魔法科高校とチート転生者   作:カトポン

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 どうも、おはこんばにちは。
 遅くなりましたが、お気に入りが600人を突破しこれを書いている時点で636人となりました。
 これからも「魔法科高校とチート転生者」をよろしくお願いします。
 それでは第9話をどうぞ。


第9話 Go Back Home

「・・・借りだとは思わないからな」

 

 真由美と渡辺先輩が校舎に消えたのを見届けて、森川改め森崎が、棘のある視線を向け、同じく棘のある口調で、達也へ向けてそう言った。

 達也は、やれやれ、という表情を浮かべて背後を見た。

 

「貸しなんて思ってないから安心しろ。決め手になったのは俺達の舌先じゃなくて深雪の誠意だからな」

「お兄様達ときたら、言い負かすのは得意でも、説得するのは苦手なんですから」

「違いない」

 

 わざとらしい非難の眼差しに、苦笑いで返す。

 

「・・・僕の名前は森崎駿。お前が見抜いたとおり、森崎の本家に連なる者だ」

 

 司波兄妹と俺の、見ようによってはほのぼのとしたやり取りに気を殺がれたのか、やや敵意の薄れた顔で、森崎が名乗りを上げる。

 

「見抜いたとか、そんな大袈裟な話じゃないんだが。単に模範実技の映像資料を見たことがあっただけで」

「そんなのあったんだな。知らなかったわ」

「普段から模範実技の映像資料なんて見ないお前は、知らなくて当然だ」

 

 達也の言葉に背後に居た達也のクラスメイトが盛り上がるが、達也は森崎と目線を合わせたまま、動かない。

 なのに、俺に慣れた口調でツッコミを入れるのだから、これが長年の付き合いによって為せる技なのだろうか?

 

「僕はお前を認めないぞ、司波達也。司波さんは、僕達と一緒に居るべきなんだ」

 

 森崎は捨て台詞を残し、背を向けた。

 

「いきなりフルネームで呼び捨てか」

 

 達也が独り言のように呟いた言葉に、森崎はピクッと背中を震わせた。そこで立ち止まらず、そのまま立ち去ったのはある種の意地が作用したからだろう。

 

「良かったな、達也。副会長に続いて、2人目だぞ」

「何がだ」

「俺を除く、目を付けられた一科の男子生徒の数」

「そんなのは、増えても何も嬉しくない」

 

 まぁ、その2人は達也を敵視してるからな。

 この確執は下手をすれば、卒業するまで続くんだろうな。まぁ、達也の胃はヤワじゃないから、心配しなくとも大丈夫だろうけど。

 

「お兄様に悠馬さん。もう帰りませんか?」

「そうだな。第二のあんな奴等が絡んでくる前に、この場を離れた方が良いかもな」

「同感だ。レオ、千葉さん、柴田さん、帰ろう」

 

 俺達が達也のクラスメイト達と一緒に帰ろうとその場を後にしようとした時だった。

 

「ほのかを庇ってくれてありがとうございました。大事にならなかったのは兄さんと悠馬さんのおかげです」

 

 雫が達也に感謝の言葉を述べる。

 それに触発されたほのかは俺達の目の前でガバッと頭を下げる。

 

「さっきはすいませんでした!お兄さん!悠馬さん!」

「気にしなくて良いよ。ほのかとは見知った仲なんだし」

 

 確かに、やり方はアレだったかもしれないが、根底にあるのは、この場を何とか収めようとした優しさだ。

 その優しさが理由で、罰せられるのは、少なくとも俺はおかしいと思う。だから、庇った。それだけだ。

 

「大したことじゃないし、お兄さんはやめてくれ。これでも同じ一年生だ」

「分かりました。では、何とお呼びすれば・・・」

「達也、でいいから」

「分かりました・・・」

 

 それでも尚ほのかはモジモジしているが、それを見た深雪が助けを出す。

 

「そうだわ。2人とも駅まで一緒にいかがかしら?」

「はいっ!」

 

 満面の笑みで答えるほのか。

 ほのかと雫を加えた8人で俺達は第一高校を後にするのだった。

 

◇◇◇

 

 駅までの帰り道で、俺達は自己紹介をしたりしていると次第に話題はCADに関する話題になっていた。

 

「・・・じゃあ、深雪さんのアシスタンスを調整しているのは達也さんなんですか?」

「えぇ。お兄様にお任せするのが、一番安心ですから」

 

 ほのかの質問に対して我が事のように得意げに深雪が答える。

 

「少しアレンジしているだけなんだげどな。深雪は処理能力が高いから、CADのメンテに手が掛からない」

「それだって、デバイスのOSを理解するだけの知識が無いとできないだろ」

 

 しかも、この場に深雪しか居なかったら、何がアレンジだと言ってやりたい。

 

「悠馬さんの言う通りですよ」

 

 深雪の隣から顔を覗き込むように顔を出して、美月が会話に参加してきた。

 

「CADの基礎システムにアクセスできるスキルもないとな。大したもんだ」

 

 達也と唯一同性のクラスメイトで西城レオンハルトことレオが賞賛する。

 レオは親父がハーフ、母親がクウォーターで、ゲルマン的な彫りの深い顔立ちをしている。

 得意な術式は収束系の硬化魔法で、志望コースは警察の機動隊とか山岳警備隊などの身体を動かす系との事だ。

 

「達也くん、あたしのホウキも見てもらえない?」

 

 エリカの呼びかけが「司波くん」から「達也くん」に変わっているのは、ほのかに名前で呼ばせているからいいでしょ、との一方的な宣言によるものだ。そのかわり、達也も名前呼びでいいという交換条件付きで、美月も同じ取引を主張して、お互い名前呼びとなっている。

 なんで、俺は最初から名前呼びなのにクラスメイトである達也が苗字呼びだったのかは良く分からない。

 

「無理。あんな特殊な形状のCADをいじる自信はないよ」

「あはっ、やっぱりすごいね、達也くんは」

 

 達也の返事が謙遜なのに対し、エリカの反応は裏表のない賞賛だった。

 

「何が?」

「これがホウキだって分かっちゃうんだ」

 

 達也に問われて、柄の長さに縮めた警棒のストラップを持ってクルクル回しながら、エリカが陽気に笑う。

 ただ、その目の奥には、単純な笑み以外の光がある。

 

「えっ?その警棒、デバイスなの?」

 

 果たして、それが注文通りだったのか、美月が目を丸くしたのを見て、エリカは満足気に2度頷いた。

 

「普通の反応をありがとう、美月。みんな気づいていたんだったら、滑っちゃうとこだったわ」

 

 その遣り取りを聞いて、レオが更に訝しげに問う。

 

「・・・何処にシステムを組み込んでんるんだ?さっきの感じじゃ、全部空洞って訳じゃないんだろ?」

「ブーッ。柄以外は全部空洞よ。刻印型の術式で強度を上げてるの。硬化魔法は得意分野なんでしょ?」

「・・・術式を幾何学紋様化して、感応生の合金に刻み、サイオンを注入する事で発動するって、アレか?そんなモン使ってたら、並みのサイオン量じゃ済まないぜ?そもそも刻印型自体、燃費が悪過ぎってんで、今じゃあんまり使われてねぇ術式の筈だぜ」

 

 レオの指摘に、エリカは少し目を開いて、驚き半分、感心半分を表現した。

 

「おっ、さすが得意分野。でも残念、もう一歩ね。強度が必要になるのは振り出しと打ち込みの瞬間だけ。その刹那を捉まえてサイオンを流してやれば、そんなに消耗しないわ。兜割りの原理と同じよ。・・・って、みんなどうしたの?」

 

 逆に感心と呆れ顔がブレンドされた空気にさらされて、居心地悪げに訊ねたエリカに、

 

「エリカ・・・兜割りって、それこそ秘伝とか奥義とかに分類される技術だと思うのだけど。単純にサイオン量が多いより、余程凄いわよ」

 

 全員を代表して、深雪が答えた。

 何気ない指摘だったが、エリカの強張った顔は、本気で焦っていることを示していた。

 

「達也さんも深雪さんも悠馬さんも凄いけど、エリカちゃんも凄い人だったのね・・・うちの高校って、一般人の方が珍しいのかな?」

「魔法科高校に一般人は居ないと思う」

 

 美月の天然気味な発言と、それまで押し黙っていた北山雫がボソッか漏らした的確すぎるツッコミで、色々と訳ありの空気は核心が見えぬまま霧散した。

 

◇◇◇

 

 現在でも電車は主要な公共交通機関だが、その形態はこの100年間で様変わりし、満員電車、という言葉は今や死語となっていた。

 何十人も収容できる大型車両は、全席指定の一部の長距離高速輸送以外使われておらずキャビネットと呼ばれる、中央管制された2人乗りまたは4人乗りのリニア式小型車両が現代の主流だ。

 動力もエネルギーも軌道から供給されるので、車両のサイズは同じ定員の自走車の半分程度。

 プラットホームに並ぶキャビネットに先頭から順次乗り込み、チケットやパスから行き先を読み取って運行軌道へ進む。

 そんな訳で、キャビネットに乗った時点で皆とは別々になるのだが、俺と司波兄妹は最寄り駅が同じなので、駅で降りてからも暫くは3人で話しながら歩いていた。

 

「悠馬、お前に頼まれていた例のアレだがそろそろ完成するぞ」

「やっとか。いつ完成するんだ?」

「アレ自体は今日の夜に出来る。明日の放課後にお前に性能テストして貰おうと思うんだが大丈夫か?」

 

 俺は頭の中のスケジュール帳をめくる。

 

「明日は予定無いから大丈夫だな」

「もし良かったら、悠馬さん明日の夜ご飯一緒にどうですか?」

「え?」

 

 深雪の思いもしない言葉に俺は困惑してしまった。

 

「お兄様、悠馬さんに頼まれた物の性能テストはすぐに終わるモノなのですか?」

「すぐには終わらないな」

「因みに悠馬さんは帰りが遅くなったらどうするおつもりですか?」

「スーパーで惣菜でも買おうかと・・・」

「いけません。育ち盛りの男子高校生が惣菜で済ませてはいけません!」

 

 余りの剣幕に俺はたじろぐ。しかも、「深雪は俺の母さんか!」って思わず言ってしまいそうな内容だし。

 

「いや、でも深雪に手間をかける事になるし・・・」

「1人増えても手間は変わりません。それよりも私の料理ではお気に召せませんか?」

 

 深雪が涙目でしょんぼりしながら尋ねる。

 

「いや、そんな事はないよ。うん、明日は深雪の手料理をご馳走になろうかな」

「分かりました。腕によりをかけてご馳走しますね」

「あ、あぁ」

「じゃあ俺達はこっちだから。またな、悠馬」

「悠馬さん、また明日」

「あぁ。またな」

 

 俺達は司波兄妹と別れ、自分の家へと帰るのだった。




 如何でしたか?
 キリが良かったのと思いついたサブタイがこれしか思いつかなかったので今回は少し短くなりました。
 次回は第一高校に入学してから3日目です。それでは、また次回お会いしましょう。
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