1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート) 作:火焔+
ハーバー・ボッシュ法の発見と並行して、中国とイギリスで揉め事が起きたであります。
少し様子を見てみるでありますよ。
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●アヘンの蔓延より銀の流出が一大事
【清】
「いい加減にしろよ!イギリス!!」
イギリス商人が持ち込んだ大量のアヘンによって、貿易の収益が逆転。
清からすれば、英中貿易は朝貢貿易という事になっているがモノには限度というものがある。
アヘンによって下流市民の風紀が乱れるのは問題ではあるが、それが一番の問題ではなかった。
何よりも清を怒らせたのは大量の銀の流出。
流出しすぎて銀の価値が18世紀の価値の3倍まで高騰していたのだ。
銀本位の清にとって銀の相場が崩れるのは国民の命より一大事だった。
銀がここまで高騰するに至るまで皇帝が気がつけなかったのには訳がある。
「しかも高級官僚まで賄賂で抱え込みやがって!!!」
イギリスの結構な額の賄賂で相当数の官僚が買収されていたのだ。
そのため皇帝の元まで情報が届かずにいた。
※イギリスの言い分
「金貨1000枚儲けるのに金貨100枚の
ケチって将来の儲けをフイにするのは愚かと言わざるを得ませんよ?
それに、あなたの徳が足りなかったから家臣が買収されたのではありませんか?
他人を責める前に自分の行為を振り返ってみては如何でしょう?」
そんな感じで清の経済は(国民も)ボロボロにされていた。
「賄賂に靡いた馬鹿共をアヘンと共に燃やせ!!
イギリス人商人もまとめてだ!」
道光帝は賄賂に靡かず、皇帝に進言してきた林則徐をアヘン対策の責任者とし、アヘン撲滅を命じた。
林則徐は皇帝の命に従い、アヘン諸共腐った官僚とイギリス商人を魔女裁判の如く生きたまま燃やして始末した。
そして、マカオの井戸に毒を撒き、武力封鎖してイギリス人商人を清から叩き出した。
このとき押収し燃やされたアヘンはおよそ3000t。
幾ら人口が多い清だからといっても多過ぎだった。
「よし! ゴミ掃除は終ったわね!」
だが、ここまでしてイギリスが黙っているわけもなかった。
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【イギリス:ロンドン】
「何? 対露戦で忙しいのに清でアヘンが押収されただと?
それでは日本から購入する予定の鉄とマスケットの費用は何処から捻出するのだね?」
マスケット銃はインド兵に持たせてロシアにぶつけるため、供給が止まるのはイギリスにとっては困る。
そして何より鉄の供給が滞れば、鉄道敷設のスケジュールが大きく狂ってしまう。
某貴族曰く
「清の悪行を許すべきではない。これは女王陛下に盾突いたも同然、我が英国の威信にかけて断罪すべきだ。
(我が領に予定されていた鉄道敷設計画はどうなる!?)」
某資本家曰く
「清の悪行によって、英国の自由貿易が揺るがされようとしている。清には相応の対価を支払わせるべきである。
(鉄道の開通によって私が建てた工場がロンドンに通じるはずだったのだ。断じて敷設計画を遅らせるわけには行かない)」
普段は足を引っ張り合う間柄である貴族と資本家は「鉄道」という共通の目的により一致団結することなる。
その結果、議会では賛成471、反対62という圧勝でアヘン戦争の開戦に踏み切る事となる。
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史実では賛成271、反対262という僅差であったでありますが、こちらの世界は大差でありますな。
ヒャッハー志向のせいなのか、どこかの国の所為で鉄の供給が史実より早まった所為なのか……
ま、どちらにしろ史実より1年ほど早くアヘン戦争が始まりましたな。
さてさて、ロシアとの戦争もあるのに清とも戦線を開いてしまったでありますな。
果たして如何なる事やら。
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●イギリスとオランダ
「ロシア十字軍で手一杯なのに、清とも戦って……大丈夫?
こっちの戦線が崩れるのは本当に困るわよ?」
「心配要りませんよ。インド兵を全部動員したわけじゃありませんし、インド艦隊もフリーですからね」
「あれ?ペルシャ海軍と戦ってなかったっけ?」
「あぁ、アレですか。そこで寝てますよ。
世界最強のロイヤルネイビーが凡庸な海軍に数ヶ月も時間を取られるなんてあり得ません。」
[惨敗済みのペルシャ海軍の皆さん]
「あ、もう終ってたのね……。
(相変わらず桁違いの強さね……)」
「戦争中は中国商人を雇ってアヘンを売るとしますよ。」
「戦争中でも売るのはやめないのね……」
※オランダは現代でも大麻が合法なので、売る事自体は止めない。
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清海軍と英国海軍がぶつかり合いますが、イギリスの完勝で海戦は終了するであります。
次は上陸戦でありますが、これは後の回でありますな。
アヘン戦争の結果によっては沖縄が日本に編入するでありますよ。