魔法科高校とチート転生者   作:カトポン

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 どうも、おはこんばにちは。
 そして、お久しぶりです。
 大学生になってから、リアルがバタバタした上に、モチベーションも落ちてしまって大変、お待たせしました。
 久しぶり過ぎて、可笑しい所もあるかもしれませんが、第15話をどうぞ。


第15話 勧誘という名の馬鹿騒ぎ

 俺達が通っている魔法科高校は色々と特殊なところがあるが、基本的な制度は普通の学校と変わらない。

 俺が通っている第一高校にもクラブ活動はあり、正規の部活動として学校に認められる為には、ある程度の人員と実績がある点も同じだ。

 只、魔法と密接な関わりを持つ、魔法科高校ならではのクラブ活動も多い。まぁ、()()()の高校だから当然っちゃ当然だろう。

 メジャーな魔法競技では、第一から第一九まである国立魔法大学の付属高校の間で対抗戦も行われ、その成績が各校間の評価の高低にも反映される傾向にある。学校側の力の入れようには、スポーツ名門校が伝統的な全国競技に注力する度合いを上回るかもしれない。

 第一から第一九まである国立魔法大学の付属高校の間で対抗戦・・・九校戦と呼ばれるこの対抗戦に優秀な成績を収めたクラブには、クラブの予算からそこに所属する生徒個人の評価に至るまで、様々な便宜が与えられている。

 なので、有力な新入部員の獲得競争は、各クラブの勢力図に直接、影響をもたらす重要課題であり、学校もそれを公認、いや、むしろ、後押ししている感もある。

 かくして、この時期、各クラブの新入部員獲得合戦は、熾烈を極める

 

「・・・という訳で、この時間は各部間のトラブルが多発するんだよ」

 

 場所は生徒会室。

 達也は深雪の弁当を、俺は少し気になっていた自動配膳機の肉メニューを食べながら、渡辺先輩の話を聞いていた。

 ちなみに、自動配膳機の肉・及び魚メニューは悪くはないが、物足りないなさは否めないし、何より毎日、この2つをローテンションしていたら、絶対に飽きるので、明日からは弁当にしようと心に決めた。

 

「勧誘が激し過ぎて授業に支障を来たす事もあるわ。それで、新入生勧誘活動には一定の期間、具体的には今日から一週間という制限を設けてあるの」

 

 これは、渡辺先輩の隣に座った真由美の台詞だ。

 ちなみに、原作だと1人だけダイニングサーバーの機械調理メニューを食べる事になった真由美が、かなりへそを曲げたが、俺もダイニングサーバーの機械調理メニューを食べていたので、特に機嫌を損ねる事はなく、むしろ、機嫌は良い方だった。

 さらに補足すると、明日からは弁当と言ったら、自分も弁当を作ってくる、と張り切っていた。

 

「でも、いくら勧誘が激しいとは言っても、授業に支障がきたす程なんですか?」

「この期間は各部が一斉に勧誘のテナントを出すからな。ちょっとした所じゃないお祭り騒ぎだ。オマケに、密かに出回っている入試成績リストの上位者や、競技実績のある新入生は各部で取り合いになる。無論、表向きはルールがあるし、違反したクラブには部員連帯責任の罰則よあるが、陰では殴り合いや魔法の撃ち合いになる事も、残念ながら珍しくない」

「うわぁ・・・」

 

 想像しただけで、思わず、そんな声が出てしまった。

 

「CADの携行は禁止されているのでは?」

 

 渡辺先輩の言葉に、達也は訝しげな表情を浮かべながら、質問する。

 

「そうですよ。CADがなければ、魔法の撃ち合いなんて言う程の激しい応酬を起こすのは不可能だと思いますが」

 

 この疑問に対する渡辺先輩の答えは、俺達を呆れさせる物だった。

 

「新入生向けのデモンストレーション用に許可が出るんだよ。一応、審査はあるんだが、事実上フリーパスでね。その所為で余計にこの時期は、学内が無法地帯と化してしまう」

 

 そりゃあ、無法地帯になるわ、と俺と達也は反射的に思ってしまった。

 

「だったら、審査を厳しくしたりしないんですか?」

「学校側としても、九校戦の成績を上げてもらいたいから。新入生の入部率を高める為か、多少のルール破りは黙認状態なの」

 

 課外活動の強制は生徒の人権を無視する物として、何十年も前に所管省庁が禁止通達を出している。

 だが、部活動の為にスカウトされた生徒も巷には溢れているし、学校選択の自由の建前でスポーツスカウトは事実上野放しにしているのだから、自家撞着かつ意味のない通達だ。

 まぁ、建前として無視出来ない効力を持ち続けているようだけど。

 

「そういう事情でね、風紀委員は今日から、1週間、フル回転だ。いや、欠員の補充が間に合って良かった」

 

 そう言いながら、チラッと達也を見たのは、恐らく、嫌味のつもりなんだろう。

 

「良い人が見つかって良かったわね、摩利」

 

 そして、真由美は笑顔でさらりと流す。

 2人共、眉一つ動かさない所を見ると、こういう遣り取りは日常茶飯事・年中行事なのだろう。

 

(ドンマイ、達也)

 

 最後の一口を呑み込み、湯飲みに入ったお茶を飲みながら、そう思わずにはいられない俺だった。

 

◇◇◇

 

「うわぁ・・・噂には聞いてたけど、ウチの学校の新入部員勧誘週間って、ホント凄いよねぇ・・・」

「昼休みにお祭り騒ぎとは聞かされたけど、ここまでとはな」

 

 放課後、ほのかと一緒に校舎の窓から外を見てみると、本当に凄い事になっていた。

 生徒(恐らく、新入生)が通る度に、沢山の人達が詰め寄って勧誘してくる。

 さらに、こっそり『管理者の眼(アドミニス・サイト)』を使って見てみれば、デモンストレーションで派手さを求める為か魔法もバンバン使っていた。

 そりゃあ、魔法の撃ち合いなんてのも起きるわ。『管理者の眼(アドミニス・サイト)』を解除して、何食わぬ顔で窓の外を普通に見ていたように装う。

 

「司波さんと悠馬さんはクラブには入らずに、生徒会だけ?」

「えぇ。ちょっと他に手が回りそうになくて」

「入る前から遅くまで仕事をする事があるって言われたしな。オマケに、勧誘期間だけでも、追加予算の見積もりやら修理の手配やら苦情受付やら、色々あるみたいだし」

 

 勧誘期間に忙しいのは風紀委員会だけではなかった。

 俺と司波兄妹は、この勧誘期間に於いては肩書きが学生兼社畜になりそうだ。まぁ、内1名は既に社畜に分類されるかもしれないが。

 

「2人共、大変そうだね」

「でも、2人も大変だと思うぞ。入試成績リストが密かに出回ってるらしいから、成績上位者は取り合いになるらしいから」

 

 新入生総代であり、主席で入学した深雪と大ポカをやらかし、新入生総代に成り損ねた俺は、既に生徒会に入っているので、勧誘される事は無いーーもし、生徒会に所属しているのを知ってるのに勧誘して来たら、ソイツは相当な猛者だろうーーだろうが、生徒会に所属していない且つ成績上位者のほのかと雫は、何としても自分のクラブに入れようとかなり勧誘されるだろう。

 

「って事だから、2人共、外を出歩く時は気をつけて」

 

 『一方通行』の範囲は俺を基点としているので、2人に近づいてくる奴を片っ端から吹っ飛ばすなんて芸当は俺の近くに居てくれないと出来ないのだ。

 

「うん。気をつけるよ」

「それじゃあ、ほのか、雫、また明日」

 

 深雪がほのかと雫に別れの挨拶を告げると、ほのかが顔を赤くする。

 

「ほのかって・・・」

 

 ほのかがプルプルしてる。

 

「お兄様がおっしゃったでしょう?深雪で良いのよ」

 

 深雪の言葉にほのかが後ろに倒れそうになったので、常時発動している『一方通行』の範囲をほのかに触れるかどうかぐらいに広げて、ほのかの力の向きを反射して、俺の方に飛ばす。

 さらには、『ベクトル分散』で力の向きを分散させたので、難なく受け止め、壁を支えにして、もたれさせる。

 

「今のって・・・」

「しっ」

 

 俺は人差し指を口に当てる。

 

「生徒会役員が学校で魔法を使ったのがバレたら怒られるから。この事は誰にも言わないでくれ」

「分かった」

 

 ほのかの方を見ると、幸せそうな顔だった。

 この分だと、大丈夫そうだな。

 

「それじゃあ、ほのかの事、よろしく」

「うん。バイバイ。深雪、悠馬さん」

 

 雫はほのかの手首を握って、手を振らせ、空いている自分の手も振って、俺達を見送った。

 

(さ〜て、頑張りますか)

 

 心の中で気合いを入れて、俺達は生徒会室へと向かうのだった。

 

◇◇◇

 

「ほんっと、この時期は大変よね。忙しくて、目が回るわ」

「それは、仕事中に『おいしい弁当のおかず、レシピ100選』とか見ている人が言う台詞じゃないだろ」

 

 出来上がった書類を真由美に見せに行ったら、人が仕事で忙しい時に何を見てるんだ。

 

「だって、明日からは悠馬くんも弁当なんでしょ。そうなったら、私だけの配膳機のメニューになるじゃない。だから、私も明日からは弁当!」

「はいはい。なら、さっさとこの書類の確認してくれ」

「悠馬くん。お姉さんの扱いがぞんざいじゃないかしら?」

「仕事中に他事している人に、相応しい対応をしているまでです」

 

 ついでに、ぞんざいな扱いをされたくなかったら、真面目にやれと付け加えた。

 

「真面目に仕事をしたら、ぞんざいな扱いをやめてくれる?」

「辞める」

「それじゃあ、生徒会長として悠馬くんに仕事を与えるわ」

 

 どうやら、真面目に仕事をしてくれる気になったようだ。

 真面目に仕事をしてくれるなら、俺も対応を・・・

 

「巡回の応援をよろしく。詳しい事は摩利から聞いて」

「・・・は?」

「そうそう。修理の手配やら苦情の受付も巡回している時に頼まれるかもしれないから、その都度、対応よろしくね」

「いや、ちょっと・・・」

 

 真面目に仕事するように見せかけて、面倒い仕事を全部、押し付ける気じゃねぇか。

 しかも、タチが悪い事に生徒会長として、ちゃんと仕事をしている。だって、この構図は、生徒会会長という上司が、生徒会会計という部下に仕事を任せるという物にしか見えないからだ。任せる仕事が全部、面倒い物なので、嫌がらせにしか見えないが。

 

「摩利〜悠馬くんの事、よろしくね」

「分かった。九島くんを連れて行ってくるよ」

 

 ぞんざいな扱いを辞めると言ってしまった手前、俺に拒否権は無い。

 大人しく、言われるがまま従うしか無いのだった。

 

◇◇◇

 

「君は随分と信頼されてるんだな」

 

 廊下を渡辺先輩と歩いていると、不意に渡辺先輩がそんな事を言ってきた。

 

「どうですかね。これみよがしに面倒な事を押し付けられた気しかしませんけど」

「いくら、猫被りで素が小悪魔なアイツでも、嫌がらせの為だけに仕事を任せるような奴では無い事ぐらい、君も知ってるだろ」

「そうですね」

 

 初めて会った時からもう10年近く経っているのだ。それだけ長い付き合いになると、真由美の人となりぐらいは嫌でも分かる。

 

「それになんだかんだ言いつつも、君は真面目に仕事をするだろ?」

「子供じゃないんですから、愚痴は溢すかもしれませんが、駄々をこねるつもりは毛頭ないですよ」

 

 出会った時から振り回されっぱなしはせいか、最終的には、しゃあねぇなぁと付き合うようになってしまった自分が居るのも事実だ。

 

「君は風紀委員ではないが、これを渡しておこう」

 

 渡辺先輩から薄型のビデオレコーダー手渡された。

 

「レコーダーは胸ポケットに入れておけ。ちょうどレンズ部分が外に出る大きさになっている。スイッチは右側側面のボタンだ」

 

 言われた通り、ブレザーの胸ポケットに入れてみると、そのまま撮影出来るサイズになっていた。

 ついでに、現場に立ち会った時に手間取らないよう、ボタンの位置も確認する。

 

「違反行為を見つけたら、すぐにスイッチを入れること。風紀委員は証言が原則として、そのまま証拠に採用されるが、九島くんは生徒会役員だからな。すまないが、撮影を意識してくれ。その代わり、無理に止めようとしなくて良い。その場を場所と状況さえコレで知らせてくれれば、風紀委員のメンバーが駆けつける」

 

 渡辺先輩から少し大きいインカムが手渡される。

 

「分かりました」

「巡回の応援は、行き過ぎた勧誘の見張りが主な仕事だが、君には期待しているよ。正直な所、君は風紀委員会に入れたかったからな」

「そうなんですか?」

 

 え?なに?もしかしたら、俺は達也みたいに風紀委員会に半強制で入れられる所だったかもしれなかったのか?

 

「新入生一覧表で君を見つけた時には風紀委員会に入れようとしたんだがな。真由美が、私には絶対に渡さないと五月蝿かったから、諦めたんだ。その代わり、司波兄を風紀委員会に入れれたから、結果オーライだったがな」

 

 そんな事が起きていたのか。只、その言い方だとまるで、俺が真由美の所有物みたいに聞こえるけど、違うからな。

 

「と、此処からは別行動だ。頼んだぞ、九島くん」

「分かりました」

 

 真由美に与えられた仕事を遂行すべく、俺は校舎の外へ一歩踏み出すのだった。

 

◇◇◇

 

「ハァ・・・本当にどうなってんだ・・・」

 

 校舎の外はもう地獄絵図が広がっていた。

 新入生は絶対に逃さんと言わんばかりの人溜まりで、生徒会に所属しているからこそ、勧誘される事は無かったが、仮に生徒会に所属していなかっらと思うと身の毛がよだつ。

 只、生徒会と知るや否や、勧誘される代わりに苦情やら修理やら予算を増やしてくれやらで対応が大変だった。後で、真由美には覚えとけよと言っておこう。生徒会室に来そうなのを全部、こっちで片付けたんじゃないかってぐらいに働いている。

 そして、極め付きには違反行為のオンパレード。殴り合いやら魔法の撃ち合いやらそれはもう、大変素晴らしい事になっていた。しかも、こっちに魔法が飛んで来る事もあった。『一方通行』で反射したから良かったものの、『一方通行』が使えなかったら普通に直撃してたぞ。

 九校戦の成績を上げてもらいたいとはいえ、少しは生徒の安全面の事も考えて欲しいと思う今日この頃。正直、今まで死人が出ていないのが奇跡に思えて来た。

 

「ハァ・・・こちら、操弾射撃部テナント前。過剰な勧誘行為を発見。逮捕の手配をお願いします」

 

 またもや、違反行為を見つけたので、レコーダーのスイッチを入れて、インカムで連絡する。

 風紀委員が偶々、近くに居たのもあって、すぐに逮捕してくれた。

 これでもう何回目だよと思いつつも、その光景を見届ける。

 

「ん?」

 

 ふと、目を離すと、スケボーに乗った男女2人がほのかと雫を抱えて、もの凄い速さでその場を離脱する。

 

「すみません、先輩。そのスケボー、ちょっと借ります」

「え、あ、あぁ」

 

 風紀委員の先輩が何故か持っていたスケボーを借りると、スケボーに乗り、足で地面を蹴って勢いをつける時に『一方通行』でベクトルの向きを全て進行方向に向けて、猛スピードで追跡する。

 さらには、加速術式と『一方通行』の範囲をスケボーのウィールのベクトルも操作出来るのように調整して、レコーダーのスイッチを入れる。

 

「こちら、九島。バイアスロン部の部員と思われる生徒2名が過剰な勧誘行為を行い、スケボーに乗って逃走中です」

 

 スケボーで追いかけながら、インカムで連絡する。

 

「チッ。スピードを上げやがった」

 

 ほのかと雫を抱えた男女が、俺に気づいてスピードをさらに上げて来た。

 

「逃すか」

 

 俺はインカムを仕舞うと、こっちもスピードを上げて追いかける。

 

「止まりなさい!過剰な勧誘行為は禁止ですよ!!」

 

 『一方通行』と加速術式を同時に使っているからか、少しずつ差が縮まってきている。

 曲がったりして、張り切ろうとしているが、こっちはベクトル操作で、ベクトルを強引に曲げて、減速せずにほぼ直角の角度で曲がっている。

 相手は減速せずに曲がるには大きく曲がらなければならないし、コンパクトに曲がろうものなら、必ず減速しなければならない。レースじゃないが、コーナーリングで大きく差を縮めていきたいところだが、流石に相手もこの人間離れーーまぁ、魔法師なんてどいつもこいつも傍から見れば、人間離れしているだろうがーーの動きに気づいたのか、不用意に方向転換しなくなってしまった。

 

「チッ。このまま、スピードを上げて追いかけるしか・・・って、おい、マジかよ・・・」

 

 雫を背負っている女がCADを取り出す。

 あの女、俺を振り撒く為に魔法を使う気かよ。

 そう思ったのも束の間、俺とほのかと雫を抱えた男女の間に突然、下降気流が叩き付けられた。

 突然、下降気流が地面に叩き付けられるなんて、魔法以外では、あり得ない現象だ。

 

「チッ。反射させて、相手の追い風を増す訳にもいかねぇし」

 

 そんな事をしようものなら、相手の逃走を手助けしてしまう羽目になる。

 悩んでいる時間も勿体ないので、パッと思いついた案を実行に移す事にした。

 俺は一旦、『一方通行』の範囲を通常の範囲に戻すと、スケボーごと前に飛び上がって、左手でスケボーを掴むと、空中で一回転。地面で受け身を取って、体制を整えてから、右足に発生したベクトルを全て斜め上に束ねて、大きく飛び上がる。イメージは、某小さな探偵映画でやっていた車の上での大ジャンプ。

 それを、『一方通行』で再現して、地面に叩き付けられた下降気流によって発生した向かい風を飛び越える。

 

「ぐっ!」

 

 『一方通行』でスケボーで着地の際に発生したベクトルを操作して、どうにか着地する。

 

「あっぶねぇ・・・」

 

 傍から見たら、綺麗に着地したように見えるかもしれないが、『一方通行』が無かったら、着地の時に骨折してたって、おかしくなかったぞ。

 

「スッゲェ。魔法なんだろうが、あんな大ジャンプした上に、殆どブレずに着地するとか本当に新入生か?」

「そうね。風紀委員じゃないみたいだから、生徒会に所属してるんだろうけど、生徒会に入ってなかったら、SSボード部に欲しかったわね」

 

 俺の『管理者の眼』はーー達也の『精霊の眼』もだがーー、盗聴する事が出来るーー声(言葉)も情報体としてイデアに記録される為ーーので、2人の会話を聞いていた。

 SSボード部に欲しかったって事は、あの男女は、SSボード部の部員なんだろう。

 

「・・・よし」

 

 俺は、ほのかと雫を抱えた男女の追跡を表向きには断念。一旦、あの2人から、距離を取る。

 

「諦めたのか?」

「だったら、好都合ね。今のうちに行きましょ、颯季」

「だな」

 

 どうやら、俺が追跡を断念したように判断したようだ。

 だが、実際は断念などしていないし、今も『管理者の眼』であの男女の事は、監視している。

 俺が特典として選んだ、『一方通行』と『未元物質』の汎用性が高過ぎるせいで、普通の魔法が決して使えない訳じゃないんだが、『一方通行』と『未元物質』で事足りるせいで、滅多に使わない。現に今も、『一方通行』専用CADであるチョーカー型CADしか持って来ていないしな。

 ただ、『一方通行』を使うと大抵、物騒になりがちーーベクトルを操作してるんだから当然かもしれないーーなので、ほのかと雫がSSボート部に保護されてから、あの2人を捕える。

 

「よし、案の定、SSボード部の溜まり場に向かってるようだな」

 

 鉢合わせないようスケボーを疾走させて、SSボート部の溜まり場付近へと向かい、待機する。

 

(ん?服がジャージじゃない?)

 

 ほのかと雫を抱えた男女は、ジャージだったというのに、SSボード部の溜まり場に居た人達は、スポーツウェアのような物ではあるものの、ジャージではない。

 と、そんな事を考えている内に、ほのかと雫を抱えた男女がSSボード部の溜まり場へとやって来た。レコーダーのスイッチは今も入れっぱなしなので、容量オーバーやら電池切れにでもなってない限り、問題ない。

 

「萬屋先輩!?さらに風祭先輩まで!」

「どうして、此処に!?」

 

 なるほど、もしかして、あの2人はOBとOGなのか?

 それなら、納得が行く。先輩と呼ばれ、服装がジャージで、まるで此処に居る事が想定外のような驚き方。

 点と点が線で繋がり、疑問に思った謎が全て解明した。

 

「と、今のうちに・・・」

 

 あの2人にはバレないよう、しかし、いつ逃げられても良いように、慎重且つ迅速に移動し、距離を詰めて行く

 

「コイツ等を頼む」

「新入部員よ、可愛がってあげて」

「へっ?」

 

 萬屋と風祭と呼ばれた2人が、ほのかと雫を放り投げる。

 咄嗟に、『一方通行』を使って助け出そうとしたが、空気のクッションみたいな物で受け止められた。

 ホッと一息つつも、2人との距離を詰めて行く。

 

「またな、亜実」

「積もるお話は、また今度」

 

 そう言って、2人がこの場を去ろうとした瞬間、俺は『一方通行』によって、最大限加速して、2人との距離を詰めると、2人の肩をガシッと掴んだ。

 

「積もる話があるなら、今すれば良いじゃないですか?それとも、アレですか?何か逃げなきゃいけない理由や用事がおありで?」

「諦めたんじゃ無かったのかよ」

「誰がいつそんな事を言ったんですか?もし、本当にそんな事が聞こえたのなら、スケボーを疾走して、強引な勧誘なんかしたりせずに、耳鼻科に行く事をお勧めしますが」

 

 捕まえるのに、随分と手間を取らされたので、最大限の嫌味を言ってやった。

 

「さて、皆さんはこのお二方のグルではないと思いますが、くれぐれも俺の友達に過剰な勧誘行為はしないでくださいね」

 

 笑顔に威圧を加えて、俺は忠告した。

 どの部に入るかは、本人の自由なので、この部に入りたいと言っても特に止めるつもりはないが、無理矢理、この部に入れさせようとするなら、ついでに風紀委員会に引き渡すつもりだ。

 

「さて、今から風紀委員会に連絡しなきゃいけないので、この手を離しますが、逃げたらどうなるか分かりますよね?せーんぱい?」

 

 男の先輩を脅してから、俺はインカムを取り出して、風紀委員に連絡するのだった。




 如何でしたか?
 これを書いている最中に某、探偵映画を見たりしていたので、モロに影響を受けました。
 さらには、劣等生のスマホゲーが新たに出る上にオリジナルストーリーもあるようなので、組み込もうかどうか思案中です。
 まぁ、それはまだ、かなり先の事なのですが・・・これからも、自分のペースで頑張って、いつかそんな事を本格的に悩めるよう努力します。
 それでは、また次回、お会いしましょう。
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