1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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26.1837年 八幡製鋼所-後編-

 

今回は「八幡製鉄所」の続きであります。

 

■加硫ゴムの開発

■ルブラン法によるガラス精製

■ケプラー式望遠鏡(単眼鏡・双眼鏡)の発明

■ビタミンの発見「2枠」

★八幡製鉄所「6枠」

・活版印刷機「2枠」実用化(5か月)

・ヨーゼフ・レッセルの出島招待とスクリュープロペラの開発「3枠」(11か月)

・パレンバンの産業振興(11か月)

・バリクパパンの産業振興(11か月)

 

■研究専用13枠:生物+2

■研究専用13枠:生物+2

 

――――――――――――――――

 

●四大財閥集結

 

【福岡藩八幡村】

 

「さて、やってまいりました八幡村。

 なんと! 此処を鋼鉄の一大生産拠点にしなければなりません!

 

 ん? 毎回入りが同じ? そんなに沢山引き出し無いお。」

 

 

【挿絵表示】

 

[ナイナイ]

 

 

「む、奇行をしておるな。おぬしがやるおか?」

 

 船を降りるやる夫に対して声をかける人物に振り返ると。

 

「ん? そうです――――おっ!?」

 

 そこには1000人を越える藩士と縁者達が居た。

 

「私は黒田斉隆、筑前福岡藩第9代藩主である。」

 

 まさかの大名がお出迎え。

 最低限の人材だけを残して、ほぼ全ての藩士を連れてきたのだ。

 幕府と福岡藩が八幡製鉄所にかける本気度が分かりようものだ。

 

「は、はじめましてですお。

 そ、某は……入即出やるおと申しますお……」

 

「ふむ、老中首座殿とお会いしているにもかかわらず肝が小さいな。

 おぬしのやるべき事は我々を最善に動かし、一日でも早く製鉄所を完成させることだ。

 その様な無用な緊張は我々の意にそぐわぬ事だと思うのだ。

 よいな?」

 

「は、はいですお!!」

 

(お上は相変わらず無茶振りしかしないお!)

 

「と言いますけど、これほどの人の衣食住は確保しているのですかお?」

 

「まだだ!集め終わったばかりだからな!」

 

{

【挿絵表示】

}

[mjk]

 

 

(ま、不味いお……。普通に食事とか足りないお!)

 

 ホントに集めた【だけ】の状態にやる夫は動揺を隠せない。

 だが、そこに救世主が現る。

 

 

「老中首座殿がお前のトコに行く場合、何か大きな事をやるのは道理。

 調べさせて貰ったで。」

 

「あ、貴方は――――!?」

 

 同じく船で八幡にやってきた人物は――――

 大阪に本拠地を置き、後の住友財閥の頭取だった。

 

「人が集まる所に商売アリや。お前の事だから技術系の物資しか持って来とらんのやろ」

 

 彼の船には食料を主に生活必需品の類が満載されていた。

 

「おぉ!助かりますお!!」

 

「かまへん。最近はお上の金払いもいいからな。

 ウチはウチで儲けさせて貰うわ。」

 

 

 住友の動きに三井が気がつかないわけない。

 新たな船団がやってくる。

 

「ち、流石に江戸からの距離じゃ一番乗り出来んかったか。」

 

 やってきたのは三井越後屋の頭取だ。

 デカい商売にはトップが赴くが信条の三井。

 幕府の御用商人も努める三井なら、幕府の事業も筒抜けだ。

 当然ながらその商機を逃さない彼らも参入する。

 

「藩士の衣食住は任せろ。

 入即出屋は鉄鋼所の建設にだけ注力しろ。」

 

 

 そして、遅ればせながら登場するは、後の三菱たる岩崎弥次郎率いる九十九商会だった。

 (九十九は土佐湾の別称)

 

「土佐藩の人たちから話を聞いてね。

 重量物の木材、レンガなら私が取り扱うよ。」

 

 

「皆さん、助かりますお!!」

 

 

 思わぬ幸運に見舞われたやる夫は、三井の言う通り鉄鋼所建設だけに注力する事となった。

 予め図面を引いた鉄鋼所に、藩士の人たちが住む所(後の工員寮)の建設。

 大勢の人手と人の動かし方が上手い大店の頭取のおかげで、前人未到の速度で建設が進んでいく。

 

 

 

 その最中にこんな出来事も。

 

「ん? このあたりは炭田なのか。

 ここの開発も藩主に進言したほうがいいだろうな。」

 

 岩崎弥次郎が近隣の村民から炭鉱(筑豊炭田)のありかを聞きだして藩主の黒田から褒美として炭鉱所の開発事業を任されたりしていた。

 当然、三井、住友も後で気付く事になるのだが、岩崎に先取りされて三菱よりかは小さな炭鉱所となってしまった。

 

 

 

 またはこんな出来事も。

 

「やる夫、近隣の農民たちが休耕期だから職を求めてきているぞ。雇ったから使え。」

 

「お、ありがとうございますお(既に雇ってるんですね……)」

 

「やる夫君、土佐の国の藩士が余力を持て余してるから(暇らしいから)雇っていいかな?」

 

「建材の搬入をガンガンお願いしますお。」

 

「長州藩の毛利が木材とレンガを売りに来たから買って置いたぞ。」

 

「良きに計らって下さいお。あ、質のいいレンガはこっちに運んで置いてくださいお。」

 

「薩摩藩が焼酎を売りに来たから買っておいたぞ。今日は酒盛りな。」

 

「明日に影響がないくらいにしておいてくださいお。」

 

 

 

 そして、高炉の建設、転炉の搬入、そして様々な鋼鉄製造設備が搬入されて

 数ヶ月が過ぎ――――

 

 八幡村は、様々なレンガ建造物と日本一(世界一)の鉄鋼所を擁する。

 近代都市へと生まれ変わっていた。

 

 

 

「できましたお!」

 

 1837年4月末。半年という異例の早さを以って八幡製鉄所が完成した。

 

「皆さんのお力があったので、新たな試みも取り入れてみましたお。

 最近帝大で発案された、連続鋳造と圧延という新技術で製造コストが釜石より更に少なくなる見込みですお。

 あ、あと幕府からの要請があった、銑鉄の製造ラインも鋼鉄製造ラインから切り替え易くなっていますお。」

 

 更には転炉の改良(トーマス転炉)も行われて、西欧の鉄鉱石すら鋼鉄に出来る準備も出来ている。

 

(何で銑鉄なんて要るのかわからないけど、踏み込んでいい領域ではない事だけは確かだお)

 

 

「これが八幡製鉄所か……

 まるで一つの町の様だな。」

 

「これからも此処は有望な市場となるでしょうね。」

 

 これぞwin-win。

 幕府、福岡藩は巨大な製鋼設備を手に入れ、三井、住友、三菱(九十九)、入即出は巨大なマーケットを手に入れる。

 建造に携わった4大商店は、ほぼ完全な独占権を手に入れ、他の商店が参入する事は殆どない。

 

 これ以降、大量の鋼鉄製品を元に三井、住友、三菱(九十九)、入即出は他の追随を許さないほどに大きな力を付けて行く事になる。

 その分、幕府や藩の無茶振りも増えることになるが、それを乗り越えられるのも彼ら故だ。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 ついに世界初の巨大製鉄所が稼動しましたな。

 当時は1つの製造ラインのみで、鉄鉱石の輸入量に併せてラインが増えていったであります。

 八幡地区には最大4つの高炉が建造できる設計図が、やる夫の手(やる夫が書いたとは言ってない)によって作られているであります。

 地味に転炉もトーマス転炉に進化したでありますよ。

 

 しかも、1837年の末には製鉄所構内に鉄道が走るであります。

 重いものを運ぶのだから必要でありますな。鋼鉄も此処で作っているでありますし。

 

 史実の八幡製鉄所も八幡、戸畑、小倉地区で最大12基(1939年)の高炉が稼動したであります。

 

 

 この閃きにより、工学は勿論、材料も+1ですな。

 そのかわり、アルミニウムでは+1しないでありますよ。

 閃き枠も+5であります。釜石でも+3だったので残当でありますな。

 

 あ、因みに給料や購入費用は全て円建てで、新通貨の流通にも一役(かなり)役に立っているでありますよ。

 さすが幕府、抜け目無いでありますな。

 

 鋼鉄の大量生産により、鉄道の閃きが半分になるであります。

 また、鋼鉄船、鉄筋コンクリート、重機の閃きも半分になるであります。

 

 

――――――――――――――――

 

【日本の技術レベル】

|科学:02(基本的な理学)

|工学:16(モノづくり)(+1)

|材料:14(素材、エネルギー)(+1)

|生物:09(農業・医学)(+5)

|電磁:01(電気製品・発電)

|環境:05(建築・自然保護)(+1)

|流通:02(物流や兵站)

|政経:08(政治経済や社会問題の解決能力全般)

|文化:01(外交・異文化交流・芸術・娯楽)

|軍事:03(兵器開発・戦術)

 

※00を史実相当、30(Max)を2020年相当とします

 

 

 色々ありましたな……(遠い目)

 

 兎も角、正直今までの発明で19世紀中盤の基礎的な工学は網羅したといってもいいですな。

 鉄道も動力船も本格的に動き出したのは1860年以降でありますし。(イギリスを除いて)

 

 さてと、海外居留地の発展のためには、生物(医学)が急務でありますな。

 といっても15あれば十分でありますが。

 

 それ以降は科学で基礎の底上げ、電磁で発電所、環境で鉄筋コンクリート、流通で木鉄混合あいのこ船、

 政経で文化侵略、軍事で物理侵略でありますな。

 どれから着手すべきか悩みますな。

 

 あと、帝大効果忘れてたので環境に+1であります。

 

――――――――――――――――

 

【年表】

・1830年

 救荒作物推奨令が公布される

 

・1832年

 共通規格化令が公布される

 職業訓練学校が開校する

 

・1833年

 【農業】【江戸の農業革命が始まる】

 幕府公認の銀行(後の日本銀行)が設立される

 株式会社の設立を幕府が許可する

 日本初の和製クリッパー船が航海する

 水稲農林一号が開発されて全国で栽培が開始される

 

・1834年

 【制度】【近代的特許法の制定】

 様々な農機具、農技法が編み出されて全国に広がる

 

・1835年

 【工業】【第一次産業革命の発祥】

 【学業】【帝大設立】

 日本初の軽工業工場「富岡紡績工場」が稼動開始する

 日本において公衆衛生の概念が確立される

 北海道の開拓が一段落着く

 兌換紙幣の実用実験が始まる

 諜報機関の設立(非公開情報)

 釜石製鋼所が建設される

 

・1836年

 【工業】【第二次産業革命の発祥】

 【工業】【鋼鉄が大量生産される】

 【農業】【江戸の農業革命の成熟】

 【制度】【近代的労働法の制定】

 【外交】【日蘭通商条約の締結】

 各地に名産品、特産品が振興される

 横浜に初期型の赤レンガ倉庫が建造される

 近代的な後装式の銃(天保銃)が発明される

 馬車による陸運が始まる

 

・1837年

 色んな事が一杯あった

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 冗談であります。

 

・1837年

 【国策】八幡製鉄所の稼動開始

 【工業】紀伊の国に日本初の洋紙の製造工場が建設される

 【工業】ゴムの加硫が発見される

 【工業】ガラス大量生産の手法が発見される。ただし、環境を考慮して生産量は最小限となった。

 【医学】ビタミンの発見

 

 

 

 現代から見た考察

 1837年の前半は江戸時代で最も変化のあった期間となっている。

 加硫ゴムにより実用的なゴムが開発され、ビタミンの発見およびビタミン栄養剤の生産開始により、ビタミン不足由来の病気が激減することとなる。

 そして、当時は世界一の製鋼能力を誇る八幡製鉄所の設立である。

 というより鋼の大量生産自体、日本が唯一であったため、当時の鋼の生産量は1位が八幡製鉄所、2位が釜石製鋼所だった。

 

 建設には現在の四大財閥の力を結集し、幕府によって行われた最大の国家事業だった。

 そして、三井・住友・三菱・入即出が四大財閥と呼ばれるようになったのも、この時期からだろうとされている。

 ただ、この時期には財閥という呼称が存在しないため、実際に財閥と名乗るようになったのはもう少し後世と考えられている。

 

 八幡製鉄所で作られる鋼鉄が後に、日本の発展を支える事となる。

 また、これにより渦中に巻き込まれる事にもなるのだが。

 

 ガラスの精製に関しては環境に掛かる負荷に対処できず、必要最小限の量が幕府に卸されて民間には出回らなかった。

 欧州ではルブラン法にて大量にガラスが製造されていたため、世界で初めて日本が環境問題に取り組んだ事象と言える。

 

 

――――――――――――――――

 

さて、次回予告ではありますが次回は――――16枠……

ま、まぁそろそろ未来技術ばかりなので、枠消費も多くなりますし……

 

 

・活版印刷機「2枠」実用化(5か月)

・ヨーゼフ・レッセルの出島招待とスクリュープロペラの開発「3枠」(11か月)

・パレンバンの産業振興(11か月)

・バリクパパンの産業振興(11か月)

+ワクチン(5か月)

+ベビーブーム(2枠)(6か月)

+樺太・千島列島の入植(3枠)(1年)

+新貨条例(8か月)

+鋼鉄レール鉄道開発(2枠)(1年6か月)

+蒸気機関車(2枠)(1年6か月)

+内燃機関(5枠)(3年)

 

・研究専用13枠:生物+5

・研究専用13枠:環境+5

 

 研究に関しては生物で化学、医学の発展。環境で公害対策、および建築の技術向上でありますな。

 そろそろ鉄筋コンクリートが見えてきましたな。

 江戸にビルが建ってしまうでありますな!

 

 閃きに関しては

 ワクチンが早いとお思いでしょうが、医聖と呼ばれた緒方春朔が既に天然痘の予防接種を出版しており、

 更には、存命中の中川五郎治がロシアの書籍で最新の種痘法を学んでいるため、彼を招聘すれば直ぐですな。

 その上、生物(医学)の技術レベルが高いので、麻疹(1862年流行)、風疹、おたふく風邪などもトントン拍子でワクチンが出来ていくであります。

 

 ベビーブームは当然でありますな。

 樺太や北海道開拓で人が足りないであります。実は樺太、北海道とほぼ同じ大きさなのであります。

 北海道ですら内陸部に行けてないでありますから、人材確保は急務でありますな。

 

 新貨条例に関しては、そろそろ円に統一。

 というか、徳川家慶の12代将軍としての箔付けでもありますな。

 貨幣を幕府が管理する日本円に統一したという功績は十分でありますよ。

 

 鉄道、および蒸気機関車は行き成りディーゼル機関でも良かったでありますが、

 鉄道の敷設(ふせつ)開始と、蒸気機関車による鉄道の経験値獲得でありますな。

 10~20年後くらいには他国へ輸出しても問題なくなりそうでありますしな。

 

 内燃機関はディーゼル機関に直行ルートであります。

 油田とディーゼル機関が火を噴くであります!

 鉄道、重機、汽船、自動車何でも御座れでありますよ!

 ワクワクしますな!

 

 


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