1945年に滅びる日本を救って欲しいであります(未来知識チート)   作:火焔+

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09.1835年 特許法と富岡紡績工場(2)

 

今回は「発展を阻害する各種規制緩和」と「富岡製糸場建設」の続きであります。

 

★富岡製糸場建設(7か月)

●北海道の開拓(7か月)

●開国準備(7か月)

●兌換紙幣(金本位制)の研究(7か月)

●蒸気機械の研究(7か月)

●予防接種や衛生概念の普及(7か月)

・大政奉還による立憲制近代国家形成の”準備”(1年)

・国立大学設立(1年)

・防諜・諜報機関設立(1年)

・労働法と最低賃金の制定(1年5か月)

・琉球統一(1年5か月)

・ビタミンの発見「2枠」(2年7か月)

 

・研究:工学+2「4枠」(1年)

・研究:政経+2「4枠」(1年)

・研究:生物「2枠」(1年)

 

――――――――――――――――

 

「御免下さい!」

 

 やる夫ミュージアム(+遊び場)に訪問者が訪れる。

 

「いらっしゃいだお。」

 

「私は豊田伊吉と申します。こちらに舶来の紡績機械があると耳にしまして。」

 

 豊かにも貧しくも見えない礼儀正しい若い男は、何処からか噂を聞きつけてきたようだ。

 

「あるお。見ていくといいお。

 木綿も蚕もあるから、少しくらい使ってもいいお。」

 

「よろしいのですか!?」

 

 目を輝かせる若い男。話を聞くと御国の役に立つために木綿の織機を作りたいそうだ。

 

「頑張るといいお。機械はいつでも使っていいお」

 

 伊吉が機械の方に戻っていくと、新たな来客者がやってきた。

 

 

 

「失礼する! 私は斎藤外助と申すもの。こちらに舶来の紡績機械があると聞いてやって参った。」

 

 伊吉よりかは少し年上の男が尋ねてきた。

 

「いらっしゃいだお、好きに見ていくといいお。

 先客が居るから、譲り合って使って欲しいお。」

 

「かたじけない!」

 

 

 

 織機の発明王、絹の斎藤、綿の豊田が出会った瞬間だった。

 

 

 

「頼もう!」

 

 再三の客が登場する。

 

(何で今日に限って人がいっぱい来るお!?)

 

「某は御法川直太郎と申す。こちらに絹の――――」

 

 三人目の客が話している最中に四人目が。

 

「失礼するよ、私は臥雲儀十郎。ここに木綿の――――」

 

 

 

 やる夫は考えるのをやめた。

 

 

 

 どうやら、同じ目的の豊田伊吉、斎藤外助、御法川直太郎、臥雲儀十郎の4人は意気投合したようだ。

 機械を操作しながらなにやら色々と話し合っている。

 

(やっぱり好きこそモノの何とやらだお。

 ま、機械は丁寧に取り扱ってくれてるみたいだし、やる夫も自分の趣味に没頭するお。)

 

 

 

 その後も、4人は毎日やる夫ミュージアムに足を運び、時に地面に図面らしき物を書きながらずっと議論していた。

 やる夫は助け舟を出すことにする。

 自分も趣味に生きる者。こういうとき、道楽息子的にはどうするのが正しいかは知っていた。

 

「何か構想が固まったら、試作品でも作るかお?

 実際に作れば改善点が見つかるものだお。」

 

「それは山々なのですが……生憎持ち合わせが少なく……」

 

 伊吉は残念そうに微笑む。

 どうやら他の面々も同じらしい。

 

「だったら、ウチの職人に頼むといいお。

 ロハでやってもいいお。

 対価は製品を売るときはウチを利用してくれれば十分だお」

 

 タダだと遠慮しがちでも、対価が発生するなら「じゃあ……」と思ってしまうものだ。

 

「すまぬ。言葉に甘えさせてもらおう。」

 

 外助達もやる夫に感謝して礼を述べた。

 

 

 彼らは試作と実験を幾度か繰り返し、自分たちの思い描く機械を生み出すことに成功する。

 

 

 

――――――――――――――――

 

「お、何か新しい機械が出来上がってるお。」

 

 暫くして、やる夫ミュージアムには4人が作った新しい機械

 豊田式木製力織機(木綿用織機)、斎外式木製力織機(絹用織機)、御法川式多条繰糸機(生糸)、臥雲式紡績機(木綿紡績機)の4台が並べられていた。

 それぞれ、素材から糸を作る機械が二種、糸から織物を作る機械が二種。

 

「はい。何とか自分たちの納得がいく機械ができました。」

 

「それはよかったお。じゃあ早速特許を出しにいくお。」

 

「え?」

 

「え、じゃないお。」

 

 豊田達が困惑するのも無理も無い。特許法は制定されたばかりで、市井の民は普通知らないのだ。

 やる夫は忠邦から聞いてるから知ってるだけだ。

 

 

 

「なるほど。つまり誰の機械が一番優れているか、製造された数、特許料で分かるというわけですね。」

 

「悪くない。誰が一番優れた発明家か、明確に答えが出るわけだな!」

 

「某が一番優れている事を証明できるということであるな」

 

「寝言は寝て言え、たわけ。」

 

 この4人、仲が悪いわけではない。友人であり、同士であり、そして、自らを最も優れた発明家と考えるライバルなのだ。

 4人で協力してアイデアを出したとはいえ、コンセプトはそれぞれ異なるのだ。

 

 彼らは意気揚々と特許を発行しに役所へと向かった。

 

 

――――――――――――――――

 

 紡績業界の巨匠たちが集ったため、ミラクルレベルの紡績機械が開発されたであります。

 元々は全て19世紀末に発明される機械たちであります。

 ただ、年齢的に史実の人物の父親または祖父が発明した事になるであります。

 ()内の人物が史実での発明者であります。

 

 1873年:臥雲式紡織機(臥雲辰致)

 1891年:豊田式木製人力織機(豊田佐吉)

 1898年:斎外式力織機(斎藤外市)

 1904年:御法川式多条操糸機械(御法川直三郎)

 

 機構的には史実より優れておりますが、製造技術が史実以下であるため出来上がる製品は上記と同等であります。

 それでも相当な技術革新でありますが。

 臥雲式紡織機に関してはミュール紡績機の発展型と様相が異なっているであります。

 

 ただ――――

 

 


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