1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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23.1837年 ガラス精製とケプラー式望遠鏡

 

今回は「ガラス精製」「ケプラー式望遠鏡」であります。

西暦は引き続き1837年5月でありますな。

 

■加硫ゴムの開発

★ルブラン法によるガラス精製

★ケプラー式望遠鏡(単眼鏡・双眼鏡)の発明

○八幡製鉄所「6枠」

○ビタミンの発見「2枠」

・活版印刷機「2枠」実用化(5か月)

・ヨーゼフ・レッセルの出島招待とスクリュープロペラの開発「3枠」(11か月)

・パレンバンの産業振興(11か月)

・バリクパパンの産業振興(11か月)

 

■研究専用13枠:生物+2

■研究専用13枠:生物+2

 

 

――――――――――――――――

 

●ガラスと望遠鏡

 

【入即出屋】

 

「やる夫!元気でやっておるか!?」

 

「水野様。お忙しいところ申し訳ありませんお。」

 

「ハハハ! キニスルナ!!」

 

 やる夫だけではないが、特にやる夫の新技術のおかげで経済発展しすぎてここ数年休みなど無い。

 12時間労働かつ移動だけの日もあるが、365日働き詰めは結構しんどいものである。

 

「ところで何の用なのだ?」

 

「これなのですお。」

 

 やる夫から手渡されたのは1つの双眼鏡。

 双眼鏡自体はオランダから輸入しているが、この双眼鏡は趣向が和風であった。

 

「まさか。これはお主が……?」

 

 双眼鏡はもの凄い高いので、輸入代替(日本産)を何とかできないかと試行錯誤していた。

 

「ハイですお。」

 

「やるではないか!

 おぬしの事だから、ガラスから作れるのだろう?」

 

 やる夫の事が大体分かってきた忠邦は、原材料のガラスすら作れる手法を編み出したのだろうと推測する。

 

「ハイですお……」

 

「何だ、元気が無いではないか?

 流石にガラスまでは無理か?」

 

 そんなに簡単にはいかないかと、忠邦は思ったが……。

 

「いえ、出来る事は出来るんですお……。

 だけど、結構環境に悪い製法なんですお。」

 

 やる夫が蘭書から紐解いたのは、フランスの化学者ニコラ・ルブランが考案した『ルブラン法』だった。

 しかし、この手法は環境にもの凄い悪いのだ。

 【あの】イギリスが議会で大気汚染の規制に関する法を作らせるにまで至ったほどだ。

 (これだけの所為ではないが、規制対象なので間違いなく関係している)

 

 

 

「成程な。ならば、塩化水素は活性炭に付着させて保管。硫化カルシウムも同様に水気の無い場所で保管だ。」

 

「いいんですかお?」

 

 問題の先送りに過ぎないが、何もせず破棄するわけにも行かない。

 

「あぁ。今の技術では何ともならなくとも、将来使える日が来るはずだ。

 釜石製鋼所の硫化化合物も少しばかりゴムの加硫に役立っている。

 これらも今は廃棄物かも知れぬが、いつか有効利用できる日が来るだろう。

 だからこそ、出来る事を増やしていかねばならぬ。」

 

 環境対策と勿体無い精神の合わせ技で未来に埋葬されることとなった。

 まぁ実際、将来的に硫黄や塩素を還元する事が出来るのだ。

 

「わかりましたお!

 ガラスの製造は望遠鏡の分だけにしますお。」

 

 今は一大産業にはならないが、望遠鏡は航海する者や軍で使う分が製造できれば申し分ない。

 元々高級品だったのだ。それが安くなるだけでも十分に価値はあると忠邦は判断した。

 

 

――――――――――――――――

 

 大気汚染は近代化には避けては通れぬ道ですな。

 ですが、人類の英知はそんなことだって乗り越えてくれるでありますよ。

 

 まぁひとまずはソルベー法の閃きが急務でありますが。

 技術的には可能なので、閃けば直ぐでありますよ!

 

 だったらアクしろよって?

 当時は生物(化学)の技術が急上昇するとは思ってなかったでありますよ……。

 

 

――――――――――――――――

 

●ロシアとオランダが急接近!?

 

 とある晴天の日、北海には多数の船が航海し、オランダのダッチクリッパーが我が物顔で海を走っていた。

 しかし、一隻だけロシアの国旗を掲げたダッチクリッパーがいる事を各国は見逃さなかった。

 

フランス

「アレはオランダが独占するダッチクリッパー!?

 何故ロシアが!?

 ――――いや、そういうことか。ロシアがオランダにベルギーを粉砕出来るほどの金を流していた。

 その対価がダッチクリッパー。

 ベルギーに固執しなくて正解だったな。」

 

 フランスはオランダとしか国境を接してないのでベルギー地方の奪取は無理筋だったことを理解し、

 

 

プロイセン

「はぁ!? これは不味いぞ!

 オランダとロシアが手を組んでいると宣言してるようなものじゃないか!!

 東西から攻められたらドイツ地方は真っ二つにされてしまう!!

 ドイツを統一しなきゃ(使命感)

 と、とにかくオランダに特使を送らないと。」

 

 二国に挟まれているプロイセンは貸しのあるオランダとコンタクトを図り、

 

 

イギリス

「な!? 陸の雄と海の雄(イギリスには到底及ばないが)が手を組んだ!?

 一体諜報部は何をしていたのだ!!

 とにかく、ヨーロッパに統一国家が出来ぬようオランダとロシアの関係をこじれさせなければ。」

 

 絶対にロシアを海に出したくないイギリスはお得意の外交で離間工作を図り

 

 

そうして知らぬ間に渦中に落とされたオランダ

「何でロシアがダッチクリッパーを?

 あるとすれば日本が売った? 何故?

 ヤバイ! フランスとプロイセンが過敏に反応したらすり潰される!

 フランスとプロイセンに特使を送らないと!!」

 

 一隻の船によってヨーロッパは蜂の巣をつついた様に混乱の渦に巻き込まれた。

 

 

 

「なるほど、そういう理由でダッチクリッパーを入手したわけか」

 

「はっ! 日本という国はオランダの走狗、財布でありながらも完全に属国というわけではないようです。

 ロシア国籍のダッチクリッパーが北海に浮かべばどうなるか、日本が分からないはずがありません。」

 

 予定より何年も早く帰国した外交官はロシア皇帝ニコライ1世に事の顛末を話す。

 

「面白い奴だ!! 日本は! そうは思わんか?

 よし、貴様は再び日本へ行け!

 なんとしてでも通商条約を結んで来い。

 オランダの牙城に穴を開けてやれ!」

 

「はっ!!直ちに!」

 

 退席する外交官を尻目に皇帝は側近を呼び寄せる。

 

「ヨーロッパが混乱している今がチャンスだ。オスマン帝国に難癖つけてコンスタンティノープルを落とすぞ、準備しておけ。」

 

「畏まりました、陛下。」

 

 

 

(ふっ!日本め、面白い奴だ。)

 

 クリスタルグラスに注がれた薩摩焼酎を飲みつつニコライ1世は不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

 

【挿絵表示】

 

[焼酎を飲む皇帝]

 

――――――――――――――――

 

 偶然とは恐ろしいでありますな。

 西欧情勢は複雑怪奇であります。

 この後オランダに文句を言われましたが、設計書は売りはしましたが、他に売らないとは言ってないでありますな。

 今回はプレゼントなので尚更ですな。

 

 これによって巻き込まれたオランダの好感度はダダ下がりでありますが、

 それ以上にロシアからの好感度は爆上がりであります。

 

 それでも、オランダ>>>>>>ロシア>>その他

 という感じでありますな。

 

 戦時国債とクリッパー船、鉄の格安入手はそれくらいの効果があるでありますよ。

 

 

―――――――――――――

 

 「ルブラン法によるガラス精製」「ケプラー式望遠鏡」によって閃きボーナス効果は以下の通りであります

 

・特に無し

 

 ルブラン法は限定的な使用となったので、国営の1工場のみとなったであります。

 望遠鏡もオランダから輸入していたものが自国で賄える用になっただけでありますな。

 狙撃式天保銃のスコープにも使われているので、軍事力の向上には繋がってるでありますが技術レベルが上がるほどでは……。

 

 

 


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