流麗の錬金術師がヒーローになる話   作:きど

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小学生編1

今は自己紹介の時間だ。

教室の前方に立たされ、黒板に私の名前を書く教師に自己紹介を促される。

 

「それじゃあ自己紹介をしてね」

「はい。今日からお世話になります。水龍涼です。よろしくお願いします」

 

見た目からして文字通り"個性豊かな"クラスメイトらにそう挨拶すれば、元気よく挨拶が返って来る。

 

イシュヴァール殲滅戦に国家錬金術師として参加した自分が言うのもなんだが、私には人種差別という考えはない。自分も片足が無いし異形の人間に対し差別的意識はないが…それにしても色々な見目の者が居るな。

マースが見ればまたデタラメ人間の万国ビックリショーだとか騒ぎ出すだろう。

 

そう考えを巡らせながら案内された教室の1番後ろの席に座った。

前の席の羽根の生えた天使の様な男の子が元気によろしくな!と挨拶をして来てくれたので、同じようによろしくと返す。

ついでとばかりに隣の紅白頭の男の子にも挨拶をする。

これからもう1年も無いが、一緒に過ごすクラスメイトである。交友関係を築いておくのは大切だ。しかし無言で返されてしまった。

もう一度話しかけようとすれば、先程の前の席の男子に止められる。

 

「気にしない方がいいよ。そいつ何言っても返事ないんだ…諦めた方がいいよ」

「そう…」

 

それより、と男の子が話を続けようとすれば教師から注意が飛んで来た。

 

「そこ、静かに!それじゃあ1時間目の算数の授業を始めます。教科書を開いて。あ、そうだ、涼くんは隣の席の轟くんに見せてもらってね」

 

チラリと隣の「轟くん」と呼ばれた少年を見れば、教科書をこちらの方に寄せている所だった。どうやら人の話を聞かない問題児という訳ではなく、単にコミュニケーションが苦手か嫌なだけに見える。

机を寄せて教科書を見せてもらう。が、以前の世界より進んだこの世界の諸々には興味があり既に修めているし、元々科学者であるから理数系は得意だ。せっかく見せてもらっておいて何だが、その必要性はないかもしれない。

 

暇だし、と隣の轟少年を観察していると、彼も計算は得意なのか授業に問題はなさそうだ。

しかしさぞやつまらない、といった表情という訳でもなく、真剣に教師の話を聞いている。

根は真面目な様だ。が、対人関係では心を閉ざしている、と…

 

彼の見た目で髪の色以外に目立つのは髪と同じく左右の眼の色も違うという、いわゆるオッドアイだという点。それから、その目にかかる程大きく無残に後を残す火傷の跡だ。

これが事故ではなく意図的にこうされたのであれば、対人関係においてこの様な態度を取るのも頷ける。

 

私も5年前のテロ事件の時に顔に怪我を負い、奇しくも国家錬金術師だった時と同じ場所に傷跡が残っている。

そんな顔に傷のある者同士の縁というか、親近感が沸いたのだろうか、私はその隣の席の彼、轟少年が気にかかり帰りの時間まで授業中はずっと彼を観察していた。もちろんバレない様に、だが。その程度の心得はある。

 

休み時間は前の席の少年やクラスメイトと話を…というか殆ど質問攻めだったが、元の世界や事件の事を話すと面倒なので軽く躱しつつみんなの事が知りたいと話題を逸らした。

素直に乗ってくれる子供たちには申し訳ないと思いつつ笑顔で対応する。

 

 

そうして私は小学校生活1日目を終えた。

なんだか疲れた…帰ったら鍛錬が必要だ。鍛えなおさねば。

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