魔法科高校とチート転生者   作:カトポン

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 とうも、おはこんばにちは。
 今回は前回の続きで、舞台はショッピングタワーから七草邸に移ります。
 七草家に関連する新キャラ達も登場し、真由美との新たな繋がりが・・・
 という訳で、第18話をどうぞ。


第18話 憂鬱なる七草邸でのお食事会

 昼食を済ませた俺達は、ショッピングタワーの近くにあったアミューズメント施設で遊んだ。

 料金は年上としてのメンツを保ち保ちたかった真由美が払ったのだが、俺に色々とボロ負けしたので年上としてのメンツを保てたかは怪しい・・・いや、100人中90人ぐらいは保ててないって言うか。

 それでも、真由美もなんだかんだ楽しそうだったし、俺も勝ち負け関係なく楽しかったので、結果オーライだ。

 そして・・・

 

「お迎えに参りました。真由美お嬢様、悠馬様」

 

 アミューズメント施設を出ると、黒塗りの高級車が目の前に停まっていた。

 とうとう、七草邸へと向かう時間がやってきてしまったようだ。

 

「ありがとうございます。名倉さん」

「お久しぶりです、名倉さん。本日はよろしくお願いします」

 

 車の前にいる初老の紳士は名倉三郎さん。執事とか爺やに見えるこの人は、七草家に仕える真由美のボディガードであり、「七倉」の『数字落ち(エクストラ)』だ。

 数字落ちというのはエクストラナンバーズ、略して「エクストラ」とも呼ばれる、「数字」を剥奪された魔法師の一族の事であり、反逆罪や重大な任務の失敗、無能だからといった理由で剥奪される。いわば、魔法師が兵器であり実験体(サンプル)であった頃、「成功例」としてナンバーを与えられた魔法師が「成功例」に相応しい成果を上げられなかった為に捺された烙印だ。

 今ではこれらの名称自体、公式に使用することは禁止されており、『数字落ち(エクストラ)』である事を理由に差別的取り扱いをする事は、魔法師のコミュニティにおいて重大な非難行為とされている。しかし、魔法科高校でニ科生に対する差別があるように、それをもっと拡大、深刻化した形で『数字落ち(エクストラ)』に対する差別は隠然と魔法師のしゃかいに居座り続けている。

 それこそ、俺達の世代であれば、自分の家系が『数字落ち(エクストラ)』である事を知らない者の方が多いだろう。理由は、親が『数字落ち(エクストラ)』である事を隠してしまうから。それ程までに、『数字落ち(エクストラ)』を「失敗作」や「欠陥品」と見做す偏見は、魔法師の無意識に刷り込まれているのだ。

 ちなみに、名倉さんが「七倉」の『数字落ち(エクストラ)』である事を俺が知っているのは、小さい頃に「おじちゃん(名倉さんの事)は七倉の人だったの?」と聞いてしまったからだ。そん時は5歳ぐらいだったからか、そこまで怒られるような事は無かったが、今思うととんでもないことをやってんな、当時の俺。

 

「さ、悠馬くん。行くわよ」

「あぁ」

 

 黒塗りの高級車に俺達が乗り込むと、名倉さんも運転席に座り、黒塗りの高級車を運転し始めた。

 

「名倉さんと最後に会ったのは、去年の真由美の誕生日パーティーですね」

「そうですね。それにしても、また背が伸びましたか?」

「その話を年上なのに俺より頭一つ分小さい人が隣に居るのを知っている上で聞いてくるのは、趣味が悪いと思いますよ」

「悠馬くん。それは、ひょっとして私の事を言ってるのかな?ていうか、絶対に私の事だよね」

 

 ぎゃあぎゃあと真由美が何か言っているが、聞こえないフリをする。

 うん。夕焼けの街並みが綺麗だ。

 

「香澄お嬢様と泉美お嬢様も悠馬様が来るのは楽しみにしていましたよ」

「香澄と泉美も最後に会ったのは、名倉さんと同じく去年の真由美の誕生日パーティーですからね」

 

 香澄と泉というのは、俺の1個下である真由美の双子の妹達の事だ。

 出会った当初は何かと大変だったが、今では悠兄ぃ(そう呼ぶのは、双子の姉妹の姉の方である香澄)、悠馬お兄さま(そう呼ぶのは、双子の姉妹の妹の方である泉美)と読んで慕ってくれる可愛い妹分だ。

 

「ねぇ、悠馬くん。私、これでも身長の事を気にしてるのよ。そんな人の前で身長の話をするのはどうかと思うわ」 

「分かった分かった。七草真由美名義でセノ○ックでも郵送してやるから機嫌直せ」

「全然反省する気が無い上に私名義で何て物を郵送しようとしてるのよ」

「一応、香澄と泉美の分も合わせて、3袋分にしておくか・・・」

「人の話を聞きなさい」

 

 ムギュと真由美に顔をつねられる。俺の顔に触れられてるのは、『一方通行』の反射をオフにしてるからだが、別につねられた所で大して痛くないので問題ない。

 

「冗談だ冗談。七草真由美名義で買う訳ないだろ」

「九島悠馬名義でもダメよ」

「分かってる」

「だったら、今すぐその某通販サイトのページを閉じなさい」

「誤ってカートに入れても困るからすぐに閉じる」

 

 Am○zonのページを閉じて、俺は携帯端末をポケットの中に仕舞う。

 そして、そうこうしている内に七草邸に到着した。いや、到着してしまったというのが正しいかもしれない。

 名倉さんの後ろを俺と真由美がついて行き、七草邸の玄関前に到着した。相変わらず、いつ見てもデカい邸宅である。まぁ、実家も負けず劣らずデカいけど。

 

「いらっしゃい、悠兄ぃ!」

「お待ちしておりました、悠馬お兄さま!」

 

 と、物思いに耽っている内に、名倉さんが七草邸の玄関を開けると、癖の無いショートカットのボーイッシュな少女と肩に掛かるストレートボブのフェミニンな少女が出迎えくれた。ちなみに、前者が香澄で後者が泉美だ。

 

「久しぶり。4ヶ月ぶりだな」

「お姉さまが言っていたましたが、悠馬お兄さまが一高に通っているのは本当ですか?」

「あぁ。だから、香澄と泉美が来年、一高に入ったら俺の後輩になるな」

「やった!悠兄ぃと一緒の学校へ通える!」

 

 まるで、一高への入学が決定事項のようだ。まぁ、余程の事が無い限り、落ちたりする事は無いだろうけど。

 

「それで、弘一さんは何処に・・・」

 

 弘一さんの所へ挨拶に行こうと香澄達に弘一さんの居場所を聞こうとしたが、それは最後まで続かなかった。

 

「いらっしゃい、悠馬君。良く来てくれたね」

 

 七草邸の奥の方から色付き眼鏡をかけた男性がやって来た。

 彼が真由美達の父にして七草家の当主である七草弘一さんだ。弘一さんを見た瞬間、俺に緊張の糸が張り詰める。

 

「今回はお招きいただきありがとうございます」

 

 俺は弘一さんに軽く頭を下げる。

 

「名倉、彼を客間まで案内してあげなさい」

「かしこまりました」

 

 弘一さんは再び、七草邸の奥へと歩いて行き、俺達は名倉さんに案内されて客間へと向かう。

 

「どうして、悠兄ぃは二高じゃなくて一高に通う事にしたの?」

 

 確かに、実家は奈良なので普通なら一番近い二高に通うだろう。

 

「そういえば、私も聞いた事無かったわね。どうして、ウチに来たの?」

「向こうだと、色んな肩書きのせいで近寄ってくる奴の大半が色眼鏡で俺の事を見てくるだよ」

「悠馬くんは十師族な上にあの老師のお孫さんだものね」

 

 だが、多くの魔法師から老師と敬われている俺の爺ちゃんが、実際は只の孫を溺愛するお爺ちゃんと知る者は数少ない。

 それはもう、普段見せる顔とギャップがあり過ぎて二重人格を疑う程に。

 

「こっちだったら、克人さんや真由美が居るし来年には香澄と泉美が来るしね」

 

 後は、司波兄妹と同じ学校生活を送りたかったというのもある。達也達は一高に通うだろうと思っていたし、とある情報筋から達也と深雪が一高に受験する事を教えてもらったしな。

 

「それで今はどう?」

「少なくとも、小・中よりかは充実した学校生活を送れてるよ。俺を九島家の息子や爺ちゃんの孫なんかの色眼鏡で見てこない奴等と知り合う事が出来たしね。一高に入学して良かったよ」

 

 これは紛れもなく、俺の本心だ。二高だったら、こんな充実した学校生活を送れただろうか。

 後は、変な奴等に絡まれたり真由美に振り回されたりしなければ万々歳である。

 

「悠馬お兄さま。後で、勉強を教えてくださいませんか?」

「悠兄ぃ、ボクにも」

「分かった。魔法理論でも一般科目でも俺の分かる範囲だったら、時間が許す限り、2人に教えてやる」

「ありがとう、悠兄ぃ!」

「ありがとうございます、悠馬お兄さま!」

 

 達也じゃないが、可愛い妹分の要望は受けてやりたい。ただし・・・

 

「じゃあ、私も悠馬くんに・・・」

「俺が高一だって知っていてるにも関わらず、勉強を教えてもらうのはどうかと思うぞ」

 

 2つ上の幼馴染は別である。

 

「それに、お姉さんぶりたいなら俺に教わるんじゃなくて俺に教える立場に回らないと駄目だろ」

「そんなの無理じゃない。だって、悠馬くんは一高の入試で答えがズレてなかったら全教科、満点だったのよ」

「悠兄ぃ、主席じゃなかったんだ・・・」

 

 と、俺が主席入学じゃないことに驚く香澄。

 

「悠馬お兄さま、何をやってるんですか」

 

 と、呆れた目で俺を見る泉美。

 

「仕方ないだろ。色々あって、碌に寝れずに筆記試験を受ける羽目になったんだから。それに、実技に関しては最高評価だったみたいだし」

「逆に、悠馬お兄様程の実力者が最高評価でなかったら、実技試験の意味を為してないですよ」

 

 俺からすれば実技試験の試験内容なんて欠陥仕様もいいとこだ。

 だって、あの達也が実技試験のせいで二科生だぞ。実戦だったら最強な達也が二科生だぞ。エリカだって一科生の森崎のCADを弾き飛ばしたーーこれに対して、森崎は反応出来なかったーーが、彼女もニ科生だ。

 魔法力が劣るからと言って実力がないとは限らないが、アイツらを見てると何の為の実技試験なんだと思わずにはいられない。

 

「だから、真由美。年上としてのメンツを捨てても良いなら、勉強は教えるけど、どっちが良い?年上としてのメンツを守る為に俺から勉強を教わらないか、年上としてのメンツを捨ててまで俺から勉強を教わるか」

 

 だが、真由美がどちらの選択を選ぶかなんて容易に想像出来る。

 

「むぅ。悠馬くんの意地悪。良いわよ、お姉さんは1人で勉強するわ」

 

 やっぱり、見栄張って年上のメンツを守ったか。

 

「ただ!」

「うん?ただ?」

 

 何故だろう。凄く嫌な予感がする。

 

「悠馬くんは知らないだろうけど、生徒会役員経験者は国立魔法大学への推薦を辞退するのが不文律となっているのよね」

 

 おいおい、まさかとは思うが・・・

 

「正直、受験勉強には年上のメンツなんて保ってる暇ないからその時は勉強よろしくね」

「いや、真由美は一高の主席入学だから・・・」

 

 俺の力なんて借りなくても大丈夫だろと言おうとしたが・・・

 

「悠馬くん、この世の中に絶対なんてものは絶対に無いのよ」

 

 それ言われたら、俺も黙るしかなかった。

 

「あ、じゃあ、ボクも悠兄ぃに家庭教師を」

「私もお願いしてよろしいでしょうか?」

 

 ハハハ、家庭教師って事でお給料が貰えないか後で真剣に弘一さんに聞いてみようと決心した俺であった。

 

◇◇◇

 

 午後7時。七草家の客間で俺達は夕食を口にしていた。勿論、弘一さんもこの場に居る。

 

「悠馬くん。聞くところによると模擬戦で十文字君を倒したようだね。なんでも、君の固有魔法を使ったとか」

「えぇ。克人さん相手には出し惜しみ出来ないので、固有魔法を使ってどうにか勝つ事が出来ました」

 

 まぁ、『未現物質』を使ってないから嘘なんだが。とはいえ、俺が人前で使用したりしない限り、向こうはそれを知る術が無いのだから問題ないだろう。

 

「凄い・・・凄いよ。悠兄ぃ!」

「流石です、悠馬お兄さま!」

「失礼を承知で、その固有魔法について聞いても良いかい?」

「構いませんよ」

 

 聞かれたくなかったら、あの場で『一方通行』について話したりしていない。

 

「俺の固有魔法は、一方通行と書いてアクセラレータと呼んでいる物です。で、どういう魔法なのかと言いますと、効果範囲に触れたあらゆるベクトルを観測・操作するものです」

「それは、運動量だけじゃないのかい?」

「えぇ。ベクトルがある物なら何であれ、観測・操作可能です。運動量は勿論、熱量でも電気量でもベクトルがあるのなら俺の設定した効果範囲に触れた瞬間、そのベクトルを観測し、意のままに操れます」

「・・・それは魔法もかい?」

「勿論、ベクトルがあるのなら魔法だろうと観測・操作可能です」

 

 それを聞いて、弘一さんは押し黙る。

 一方通行のチートっぷりに気づいただろうか。

 

「悠兄ぃ、それって私達にも出来るの?」

「無理」

 

 それだったら、何の為の固有魔法だって言いたくなるわ。

 

「悠兄ぃ、そんなきっぱり即答しなくても・・・」

「この魔法は、観測したベクトルを頭の中で計算した後に、好きな方向に操作するのを魔法演算領域で変数として処理してるんだ。他にも、変数として処理しなきゃいけない項目もあるのに、それらを含めて全て一瞬で済ませないとこの固有魔法は意味を為さないぞ」

「つまり、悠馬お兄さまの固有魔法である『一方通行』を再現するには、高い演算能力と処理速度が無ければ成立しないという事ですか?」

「そうだな。演算能力は最低でもスパコン並みじゃないと、この固有魔法は十分にその力を発揮出来ないだろうな」

 

 後は、観測したベクトルをどういう物なのか理解する頭脳も必要になってくるのだろうか?確か、原作では魔術の存在なんて知らなかった頃の一方通行は、エイワスの攻撃を反射出来ずに身体を貫かれている。

 となると、自分の知らないor理解出来ないベクトルは操作不可の可能性は高いだろう。一応その点を考慮して、小さい頃から猛勉強してきたから、観測したベクトルが理解出来ないなんてケースは今のところ無いが、これがもしも本当ならば『一方通行』が難度の高さにより拍車が掛かっている。

 

「話せる事は話せましたが、これで満足しましたか?」

「あぁ。ありがとう」

 

 その後も、真由美立場と談笑を交えながら夕食会は続いていった。

 ちなみに、真由美達に家庭教師になってくれとの旨を伝えたら、七草家当主ではなく、娘達の父親として給料を支払うと言ってくれた。

 これに対して、真由美達は大いに喜び、普段なら狸親父と呼んでいる真由美も弘一さんの事を見直したとか見直していないとか。

 という訳で、早速家庭教師として3人に勉強を教える羽目になる俺であった。

 

◇◇◇

 

 夕食を終えた後、私は自身の書斎で彼の言っていた事を思い返していた。

 彼の固有魔法である『一方通行』。それは、ありとあらゆるベクトルを観測し、操作するという常軌を逸した規格外な魔法であった。

 これが意味する事は、彼には魔法を含めたありとあらゆる攻撃が通用しないという事である。

 

「九島家にこんな隠し球があったとは」

 

 彼の存在は、十師族のパワーバランスを崩壊しかねない。

 幸い、娘達は彼と仲が良い。特に、真由美は彼に好意を抱いているだろう。

 

「彼を引き込めば七草はさらに力を増し、四葉をも超える力を手にする事が出来る」

 

 それは、"彼女"・・・四葉真夜を見返す事が出来るという訳だ。

 

「そういえば、彼は何処となく真夜と似ているような・・・いや、気のせいか」

 

 もし、仮に似ていたとしても偶然に過ぎない。彼と真夜にそんな繋がりなど無いのだから・・・




 如何でしたか?
 悠馬と真由美・・・というよりは、七草3姉妹とは新たに家庭教師とその生徒という繋がりを得ました。
 七草3姉妹は現時点では受験生・・・ただし、真由美さん。貴方の家庭教師は年下なのですが、よろしいので?
 悠馬も悠馬で、達也と深雪の入学先を知り得る情報筋がある上に四葉真夜と何処となく似ているーーまぁ、七草弘一は気のせいや偶然で片付けましたがーーようです。
 果たしてこれが意味する事は一体・・・という事で、次回もお楽しみに。
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