流麗の錬金術師がヒーローになる話   作:きど

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高校生編1

結果的に言うと試験には合格した。あまり心配もしていなかったが。

一般入試はこれからだが飯田少年も天神少年も大丈夫だろう。

 

案の定、教室で昼食を取っていると飯田と天神が駆け込んで来て、受かったと息も絶え絶えに報告して来た。またこいつらと3年間一緒らしい。退屈しない高校生活になりそうだ。

そういえば、轟少年も推薦入試だったようだがどうなったんだろうか。試験前に挨拶したっきりだが。

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に入学式の日になった。

 

3人揃って登校しているが、結局轟少年がどうなったかは未だ知らずにいる。連絡先も知らないのでは確かめようもないし、大方の自宅の位置は把握しているが、例の父親が居る家に勝手に赴くのは気が引けた。

発明科の天神と別れ、飯田と1‐Aの教室へ向かう。随分早く来たので教室にはまだ誰もおらず、自席で本を読んで時間を潰す事にしよう。

私は窓際の1番後ろの席だったのでうたた寝しそうだな、と思いながら読書を始めた。

 

本を読んでいたと思ったらいつのまにか寝てしまっていたらしい。

いや、この陽気では仕方がない。最近入学して時間が無くなる事を危惧して研究に一区切り付けようと作業に没頭していたからな…きっと今日の入学式の式辞では「この春の麗らかな陽射しを浴びながら、この雄英高校の入学式を迎えられたことを~」とかいう一文が入るのだろう。

 

そんなことを考えながら教壇を見れば、どうやらこの小汚い男性が担任らしい。ここの教師はみなヒーローだと聞くし、この人もヒーローなんだろうか。

怠そうに見えて佇まいには無駄がない。オンオフの切り替えが激しい人なんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

体操服に着替えグラウンドに出れば個性把握テストが始まった。身体も鍛え直し錬金術の研究も怠った日はないが、明確な数値化は重要だ。

ここで全力を出せばどこまでの事が可能なのか把握しておくにはうってつけだ。

 

しかし入学式にも出ないとは…少々式辞が気になるが、確かにこのテストの方が重要だろう。

時間は有限。この「相澤消太」なる人物は理にかなった行動を好むようだ。

無駄の排除を徹底しすぎているが故のあの容姿なのだろうか、とひとり納得する。近くを通ったが別に臭ったりはしなかった。時間や効率以外に頓着する性格じゃあないんだろう。

 

周囲の生徒の会話を盗み聞きし、個性も観察しつつそんなことを考えていると、どうやら最期のテストのようだ。

錬金術で大砲を造り砲丸を変形させ砲弾にして装填する。周囲に耳を塞ぎ口を開けるよう指示してから発射すればそれなりの射程が出た。無限にはとても敵わないが、中々の成績だろう。

 

成績が開示されれば、1番上に名前があった。国家錬金術師としては当然かもしれないが、少し嬉しい。

ロイが居たら勝てたかな、今日が雨なら勝てたな、とくだらないことを頭の隅で考えつつ、テストのデータを後で貰っておこうと決めた。

 

 

 

 

 

 

 

解散後はみんなで反省会をしていたようだが、あいにく今日は研究所だ。時間がない。断りを入れて帰ろうとすれば、緑谷少年と爆豪少年、更にはナンバー1ヒーローと言われているオールマイトの…聞いてしまってはいけないのではあろう会話を丸々聞いてしまった。

 

言い訳をすると出て行くタイミングがなかったのだ。ここを通らないと帰れないが、ズケズケ歩いて行く程空気が読めないのもどうかと思ったのだが…その、他人に聞かれたらマズい話をこんな誰でも通る様な場所でしている方にも…非が…あるよな…

 

まあいいや、帰ろう。と、一歩踏み出したところで思い出した。

そういえば轟少年の事を忘れてたな。うろ覚えだが私の斜め前の席じゃなかったか?すまない。今日の私は全く冷静じゃなかった様だな…有名に、ヒーローになれる第一歩と思ったら浮かれていたのかもしれない。

そう言えば今日は必要最低限の事はこなしていたが、雑念ばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

早く、みんなに…




久々の投稿です。
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