1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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ちょっとふざけたけど後悔はしてない



32. 1840年 特に試されない大地-北海道-

時代は1840年6月であります。

「北海道の産業振興」でありますよ。

 

★内燃機関(5枠)

★蒸気式重機(3枠)

★近代水車(2枠)

★合成染料の開発

★蒸気タービン(2枠)

★国産ダム建設予定地の策定(2枠)

★北海道の産業振興

★日本列島改造計画(蒸気機関)

・【防護巡洋艦】秋津洲建造(2枠)(5ヶ月)

・飛行機開発(4枠)(5ヶ月)

・日本銀行の設立、および管理通貨制度(2枠)(7ヶ月)

・WW1相当の陸軍兵器開発、およびドクトリン開発(5枠)(8ヶ月)

 

★研究専用13枠:科学+4

★研究専用13枠:科学+3

★研究専用13枠:材料+1

★研究専用13枠:生物+4

 

 

 

――――――――――――――――

 

【北海道鉄道】

 

 北海道は天保銃の発展と鉄道の発明により、内陸部へ開墾を進めていた。

 天保銃は熊や野獣から日本人を護り、鉄道は広い北海道の内部平野開拓へと進めるのに十分であった。

 

 広大な平野では米、小麦、じゃがいもなど日持ちする主食が中心に生産されている。

 生産された食料は江戸や大阪など人口中心地、

 外国へは朝鮮やロシアなど食料の乏しい外国への輸出するという食糧基地として十二分の性能を誇った。

 

[主な平野と路線]

 

【挿絵表示】

 

 

 北海道の鉄道は本州、九州の線路とは大きく異なり、北海道の各都市間を繋ぐという概念はなく

 平野で生産される食料を運ぶことを主とした路線計画がなされていた。

 

 内地で生産された食料は、鉄道によって札幌、稚内、網走、釧路、帯広などの主要港に運ばれた。

 そして主要港から大都市または輸出先の港へ運ばれることとなった。

 

 北海道には人口が依然少ないため、人口輸送ではなく、貨物輸送が主な収入源だったからだ。

 

 

 史実世界の現代日本からすると眉唾物の話だが、

 日本は近代化した農業の発展により食糧輸出国へとなっていたのだ。

 

 

 

――――――――――――――――

 

【食料基地の矜持】

 

●札幌の北海道農業研究所

 

 ここでは北海道の主要産業である農業技術が研究されていた。

 北海道の土壌、気候に北海道品種を生み出すべく、研究者たちが日夜研究していた

 

 

 その第一位、主席研究員は今日も元気に品種の選別を行っていた。

 

「選別ッ!選別ゥ!! 良種を選別ゥゥーーー!!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ッッッエーイ☆」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 彼の名は一方通行(ひとかたみつゆき)

 そして彼は――――

 

一方(ひとかた)さん――――」

 

「あ゛ぁ゛!?」

 

「し、失礼。一方通行(アクセラレータ)

 

 重度の西洋かぶれ(蘭学者)だった。

 

「で、どうした?」

 

「今回の研究成果を――――」

 

 彼が選別した新しい品種を貰いに来た研究員、一方は卓越した『見つける』能力があった。

 品種改良とは発見すること。

 作物から、耐寒性、半矮性、食味、多量など良い傾向に徐々に変化していく種を見つける事

 人為的な変化の選別をすること。

 それが品種改良。

 

 一方は『見つける』才能故に主席研究員の座を欲しいがままにしていた。

 

「あぁ……それか。

 そっちに置いてある。もっていけ。

 左から早生で食味が向上した種、中生で冷害に強く半矮性、最後が晩生で収量が向上している。」

 

 早生、中生、晩生など収穫時期(左から早い)をずらした品種に重きを置くのには北海道ならではである。

 広大な大地で収穫時期が重なるとマンパワーが1つの時期に集中し、収穫しきれない作物が出てくる。

 それ故に少しずつ収穫時期がずれる品種を育てる。

 

 土地が広く、人口が少ない北海道が生み出したマンパワーを分散する知恵だ。

 このアイデアは同じく土地のわりに人が少ない樺太、サラワクも同様のシステムを用いている。

 

 

 

 品種改良の仕事にひと段落着いた一方は、緑茶をのみつつ一冊の本を広げる。

 その本は月刊『蘭学者』

 蘭学者のコミュニティによって創刊された本であり、蘭学者が生み出した分野問わず様々な研究成果と特許情報が記載されている。

 一方はこの本の愛読者だった。

 

「さて、今月はどんな発明が出てるのやら――――」

 

 パラパラとページをめくるその手は、とある発明の目録で止まる。

 

「へぇ……今年も面白いものを書いてんじゃねぇか。」

 

 そのページは内燃機関、そしてそれを応用した重機の発明だった。

 

「これだな。」

 

 一方は大阪へ向かうことにした。

 

 

 

●入即出ミュージアム

 

 一方は船で弘前(青森)まで向かい、鉄道で大阪へたどり着く。

 乗り換えが何度かあって尚、片道一週間もかかっていない。

 その輸送力の高さに、一方は北海道の作物輸送は鉄道が生命線であることを再認識する。

 

 

「邪魔するぜ!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「邪魔すんなら帰って!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ほんなら帰るわ、邪魔したな。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ってコラー!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 意外とノリがいい一方。

 ぶっきらぼうではあるが、頭の回転がいいため必要なことは必要と理解し、実行するからこそ

 農業研究所でも中心人物となっている。

 

「ノッてくれてありがとうだお。

 ところで本日はどの様で?

 観光以外なら、わざわざ北海道からくるなんて珍しいお。」

 

 やる夫も重度の蘭学者であるため、月刊『蘭学者』は愛読している。

 そのため、目の前の一方が北海道農業研究の第一人者であることも知っている。

 一方も幾度と書籍に顔を出している人物であるからだ。

 

「あぁ。今月の内燃機関と重機についての論文を読んだ。

 あんたなら、あのアイデアでトラクターも作っているはずだ。」

 

「ウチというか、協力会社の久保田鉄工株式会社(現:クボタ)と

 山岡発動機工作所(現:ヤンマー)なら作ってるお。」

 

 どちらも大阪に本社を置く農業機械メーカーで、入即出財閥とは資本提携を結んでいる仲だ。

 社長二人とやる夫は放蕩息子をやっていたころからの友人で、開発した技術は惜しまなく彼らにも展開されている。

 

「ってことは、トラクターもここにもあるんだろ?」

 

「あそこにあるお」

 

 半ば商品の見本市となっている入即出ミュージアムには当然ながら、

 二社の開発したいくつかのトラクターが農業部門スペースの中央に置かれていた。

 

 ただ種類はいくつもあり、

 現在の主力である蒸気式トラクター。

 蒸気タービン式トラクター(蒸気式より効率が下がり失敗)、

 エンジン式トラクター(ディーゼル式に統合することで廃案、試作機のみ)

 そして――――

 

「これだな。」

 

 ディーゼル機関式のトラクターが一方の目に留まる。

 

 

 一方は北海道の農業は品種改良だけではないことをよく理解していた。

 品種改良の結果、反収が2倍に増えるのはいい。

 だがそれは、機械を導入して企業当たりの耕作面積が2倍に増えるのと同等であることをよく知っている。

 

 つまり、どちらかだけでは成り立たず両方成長させて4倍にすることが食料基地としての責務

 一方の矜持である。

 

 

「これを10台俺に無償提供しろ」

 

「10台って……。正気かお

 メリットは提示できるのかお?」

 

 現代ですら1台数百万~1,000万を超えるトラクター

 当時、現代価格にして500万くらいだったとしても、5,000万投資しろと言ってるのだ。

 ポンと出せるわけない。

 

「当然だ。俺が区画整備した農場で生産に用い、

 従来の蒸気トラクターに比べて何%効率の向上、マンパワーの削減

 開墾における大規模農業の採算性をデータ化し、新時代の農業スタイルを提唱する。

 月刊『蘭学者』と御上に上申すれば間違いなく売れるだろう。

 北海道に限らず、樺太、サラワクでも高効率化は求められているからな。

 そして、樺太、サラワクも天領だ。

 生産量増大の為に資金は惜しまんだろうさ。」

 

 一方は農業関連では第一人者であり、その発言力は非常に大きい。

 そして一方がデータに基づいた効率向上の新スタイルを提唱すれば、

 これまでの実績により、ほぼ受け入れられることが確定している。

 

 一方という広告塔を使えば、ディーゼル式トラクターは売れる

 そのために投資しろといってるのだ。

 

「まぁ、それなら掛け合ってみるお」

 

(どうせ山岡も久保田も似たような考えしてるお。

 だったら、やる夫が一枚噛んでおいた方がきっと儲かるお)

 

 

 これを機に、ディーゼル機関の有用性

 そして農業の機械化が現代化が更に進んでいくことになる。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 北海道は鉄道、トラクター、品種改良、化学肥料によって

 倍の倍の倍という感じで年を追うごとに作物の生産量がうなぎ上りで向上しているであります。

 

 およそ100万人の道民(現代では500万人)が第一次産業に従事していた場合でも、

 一人当たり、かなり広い畑を管理するでありましょうな。

 とすると、トラクターなどの機械化は必須なのかもしれないであります。

 

 北海道はこんな感じで、無難に発展してきたであります。

 ヒグマなどの危険生物は有坂銃、今後発明されるであろう機関銃によって脅威度はさらに低下するでありましょうし、

 後は、無難にアイヌ民族を同化するだけでありますな!

 

 北海道の発展により『閃き』+1になるでありますよ。

 もちろん他と同じく『北海道の産業振興Step2』が解禁するであります。

 

 

――――――――――――――――

 

【試される大地、越後(新潟)】

 

 農作物の品種改良は全国で、もちろん新潟でも行われていた。

 

「上や~ん、次代の品種改良はどれで行く?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「だから、俺の右手には良い米選ぶ力なんてないって……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「そんなこと無いにゃ~。上やんの右手は『米の右手』さ。

 ささっ、今回はどれにする?」

 

「じゃあ……これとこれ?」

 

 上条が右手で2つの品種を取り上げると、研究者たちは次の品種改良元として決める。

 何故かわからないが、彼の右手が選んだ米は不思議と先代品種より性能が向上するのだ。

 それ故に上条の右手は『米の右手』と呼ばれている。

 

 新潟の米も年を追うごとに進化している。

 もはや『鳥またぎ(クソマズ米)』とは呼ばれず、コシヒカリが生まれるのも近い。

 

 

――――――――――――――――

 

 どうでもいいでありますが、新潟県魚沼市の近くに、上条町という地区があったのでネタにさせて貰ったであります。

 今回一方通行を採用したのは、彼ってロシアみたいな北国出身のイメージがあったからであります。

 それ以外の理由はないでありますが……

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

――――――――――――――――

 

【日朝貿易】

 

 輸入:鉄鉱石、石炭、銅、銀、金

 輸出:鉄製品、洋紙、贅沢品、穀物

 

 北海道の食糧生産量が増加したことにより、日朝貿易での食糧輸出量も増加していた。

 そしてそれによる関税収入も上昇し――――

 

「いや~懐が潤って仕方ありませんね!

 これもボクがカワイイからでしょうね。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 朝鮮貴族は懐が潤うことで、輸入増大に対して好意的であった。

 

「毎度ありがとうございますでありますよ

 ところで、奥方に似合うと思い、こちらを持参したでありますよ。

 宜しければ受け取って頂けるでありましょうか?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 朝鮮から輸入した金銀で作った金細工、銀細工を朝鮮貴族に渡す。

 鉱石で輸入したものを日本で生成しているから、大した金額ではない。

 

「これはこれは――――

 僕は何でもに合いますからね!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 日本商人と朝鮮貴族の癒着は一層強く結びつくのだった。

 

 

「ところで、更なる取引量向上の為に、このようなものは如何でありましょう?」

 

 日本側が取り出したるは『水車』『風車』の建造パーツ。

 朝鮮の主力輸出品である貴金属、ベースメタルの生産量向上を目的としている。

 

「これが(私の懐が潤うのに)役立つのですか?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「勿論でありますよ。

 採掘量が増えれば、輸出量が増えるであります。

 輸出量が増えれば、輸入量が増えるであります。

 輸入量が増えれば、関税が――――ね?」

 

「なるほど!それは素晴らしいですね!

 是非とも輸入しましょう!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

(これによって、鉱業偏重になり食料自給率が減るのは仕方ないでありますね)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 日本商人と朝鮮貴族の癒着は一層強く結びつくのだった。

 

 

 

「また、コメの値段が下がっただ……」

 

 もろに影響を受けるのは朝鮮農民。

 

「どこかで豊作なんだろうなぁ……」

 

 この作物がどこで作られたかなんて農民たちが知る由もない。

 現代でも21世紀に入ってから気にするようになったのだ。150年前の農民に気にする要素なぞ無い。

 

「それに比べて、鉱夫は儲かるらしいぞ。

 北に行った俺の親せきは凄い血色がよくなっていたべ。

 なんだったか、水車?風車?って物のおかげで、鉱石を砕いたり運んだりの重労働が改善されたらしいべ。」

 

「今は鉱山で働いた方が儲かるのかもな?」

 

 掘れば掘るだけ日本が買うのだからそれも仕方ない。

 

「んじゃ、俺も北に行くべ。

 農家なんてやってても、おまんま食い上げだべ!」

 

「んだんだ。俺らも北へ行くべ!」

 

 

 国が鉱山経営に力を入れることによって、順調に農地は荒れ果てていくようだ。

 ただ、現状誰も不幸になっていないのは幸いなのだろう。

 

 

 

――――――――――――――――

 

【日露貿易(極東地方)】

 

 輸入:毛皮、木材、石炭、ウォッカ

 輸出:焼酎、日本酒、火縄銃、日本工芸品、穀物

 

 カムチャッカにて日本の貨物船が荷を降ろし、日本へと持ち帰る品物を積んでいく。

 

「今回もいい取引をさせてもらったわ。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「こちらこそでありますよ!

 長い付き合いをお願いしたいであります。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ヨーロッパとは異なり、こちらでは平穏な時間が流れている。

 距離が遠すぎて、こちらで何かが起きてもバルカン半島に影響を及ぼすことは

 ほぼ0といってもいい程だからだ。

 それ故にインドのイギリス艦隊も放置している。

 だからこそ、日露貿易は順風満帆だった。

 

 日本にとって、樺太や北海道の生存圏を拡大している最中故に上質の毛皮は必須であり。

 建築には木材、製鉄には石炭と、無くてはならないものばかり。

 

 それはロシアも同じことで、緯度が高すぎるために穀物の生産量は芳しくない。

 そのため、北海道、樺太の穀物は極東ロシアの生命線に割となっていた。

 そして、猟をするために火縄銃、木を切るための鋸、暖を取るための焼酎、日本酒。

 

 互いが必要とするものを上手く交易で得ている状態だった。

 このいい環境が徐々に日本とロシアの友好を深めていくことになる。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 ざっくりと日朝、日露貿易の今をお送りしたであります。

 

 朝鮮は賄賂送って、ほぼ経済植民地化しているでありますな。

 朝鮮北部では貴金属だけじゃなく、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステンなど様々な種類の鉱脈があるであります。

 ジェットエンジンには鉄だけじゃなく、ニッケルが必要でありますから、日本にとっても割と重要な国なのであります。

 それに鉄がイギリスとロシアだけに依存するのもかなり危険でありますからな。

 あと安いし!

 

 ロシアとは普通に交易して、普通に友好を築いているでありますよ。

 この世界で平穏に事を進められるのは良いことでありますな!

 

 

――――――――――――――――

 

【日本の技術レベル】

|科学:20(基本的な理学)

|工学:24(モノづくり)

|材料:24(素材、エネルギー)

|生物:24(農業・医学)

|電磁:20(電気製品・発電)

|環境:17(建築・自然保護)

|流通:10(物流や兵站)

|政経:10(政治経済や社会問題の解決力)

|文化:15(外交・異文化・芸術・娯楽)

|軍事:21(兵器開発・戦術)

 

※00を史実相当、30(Max)を2020年相当とします

 前回分の+は記載していません

 

 閃き+1以外に特に変化はないでありますよ。

 

――――――――――――――――

 

【年表】

・1837年

 【徳川家慶 第12代征夷大将軍就任】

 【医学】予防接種の普及

 【??】和製活版印刷の開発

 【経済】オランダ提供の居留地開発

 【国家】育児補助令の施工

 【国家】保育園の開設

 

・1838年

 【経済】新貨条例

 【工学】スクリュー船の発明

 【教育】近代的教育制度の発令

 【国家】樺太、千島列島入植

 【工学】空気入りタイヤの発明

 【建設】鉄筋コンクリート

 【経済】鉄道開通(横浜―新宿)

 

・1839年

 【経済】ロシア提供の居留地開発

 【農業】窒素肥料の工業化

 

・1840年

 【国家】サラワク獲得

 【軍事】次世代兵装の開発

 【全て】内燃機関の実用化

 【全て】蒸気タービンの実用化

 【経済】日本列島改造計画開始

 

 特筆すべき点は無しであります。

 

 

――――――――――――――――

 

 次回予告では「合成染料の開発」でありますよ。

 

 ニトロセルロースがあるので……

 どうなるでありましょうね?

 

 


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