流麗の錬金術師がヒーローになる話   作:きど

5 / 13
小学生編2

小学校での生活にも慣れた頃。

精神年齢の違う子供たちと過ごすのは中々に疲れるが、このクラスは大人びた子が多いので助かっている。しかし子供は子供。

どうやら隣の席の轟少年はクラスの全員から無視されているようだ。少年の方が先に無視をしている様だから、こうなる事は必然だろう。

 

この少年は何が原因でここまでぶっちぎってしまっているんだろうか。

彼が居ない隙に天神にこっそり聞いてみた。天神とはここ数日ですっかり仲良くなったクラスメイトで、私の前の席に座っている男の子だ。天使の様な見た目で、言動もとても良い。表向きは…

他にも仲良く接してくれているクラスメイトたちにも、隣の席だから気になるのだとそれとなく聞いてみたが収穫は皆無だった。

彼について気になっているのは事実だしな。

 

しかし、今はそれどころではない問題が発生している。

体育の時間だ。

もちろん運動をしたところで私の機械鎧は壊れたりはしないが、問題はそこではない。

 

着替えだ。

 

着替えの際に機械鎧を見られる事を全く考慮していなかったのだ。別に見られる事自体は困った事ではないのだが、この世界の子供には少々刺激が強い様に感じるし、のテロ事件の事を蒸し返されても厄介だ。

 

だが背は腹に変えられない…いざ!

と思って気合を入れてみたものの…反応は最悪だった。厄介だ。めんどくさい。

どこからか5年前の事件を掘り返して来た馬鹿が居たようだ。当時メディアに追い回されていた様な状況に逆戻りしてしまった。

 

天神だけは人目に付かない所ではいつも通り接してくれて、機械鎧についても「かっけえ」との感想をくれた。機械鎧技師にでもなったら良いんじゃないだろうか。

彼は腹黒いので、教室では普通にみんなと同じ様にしている。私が助けを求めればきちんと応じてくれるだろうが…そんなに軟な人間じゃないと分かっているんだろう。ずる賢い奴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

これでこのクラスに浮いた奴が2人。

話をするにはちょうどいいかもしれない。

 

そう思っていると、案外早くその機会は訪れた。

 

意外にもこちらに話しかけたそうにしていたのは轟少年の方だった。

私の右足を見たからか、クラスでハブられ仲間になったからかは分からないが、最近話しかけるタイミングをチラチラと伺っているようだった。

 

放課後、他の生徒が全員帰り教室には我々のみとなった。帰り際に彼を捕まえて話をしようと思っていたのだが、どうやら彼も同じ考えだった様で、どちらも教室から動かぬままこうなったのだ。

これでも落ち着いて話が出来る訳だから支障はない。問題は何を話すのか、だ。

彼について分かっている事から推察するに、彼が何かしらの事情を抱えていて人を避けている。他人に関心がない。しかし、私との間には何か共通点を見出し話しかけようとしている、といったところか…

 

 

「あの…」

 

そうこう考えている内に彼の方から話掛けて来てくれた。これは都合がいい。

 

彼もどう話しかけるべきか思案していたのだろう。少し声が震えている。目線も床の方を彷徨い自信なさげな雰囲気だ。

今まで人と交流を絶ってきたのだから、自分から話しかけようというのは勇気のいる行為だろう。

質問の内容も大体想像が付く。となると、余計に言い出し辛い事も想像できる。

 

勇気を出して話そうとする子供の言葉を遮る趣味は無い。ゆっくり待たせてもらおうか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。