1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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06. 1838年 オーストリア人招聘とスクリュー開発+α

 

時代は1838年4月であります。

今回は「スクリュープロペラの開発」でありますよ!

 

★ヨーゼフ・レッセルの出島招待とスクリュープロペラの開発「3枠」

★寺子屋の近代化および教育の義務化(小中高633制導入)「2枠」

・樺太・千島列島の入植(3枠)(1か月)

・空気入りタイヤ(2枠)(1か月)

・鋼鉄レール鉄道開発(2枠)(7か月)

・蒸気機関車(2枠)(7か月)

・鉄筋コンクリート「3枠」(7か月)

・パレンバンの産業振興(2枠)(第2段階)(7か月)

・バリクパパンの産業振興(2枠)(第2段階)(7か月)

・内燃機関(5枠)(2年1か月)

+無煙火薬(3枠)(1年9か月)

 

★研究専用13枠:科学+3

★研究専用13枠:文化+3

 

――――――――――――――――

 

●オーストリア人招聘

 

【オーストリア(ラリアではない)】

 

 オーストリアの発明家ヨーゼフ・レッセルはオーストリア最大の港を擁するトリエステ(現在はイタリア)の港で黄昏ていた。

 其れも仕方のない事。

 彼が行ったスクリュー船の動作実験で爆発が発生して、以後スクリューの実験は国から禁止の命令を受けてしまったのだ。

 

「間違いなくスクリューは、これからのオーストリア海軍の増強に必要なんだ……」

 

 元々陸軍が主体のオーストリア。大事な港町で重大な事故が起きては損失も大きい。

 だから、オーストリアの言い分も間違いではないのだ。

 

 それも分かっているからこそ、ヨーゼフは強攻策に出れず何年も先へ進めずに居た。

 そんな折――――

 

 

 

「貴方がヨーゼフ・レッセルですね?」

 

「何だ? アンタはオランダ人か?」

 

 ヨーゼフに声をかけたのはオランダ人エージェント。

 彼は日本の依頼(国債購入の条件の対価)を受けたオランダのためにスクリューの権威、ヨーゼフをスカウトに来たのだ。

 

「そうだ。当国はキミにスクリューの技術開発を依頼したい。

 特許の権利はキミが半分、オランダが半分で如何かな?」

 

 ヨーゼフにとっても悪い話ではない。

 自国での実験は禁止だが、他国でやる分にはまだ禁止されていない。

 それにオランダという海洋大国が自分の知識を欲しているというのも悪くない。

 

「いい話だが、条件次第だ。

 安月給で扱き使われる気はない。」

 

「当然の話だな。では、仕事の話に入ろう。

 先ず、勤務地は極東の日本。」

 

 ヨーゼフは露骨に嫌な顔をする。

 世界の裏側といえるほど遠く、それに最先端たる西洋ではないからだ。

 

「そんな顔をすると思った。だから報酬はこれだ。」

 

 オランダ人エージェントは鞄から金の延べ棒をチラ見させる。

 現代価値にして5000万相当の金塊だ。

 ちなみにこれは日本の金である。

 

「そ、そんなに……!?」

 

「そうだ。成功報酬も別に用意しよう。

 もちろん開発費も別だ。

 ただし、期限は実用化に至るまでやってもらうぞ。」

 

 こうして、ヨーゼフ・レッセルは日本へ御招待されることとなる。

 仕 事:スクリューの開発

 勤務地:日本の出島(神戸)

 期 間:実用化するまで

 報 酬:5000万円の金塊および銀塊(成功報酬アリ)

 

 

 

――――――――――――――――

 

●スクリュー開発

 

【神戸出島】

 

 船に揺られて数ヶ月、ヨーゼフ・レッセルは日本へと到着した。

 

「ふむ。東洋にしては悪くはないな。」

 

(西欧の下手な田舎より整っているな。オランダの肝いりというわけか)

 

 レンガ造りの建造物、整備された街道、通りを行く馬車。

 ヨーゼフは此処が日本の都市部だと思っているが、残念ながら今は田舎町の1つに過ぎない。

 

 しかも、神戸はオランダだけの居留地でありしかも内海にあるため、ほぼ完全に世界に秘密裏で開発が可能というメリットが存在する。

 

 

「こんにちはですお。

 貴方がヨーゼフ・レッセルさんですかお?」

 

「あぁ、貴様は?」

 

「私は入即出やる夫ですお。

 国許から、ヨーゼフさんの手伝いをするように言われて来ましたお」

 

 訝しむヨーゼフをオランダ人エージェントがフォローする。

 

「彼は日本有数の資本家一族の者です。

 いつも居るわけではありませんが、彼が日本における貴方の出資者です。

 開発費は彼から貰ってください。」

 

「そうか。」

 

 航海中にある程度話は聞いていたが、念のための確認は必要だ。

 

「やる夫とやら。スクリューは形が精度が大事だ。木、鉄を思った通りの形に出来なければ話にならん。どれ程のものが作れるのだ?」

 

 西欧から見れば東洋の質は悪い。

 日本が異常なだけで、その認識は正しいのだ。

 

「これくらいならば、ウチの職人でやれますお。」

 

 やる夫は日本刀を見せて製鉄技術、製造技術に問題が無い事をアピールする。

 

「なるほど、これが日本刀か。

 オーストリアでは高価故、現物を見たのは初めてだな。

 これならば問題はない。

 もう1つ、高性能な蒸気機関が必要だ。用意できるのか?」

 

 爆発という過ちを繰り返さないため、効果確認のために、こちらも非常に重要だ。

 

「もちろんですお。オランダから輸入していますお。」

 

 やる夫が案内した先には、オランダ製の最新式蒸気機関が堂々と鎮座していた。

 これはオランダ鉄道の蒸気機関車で使用している世界でも最先端の代物だ。

 

「おぉ! ここまでのものを用意して貰えるとは……!!」

 

(海洋国家たるオランダにこれ程期待されているのであれば、応えなければオーストリア人の沽券に関わる。)

 

 

 ヨーゼフは最高の環境にて、全力を尽くして研究に没頭した。

 世界最高のスクリュー機構をこの世に産み出す為に――――

 

 

 

 それから、湯水のように研究費を使い1年半が経過した。

 様々な挑戦、流体力学理論に基づく無数のアイデア、時には偶然が味方し、世界最高のスクリューが生み出される事となる。

 

 

 ヨーゼフは蒸気機関を積んだ日本製ダッチクリッパー(ヨーゼフはオランダ製と思い込んでいる)に乗りながら、海を8ノットの速度で疾走する。

 もちろん帆は使わず【鉄製】のスクリューの力だけでだ。

 ダッチクリッパーの平均速度には若干劣るが風の有無によらず、更に風を動力とする帆を張れば速度は時速12ノットは固いと言う化け物っぷりだ。(ただし積載量は落ちる)

 

「ハハハッ!!これが新しい船の形なのだ!!」

 

「おめでとうございますですお。」

 

 特許自体はヨーゼフとオランダのものだが、このスクリューの使用権は金と場所を出した日本にも当然ある。

 オーストリアで如何扱われるかはわからないが、少なくとも日本とオランダは木鉄混合クリッパーにスクリューが付いたものが出てくる事になる。

 

 

 

「この1年半、非常に有意義な時間だった。

 日本でもオランダ料理が食べられていい場所だったが、そろそろ祖国のウィーン料理、それに今まで手が届かなかったサハトルテ(ザッハ・トルテ)も食べてみたい。」

 

 ザッハ・トルテといえばウィーン菓子の代名詞だが、誕生はこの頃であり貴族の菓子だった。

 大金を手にしたヨーゼフならば、問題なく食する事は出来るだろうし、スクリューの特許料で次の発明までは問題なく生活できるだろう。

 

 そして数日後、ヨーゼフはスクリュー開発の資料を自分用、そしてオランダ、日本用に遺してスクリュー式ダッチクリッパーに乗ってオーストリアへ帰っていった。

 

「さらばだ!! 何れまた、此処に来る事があるかもしれん!」

 

「お達者でですお~~~!!!」

 

 

 

――――――――――――――――

 

●もう1つ続くんじゃよ

 

「は~~い撤収だお! 流石、欧州人だお。発想の概念がやる夫たちとは全く違っていて、いい刺激になったお。」

 

 やる夫は逐次手に入れていたスクリューの設計資料を随時、京都帝国大学へと送っていた。

 そこで流体力学の研究者達は、ヨーゼフの出した様々なデータを解析しヨーゼフのスクリューを超える機構を日夜考えていた。

 

「準備は出来ているかお?」

 

「はい。試作品の【鋼鉄製】のスクリューは完成して、木鉄混合クリッパーに日本の最新型蒸気機関と共に改修済みです。」

 

 あくまでもヨーゼフが作ったのは【鉄製】そして蒸気機関もオランダ製だ。

 性能は【鋼鉄製】そして日本の技術を結集して作った最新型蒸気機関の方が馬力も高い。

 

「それじゃ、大学へ戻るお。確か水野様も来ているはずだお。」

 

 

 

 舞鶴港から出発した日本製のスクリュー船は時速12ノットを叩き出す。

 これはヨーゼフ・スクリューの1.5倍に相当する。

 1860年に建造されるイギリスの装甲艦ウォーリアの巡航速度が11ノットというのだから、いくら船体が小さいとはいえこの時代には異常な性能である事が理解できよう。

 

「うむ。素晴らしいモノだなスクリューというのは。」

 

「はいですお。ですが黎明期のスクリューでこの速度ですお。

 数十年後、木製の船体では高速になるであろう船の水圧に耐えられないかもしれないですお」

 

「そうだな。どのくらい先かは分からぬが、今の内に対策は立てておくべきだ。

 やる夫、極秘で鋼鉄製の汽船を作るのだ。

 来るべき鋼鉄の軍船を建造する際に、経験はあった方が良い。」

 

 忠邦は木鉄混合船の製造経験がある日本ならば、鋼鉄の申し子たる、やる夫ならば総・鋼鉄製の汽船も可能ではないかと考えたのだ。

 

「分かりましたお、ご期待に沿えるかはわかりませんが、何とか頑張ってみますお。」

 

 

 1838年、後の秋津洲に繋がる最初の鋼鉄船が始まりの鐘を鳴らした。

 

 

――――――――――――――――

 

 時間がかかりましたが、ようやくスクリュー船が製造できるようになりましたな。

 工学、材料(流体力学)がレベルアップしていけば、最大速力30ノット(55km/h)も夢ではないでありますよ。

 まぁタービンは必須でありますが。

 

 開発には日本も関わっているので、日本がスクリュー船を動かしていても異常とは取られないでありますよ。

 極東の島国が普通に作ってる事は異常かもしれないでありますが……。

 オランダの仕業と思うのが一般的でありましょうか。

 

 

【挿絵表示】

 

[そこは何とか……]

 

 そういえば、オーストリアとオランダのスクリュー船建造はどうなったのでありましょうな?

 

 

――――――――――――――――

 

「これでイギリスに差をつけるわよ!

 海軍の錬度じゃ敵わないから性能で勝負よ!」

 

 

【挿絵表示】

 

[勝てるとは言ってない]

 

「鉄道で蓄積した蒸気機関の技術もあるし、鉄もある!

 やってやれない事はないわ! ガンガン作るのよ!」

 

 

【挿絵表示】

 

[スクリュー船は西欧一番乗り]

 

 

――――――――――――――――

 

「私のスクリューでオーストリア海軍は生まれ変わるわ!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「実験禁止だといっただろう」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「そんな……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

――――――――――――――――

 

 オランダは無事に帆船とスクリュー船のダブルへと移行しそうですが、オーストリアはダメだったみたいですな。

 まぁ、オランダとイギリスが作り始めたら、作るか買うかするんじゃないですかね?

 

 おっと、イギリスも動きがあったみたいでありますよ。

 

 

――――――――――――――――

 

「全く嘆かわしい。海の帝王たる我が英国が外輪船に代わる新しい動力機関を公募したと言うのに、オランダになびいてしまうとはな。

 ともあれ、情報が一切入って来なかった方が問題だな。」

 

 諜報員からの連絡を聞き、英国議員は顎に手をあてる。

 

「どうやら日本で極秘開発させていたようです。」

 

 ヨーゼフから(盗み)聞いた諜報員は議員に答える。

 

「また日本か。あそこはオランダの玩具箱だな。

 ロックが頑丈なのが困りものだ。」

 

 日本は口説き落とそうとしても残念ながら一向に靡かない。

 完全にオランダに心酔しているとイギリスは見ている。

 

「そこは追々考えるか。

 こちらとしてもメリットがある以上、余り無茶は出来ん。

 ところで、スクリューの設計書は手に入れているのだろうね?」

 

「はい。既に技術者の元へ送付済みです。」

 

「ま、暫くは好きにさせておいてやるか。

 それよりも、海軍の堅物を説得するのが骨だな。」

 

 英国議員は溜息をつく。

 他国を靡かせるのは容易いが、自国の有力者を靡かせるのが世界で最も難しいのだ。

 彼の思い通り、船底に穴を開けるのは嫌だなど、金気で紅茶の品質が落ちるなど、反対論が多数で説得は難航しているようだ。

 

 

【挿絵表示】

 

[一番の敵は身内]

 

 

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 残念ながら、イギリスもオランダがスクリュー船で儲け始めるまで難航しそうでありますな。

 史実でも上層部が嫌がり、公開実験を何回も行って、最終的に外輪船とスクリュー船で綱引きさせて圧勝を見てから採用と言う紆余曲折があるのであります。

 下手に成功していると、新しい技術に保守的になるのかもしれませんな。

 重工業の産業革命もドイツより遅れているらしいでありますし。

 

 

 ともあれ、スクリューの実用化にて流通が+1でありますよ。

 更に以下の効果があるのであります。

・外洋船が木鉄混合の帆汽船(帆、スクリュー併用船)に更新されていく

・蒸気タービンの閃きが短縮

・総・鋼鉄製輸送船の建造開始(1840年竣工予定)

 

 

 

――――――――――――――――

 

【日本の技術レベル】

|科学:08(基本的な理学)(+3)

|工学:17(モノづくり)

|材料:15(素材、エネルギー)

|生物:16(農業・医学)

|電磁:04(電気製品・発電)

|環境:11(建築・自然保護)

|流通:04(物流や兵站)(+1)

|政経:10(政治経済や社会問題の解決力)

|文化:09(外交・異文化・芸術・娯楽)(+3)

|軍事:04(兵器開発・戦術)

 

※00を史実相当、30(Max)を2020年相当とします

 

 科学は10あれば、工学を上げない限り大丈夫でありますな。

 次は電磁であります。そろそろ重機、発電が無いと難しい時代に入って来たであります。

 

 文化は15になるまで只管上げるであります。

 外国の人々と接する機会が増えてきたので、好印象と文化爆弾、帰化の為に必要であります。

 10あれば、宗教はある程度自由でよくない?という感覚が日本に広まるであります。

 

 ちなみに、CIAによる日本の神道と仏教の信者比率は70.4%+69.8%=140%でありますよ。

 文化庁の調査でも神道系が8473万9699人(46.5%)、仏教系が8770万2069人(48.1%)で1億7000万人が信者らしいありますよ。

 初詣やお墓参りをする人、お守りやお札を買う人たちがそれくらいの割合でいるんじゃね?程度のものらしいであります。

 文化Lv30まで上昇すると、こんな感じになるであります。

 

 日本も宗教に関しては大概おおらかでありますな。

 皆様も「ふ~ん、そうなんだ」くらいの方が多いのではないでありましょうか?

 

 一応、インタビューすると50%が無宗教らしいであります。

 ちなみに無神論は神は居ない(キリストもアッラーも居ない)というスタンスの人たちで、各宗教の人たちに冷たい目で見られるので、ガチの無神論者じゃなければ無宗教といっておいたほうが無難でありますよ。

 

 

 

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【年表】

・1837年

 【徳川家慶 第12代征夷大将軍就任】

 【医学】予防接種の普及

 【??】和製活版印刷の開発

 【経済】オランダ提供の居留地開発

 【国家】育児補助令の施工

 【国家】保育園の開設

 

・1838年

 【経済】新貨条例

 【工学】スクリュー船の発明

 

 

 現代から見た考察

 この年、日本はヨーゼフ・レッセルというスクリュープロペラの生みの親を日本に招待している。

 彼が日本に遺したスクリュー技術は日本で独自の発展を遂げ、今日では日本の船舶用プロペラは世界トップのシェア(※1)をもつ。

 この偉業は、まさに彼無くしては困難だったであろう。

 

 運が良かったのは、幕府がスクリュープロペラを開発できる人材の調査をオランダに依頼しているとき、

 ヨーゼフがオーストリア国内にてスクリュープロペラの実験を禁止されていたことである。

 恐らくこの偶然が無ければ、ヨーゼフが日本に来る事はなかったであろう。

 

 ※1:岡山市のナカシマプロペラ社の製品が世界市場の3割を占めている

 

 

 

――――――――――――――――

 

さて、次回予告ではありますが、小学校および、中学校の設立および、教育の義務化、そして高校の設立でありますな。

また、オランダに社会主義と言われてしまうでありますな。

 

★ヨーゼフ・レッセルの出島招待とスクリュープロペラの開発「3枠」

★寺子屋の近代化および教育の義務化(小中高633制導入)「2枠」

・樺太・千島列島の入植(3枠)(1か月)

・空気入りタイヤ(2枠)(1か月)

・鋼鉄レール鉄道開発(2枠)(7か月)

・蒸気機関車(2枠)(7か月)

・鉄筋コンクリート「3枠」(7か月)

・パレンバンの産業振興(2枠)(第2段階)(7か月)

・バリクパパンの産業振興(2枠)(第2段階)(7か月)

・内燃機関(5枠)(2年1か月)

+無煙火薬(3枠)(1年9か月)

 

★研究専用13枠:科学+3

★研究専用13枠:文化+3

 

 


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