---メイプル---
マイルに剣術を習い始めたのだが、う~ん…
「たぶん、ダメかな。DEXがなさ過ぎというか」
素早さが足り無いようだ。相手の懐に入れない。打ち合いになると、相手の剣を捌き切れない。まぁ、攻撃を食らっても痛く無いけど。
「STRは問題無いかな。重量は工夫すれば、どうにでもなるし」
しかし軽い剣は、それなりの効果しか無い。強度が無い上、相手に刺さるけど切り裂けない。切り裂こうとすると刃が途中で折れるし。
「槍はどうかな?」
メーヴィスに習い始めた。が…相手に詰め寄るスピードが無く、攻撃が当たらない。
「いっそ、シールドバッシュを磨いたらどうだ?」
ダンさんからアドバイス。そうなるのか。う~ん…
「シールドバッシュ一発で、シュウの娘に勝ったんだろ?自信を持てよ」
代償に右手がもげた。とても、とっても痛かったよぉぉぉぉぉ~!痛いのは嫌いなのに。
「防振りしている以上、それ以外の攻撃は無理だ。必殺の『はどう砲』はタメの時間があるから、ソロ戦では無理だな」
ダンさんに追いつきたい。でも、機龍には当てられない。充填中にメーサー砲で仕留められている。ダンさんの一番の脅威はウッドオクトパスでの狙撃だな。あれは避けられない。足の裏からって…足裏マッサージでも痛いのに、そこに貫通攻撃って、痛すぎますよぉぉぉぉぉ~!
---マルセラ---
お見合い…外国の王子と我が国の第三王女モレーナ様がお見合いをすることになり、私達ワンダースリーが護衛の任に着いた。
「マルセラ達がアデルの捜索に失敗するから…こんなことに」
マイルことアデル・フォン・アスカムの捜索を私達ワンダースリーが請け負ったのだが、失敗したのだった。居場所を把握して、王女と再び向かうと、どこにも居なかったのだった。アイツ、逃げたな!
詰めが甘く、逃がした失態を埋め合わせする為、王女は他国へ嫁入り、所謂政略結婚の道を歩むことになった。連帯責任としてワンダースリーは王女付きで他国への島流し…
船で別の大陸へと向かう。港に着くと、お見合い相手のソルシエ王国の第三王子ジオルド・スティアートが待っていた。見た目は優良そうであるが、どこか暗い。事故物件の予感がする。
モレーナと王子が談笑をしている。私達は周囲を警戒しながら、ガードを固めていく。第三王女と第三王子か…釣り合いは取れているし。もし、このお見合いが成功すると、私達は王女付きとして、この国に住むことになるそうだ。私達の望みはそれだ。あの国にいると、親に早く嫁に行けと耳がタコになるまで言われ続けられる。
私達の夢は、アデルと一緒に冒険の毎日であるが、アデルはワンダースリーでなく、赤き誓いを取ってしまったのだ。あの時、強引にパーティーを合併すれば良かった。剣士2魔法使い5と言うバランスの悪いパーティー構成であるが、火力は抜群なはずだ。
お見合いは無事に終わり、無事に婚約をされたモレーナ様。が…その後我々の調べで分かったこと、ジオルド王子は過去に婚約者二人に逃げられたそうだ。
「何か問題がある男なのかな?」
不安そうなモレーナ様。しかし既に婚約をしている。それも王子と王女である。婚約破棄は国同士の争いに繋がる可能性がある。
「後、ここソルシエ王国では神隠し事件が頻発しているようです」
手に入れた情報を包み隠さずに報告していく。有能さをアピールして王女付きの地位は守りきらないといけない。失敗すれば、明日は我が身で、お見合い地獄が手ぐすねを引いて待ち受けている。
「神隠しの原因は?」
「原因は不明だそうですが、国の重鎮が家ごと消えているそうで、転移術を使った拉致の可能性があります」
この国には転移魔法が無い為、その可能性は考えていないようだ。だけど、転移術は、アデルが使える。まさか、アデルが犯人?その場合の目的は?
「被害者はどんな人なの?」
不安そうなモレーナ様。まぁ、不安になるよね。
「ジオルド様の婚約者二人、ジオルド様の弟君とその婚約者、クラエス侯爵家、アスカルト伯爵家…」
クラエス侯爵とアスカルト伯爵は国の重鎮だったらしい。その為、国政に影響が出たそうだ。
「私も神隠しに遭いたい…」
モレーナ様がフラグを立てているようだ。きっと、神隠しに遭わないだろうな。
---ダン---
「ジオルド王子が婚約したそうだよ」
シガ王国の国王に結婚の招待状が届いたそうだ。
「へぇ、ジオルドがねぇ。相手は誰だ?」
ジオルドの弟であるアランが訊いてきた。元婚約者のカタリナ、マリアコンビは興味無いみたいだ。まぁ、それだけの男なのだろう。
「ブランデル王国の第三王女のモレーナだって」
「ブランデル王国?」
マイルが驚いたような声を発した。
「そこは、私が脱走した国ですよ」
冒険者になろうとしてのに、貴族にされそうになって逃げたんだっけ?
「あの国は強引ですからね」
「ジオルドも強引だから、ちょうど良いんじゃねぇか」
似た者カップルだな。現状、俺達には関係ない。
「クボォーク王国の再建状況は?」
「移民が少ないのか、農民が少ない感じかな」
カタリナが報告書を見て、情報を上げてくれた。農業のトップはアリサであるが、ここにはいない。クボォーク王国に駐留している。
「ラビの村は?」
「浄水場もほぼ完成ですね」
モフモフ担当のマイルが報告を上げた。相棒のメイプルは現在、正座でお説教を頂いている。またやらかしたそうだ。戦い方に悩んで居るのは分かるが、討伐クエストの度に、地形を変動させるのはどうかと思う。高火力なりの戦闘スタイルを覚え無いと、今後ダンジョン系や洞窟系では外される可能性がある。
◇
「なぁ、メイプルなんだが、荒治療でもするか?」
シュウもメイプルの戦闘スタイルを心配しているようだ。
「次の試練は滝のある湖なんだけど、あれを破壊されると、リソース的に困るんだよ」
シュウの表情はとても困っているようだ。地形破壊は禁止なんだろう。
「次の試練は俺も行きます。ヤバかったら、俺がメイプルを仕留めます。それで、どうかな?」
「君にそれをさせたくないのだが…」
確かに味方を手に掛けるのは、ちょっと躊躇しそうだな。でも、ダメなことをしたら…それで他の味方が危険になるならば…きっと、シュウには経験があるんだろう。
「じゃ、止められなかったら、メイプルを地獄へ連れて行くからな」
最後通告を受けた気がした。