1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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05. 1838年 新貨条例、イギリスのミス?

 

時代は1838年1月であります。

今回は「新貨条例」でありますよ!

 

★新貨条例

・ヨーゼフ・レッセルの出島招待とスクリュープロペラの開発「3枠」(3か月)

・寺子屋の近代化および教育の義務化(小中高633制導入)「2枠」(3か月)

・樺太・千島列島の入植(3枠)(4か月)

・空気入りタイヤ(2枠)(4か月)

・鋼鉄レール鉄道開発(2枠)(10か月)

・蒸気機関車(2枠)(10か月)

・鉄筋コンクリート「3枠」(10か月)

・パレンバンの産業振興(2枠)(第2段階)(10か月)

・バリクパパンの産業振興(2枠)(第2段階)(10か月)

・内燃機関(5枠)(2年4か月)

 

★研究専用13枠:科学+2

★研究専用13枠:文化+2

 

因みに大学効果は電磁+2であります。

 

――――――――――――――――

 

●新貨条例

 

【江戸城】

 

「上様、そろそろ頃合いかと。時期を逃しますと――――」

 

「そうか。ならば、そうせい。」

 

 忠邦の提案に家慶は頷く。

 

「畏まりました。それでは、新年の利子がつく前に行動させて頂きます。」

 

 北海道開拓、八幡製鉄所、オランダ居留地開拓、元・大奥への支払いなど、様々な場面で使用してきた日本円。

 商人を通じて、市井に相当量が流れるようになってきた今だからこそ、各藩にまだ、借金が残る今だからこそやるべきだと判断した。

 

 後10年も待てば、長年積み重ねた各藩の借金はほぼ無くなるだろう。

 藩が元気になり過ぎてからでは遅い。『このままでよくね?潤ってるし』になってしまうのだ。

 幕府の借金?? もう返済済みで大きく黒字になっている。

(オランダ国債の利子が相当量ある)

 

 金の無い大多数の藩には、借金をいくらか肩代わり。

 金のある藩には返済期限の無い融資という形で手間賃として貸し付ける。

 

 何故其処までするのか?

 現在の貨幣が非常に面倒な事になっているからだ。

 

 金(ゴールド)だけでも両、分(ぶ)、朱。しかも大判だけでも3種類(慶長大判、元禄大判、享保大判)しかも全部価値が違うという始末。

 銀(シルバー)も同様に貫、匁、分(ふん)がある。こちらは価値の変動は無く、廃れ始めてはいるが丁銀という(はか)り売りが存在し、貨幣が意味を成してない。

 更に銭にも1文銭、4文銭などあり、藩が独自に発行する「藩札」を加えるとその種別は膨大だ。

 なにより、銀は1貫は1000匁と10進数になっているが、金は1両が4分、1分が4朱など4進数になっているのが更に混乱に拍車をかける。

 加えて、金と銀は形式上交換比率があるが実態は変動相場という投資家も頭を抱えるくらいの状態なのだ。

 

 両替商という商売ができるわけだ。

 

 それでも両替商が銀行となり、その中でも三井は財閥に上り詰めるのだから、金のプロを生み出す場になっていた事は確かなのだが……。

 商売は国内だけでなく世界が相手となった今の時代、国内貨幣の取り扱いが難しい今のままでは良くない。

 

 

 それ故に、三貨制度を終焉させて「円、銭、厘」の新貨に統一するのだ。

 一円=100銭=1000厘と交換比率は銀と同じ10進数。

 旧貨幣は、金銀の1円=1両として銀行にて交換を無料で行うとさせる。

 基本的に円は藩札と同じく紙幣であるが、精神的な安心のため硬貨も少量は存在する。

 形は銀と金の合板(新500円のイメージ)で偽造が難しくなっている。

 また銭、厘の補助硬貨も黄銅、青銅、白銅と合金にする事でプロが見れば色で偽造が分かるように改鋳された。

 

 ただ、外国との取引のため、本位金貨、本位銀貨は貿易用として存在する。

 もちろん国民が買うことは許されているが、実はこれ変動相場制だったりする。

 

 何故かというと金、銀の流通量で円が乱高下するのを嫌ったためだ。

 一応1両=1円という交換基準が存在するが、昔から勝手に変動相場制になるのだから、統制出来ない物として捨て置いたのだ。

 

 

 

 新貨制度は想定どおり、各藩に受け入れられる事となった。

 藩士たちも金のやりくりが複雑すぎて商人に金勘定を任せなければならなかったことが、自前でできるようになるし、何より幕府が借金を肩代わりしてくれるのが大きかった。

 金のある雄藩には、財閥や商人に円での取引以外を禁ずる法令を出し、また幕府が絡む取引は全て円建の取引を一切禁じたため、経済活動から締め出した。

 結果、渋々円を取り入れて【返済期限、利子なし】の融資を受ける事にした。

 まぁ、自分達が豊かになるのであれば、文句はあれど受け入れるものなのだ。

 

 

 

 当の両替商達は……?

 

「金・銀の変動相場が変わらないなら問題なかろう。」

 

「商人向けの円、銭、厘の大型両替は今までどおり手数料があるし、市井の時間単位の利益率が薄い両替がなくなって寧ろ好都合だ。

 その分の人材を両替事業より利益のある投資・誘致に充てられるからな。」

 

 流石、金の亡者共。変化をチャンスに切り替えてきた。

 

 

 

――――――――――――――――

 

「無事、新貨条例は受け入れられましたな。

 正直江戸の貨幣は意味が分からないであります。4文なのに12文扱いの貨幣があったりもするのでありますよ?

 何?寛永通寳真鍮當四文銭は4文ではないのか!?(勝鬨)

 寛永通寳真鍮當四文銭は12文の価値があるため、4文ではありません(回答)

 でありますね。

 3年後には24文になっていたらしいでありますが……」

 

 この閃きで、政経のレベル+1でありますな。

 正直、流通でもいいんじゃないかと思いますが、カテゴリ的に経済でありましょうな。

 

 また、チェーン効果として以下の効果があります。

・1839年以降、管理通貨制度の【閃き】コストが半減

・日本銀行の設立

・民間銀行(三井銀行、住友銀行、入即出銀行)の設立

・閃き枠+2

 

 

 ついに財閥が銀行業をガチでやり始めたであります。

 三菱は出来て間もないので、もう少し後に作られるでありますよ

 史実では1873年に第一国立銀行(みずほ銀行の前身)が初でありますな。

 

 中央銀行もスウェーデンリクスバンク(1668)、イングランド銀行(1694)、フランス銀行(1800)、オランダ中央銀行(1814)に次いで世界5番目の偉業でありますよ。

 ちなみに史実でも世界で(ベルギー、ドイツの次)7番目(1882年)なので、日本は昔から金融には強かったのでありますな。

 民間銀行も資産では三菱UFJが世界5位で、アメリカ最大手のモルガン・チェース銀行より上であります。

 1~4位? 全部中国であります。人口のパワーは凄いでありますな。

 

 

――――――――――――――――

 

●イギリスのミス?

 

 アジアから大量の鉄を運んできた商船は、英雄のごとく歓迎された。

 鉄道熱の収まらぬイギリスでは、自分が行政を担う地域に一刻も早く鉄道を欲していたのだ。

 

「よくやってくれたよ。これでホイッグ党は安泰だ。」

 

 鉄道敷設の約束をする代わりに選挙ではホイッグ党を支持することを確約させる。

 そうすれば、議会の突き上げを回避できる。

 トーリー党を構成する支持者は大地主層が多い。自分の土地に鉄道が来るのであれば簡単になびくものだ。

 

 しれっと癒着しているのだが、そんなことは市井に伝わらないので関係ない。

 ホイッグ党は資本主義者を支持層としている為、彼らの意にも沿う事になる。

 

「鉄道とはかくも便利な道具だ」

 

「全くですな。」

 

 

 が、そうは上手くいかないのが世界情勢。

 

 

「失礼します。少しお耳に入れたい事が――――」

 

「何かな?」

 

 愉快な気分に水を差された気分ではあるが、其処は気にしないのがイギリス紳士。

 

「ロシア船舶にマッチロック式らしきマスケット銃がアジア方面から輸入されているとの情報が諜報機関から上がってきました」

 

「なっ――――!!」

 

 アジアとは間違いなく日本、そしてロシアのマスケット銃の元となる鉄はオーストラリアの鉄鉱石。

 少なからずロシアからも輸出はしていると思うが、上まで上がるほどの量ではないということだろうと議員は考える。

 

 つまり、イギリスの鉄鉱石がロシアにマスケットとして流れているということだ。

 

 

 

 が、ここで取り乱すのが普通の紳士。

 だが、イギリス紳士はその程度でうろたえない。

 

「ちなみに、ロシアが輸入しているマッチロックのマスケットの量は?」

 

「これくらいです。」

 

 連絡役から伝えられた情報では――――

 

「やはりその程度か。大した船も無いのだから当然か。

 よし、オランダ経由で日本から10倍の量のマッチロック式マスケットを輸入せよ。」

 

 イギリス船団ならロシアの10倍程度、お使いレベルだ。

 改修してパーカッション式にしてもいい。どっかに売って反乱軍を生んでもいい。

 マッチロック式のままインド兵に持たせて、盾にするのも良い。

 

 物は使いようというモノだ。

 

 オランダも相当量買うだろうが、これでイギリス陸軍の欧州における優位性も相対的に向上していく。

 戦争とはマスケット、大砲の数で決まる。それを揃えられるか否かが大事だ。

 物資が潤沢にある軍を率いる優秀な将軍と物資が欠乏している軍を率いる優秀な将軍。勝つのは前者に決まっているのだから。

 

 

「はははっ!あの国は本当に面白い。

 一体どうしてロシアを靡かせたのか?

 それともロシアがいいように使っているのかな?

 まぁ、オランダは使いこなせていないようだが、我々ならば十全に使ってあげよう。」

 

「はい。オーストラリアの鉱山事業を拡張させるよう、ブルジョワジーをつついておきます。」

 

「頼むよ。」

 

 

 こうして、イギリス、オランダ、ロシアの銃輸入量の比率は

 10:5:1という、イギリスの軍事力強化で進む事となる。

 

 売価はロシアが欧州の基本価格より若干安い(輸送分)程度で買ったので、日本は鋳鉄を売るより相当儲ける事となる。

 イギリス、オランダ、ロシアは武器を得て、日本は金を得るというwin-win関係となる。

 

 

――――――――――――――――

 

【日本の技術レベル】

|科学:05(基本的な理学)(+2)

|工学:17(モノづくり)

|材料:15(素材、エネルギー)

|生物:16(農業・医学)

|電磁:04(電気製品・発電)(+2)

|環境:11(建築・自然保護)

|流通:03(物流や兵站)

|政経:10(政治経済や社会問題の解決力)(+1)

|文化:06(外交・異文化・芸術・娯楽)(+2)

|軍事:04(兵器開発・戦術)

 

※00を史実相当、30(Max)を2020年相当とします

 

 流石に2ヶ月では大きな進捗は無いでありますな。

 大学効果で電磁レベルが上がったので、電動機(モーター)の原理は理解したでありますな。

 実用レベルの物も1832年にイギリスで出来ているでありますし(発電機が無く、電池駆動だったので事業は失敗し破産)

 まともな電動機は1870~1880年代なので、大分先でありますな。

 

 日本では1895年に最初の電動機が東芝によって作られているであります。

 イギリスから買うのであれば直ぐに使用可能、閃くのであれば相当の技術Lvと期間でありますな。

 

 それ以前に発電機がないと、イギリスと同じ失敗を繰り返すだけでありますが……

 ということで電力関連は、最初の水力発電が1891年の琵琶湖で発祥。火力は1887年あたりでありますな。

 遠い……。

 

――――――――――――――――

 

【年表】

・1837年

 【徳川家慶 第12代征夷大将軍就任】

 【医学】予防接種の普及

 【??】和製活版印刷の開発

 【経済】オランダ提供の居留地開発

 【国家】育児補助令の施工

 【国家】保育園の開設

 

・1838年

 【経済】新貨条例

 

 

 現代から見た考察

 当時の貨幣は現代や世界から比べると、如何に複雑であったかがよくわかる。

 当時でもアメリカはドル、ダイム、セント、ミル。イギリスはポンド、シリング、ペンスなど、日本に比べて遙かに分かりやすかった。

 (イギリスは12進数を使っていたため、現代に比べて分かり辛い面はあったが日本ほどではない)

 

 これ以降の歴史を見ると、世界への進出を見据えた新貨条例であることが容易に分かる。

 現在の日本では円のみを使用し、銭は為替相場で見かけるくらいで、厘は見ることすらなくなっている。

 

 

――――――――――――――――

 

さて、次回予告ではありますが

 

・ヨーゼフ・レッセルの出島招待とスクリュープロペラの開発「3枠」(3か月)

・寺子屋の近代化および教育の義務化(小中高633制導入)「2枠」(3か月)

・樺太・千島列島の入植(3枠)(4か月)

・空気入りタイヤ(2枠)(4か月)

・鋼鉄レール鉄道開発(2枠)(10か月)

・蒸気機関車(2枠)(10か月)

・鉄筋コンクリート「3枠」(10か月)

・パレンバンの産業振興(2枠)(第2段階)(10か月)

・バリクパパンの産業振興(2枠)(第2段階)(10か月)

・内燃機関(5枠)(2年4か月)

+無煙火薬(3枠)(2年)

 

+研究専用13枠:科学+3

+研究専用13枠:文化+3

 

 そろそろ放っておいた軍事も少しずつ再開でありますよ。

 無煙火薬→鋼鉄製アームストロング砲(爆発しない)で大砲の強化をするであります。

 2年もあるので、アームストロング砲じゃなくて駐退復座機付きのM1897 75mm野砲まで(1897年)までワープ進化する可能性もありますが。

 無煙火薬自体が19世紀末まで実用化出来てないでありますからな。

 

 

 

――――――――――――――――

 

「ねぇねぇ、武器も輸出するならさ。私のところにだけパーカッション式マスケット売ってよ!

 作り方教えに行くからさ。」

 

(イギリスは自分のところで改修するだろうし、ロシアは失敗するのがオチね。

 ウチは工業化に注力したいから、技術者をそっちに回したくないのよね)

 

 

【挿絵表示】

 

[水面下で交渉するオランダ]

 

「其れは有り難いのですが、ロシアも最恵国なのでオランダにだけというのは難しいでありますよ?」

 

 

【挿絵表示】

 

[最恵国の意味知ってます?]

 

「其処は通常価格を吊り上げて、技術提供国にだけ割引って事でいいじゃない。

 技術だって無料じゃないのよ?」

 

 

【挿絵表示】

 

[タダより高いものはない]

 

「その場合、ロシア側も同じ手法を取ってくるかもしれないでありますが、構わないでありますか?

 その手法は最恵国のルール上、ロシアも使えないといけないのであります。」

 

 

【挿絵表示】

 

[確認する日本]

 

「いいわよ。ロシアに私より教えられるものがあるならね。」

 

 

【挿絵表示】

 

[余裕のオランダ]

 

 

 


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