1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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21. 1840年 ブルネイ帝国との接触①

時代は1840年1月であります。

「ブルネイ帝国との交易」でありますよ。

 

★ブルネイ帝国との交易(2ヶ月)

・無煙火薬(3枠)(1ヶ月)

・駐退機の開発(2枠)(1ヶ月)

・内燃機関(5枠)(5ヶ月)

・蒸気式重機(3枠)(5ヶ月)

・近代水車(2枠)(5ヶ月)

・合成染料の開発(5ヶ月)

・蒸気タービン(2枠)(5ヶ月)

・国産ダム建設予定地の策定(2枠)(5ヶ月)

・北海道の産業振興(5ヶ月)

・日本列島改造計画(蒸気機関)(5ヶ月)

・【防護巡洋艦】秋津洲建造(2枠)(10ヶ月)

・飛行機開発(4枠)(10ヶ月)

 

 

★研究専用13枠:電磁+2

★研究専用13枠:電磁+2

★研究専用13枠:電磁+2

 

1840年になったので、大学効果は流通+2をするでありますよ。

 

――――――――――――――――

 

●vs海賊

 

【ボルネオ島北側沿岸】

 

「ヒャッハー!! 有り金全部、船ごと置いてけ!」

 

「おのれ! 今日こそ年貢の納め時だ!!」

 

 交戦するのはボルネオを拠点にする海賊とブルネイ帝国海軍。

 通常であれば国軍の方が強い、だがここでは――――

 

帝国軍(ザコ)が俺らに勝てるかよ! オラァ!俺が一番乗りだ!」

 

 海賊船が帝国軍船に取り付き海賊が乗り込んでいく。

 19世紀にもかかわらずパイレーツオブカリビアンの様相を呈している。

 

「3番艦、海賊に取り付かれました!!」

 

 旗艦にのる船員が悲痛な叫びで報告する。

 海賊に平押しされるブルネイ海軍、もはや戦況は明らか。

 

 

 やっぱり今回もダメだったよ――――

 

 

 ブルネイ海軍が撤退準備を始める中、海賊の背後に新たな船影を確認する。

 船体が真っ黒に塗られた不気味な船団、初めて見る船、如何見積もっても援軍とは思えない。

 

 

「まさか……海賊の増援か……?」

 

 いつもとは異なる闖入者にブルネイ海軍は顔を青くする。

 いつもの拿捕とは異なり、ついに滅ぼしに来るのかと……

 

(だが、あの赤と白の旗は……??)

 

 

 

「なんだぁ? いい船もってんじゃんかよぉ~!?

 俺達が有効利用してやるZE!」

 

 海賊たちも敵側の援軍と勘違いしてブルネイ海軍より一回りも二周りも大きい軍船を拿捕しようと船の方向を変える。

 船が大きかろうと、乗ってるのが帝国軍(ザコ)ならば簡単に拿捕できると。

 

 彼らは気がつかない。ブルネイ帝国と異なる旗を掲げていることに――――

 

 

 

「即刻停戦せよ! 今ならば見逃す。この場から立ち去れ!!」

 

 真っ黒な船から停戦指示が海賊へ飛ぶ。

 だが、海賊は全く聞く耳を持たない。

 しかもこちらへ威嚇射撃をしてくる始末。

 

「ダメだな。敵さんは止まる気無いヨ。どうする? 大将。」

 

 田中久重が開発した新たな黒い防腐剤を船体に施した黒い船団。

 それは日本の幕府海軍だった。

 

 それを率いるは徳川慶昌から見出され若くして幕府艦隊の大将に抜擢された勝海舟。

 そして同乗するのはブルネイとの国交を結ぶ為に派遣された老中阿部正弘。

 阿部正弘は勝海舟と4歳ほどしか変わらず、しかもどちらも徳川に仕え若くして重職についていた。

 そのために二人は不思議と仲良くなっていた。

 

「海賊船の船底を狙う事は可能か?

 どこかの私掠船だと後々面倒だ。」

 

 当時、私掠船の発祥となったオランダは勿論の事、列強の私掠船が東南アジアで活動していた。

 フランス、アメリカは特に多く、非公式の戦争と噂されるほどであった。

 

「問題ないよ。北極航路に比べればひどく穏やかさ。

 ま、一応救助用の小船も準備しておくよ。

 さ、始めるかね。」

 

 

 日本が参戦してからは一方的だった。

 船の性能差は勿論、兵の錬度の差も海賊と日本軍では隔絶していた。

 

 

 劣勢を悟った海賊たちは――――

 

 

「クソォ!! マジで強えぇ!」

 

「撤退だ! こいつら帝国軍(ザコ)じゃねぇ!」

 

「俺達は負けてねぇぞ!! バーカ! バーカ!」

 

「覚えてやがれ!!」

 

 海賊は散々喚き散らして逃げ帰っていった。

 

 

「救助は不要だったみたいだな。」

 

「元気があっていいじゃあねぇか。」

 

 海賊たちの罵詈雑言に苦笑いの阿部と勝、取り残されたブルネイ海軍へと接触するのだった。

 

 

 

(スパイの情報通り、海賊に平押しされるほどに弱いのだな……。

 過小評価し過ぎだと判断したが、全く以ってその通りだったとは……)

 

 阿部正弘はブルネイ軍の弱さに一抹の不安を覚えるのだった。

 

 

――――――――――――――――

 

「誠に助かった。恥ずかしながら(今回も)海賊に敗北してしまう所だった。」

 

 ブルネイ海軍の旗艦らしき船には非常に身なりのいい男性が乗っていた。

 他の者の態度から彼がこの艦隊の大将らしい。

 そして、身なりの良さからこれが主力艦隊でもあるようにも感じられる。

 

「いえ、お気に為さらず。」

 

 といって本当に気にしない奴はいない。

 窮地を救った恩があるのでファーストコンタクトは上々。

 阿部にとってそれが一番の報酬である。

 

「そういうわけにはいかん。

 是非とも我がブルネイに招き歓待をしたい。

 構わないかな?」

 

「ありがとうございます。

 貴国のお誘い、謹んでお受けいたします。」

 

 日本は元々ブルネイに行くつもりだったのだ。

 何ら問題はない。

 

「貴国の国旗はこの辺では見かけないが、貴殿らは何処の国のものなのかな?

 風貌から察するに西欧の者達では無さそうだが……」

 

「私達は日本国から参りました。」

 

「日本…………」

 

 大将らしき人物は口に手を当てて考え込む。

 

「いかがなさいましたか?」

 

 正弘は考え込むことを不思議に思い尋ねる。

 

「いや、すまない。日本という言葉をどこかで聞いた気がしてな。

 まぁ、帰路で思い出すだろう。

 ここで話もなんだな。我が国の首都に案内しよう。」

 

 

 

――――――――――――――――

 

【ブルネイ:首都バンダルスリブガワン】

 

 ブルネイの港に着くと歓声に包まれる。

 海賊を蹴散らした事は、彼らにとってそれほどの偉業なのだ。

 そして、そのまま王宮へと案内される。

 大将らしき彼が他の者と接する時、必ず相手が敬意を払っている。

 つまり、この者がブルネイで上位のものであることの証。

 

(軍の総大将、もしくは皇族の可能性が高いかもしれんな。)

 

 そのような高い身分の者を救ったとあれば、ブルネイとの交渉には有利に働くだろうと正弘は思う。

 彼は通りかかる人物を呼び止める。

 

「おい、彼らを貴賓室へ案内しろ。

 

 すまないが、謁見の場を設けるのにしばし時間がかかる。

 この者と部屋で待っていてはもらえぬか?」

 

「畏まりました。」

 

 そう言うと大将らしき彼は王宮の奥へと向かう。

 

(恐らく、海戦の結果を報告しにいくのだろう。

 キッチリしたところは好印象だ。)

 

 彼らの弱さが堕落から始まっているものではない証左でもある。

 

 

「それではご案内いたします。」

 

 正弘や海舟、軍船の乗員である武士たちは貴賓室へ案内される。

 

 

――――――――――――――――

 

【貴賓室】

 

「私はブルネイ帝国の外交官、ヌワンギと申します。」

 

「私は日本国備後福山藩第6代目藩主、そして徳川幕府老中阿部正弘と申します。」

 

「??? 日本国……ふ、ふくや……ろうちゅ……?」

 

 ヌワンギは余りにも長い役職についていけてない。

 外交官なのでこういうのには強いのだが、余りにも長すぎたのだ。

 

「老中の阿部正弘と覚えていただければ構いません。」

 

「お心遣い感謝します。

 ところで、我が国に用があってこちらへと向かっていた際に海賊を討伐して頂いたと伺ったのですが、どのような用件でいらしたのでしょうか?」

 

 

 外交官としては何用で来たかは知っておく必要がある。

 

「はい。端的に言えば居留地と呼ばれる港を作らせて頂きたいのです。」

 

 幕府はバリクパパン、パレンバンの中継港としてブルネイの港、可能ならば居留地を作りたかった。

 そうすれば、バリクパパン~ブルネイ、パレンバン~ブルネイ、ブルネイ~日本の3航路ができ、流通が最適化されるのだ。

 

 居留地まで欲しいのは、ブルネイが弱兵過ぎるからだ。

 日本海軍を置いて物資を海賊が奪いたい放題になるのを防がなくてはならない。

 

「なるほど。(海賊に分捕られて)使わなくなった港もあるので今回の功績で使用権をお渡しするなら問題ないかもしれませんね。

 ただ、現状我が国の戦力を分散させるのは困難ですので、防衛はそちらに任せたいのですが……」

 

(え?そんな簡単に他国の軍を領海内に入れていいのか??)

 

 正弘は訝しむがブルネイ側もそれは承知の上だ。

 日本海軍に海賊を始末させれば、ブルネイは自国の戦費を使わずロハでブルネイ近海の安全を確保できる。

 現状ではどうやってもブルネイでは海賊を抑える事は出来ないのだ。

 

 

 

 

「日本国の皆様、陛下の準備が整いましたので謁見の間へお越し下さい。」

 

 ヌワンギと話していて、しばらくした後ブルネイの官僚が正弘達を呼びにやってきた。

 正弘たちは了承して謁見の間へ向かう。

 

 

 

 正弘や海舟たちは謁見の間に入り、今は空席の玉座の前に跪く。

 

 ブルネイでは他国のものであろうと、謁見するものが先に入り跪く。

 その後、皇帝が入場して頭を上げる許可を受けたら対面するという形式だ。

 

「ブルネイ帝国皇帝、オマール・アリー・サイフッディーン2世皇帝陛下がご入場されます。」

 

 正弘たちの頭の先に人が動く雰囲気を感じる。

 おそらく玉座に座ったのだろう。

 

「日本国の皆様、頭を御上げ下さい。」

 

 

 正弘たちが頭を上げ目線を皇帝に向けると――――

 

 

 

「!!!!――――――――」

 

 正弘たちは想定外過ぎる状況に驚愕の顔を浮かべる。

 

 

 

「ふふふっ、久方ぶり。というよりは先ほどぶりというべきかな?」

 

 イタズラが成功したような無邪気な笑みを浮かべるのは玉座の主。

 そしてその顔は船でよく見た顔。

 

(まさか! 皇帝自ら海賊と戦っていたとは―――― しかも平押しで負けている!!)

 

 海賊討伐で指揮を取っていた者こそ、ブルネイ帝国皇帝オマール・アリー・サイフッディーン2世だったのだ。

 正弘たちは皇帝の身を救うという偉業を成し遂げていたのだ。

 

 

 外交の始まりはブルネイ主導で始まる――――

 

 

 


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