵なスタミナ持ちのマイルが、ソファーで寝息を立てている。それはシュウの娘は、女性好みってことか?

 

「違うよ。アイツは、両刀遣いの戦闘狂だよ」

 

って、シュウが隣にいた。いつも思うのだが、この館は多重結界で侵入防止をしてあるのだが、何故気づくと隣にいるんだ?

 

「両刀って、男も?」

 

「誰に似たんだか、そういうことだよ。まぁ、男よりも女の方が好物らしいが。メイプル、相手の力量が分からない場合、『身捧ぐ慈愛』は命取りになるぞ」

 

「ですね…」

 

「あの魔法はなんですか?」

 

サリーが訊いた。サリーにしては珍しく、大股開きでソファーに座っている。何をされたんだ?そんなに股間が痛いのか?

 

「あれは、ダイヤモンドの微粒子を光速で撃ち出しているんだ。いくら硬いメイプルでも、最強クラスの硬度に加速エネルギーだよ、そりゃあミンチになるよ。オリハルコンの装備でも砕く破壊力だしね」

 

「避けようが無い?」

 

「ダイヤモンドウォールとかなら防げるけど、サリーはそんな魔法は使えないでしょ?あれは避けるんじゃ無くて、撃ち出す前に、制圧すれば問題は無い。が、アイツ近接戦闘もこなせるから、生半可の戦士じゃダメだな」

 

「勝てる人いるんですか?」

 

メイプルが訊いた。

 

「いるよ。アイツは、僕の配下で10位以内に入っていないし」

 

それは、未だ見ぬ強者が10人はいるってことか?

 

「絶対に1位になってみせます!」

 

メイプルが意気込んでいる。

 

「目標は高い方が良いが、自分の実力を見つめ直して、相手の実力を読めないと難しいよ。あ、そうそう。娘に躾をしておいたから、当分は襲わないはずだよ」

 

そう言い残し、シュウが消えた。この館の侵入防止の多重結界の意味が無い。神レベルは防げないのか…

 

 




サリーとマイルは或る意味異世界へ足を踏み入れたり(^^;;

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