その後は卒業までノンストップだった。クラスメイトともう少し和解したかったが、こればかりは仕方がないだろう。
ただ、轟少年の方は心境も変わった様で他のクラスメイトとも話すようになっていた。彼は元々自分からクラスメイトを無視していた仕返しとして無視されていただけだったので、全員に無視していた事を謝罪し関係を再構築した様だ。
私としても少し変わったところがある。
轟少年はヒーローになりたいのだと話していた。ナンバー1ヒーローのオールマイトの様になりたいんだそうだ。彼を越えるナンバー1ヒーローとして育てられたが、絶対に父親の様にはなりたくないとも言っていた。
他にも自分の個性の話や少年の兄姉の話も聞いたのだが、反対に自分の夢は何かと問われた時に私は返答に詰まってしまった。
ないんなら良いんだと轟は言っていたが、このご時世どんな子供でもヒーローになりたがる為、少し驚いていた様だった。
夢───
機械鎧はもう完成したし、そもそもアレは夢とは少し違うだろう。
以前の私の夢はロイを大総統にする事だったが…それも今は叶わぬ夢だ。
「いや、本当に叶わぬ夢なのか…?」
この世界に私が居るのは、前の世界で死んだからだ。つまり…彼らが向こうの世界で天寿を全うすればこちらに来る可能性だってあるのでは…?
そうだ。私だけというのがそもそもおかしいのだ。私と同様に彼らもと考えるべきではないのだろうか。
彼らに、会いたい…これがこの世界での私の夢か…
しかしどうすれば…以前とは姿形も変わってしまっているのだ。
ヒーローだ。
この世界に私の名を轟かせれば。そうすれば───。
私はまた彼らに会えるだろう。
そのために、生きるのだ。
私は、ヒーローになる。
ヒーローになって、彼らに見つけて貰うという新たな目標の為まずは体力だ。
前の世界でのメニューをこなす。が、身体が付いていかない…これは長い道のりになりそうだ。
一から鍛え直すというのは思ったよりも大変なようだが、無いものねだりをしても仕方がないな。
この世界でヒーローになるには免許が必要だ。ヒーローになるためにはその育成学校に入らなければならない。
この国最高峰のヒーロー育成学校は、雄英高校と言うらしい。この学校に入学する事を当面の目標とし、この世界の勉学にも励もう。その前に中学があるわけだが、そこも雄英に入りやすいレベルの中学を選ぶ必要があるだろう。
という訳で体力と知力の両方を補いつつ、私はヒーローを目指す事となった。
「夢…?」
「そうだ。轟がこの間言っていた夢の話、私にも夢ができたんだ」
「そうか…嬉しい。#1#の夢、聞かせてくれ」
普段あまり笑顔にならないからだろうか、多少ぎこちない笑顔を浮かべている。
「私も…ヒーローになりたい。ヒーローになって会いたい人がいるんだ」
「そうか…すごく、いい夢だな。その夢、俺にも応援させてくれ」
「ありがとう。もちろんだ。代わりと言ってはなんだが、轟の夢も応援させてくれ」
こうして季節は進み、私たちは小学校を卒業する事となった。
推薦が被るだろうから私と轟はお互い違う中学へ進学し、天神はちゃっかり私と同じ中学へ付いて来た。
まあ彼はヒーローになりたい訳ではないらしいから大丈夫だろう。
見た目に反して機械いじりなんかが好きな少年なのだ。以前も思ったが、彼は機械鎧技師にでもなることをオススメする。
そうして私は今日から、私立聡明中学の生徒となった。