---高杯光輝---
陛下から指示をされ、異世界と呼ばれるエリアへの使節団のメンバーになってしまった。なんで、私ごときが…高杯神社を護る神主に過ぎないのに。
「陛下から、あちらで信仰されている者を見極めて下さいとのことです。宗教の違いは戦争の原因になりますからね」
そんなものは代羽家が仕切っているだろうに。実際、使節団のリーダーは代羽家の当主であるのだから。
「後のメンバーは俗者です。利権探しをし、文化などを冷静に判断出来ぬのは、マイナスになるともおっしゃっていました」
高杯神社も歴史は古い。その為か、天皇家とも交流があるのだが…
---メイプル---
モンスターハウス探しの試練が再開された。
「お願いだから、崩落事故はカンベンしてね」
サリーに釘を刺された。モンスターハウスに突入しての機械神…縦横無尽に放つ銃弾で、モンスターハウスの天井、壁は崩落し、サリーが巻き込まれた。幸いにして、私とマイルは無事だったのだが…
「エンカウント前に天井で圧死って…」
サリーが真剣に怒っていた。反省しなきゃね。そう言えば、洞窟戦は不向きだって、ダンさんに言われたっけ。死に戻ったサリーと教会を出ると、青髪の女剣士と、赤紙の女剣士と金髪のシスターがいた。
「あんた達が噂のメイプル、マイルコンビだな」
次の瞬間、戦闘フィールドに私、サリー、マイルと先ほどの女性3名が転移されていた。これは、決闘ってパターンだよね。
「3対3で勝負しようぜ。こちらが勝てば、その二人を借りるよ」
二人を借りる?はて?
「作戦タイムを5分やる。あのシグナルが青になったら、スタートだ」
天井に赤いランプがある。あれがシグナルかな?
「サリー、避けられない戦いだけど…負けたくないよ」
「私も負けたくない。きっと、ダイヤモンド遣いと同じ趣向なんだろう」
同じ趣向?
「開幕後、戦士二人は、私とマイルで抑えるから、メイプルは、あのシスターをどうにかして。たぶん、回復役だろうから」
サリーの作戦…サリーとマイルで回避盾で相手の剣士を翻弄し、私がシスターを仕留めた後に、剣士を倒すようだ。
「じゃ、ヒドラと暴虐でいい?」
「毒竜?ダメよ。私達も毒状態になっちゃうわ。後、身捧ぐ慈愛はダメだからね」
相手の実力がわからない場合、あれは危険である。そうか…ヒドラもダメか。そうなると暴虐だけでは押しが弱いかな。
そして、シグナルは青に…暴虐状態になった直後、激痛を感じた上、ノックバックさせられていた。砲撃を食らったようだ。どこから?相手って剣士だよね?
「態々、的を大きくしてくれるとはな」
あの青髪の剣士から何かが飛んで来た。もの凄く痛い。盾で護らなきゃ…あぁぁぁぁぁ~。暴虐状態の為、盾が無い。
空中からも何かが飛んで来ている。あの赤い髪の剣士の背中には赤い翼があり…目の前が真っ暗になっていく。
---ダン---
あの全知全能に近いアイツの一番弟子と二番弟子に、メイプルがやられ、三番弟子にマイルとサリーがやられたそうだ。戦闘シーンを見せて貰ったが、剣士二人は飛ぶ斬撃遣いだった。ロングレンジからの斬撃かぁ。メイプルはシスター狙いで、剣士をノーマークの上、暴虐状態で無防備だった。
一方、サリーとマイルの回避盾コンビは、シスターのリバースヒールを喰らい、じわじわと命を削られていた。リバースヒールはヒールの逆である。回復術のマイナス効果で、ダメージを与える呪術だそうだ。最上級ヒーラーが得られるスキルらしい。
「また…負けちゃった…」
凹むメイプル。
「言っただろ。相手の力量が分からないのであれば、最強な状態で向かい討て。お前の最強な状態は、盾を使った防御力アップだぞ」
暴虐はHPを増やすが、盾を装備出来ない分、防御力が落ちる。まぁ、相手が悪かったと言え無くも無いが。あの斬撃の威力は核爆弾クラスだと言う。相殺するには、はどう砲しか無い。初見の相手の戦力を見極めるのは、盾による『悪食』しか無いのだろう。作戦ミスだな。
青髪の剣士と金髪のシスターは、アイツの娘同様の性癖らしい。先ほど、サリーとマイルが朝帰りしてきた。目の下に隈を作って…
「あり得ない…あんなプレイがあるなんて…」
マイルがカルチャーショックを受けている。サリーは無言でソファーで爆睡中である。シュウに訊いたのだが、女の敵はあの三人だけらしい。彼女達は、サリーとマイルに満足したそうで、当分は襲われないだろうと言われた。
俺だったら、フルカウンターで剣士二人をどうにか出来そうだが、あのシスターのリバースヒールはダメだろうな。効果はマイナス方向であるが、基本回復術なので、フルカウンター対象にならないみたいだ。世の中には、厄介なスキルがあるんだな。
「僕達の相手は、想像の範疇外が多いからね。防がれない攻撃方法が重要なんだよ」
遠い目をしているシュウ。
「一番辛い相手は?」
「勿論……殺したく無いが、殺さないといけないヤツだな」
それは、辛そうだ。
「罪を反省して貰う意味で地獄へ送らないといけなかった。一番信頼していた仲間だったんだけどね」
血も涙も無い男の目から輝く物がすぅ~っと流れて行く。辛かったんだろうな。そんな相手を…俺だったら、サリーとかアスカかぁ。殺したく無い。殺し合いたく無い。