魔法科高校とチート転生者   作:カトポン

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 どうも、おはんこんばにちは。
 今回は主人公と十文字先輩の対決です。果たしてどちらが勝つのか。
 それでは第13話をどうぞ。


第13話 空間支配?いいや、ベクトル操作だ

 俺と克人さんは、お互い模擬戦の初期位置に立ち、渡辺先輩の合図を待つ。

 

「ルールを説明する。相手を死に至らしめる術式、並びに回復不能な障碍を負わせる術式は禁止。直接攻撃は相手に捻挫以上の負傷を与えない範囲であること。武器の使用は禁止。素手による攻撃は許可する。勝敗は一方が負けを認めるか、審判が続行不能と判断した場合に決する。以上だ」

 

 渡辺先輩が先程と同様ルールを説明するが、正直余り耳に入ってこない。俺も克人さんも鋭い目線を外さずに、全神経を集中させた渡辺先輩の合図を待っている。

 そして、第三演習室の静寂が最高潮に満ちた瞬間。

 

「始め!」

 

 試合開始直後、克人さんは4系統8種、全ての系統種類を不規則な順番で切り替えながら絶え間なく紡ぎ出し、防壁を幾重にも作り出す十文字家の多重移動防壁魔法『ファランクス』を展開すると、俺に向かって一直線にタックルする。

 俺はというとその場から一歩も動かずにCADを操作し起動式を読み込む。克人さんのタックルが間近に迫って来た時になってようやく魔法式を構築し『一方通行(アクセラレータ)』を発動した。そして、克人さんのタックルが俺に触れようとした瞬間。

 

「なっ!?」

 

 『一方通行』は効果範囲に触れたあらゆるベクトルを操作する魔法。

 克人さんの運動量を反射させ、克人さんを吹っ飛ばす。今度は、俺の足元のベクトルを前方に集中させ、音速を超えるかもしれない高速移動で吹っ飛んでいる克人さんの背後に回り、吹っ飛んでいる克人さんを軽く小突く。克人さんの運動量と小突いた時に発生した際の運動量を全て前方に集中させるように操作し、さっきよりもさらに速く克人さんは吹っ飛び克人さんを壁に激突させた。

 

「しょ、勝者、九島悠馬!」

 

 壁に激突した克人さんが床に倒れた事で、俺の勝利となった。

 この場にいる殆どの者が驚いている。それは、俺が克人さんを倒したからなのか、『一方通行』に対してなのか、はたまたその両方なのかは分からない。

 

「まさか、これ程とはな・・・」

 

 声のする方を見てみると克人さんが壁を支えにして立ち上がっていた。

 運動ベクトルを集中させて壁にぶつけたのに、もう起き上がるとかこの人は本当に人間なのか?

 

「十文字!?お前、大丈夫なのか?」

「あぁ、背中を強く打っただけだからな。九島・・・やはり、お前が『空間の支配者』なんだな」

「まぁ、そうですね。誤解の塊みたいな二つ名ですが」

 

 全く、誰がそんな二つ名で呼び出したんだが。

 

「周囲の空間を意のままに操る魔法師と言われるあの『空間の支配者』ですか!?」

 

 服部先輩が俺に驚きながら問いかける。

 

「えぇ。かなり誇張というか完全に誤解なんですがその『空間の支配者』です」

「誤解とはどういう事なのか説明してもらえないかな、九島君」

「それは構いませんが、逆に克人さんはどうして俺が『空間の支配者』と思ったんですか?」

 

 大規模なベクトル操作はしていないのにどうして分かったんだが。

 

「九島が俺に触れずに吹き飛ばしたのと、お前が吹っ飛んだ俺の背後に回ったあの移動は、自己加速術式にしては速すぎると思ったからだ」

 

 まぁ、後者は瞬間移動とかに思えるかもしれんが、前者は空間を支配出来たらもっと早い段階で吹っ飛ばしてるんだが。

 

「克人さんが触れずに吹っ飛ばした事に気づいた事に驚いていますが、空間を操っている訳じゃないんです」

「なら、お前は何をしたんだ?」

 

 渡辺先輩が急かすように問いかける。

 

「克人さんを触れずに吹っ飛ばせたり、自己加速術式よりも速く動けたのは俺の固有魔法『一方通行(アクセラレータ)』のおかげです」

「アクセラレータ?」

 

 たぶん多くの人はアクセラレータと聞いたら粒子加速器を思い浮かべるだろう。

 

「粒子加速器ではないですよ。俺が一方通行と書いてアクセラレータと呼んでるだけです」

「それで、その『一方通行(アクセラレータ)』はどんな魔法なんだ?」

「運動量・熱量・光・電気量といったあらゆるベクトルを観測し、操作する魔法です。克人さんを吹っ飛ばせたのは克人さんの運動量を反射、自己加速術式よりも早く動けたのは俺の足元に発生していたベクトルを全て前方に集中させるよう操作しただけです」

 

 俺の説明に他の人達は驚いていた。

 

「『空間の支配者』が誤解の塊で出来た二つ名とはそういう訳か」

「えぇ。俺が操るのはベクトルであって空間ではありませんから」

「悠馬くん。さっき十文字くんの運動量を反射させたって言ったけど、それって魔法も反射できたりするの?」

「ベクトルさえあるのならなんでも反射できるし、狙った所に操作する事も可能だ」

「それって戦略級魔法も?」

「戦略級魔法なんて打たれた事ないけどベクトルあるなら出来るんじゃない」

 

 一方通行(アクセラレータ)が核兵器打たれても傷一つつかないとか言ってたからベクトルのある戦略魔法なら反射出来るだろう。

 

「で、真由美。そろそろ生徒会室に戻った方が良いんじゃねぇの?生徒会の仕事とかもあるだろうし」

「そ、そうね。摩利も達也君に風紀委員の仕事を説明しないといけないし戻りましょうか」

「九島」

 

 生徒会室へ戻ろうとしていた俺を克人さんが呼ぶ。

 

「はい」

「この勝負、俺の負けだが面白い物を見せて貰った。勝負を受けてくれて感謝する」

「こちらこそ十文字家の『ファランクス』をお目にかかれたので。それでは、失礼します」

「あぁ」

 

 十文字先輩と別れ俺達は生徒会室へと戻るのだった。

 

◇◇◇

 

 達也の模擬戦と予定外だった俺と克人さんの模擬戦も終わり俺達は生徒会室へと戻ってきた。

 達也は渡辺先輩と風紀委員会本部にいる。その風紀委員会本部は何故か生徒会室の真下であり、中で繋がっている。何故、そんな変わった造りをしているのかは良く分からない。

 俺と深雪はというと、市原先輩と中条先輩から生徒会の仕事を教えてもらう事になっていた。初めに市原先輩から使用しているデータベースの説明と注意を受けた後、俺は市原先輩から深雪は中条先輩から仕事内容を説明される事になった。

 

「生徒会の業務は学校の業務は学校行事の計画と記録、学校に対する予算申請と決算報告、他の魔法科高校との打ち合わせと親睦、生徒の学校への苦情・要望受付、学校から委託された生徒データの整理など多岐にわたりますが、九島君にはまず学校から委託された生徒データの整理をやってもらおうと思います」

「分かりました」

 

 市原先輩の指示に従い、データベースから全校生徒の名簿データを開く。

 

「では、一年生の調査票を開いてください」

「生徒会ってそんなものまで扱っているんですか?」

「秘密度の高い情報は載っていなので心配しなくて大丈夫です」

「そうですか」

 

 一年生の調査票を開くと市原先輩は無作為に選んだ男子の学外活動データを開くよう指示される。

 俺はキーボードを出現させるとコマンド入力で活動データを開く。

 

「コマンド入力とは珍しいですね。それにもの凄く早いですし」

「ウチの従姉がこの手の物に強いので」

 

 俺の従姉である響子さんに、ハッキング技術を学ぶ過程で様々なコマンドを覚えたが、市原先輩にそんな詳しく説明する訳にもいかない。

 この後もいくつかの生徒の活動データを開き、市原先輩の指導は終了したと思ったら、真由美が突然立ち上がり移動を始める。

 

「真由美、何処行くんだ?」

「ちょっと達也くんの様子を見にね」

「それ、生徒会の仕事に関係あんのか?」

「だって摩利と二人きりだし気になるじゃない」

 

 この後の「空気をピーする魔法が得意だし❤️」は聞かなかった事にしよう。

 まさか、渡辺先輩がそんな魔法を得意としているのは露にも思わなかった。

 

「別に面白いことは何も?」

 

 達也が風紀委員会本部から生徒会へ帰ってきた。

 まぁ、達也ならそんな事やあんな事にはならないだろうとは思っていたが、やっぱり何もないと聞いて何処かホッとした。

 

「会長、妹もいるので変な事を吹き込まないでください」

「達也くんおねーさんに対する扱いがぞんざいじゃない?」

「あのっ!」

 

 達也と真由美の遣り取りに深雪が割り込む。

 

「失礼ですが会長とお兄様は入学式の日が初対面だったと記憶していますが?」

「そうかかなぁ、そうなのかな?ふふふ・・・」

 

 真由美が怪しい笑みを浮かべる。

 

「遠い過去に出会いを果たしていた私たち。運命の悪戯に引き裂かれた2人が、また惹かれ合い入学式のあの日再び巡り逢ったの!!」

 

 まるでミュージカルのようだ。しかも仕草がいちいち芝居がかってるし。

 

「・・・でも、それは達也くんじゃなくて〜」

 

 突然、真由美が俺の腕にガバッと抱きつく。

 

「悠馬くんね」

「何が運命の悪戯だ。毎年誕生日パーティーで会ってるだろ。しかも、ちょくちょく七草邸にお邪魔してるし」

 

 平静を装ってはいるが、内心気が気じゃない。心臓とかバクバクしてるし。

 何故かって。そりゃあ真由美のアレが腕に当たってる・・・というか、この人なんならワザと当てに来てるだろ。

 

「でも、私からしたら運命の出会いよ。だって諦めかけてた悠馬くんと同じ学校生活を送れるんだから」

「そんな嬉しい事言われたら1人暮らし覚悟で来た甲斐があるけどさ。ちょっと離れてくんね?」

「嫌よ」

「嫌よじゃない。離れろ」

 

 俺は離そうとしても真由美は離されないようにしがみついてくるので俺と真由美はバランスを崩して転倒してしまった。しかも傍から見たら俺が真由美を押し倒したような形に。

 

「これはどういう状況だ」

 

 最悪のタイミングで渡辺先輩が生徒会室にやって来た。

 

「風紀委員は魔法を不正使用者を取り締まるんだが、風紀委員長であるこの私の前で女子生徒を押し倒すとは良い度胸だな」

「いや、あのこれは不慮の事故でして・・・」

「言い訳は本部でじっくり聞いてやる」

「はい・・・」

 

 余りにも理不尽だが、俺は風紀委員会本部へと連行されるのだった。




 如何でしたか?
 主人公が十文字先輩をフルボッコにしました。『一方通行(アクセラレータ)』・・・恐るべき魔法です。
 しかも、まだまだ隠しているのもありますし、この主人公に勝てるのって今のところ達也しかいないような。
 それでは、また次回お会いしましょう。
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