1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート) 作:火焔+
今回は下記の2つであります。
1835年11月になるでありますな。
●コークスの実用化
●高炉の実用化
・労働法と最低賃金の制定(4か月)
・琉球統一(4か月)
・ベッセマー転炉の発明(6か月)
・陶器、漆器などの貿易用商品の開発および振興(6か月)
・藍、茜、紅花、綿、麻、桑、養蚕などの商品作物の開発および振興(6か月)
・パーカッションロック式ライフル(6か月)
・オランダと通商条約締結(6か月)
・ポルトランドセメントの実用化(11か月)
・馬力コンバイン・ハーベスターの開発(11か月)
・ビタミンの発見「2枠」(1年6か月)
・研究:材料「5枠」(1か月)
・研究:材料「5枠」(1か月)
・研究:材料+2「4枠」(6ヶ月)
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【入即出屋】
やる夫は窯職人の友人に依頼して、コークス炉を作成して貰っていた。
最近、蝦夷の開拓地で石炭が産出されるようになったため、折角だから作ってみようと思ったのだ。
「ふむふむ、これがコークスかお。結構石みたいにザラザラしてるお。
これがあれば製鉄がしやすくなるらしいお。
100年も前に開発していたダービー父子はすごいお。」
「ふむ、これがそうなのか。」
やる夫の背後にはいつの間にか水野忠邦が居て、やる夫が持つコークスを背後から覗いていた。
「――――おっ!!
急にビックリしますお……」
「ハハハ。何やら真剣だったようなのでな。
声をかけるのを控えておったのだ。」
本当は驚かせるのが目的だったのだが。
「今日は何か御用ですかお?」
「ああ。丁度やる夫が持っている物の話だ。
最近蝦夷の開拓地で石炭が産出されるようになったのは知っているな?」
「はいですお。
実家が廻船問屋なので、蝦夷の開拓地の情報はわりと。」
「ならば話が早い。
蝦夷の石炭と釜石の鉄鉱石で製鉄能力を強化しようと思ってな。
コークスを使って製鉄した方が、品質が良いと蘭書で読んでな。
ということで、釜石に実験的な製鉄所を作れ。」
「――――はいですお。」
いつもの無茶振りに、やる夫は最早慣れてしまっていた。
「なんだ。反応が薄いな。」
「なんとなく、そんな気はしてましたお」
「そうか。」
忠邦は少し残念そうだ。
もっとやる夫が驚くと思っていたからだ。
ということで、もう一個無茶振りする事にした。
「ならば鋼の製造方法も何か考えておいてくれ。パドル法というものでは大量に作れないようだからな。」
「――――えっ?
西欧でも確立してない技術ですお?」
「うむ。秘匿されている技術であるが故に難しいとは思う。だから可能ならばで構わぬ。」
やる夫は存在しない技術と考えているが、忠邦は公にされていないだけで国家機密レベルで存在するのでは?と思っていた。
「わ、わかりましたお……き、期待はしないで欲しいですお。」
忠邦も今の日本の技術では出来るとは思っていない。
少しでも改善できれば儲け物程度の考えだった。
「うむ、ならば頼むぞ。
資金は帳簿にして後で届けさせよう。」
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【釜石】
「という事でやってまいりました北の国。11月――――寒いですおッ!!
ウールが無ければ死んでいたお……。」
防寒具をガンガンに着込んだやる夫は衣服だけで一回り大きくなるほどだった。
東北の人たちはこれで生きていたので流石に死ぬは言い過ぎではあるが。
川の近くに建設されたコークス窯と高炉で使う材料の搬送と、空気を送る【ふいご】は水車の動力によって機械化されていた。
これはやる夫は紡績機で見た「水力紡績機」を参考にして作られたものだった。
「たたら製鉄の【たたら(ふいご)】では風力が足りないですお。
なので水車動力で自動化しましたお。水車は疲れないので24時間稼動が可能になりましたお。
また重労働の材料の搬送作業もコンベアがやるので楽ですお」
流石にベルトコンベアではなく、コンベアに鉄や木の器が取り付けられていて、その中に原材料を入れて運ぶのだ。
ただ、大きなコンベア用チェーンですら製造技術的にコストが高いので、この様な重要施設でしか用いられていない。
「本当は石炭、コークスがあるから蒸気機関でやりたいんだお……
でも蒸気機関は上手く回らなかったお……
だから水力でやるお!」
材料レベルが足りないため、蒸気機関を実用レベルで用いる事が出来なかった。
やる夫はVIPPERに相手して貰えないから、ニュース速報板でやる的な発想の転換で乗り切ることにした。
「でも、コークスは蝦夷で作って運ぶでもよかったんじゃないですかお?
まっいいか。」
やる夫の言う通りなのだが、石炭で運ぶ事により、日本がコークスを利用している事が結構後まで秘匿される事となった。
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こうして釜石試験的製鉄所が稼動開始したであります。
鋼鉄の生産は未だ困難ではありますが、鉄の生産は大規模化したであります。
これにより機械、工具、農具、様々な機器に鉄が十分に使用されることになります。
この波及効果で、各種生産物の生産量が向上されます。
結果、介入できる閃き量が【+3】されるであります。
まだ鋼鉄製品が出来てないのでこれくらいでありますな。
因みに水車動力のふいごは、クランクシャフトを使っての直列2気筒を採用しているであります。
まさかのレシプロ機関の原型でありますな。
まぁ、クランク機構自体は、13世紀のトルコでアル=ジャザリーという人物によって発明されているので、No閃きで利用されるのは問題ないであります。
コークス炉、高炉から排出されるスラグは冷えた後、木箱に箱詰めされて北海道へ送られたであります。
最初はいつか使えるかもという勿体無い精神でありましたが、硫黄の匂いがクマ避けになったであります。
その結果、北海道でのクマ被害が激減したであります。
後に、残留金属や硫黄・硫酸の精製に用いられるので、利用用途のあるクマ避けでありますな。
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【ベルギー独立失敗】
1836年初頭、オランダは急速に戦線を押し上げていた。
その理由はフランスがベルギーへの支援をやめたからである。
俗に言う「損切り」というやつだ。
「まぁ、十分儲けたし。ベルギーの奴らも兵器の値段を値切り始めたからな。もういいか。
しかし、オランダを積極的に支援していた国は一体何処なんだろうか?」
フランス。実は義勇兵は早々に帰還し、ベルギーに金を貸してその金で兵器を売るだけにシフトしていた。
しかも、終盤はオランダの戦時国債も買う始末。
結局、ベルギー地区の一部割譲は失敗したがフランスも相当儲ける事になる。
「よし、ベルギー反乱を鎮圧したぞ!!」
だが、残ったのは焦土になったベルギー王国。
まぁ内乱とはそういうものだ。
「…………」
「…………」
「まぁいい。逆に工業化の準備が整ったと思えばいいな。」
反乱軍から土地を没収したため、区画整理がしやすくなった。
しかもベルギー南部のワロン地域は鉄鉱石、石炭が産出するため工業化に適した土地だった。
史実より産業革命の開始が5年遅れる事となったが、ネーデルランドが分割されなかったのだ、オランダにとって【は】史実より良い結果となった。
ただ、オランダの負った負債は莫大なものとなる。
日本、フランス、ロシア、イギリス、プロイセン、オーストリアなど各国に販売した戦時債権(フランスはベルギーの借金も)が、経済回復の大きな足枷となる。
「オランダ王、そしてベルギー王、ルクセンブルグ王。内乱の鎮圧成功、おめでとうございます。」
白々しく言うのはフランス外交官。
「さて、ベルギー貴族が我が国から借りた借金についてですが――――」
オランダ的にはベルギーという独立国は存在していない。
つまり、オランダの家臣が勝手にフランスから金を借りた事になる。
反乱軍など存在していなかった事になっているのだから。
結局、一番儲ける事になったのはフランスだった。
次点で大量の国債を買った日本、次が国債と兵器を売ったイギリスとプロイセン、そしてロシア、オーストリアの順番となる。
借金を返済するのに独占権を持つ日本製品が想定以上に役に立つ事になる。
日本が輸出した絹製品、綿製品が欧州でもそこそこ売れているのだ。
結果、イギリスの綿製品、イタリア地方、フランスの絹製品が高級品と認知されて、日本製品が中流階級、庶民に買われる様になる。
人件費は日本の方が安いし、西欧の相場を知らない日本からオランダが結構買い叩いてるから安いというのもある。
それに加えてクリッパー船による高速化した海上輸送も低価格化を後押しした。
幕府はスパイを通じて、西欧での綿、絹製品の値段を入手している。
しかし、列強のイギリス、フランスやイタリア地方と事を構えたくない為、オランダの政策に大きく沿わないギリギリの値で売っていたりする。
『逆に考えるんだ。たくさん作っちゃえばいいさと考えるんだ』
そう、富岡紡績工場なら可能なのだ。
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ベルギー独立戦争を史実より泥沼化させたのは日本でもありますが、
復興に役立てたのも日本であるという我々からすれば、とんでもないマッチポンプでありますな。
しかもオランダの好感度も爆上がりしたでありますし。
結果、オランダは暫くの間、日本に結構譲歩してくれるでありますよ。
他と通商条約結ばれて独占利益を失いたくないでありますし。
オランダにとって東インドより、日本との貿易の方が利益率が高いのであります。
東インドの資源も売れますしな。
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コークスと高炉によって閃きボーナス効果は以下の通りであります
・馬車鉄道の実用化
残念ながら、鋼鉄が大量生産されるまでは装甲艦や鋼鉄帆船は不可能でありますな。
鉄道にも蒸気機関の実用化が必要でありますし(材料レベルが足りない)。
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【日本の技術レベル】
|科学:01(基本的な理学全般)
|工学:06(モノづくり全般)(+1)
|材料:01(素材やエネルギー全般)
|生物:03(農業・畜産・医学・薬学など)
|電磁:01(電気製品・発電・コンピュータなど)
|環境:00(地学・建築・土木・自然保護など)
|流通:01(物流や兵站など)
|政経:07(政治経済や社会問題の解決能力全般)
|文化:01(外交・異文化交流・芸術・娯楽など)
|軍事:00(兵器開発・戦術・軍制など)
※00を史実相当、30(Max)を2020年相当とします
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【年表】
・1830年
救荒作物推奨令が公布される
・1832年
共通規格化令が公布される
職業訓練学校が開校する
・1833年
幕府公認の銀行(後の日本銀行)が設立される
株式会社の設立を幕府が許可する
日本初の和製クリッパー船が航海する
水稲農林一号が開発されて全国で栽培が開始される
・1834年
様々な農機具、農技法が編み出されて全国に広がる
特許法が制定される
・1835年
日本初の軽工業工場「富岡紡績工場」が稼動開始する
日本において公衆衛生の概念が確立される
北海道の開拓が一段落着く
兌換紙幣の実用実験が始まる
帝大が設立される
諜報機関の設立(非公開情報)
釜石にて試験用製鉄所が建設される
現代から見た考察
日本初の製鉄所が稼動した年であり「富岡紡績工場」「帝大設立」「北海道開拓」など1835年は非常に多くの発展をした年である。
軽工業、重工業が同時に興るという世界でも例を見ない現象である。
当時の幕府がどういう考えを持っていたかは現代でも解明できず、未だ以って研究中である。
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さて、次回予告ではありますが次回は「労働法と最低賃金の制定」「琉球統一」であります。
・労働法と最低賃金の制定(4か月)
・琉球統一(4か月)
・ベッセマー転炉の発明(6か月)
・陶器、漆器などの貿易用商品の開発および振興(6か月)
・藍、茜、紅花、綿、麻、桑、養蚕などの商品作物の開発および振興(6か月)
・パーカッションロック式ライフル(6か月)
・オランダと通商条約締結(6か月)
・ポルトランドセメントの実用化(11か月)
・馬力コンバイン・ハーベスターの開発(11か月)
・ビタミンの発見「2枠」(1年6か月)
+ばね式サスペンション開発(1年)
+ボルトアクション方式ライフル開発「2枠」(1年)
・研究:材料「5枠」(1か月)
・研究:材料「5枠」(1か月)
・研究:材料+2「4枠」(6ヶ月)
・研究:軍事「2枠」(1年)