今回は達也のクラスメイトであるアあの娘達と、悠馬の特典の一部が登場します。
それに加え、前回の投稿後にご指摘をいただき第1話の「一方通行と同等の頭脳」を「一方通行と同等の演算能力」に変更させていただきました。ご指摘してくださったニャー様(絵文字は分からなかったので省略させていただきました。誠に申し訳ございません)ありがとうございました。
さらに、K356様、罪悪感様、わけみたま様、F5ダンス様評価していただきありがとうございました。
ではでは、第4話をどうぞ。
俺のIDカード発行という用事に付き合わせしまう事になってしまったが無事に野次馬から離れる事に成功した。
IDカードは、予め各人別のカードが作成されているわけではなく、個人認証を行ってその場で学内用カードにデータを書き込む仕組みなので、どの窓口でも近くに行って手続き可能なのだが、此処でも一科生と二科生の壁は存在しており、一科生と二科生の窓口は別とでも言いたいかのように分けられていたが、俺達は敢えて二科生が多い窓口へ向かった。後ろの人垣は一科生が大半であり、彼らはプライドが高い者が多い。そんな奴らはいくら深雪とお近づきになりたいとはいえ二科生の固まっている所へは近づきたくないだろう。実際、窓口の中には俺達以外に一科生は入ってきていない。
中で騒ぎになるような事も無く俺がIDカードを受け取ると、深雪が問い掛けてきた。
「悠馬さん。クラスは何処でしたか?」
「A組だよ。深雪は何処のクラスだったんだ?」
「悠馬さんと同じA組です。これからよろしくお願いします」
「あぁ、よろしく」
深雪との会話の最中に真由美の顔が偶然見えたのだが何故か不機嫌そうだった。
(俺なんかやらかした?真由美が不機嫌になるような事なんて俺には心当たりが全く無いんだけど・・・)
「さっきからずっと司波さんと仲良さそうに話しているわね」
「ど、どうしたんだ?急に」
「せっかくこんな美少女が隣にいるのに・・・そうよね、司波さんは私なんかよりずっと可愛いものね」
「あの、真由美さん?もしかして怒ってます?」
「ぜ〜んぜん。これっぽっちも怒ってないわ」
怒ってないなんて言ってるが、それが嘘なのは真由美の様子を見てすぐに分かった。何が原因で気を悪くしているのか今も全く分からないが。
「何が原因で怒っているのか分からないけど、真由美の気に障るような事を俺がしたから怒ってるんだよな。ごめん」
「別に怒ってないのに・・・でも良いわ、許してあげる。その代わり今週の週末に何処かに連れてってね」
「分かった。それで機嫌が直るなら」
なんやかんやで許してくれた。結局何が原因だったのか分からなかった。これからは自分の言動や行動に気をつけなくては。
「それでこれからどうするの?此処にずっと居れないでしょ」
「それなんだけど、この後、俺と深雪は達也と合流する事になっているから、ひとまず合流しても良いか?」
「あら司波くんと?」
「あぁ、駄目か?」
「全然大丈夫よ。司波さんも早くお兄さんに会いたいでしょ?」
「はい、ありがとうございます。七草生徒会長」
「長いから『会長』で良いわよ」
「分かりました。会長」
「それじゃあ、行きましょうか」
今後の行動方針も決まり窓口のある建物から出ようとしていたのだが・・・
「ちょっと待て!!」
「え?」
「どうしたのですか、悠馬さん?」
2人が怪訝そうな様子で尋ねてくるが俺は何も言わず、転生の特典として得たある能力を使う為に目を閉じて集中する。
俺が今、何をしているのかというと、情報体次元であるイデアにアクセスし周囲を調べていた。
この能力は、俺が特典を決める時に言った「起動式を読み取る能力」に該当するものであり能力名は『
そして、その能力はイデアにアクセスし、「存在」を認識出来るといったものだ。とはいえ、現代魔法(「超能力」と呼ばれていた異能を体系化した現在主流の魔法構築式)はイデアを経由してエイドス(イデアに存在する情報体であり、現実世界における全ての事象は、このエイドスに記録されている)に魔法式(エイドスを一時的に変える為の情報体)を投射する為、現代魔法を扱う魔法師は皆、イデアにアクセスする能力を持っており、『
ただし、その「拡張」がもたらす効果は絶大だ。何せ、この世界に実体を持って存在する限り、イデアにエイドスを刻まぬものは無いのだから。
また、五感や物理次元の感覚の拡張に過ぎない「透視」や、補助システムのもたらす情報によって魔法の座標を定めるのではなく、エイドスを認識して直接照準することも出来る為『
達也もイデアへのアクセスを拡張させる能力『
そして、俺と達也が起動式を読み取る事が出来るのも起動式の「意味」をこの能力で理解出来るからだ。俺はてっきり起動式を読み取るだけかと思っていたのだが、まさか『
そんな訳で、棚からぼた餅にも等しい『
(入り口の横に2人、周りの木の裏に5人か・・・)
「はぁ〜・・・」
「どうしたの?悠馬くん」
「真由美、マルチスコープで外を見てみ」
「分かったわ」
『マルチスコープ』とは、実体物を様々な方向で知覚する遠隔系知覚魔法だ。視覚的な多元レーダーのようなものだが、あくまで実体物をマルチアングルで見るものであって非物質体や情報体を見るものではない。だが、実体を持っていれば何処に隠れていようとすぐに見つけることができる。
「7人も隠れているじゃない。しかも、はんぞーくんも居るし」
「は、はんぞーくん?」
「生徒会副会長よ。ほら、私の後ろに男子生徒が居たでしょ?」
「あぁ、なんか居たな」
「会長。その人とは一緒じゃなくても良いんですか?」
「大丈夫よ。一緒に居なくちゃいけないって訳じゃ無いから」
「それなら良いんですけど・・・悠馬さんどうしますか?」
「そうだな。このまま普通に外に出たらそのまま囲まれるだろうし・・・」
「それなら裏口を通りましょう。さっき『マルチスコープ』で確認したけどそこには人がいなかったし」
「分かった。行こう、深雪」
「はい、悠馬さん」
俺達は人のいない裏口から外へ出た。とはいえ、入り口付近に固まっているとは限らない。『
(達也は・・・講堂の出口の隅っこか・・・)
俺達が講堂から出た出口とは違ったが戻る事になるとは。しかも近くには多くの生徒で溢れているし周囲を盗聴したら深雪を探している奴もいたので素直に近づけない。
(あれを使うか・・・・)
俺は特典の一つである『
ここまでなら同じなのだが、『
だが、領域魔法というのは対物魔法に比べて難しいとされている。それは、対物魔法と比べて魔法の対象を特定するのが難しいからだ。
対物魔法は物体の属性を改変させ、領域魔法は空間の性質を改変させるものだが、この時点で事象を改変する難度はそれほど変わらない。問題は、性質を改変させる領域と書き換えない領域の区別をどうやってつけるかにある。
壁や天井や柵などの目に見える仕切りで区切られている場合は簡単だ。しかし、野外などの何の仕切りもない開放空間で、特定の空間を切り出して定義するのはかなり難しいのだ。
因みにこの『
「真由美、今から魔法使うけど内緒にしてくれ」
「え?」
「それと、目の前が暗くなるだろうけど落ち着いてて」
「それは、どういう・・・」
「それじゃあ、2人とも近づいて」
俺は真由美と深雪を俺に近づけさせる。別に近づけさせなくても良いがこの後、何にも見えなくなるので近くに居て貰った方が良いだろう。
「それじゃあ、行くぞ」
俺は『
「ちょっと、悠馬くん。暗いんだけど」
「さっき暗くなるって言っただろ」
「まさか、こんなに暗くなるなんて思ってなかったんだもん」
そう言って真由美は俺の右腕にしがみついてくる。いきなりしがみついてきて心臓はドキッとして鼓動も早くなるしなんか柔らかい物(ご想像にお任せします)が当たっているので嫌でも意識してしまう。
『
「お待たせしました。お兄さ・・・ま・・・?」
だがこの時、俺は気づかなかった。達也の隣に赤毛の美少女と眼鏡をかけた女子生徒が居る事に。そして、それを見た深雪から冷気が放出されてポカポカな春の陽気から冬の寒さへと普通に考えたらあり得ない変化が発生していた。
「深雪?」
「あら、お兄様。早速クラスメイトとデートですか?」
可愛らしく小首を傾げ、含むところなんてまるでありませんよ、と淑女の微笑みで問いかけているが、目が笑っていなかった。
しかも、後ろを見れば目立っていたからか野次馬が集まっていた。野次馬の対処はどうすれば良いのか分からないのでひとまず無視する事にして深雪達の方に意識を傾ける。
「そんな訳ないだろ、深雪。お前を待っている間、話していただけだ。こちらは同じクラスの・・・」
「千葉エリカです。よろしくねっ」
「柴田美月です。よろしくお願いします」
「はじめまして、千葉さん、柴田さん。司波深雪です。私も新入生ですので、お兄様同様、よろしくお願いしますね」
「はじめまして、深雪。あっ、深雪って呼んでも大丈夫?」
「ええ、どうぞ。苗字では、お兄様と区別がつきにくいですものね」
「ありがとう。あたしのこともエリカでOKよ」
「私も美月って呼んでください」
誤解も解け、深雪から放出された冷気も収まると、冬の寒さからポカポカな春の陽気に戻っていた。
そして、何食わぬ顔で今此処に突っ立っているが、まだ会った事の無い原作キャラに会えて結構興奮している。今思えば転生して結構な数の原作キャラに会って、一部の原作キャラとは血縁関係になるなんて前世の俺には想像すら出来なかっただろう。
「ねぇねぇ、君は?」
そんな物思いにふけっていたからか俺はエリカに声を掛けられている事に気付かなかった。
「ごめん、考え事していて気づかなかった。俺は九島悠馬。気軽に悠馬って呼んで」
「OK、悠馬。私もエリカで良いよ」
「よろしくお願いします、悠馬さん。私も美月で良いですよ」
「分かった。よろしく、エリカ、美月」
それからは、深雪とエリカと美月が話し込み、俺は時々相槌を打つ感じだったが、俺の意識はずっと後ろにむけていた。真由美の隣にはさっきまでいなかった男子生徒(たぶん真由美にはんぞーくんと呼ばれていた人だろう)がいて何が話していた。
真由美は男子生徒を制止するかのように右手を男子生徒の前に出し口を開いた。
「それでは深雪さんと悠馬くん、今日はこれで。司波くんもいずれまた、ゆっくりと」
会釈して真由美は立ち去った。真由美の隣にいた男子生徒が振り返り、舌打ちの聞こえてきそうな表情で達也を睨むと真由美の後ろに付いて行った。
どうやら達也は入学早々、上級生、しかも生徒会役員(おそらく副会長)の不興を買ってしまったようだが、あれはもう回避するのは不可能だろう。まぁ、達也は家の関係上こういうのに慣れてしまっているのであまり気にしてないだろうが、深雪はそういう訳にはいかないようだ。
「すみません、お兄様。私の所為でお兄様の心証を」
「お前が謝ることじゃないさ」
表情を曇らせた深雪のセリフを最後まで言わせずに達也は首を横に振って、ポン、と深雪の頭に手を置いた。そのまま、髪を梳くように撫でると、沈んでいた表情は陶然の色を帯びる。傍から見たら危ない兄妹に見えるだろうが、俺は見飽きてるし、美月もエリカもその事については何も言わなかった。
「せっかくですから、お茶でも飲んでいきませんか?」
「賛成!学校の近くに美味しいケーキ屋さんがあるらしいんだ」
その代わりに投げ掛けられたのは、ティータイムのお誘い。
「俺も予定がある訳じゃ無いし大丈夫だ」
「お兄様、どういたしましょうか?」
深雪は達也に判断を仰ぐようだ。自分よりも達也を優先する辺り相変わらずのブラコンっぷりである。
「いいんじゃないか、せっかく知り合いになったことだし。同性、同年代の友人はいくらいても多過ぎるという事はないだろうから」
そして、深雪への質問が即答で返ってくる辺り、これは達也の本音だろう。それに、達也の事だから深雪の誕生日祝いに何処か適当な所で昼を済ませて帰ろうとか考えてたかもしれないしな。
「司波くんって、深雪の事になると自分は計算外なのね・・・」
「達也は筋金入りのシスコンだからな」
「でも、それって妹思いってことですよね」
「度は過ぎるけどな」
この言葉に達也は苦い顔で黙り込んだまま、俺達はエリカの案内でケーキ屋に向かうのであった。
如何でしたか。
今までは二千文字程度でしたが今回は五千文字と最長です。しかも、長くなった原因が主に解説という事態です。
これは設定資料とか作った方が良いのでしょうか?少なくとも作者はアニメやラノベを買っている(来訪者編までですが)とはいえサイオンとかあまり詳しく説明でき無いので自分の為にも作ろうかどうか迷ってますが、皆様の反応次第で辞めたりもするのでどうなるか分かりません。
なんとも行き当たりばったり感が否めませんがまた次回お会いしましょう。