1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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・阿部正弘
 将来、老中首座となる男
 功績を積む為に居留地提供の話を何とか成功させたい

・勝海舟
 年が近い阿部正弘と友人関係

・オマール・アリー・サイフッディーン2世
 第23代ブルネイ帝国皇帝。
 41歳のわりに若く見える

・ヌワンギ
 ブルネイ帝国筆頭外交官


24. 1840年 ブルネイ帝国と日本④

 

●サイフッディーン流

 

【ブルネイ】

【首都バンダルスリブガワン】

【イスタナ・ヌルル・イマン王宮】

 

 正弘とヌワンギは数多の会議を重ねたが、効果的な対策を導き出せず時間だけが過ぎていく。

 まるでブルネイ側が時間稼ぎをしているのではと邪推してしまうほどに。

 

 だが、時間を稼ぐ理由が分からない――――

 

 そしてある日、再びサイフッディーン2世と拝謁する機会が訪れた。

 

「間に合わなかったか……」

 

 正弘は苦虫を噛み潰した顔で気を落とす。

 

 

 

【謁見の間】

 

「久方ぶりだな。また会えて余は嬉しく思うよ」

 

 機嫌の良さそうなサイフッディーン2世。

 

(話は全て知っているはずだ。

 心の奥では如何思っているのやら)

 

 正弘にも皇帝の心情までは分からない。

 

「はい。陛下におかれましてもご健勝なようで……。

 任務に関してあまりお役に立てず、心苦しいばかりです。」

 

 ここで食い下がっても心象を悪くするだけだ。

 最低条件の国交樹立自体は完遂。

 ブルネイとの関係も現状、良いといって差し支えない。

 次の機会にすべきだと。

 

「余は現状を調べて欲しいと言ったはずだ。

 ヌワンギからは大半の部族から話を聞いていると報告を受けている。

 とするならば、正弘殿は十分に良くやってくれた。」

 

 やはりサイフッディーン2世は機嫌が良さそうだ。

 

(都合よく考えるなら、現状の正確な情報を知るというのは今後の方針を決めるのに大事な事。

 そう考えれば……いや、無理がある)

 

「はっ……」

 

 正弘の言葉は短い。

 内容が内容なだけに言葉を選ばなくてはならない。

 

 

「と、いうことで客人に働いて貰って褒美が何も無いというのはあってはならぬこと。

 それはブルネイの顔にも祖先の顔にも泥を塗る卑しい行為だ。」

 

 場の流れが変な方向へと向かう。

 

 

 

「サラワク州の統治権を『条件付きで』正弘殿――――いや、日本国に譲ろう。」

 

 

 

(?????)

 

(?????)

 

(!!!!?)

 

 正弘だけでなく勝海舟も側近たちも聞いた言葉を正しく理解できず固まる。

 ブルネイ側は既に調整済みで、一切動じた様子はない。

 

「ふむ。何も反応が無いな?

 サラワクだけでは不満なのか?

 それは困るな、もうブルネイ本土しか残っておらぬぞ。」

 

 サイフッディーン2世は冗談めかして笑う。

 

「め、滅相も御座いません!

 余りにも大きな話で理解するのに時間が掛かっておりました。」

 

「なるほど、サラワクの土地は広い(九州+北海道くらい)。

 確かに理解するのに時間は掛かるかも知れぬな。

 だが、条件を忘れて貰っては困るぞ?」

 

「は、はい。

 その条件を聞かせて頂くことは可能でしょうか?」

 

「勿論だ。正式な文章も書かせている。

 調印は後ほど頼むぞ。」

 

「は、はい。」

 

 

 サイフッディーン2世は真面目な顔に戻り話を始める。

 

「条件は全てで5つ。

 

 1つ、日本国はサラワク州を恒久的に保持し続ける事。

 維持出来ぬと判断した際は、ブルネイ・ダルサラーム帝国に返上する事。

 

 ま、勝手に他国に売る事は禁止という事だ。当然だな。

 

 1つ、日本国はブルネイ・ダルサラーム帝国と恒久的な相互防衛協定を結ぶ事。

 

 万が一に攻められても困るし土地が狭くなる。

 攻められたときは助けて欲しい。

 

 1つ、ブルネイと日本の間に関所を設けぬこと。

 

 1つ、ブルネイと日本の間に関税をかけぬこと。

 

 そして、最後。

 日本はサラワク州で得た税収の1割をブルネイへ開発援助の名目で提供して欲しい。」

 

 

 ざっくり纏めると

 

 勝手に土地を売るな

 防衛は任せた

 土地あげるから上前くれ。

 その金で物資、交易するから関税はかけるな、関所で金取るな

 

 ということだ。

 日本にとっても大きなメリットはある

 東南アジアに一大拠点を築ける。

 南国産の物資は今後困ることはないくらいに生産できる。

 しかも原住民は親日。

 

 といっても正弘が決定するには大きすぎる話である事も間違いない。

 

「全権を委ねられておりますが、余りにも大きな話。

 一度日本へ持ち帰っても宜しいでしょうか?」

 

「すまないが、今決めて欲しい。

 持ち帰る場合、次はこの条件では話せぬということだ。」

 

 つまりこの好条件は今限り、正弘の進退は窮まる。

 

(類に見ぬ好条件なのは間違いない。

 だが、それだけにその裏が読めぬのが恐ろしい。)

 

 時間は正弘の味方ではない。

 時が経つほどに焦りを呼び起こす。

 

 堂々巡りする思考の中に、コレを成功させれば次代の老中首座は間違いなく自分のモノ。

 そんな欲に塗れた部分が浮かび上がってくる。

 

 事実、サラワク州の領土は九州と北海道を合わせたほどに広い。

 外交だけでそれを得たのならば、次の老中首座になるのは確定といってもいい。

 それだけの偉業だ。

 あとは、ブルネイの思惑すらも飲み干す覚悟だけ。

 

 

 

「陛下の恩賜、謹んで受け賜ります」

 

 

 正弘の承諾にサイフッディーン2世が安堵の表情を浮かべたように見えたのは気のせいなのかもしれない。

 

 このあと、条約の調印までつつがなく終り、サラワク州は正式に日本の領土となった。

 サラワク州は駿河国、山城国の様に令制国の一つとなりサラワク国(さらわくのくに)となった。

 

 領地は全て天領となり、藩の数は全部で11藩。

 現代におけるクチン省、ビントゥル省などの省が藩となった。

 

 この功績で、阿部正弘はサラワク守(さらわくのかみ)の官位を授与され、次期老中首座の内定を得た。

 とはいえ、正弘は既に従四位下の官位を得ているため、功績を称えた官位ではあったが。

 

 

――――――――――――――――

 

 というわけで、ブルネイから大胆な領土割譲を受けたでありますな。

 この広大な土地は東南アジアの橋頭堡となるであります。

 

 サラワク州はアンチモンという鉱物の鉱脈、そしてクチンの近くにはバウ金鉱という金の鉱山があるであります。

 また石炭の鉱脈も豊富にある事が確認されているであります。

 あとは、今は掘れないでありますが、海底油田、天然ガスも豊富にあるでありますよ。

 

 アルミの原料であるボーキサイトは隣の西カリマンタン州にあるので残念ながらアルミニウムの精製はまだ遠いでありますな。

 残念であります。

 

 

 と、少し長くなりましたが、ブルネイ、サラワクについては――――

 もう1つあったでありますな。

 

 次回は「なぜなにブルネイ」であります。

 

 技術レベルなどの補足事項も次回であります。

 

 

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