1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート) 作:火焔+
01.1830年の情勢
先ずは簡単に世界の状況を確認しましょう。
我が日本国でありますが、1830年は文政13年。
江戸時代で絶賛鎖国中であります。
沖縄や北海道は、まだ日本国ではありません。
オランダと出島で貿易し、金銀銅を輸出しながらも平和の時代ではありました。
薩摩藩や対馬藩が清や李氏朝鮮とも貿易をしていたであります。
ちなみに日本は工業化の「こ」の字も無いと言って良いほどの第1次産業国家であります。
工業化は大英帝国たるイギリスが第一次産業革命を終えたばかりで、他の国々は始まってもいないであります。
鉄道もイギリスとアメリカが短い路線を持っているだけであります。
(しかも蒸気機関車)
船は帆船が主流で蒸気船は実用には遠かったであります。
(1850年でも帆船と蒸気船は9:1の比率でした)
西欧が世界の中心で、ナポレオンの時代が終わりウィーン体制の下平穏を取り戻そうとしたばかりであります。
第1次世界大戦(1914年)まで安定かと思いきや、革命・独立・反乱・植民地政策など結構に激動の時代であります。
そうそう、この時代は大国の事を「先進国」とは呼ばず「列強」と呼んでいたであります。
この時代、国力の高い8カ国を上げるとするならば以下のようになるであります。
・イギリス
・フランス
・プロイセン(ドイツの前身)
・ロシア
・オーストリア
・ネーデルラント(便宜上オランダと呼称します)
・USA
・オスマントルコ
プロイセンが存在することからも分かるとおり、ドイツそしてイタリアは地図上に存在しないであります。
そして一世を風靡したスペインやポルトガルは絶賛内乱中で没落しております。
列強8国を軽くではありますが説明するであります。
●イギリス
カナダ、インド、オーストラリア、南アフリカなどの広大な植民地を持つ、この時代最強の海軍国家であります。
ただ国内はデモや市民運動が多く、自由党・保守党も対立していたであります。
敵は外側というより内側(?)という感じであります。
●フランス
フランス革命が起きて皇帝ナポレオンが君臨し、国土を広げたでありますが、
イギリス・ロシア、オランダ・プロセインに敗北して退位させられて島流しにあったであります。
七年戦争でも植民地の多くを失いましたが、それでも列強の座は揺るがなかったであります。
ちなみに、1830年7月に七月革命が勃発するであります。
このあともちょくちょく革命が起こったり帝政、共和政を行ったり来たりと大忙しであります。
●プロイセン王国
ドイツの鉄血宰相ビスマルクが居る国であります。1860年代まで出てこないでありますが。
ポーランドをロシアとオーストリアとで三分割して国土を広げたであります。
そのほかにも色々あって国土は初期の2倍になり列強入りしたであります。
ちなみにそちらの世界では1867年に北ドイツ連邦、1871年にドイツ帝国になるであります。
●ロシア帝国
21世紀のロシアとは国体が違い、ロマノフ朝が統治する帝国であります。
貴族・農奴が存在しており、多民族国家ゆえ民族間の対立もあるであります。
この時代、オスマントルコと戦う事が多いであります。
皆様の世界では、1917年にロシア革命が起きてソビエト連邦になるであります。
●オーストリア帝国
元・神聖ローマ帝国で、ドイツ人とマジャル人(ハンガリー民族)を主体とする多民族国家であります。
オーストリアを中心とした大ドイツ主義を標榜しているであります。
そちらの世界では1867年にオーストリア・ハンガリー二重帝国となったであります。
●オランダ
この頃は、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグの連合王国だったであります。
日本と唯一交易している西欧でありますな。
インドネシアの一部を植民地にしており、プランテーションでコーヒー、サトウキビ、藍(インディゴ)、茶、タバコなどを作らせていたであります。
これらの利益で工業化を目指したであります。
因みにオランダも1830年8月にベルギー独立革命が起こるであります。
●USA
1789年に独立したばかりで世界最強感はまったく無いであります。
21世紀のアメリカ人をスーパーアメリカ人ゴッドだとすると、普通のアメリカ人くらいであります。
西海岸に都市はなく、ゴールドラッシュもまだ。テキサス州もまだUSAでは無いであります。
モンロー主義を掲げており、西欧には関わらないから新大陸(アメリカ大陸)に干渉するなと孤高のルートを選択しているであります。
●オスマントルコ
ロシアの南下と内部の腐敗で「瀕死の病人」と呼ばれることになるであります。
1830年はまだ無事ではありますが、こちらの世界でもそうなるでしょうな。
ちなみに1831年と1839年にエジプトと戦争するであります。
どっちも列強の介入でパワーバランスが玩具のように崩されるであります。
それでは、そろそろ始めていくでありましょうか。
初めに行う日本国への【閃き】は以下の3つであります。
・幕府による食糧備蓄の推進、流通の強化(8か月)
・救貧作物の奨励を中心とした食物増産(8か月)
・水稲農林一号の開発(2年9か月)
この様に【閃き】を我々の世界に教えていただく事で、日本は上手く利用して滅びの道を回避していく事になるであります。
まずは、1833年あたりから始まる「天保の大飢饉」を回避するでありますな。
天保の大飢饉では日本人口が、100万人ほど減少してしまったであります(3,198→3,073万人)
生まれてくるよりも多くの人々が飢饉による飢餓や病気で亡くなってしまったであります。
飢饉は日本の国力と国威を失ってしまうでありますから、対策は必須でありますな。
これらの【閃き】により1830年9月まで時が進むであります。
9月に「幕府による食糧備蓄の推進、流通の強化」「救貧作物の省令を中心とした食物増産」の政策が日本国内で成果を上げたということになるであります。
では皆様、次回はこれらの政策の効果を見て行くであります。
次回を楽しみにして頂けると幸いであります。
それでは!