魔法科高校とチート転生者   作:カトポン

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 皆さん、お久しぶりです。
 大学入試がやっと終わり久しぶりに書けました。まぁ、他の作品を投稿したりしてかなり遅くなってしまいましたが。
 という訳で、久しぶりの第8話をどうぞ。


第8話 一科生(ブルーム)二科生(ウィード)の確執

 森なんたらの言葉で食堂には早くも不穏な空気が流れていた。

 

「二科は一科の「ただの補欠(・・・・・)」だ。授業でも食堂でも一科生が使いたいといえば席を譲るのも当然だろう?」

 

 暴論以外の何物でもない言動だが、森なんたらと一緒にいる一科生はさも当然といった顔である。魔法力は優れてていても人間性は只の屑のようだ。

 

「と言う訳で席を譲ってくれないか?補欠くん」

 

 いくらなんでも暴論過ぎると思い抗議しようとするが・・・

 

「分かった。俺はもう終わったから行くよ」

 

 達也はそう言って椅子から立ち上がる。

 

「良い心がけだ」

 

 森なんたらは礼も言わず席を譲ってくれたのは当たり前といった反応である。

 

「他の3人も見習って欲しいものだ・・・さ、司波さん空きましたよ」

「え・・・でも、私はお兄様と一緒に・・・」

「それはいけない。ウィードは所詮スペア。一科生とニ科生のけじめをつけないと・・・」

「スペ・・・ッ」

 

 いくらなんでも言い過ぎにも程がある。というか、この学校には風紀委員がある筈なのになんで誰も取り締まらないんだよ。

 別に此処は原作通りじゃなくて良いのに。

 

「皆もそう思うだろ?」

「そうだ!自重しろよウィード!」

「僕達は親睦を深めないといけないんだ!」

「そうよそうよ」

 

 少なくとも俺はこんな奴らと親睦なんて深めたくないんだけど。

 

「アホらし。私達も行こ」

「あぁ」

 

 エリカと達也達と一緒に居た男子生徒が席から立ち上がる。

 達也は口パクで「騒ぎは起こさない方が良い」と俺達に伝える。

 深雪にも通じたようで、俺達は小さく頷く。達也は俺に「深雪を頼む」と口パクで伝えると、美月やエリカ達と一緒にその場を後にした。

 

 午後からは、遠隔魔法用実習室(通称「射撃場」)で、3ーAの実技が行われていた。

 3ーAといえば、生徒会長である真由美の所属するクラスだ。

 生徒会は必ずしも成績で選ばれるものではないが、真由美は遠隔精密魔法の分野で10年に1人の秀才と呼ばれ、それを裏付けるよいに数多くのトロフィーを第一高校にもたらしていた。

 当然、そんな事は昔から知っているし、新入生でも耳にした事がある人はいるだろう。

 真由美の実技を見ようと、大勢の新入生が詰め掛けたが、見学出来る人数は限られている。一科生に遠慮してしまう二科生が多い中で、達也グループ(食堂で一緒に居た人達)が堂々と最前列に陣取っていた。

 勿論、凄く目立っていた。悪い意味で・・・

 

 

 そして、放課後・・・

 

「いい加減諦めたらどうなんですか?深雪さんと悠馬さんは、達也さんと一緒に帰ると言っているんです。他人が口を挟む事じゃないでしょう」

 

 美月が啖呵を切っていた。相手は俺のクラスの生徒。昼休みの時の森・・・なんだっけ?森・・・森・・・そうそう森川だ。

 その森川と昼休みに居た奴らが、放課後、深雪と俺を待っていた達也に、深雪と俺にくっついて来たあいつらが難癖を付けたのが発端だ。

 

「別に深雪さんと悠馬さんは貴方達を邪魔者扱いなんてしてないじゃないですか。一緒に帰りたかったら、ついてくればいいんです。なんの権利があって3人の仲を引き裂こうとしているんですか」

 

 一科生の理不尽な行動に、美月が切れた。

 これには意外と思ったが、美月は丁寧な物腰ながら最初(・・)は容赦なく正論を叩きつけた。そう、最初(・・)だけは・・・

 

「引き裂くって言われてもな・・・」

「俺は美月にどう思われてるんだ・・・」

 

 俺と達也は、少し離れた場所で呟く。

 俺達2人は思う。何かが決定的にずれてきていると・・・

 

「み、美月は何をかかか勘違いしているのでしょうね」

 

そして、深雪は何故か慌てていた。

 

「深雪・・・何故お前が焦る」

「えっ?い、いえ焦ってなどおりませんよ?」

「なんで疑問形?」

 

 俺達3人も混乱している中、達也の友人達はますますヒートアップしていた。

 

「僕達は彼女に相談する事があるんだ!」

 

 と、1ーAの男子生徒その1。

 深雪に何を相談したいのか見当もつかない。

 

「私達は九島くんに聞きたい事があるのよ!」

 

 と、1ーAの女子生徒その1。

 一体、俺の何を聞きたいのか見当もつかない。

 

「ハン!そういうのは自活(自活動)中にやれよ。ちゃんと時間が取ってあるだろうが」

 

 達也と一緒にいた男子生徒が威勢よく笑い飛ばす。

 

「相談とか聞きたい事があるんだったら予め本人の同意を取ってからにしたら?深雪や悠馬の意思を無視して勝手な事言ってるけど、高校生にもなってまだそんな事も知らないの?」

 

 相手を怒らせる事が目的のようにしか思えないエリカのセリフと態度に、案の定男子生徒その1が切れた。

 

「煩い!他のクラス、ましてやヴィードごときが僕達ブルームに口出しするな!」

 

 差別的ニュアンスがあるとされ、「ウィード」という単語は校則で禁止されている。あってないようなルールだが、それでもこれだけ多くの耳目を集めている状況で使用される言葉ではない。

 この暴言に真っ正面から反応したのは、やはりというか意外というか(たぶん「やはり」だろうが)、美月だった。

 

「同じ新入生じゃない。あなた達ブルームが、今の時点で一体どれだけ優れているというんですかっ」

 

 決して大声を張り上げたわけではなかったが、美月の声は、不思議と校内に響いた。

 

「・・・あらら」

「やっちまったな・・・」

 

 まずい事になった、という思考が、俺と達也の口から短い呟きとなって漏れた。

 俺達の呟きは、一科生の押し殺した声にかき消され、隣にいた深雪にしか聞こえなかった。

 

「・・ブルームがどれだけ優れているか、知りたいなら教えてやるぞ」

 

 美月の主張は校内のルールに沿った正当なものだが、同時に、ある意味でこの学校のシステムを否定するものだ。

 

「ハッ、おもしれぇ!是非とも教えてもらおうじやねぇか」

 

 一科生の威嚇とも最後通牒とも取れるセリフに、達也と一緒にいた男子生徒が挑戦的な大声で応じる。誰が見ても分かる通り完全に「売り言葉に買い言葉」状態だ。

 

「だったら教えてやる!」

 

 森川が制服からCADを取り出す。

 学校内でCADの携行が認められている生徒は生徒会役員と一部の委員のみ。そして、学外における魔法の使用は、法令で細かく制限されている。

 だが、CADの所持が校外で制限されている訳ではない。

 CADは今や魔法師の必携ツールだが、魔法の行使に必要不可欠という訳ではない。それこそ俺がCAD無しで『一方通行(アクセラレーター)』を使ったようにCADが無くとも魔法は使える為、CADの所持そのものを法令で禁じていない。

 故に、CADを所持している生徒は、授業開始前に事務室へ預け、下校時に返却を受ける、という手続きになっている。その為、下校途中である生徒がCADを持っているのは、別におかしいことではない。

 

「特化型っ!?」

 

 ただし、それが同じ生徒に向けられるとなれば、異常事態、いや、非常事態だ。向けられたCADが、攻撃力重視の特化型なら尚の事である。

 見物人の悲鳴をBGMに小型拳銃を模した特化型CADの「銃口」が達也と一緒にいた男子生徒に突きつけられた。

 

「お兄様!悠馬さん!」

 

 深雪の言葉が終わらぬ内に、達也は右手を突き出し、俺は右足に力を入れていた。

 が、達也と俺の行動はこの場では、何の結果も生まなかった。

 何故ならば

 

「なんだ今のはっ!?」

 

 森川の驚いた声が響き渡る。

 それもその筈、森川が驚いていた小型拳銃形態のCADは、彼の手から弾き飛ばされていた。

 そしてその眼前では、何処からか取り出した伸縮警棒を振り抜いた姿勢で、エリカが笑みを浮かべていた。彼女の笑顔に、動揺や焦りの残り香はない。風格すらも漂わせる鮮やかな残心を見るだけで、そんなものは最初から無かったのだと一目で解る。

 

「この間合いなら身体を動かした方が速いのよね」

「それは同感だがテメェ今、俺の手ごとブッ叩くつもりだったろ」

 

 残心を解いた途端、軽い雰囲気に戻って得意げに説くエリカに答えたのは、CADを掴みかけた手を危ういタイミングで引いた達也と一緒にいた男子生徒だった。

 

「あ〜らそんなことしないわよぉ」

「わざとらしく笑ってごまかすんじゃねぇ!」

 

 警棒を持つ手の甲を口元に当てて「オホホホホ」と、ごまかす気があるのかどうかも定かでないごまかし笑いを振りまくエリカ。達也と一緒にいた男子生徒が憤慨するのも致し方ない。

 

「本当よ。躱せるか、躱せないかぐらい、身のこなしを見てれば分かるわ。アンタってバカそうに見えるけど、腕の方は確かそうだもの」

「・・・バカにしてるだろ?テメェ、俺のこと頭からバカにしてるだろ?」

「だからバカそうに見える、って言ってるじゃない」

 

 目の前にいる一科生を忘れて、差し向かいでギャアギャアと漫才を繰り広げている2人に、俺も達也も深雪も、誰もが呆気にとられていたが、いち早く我を取り戻したのは彼らと向かい合っていた俺と深雪のクラスメイトの方だった。

 森川ではなく、その背後にいるほのかが腕輪形状の汎用型CADへ指を走らせた。ほのかが発動させようとしているのは目眩しの閃光魔法で、たぶん、一科生を止めようとしているのだろう。

 だが、その魔法は発動する事はなかった。

 展開中あるいは読み込み中の起動式に外部からサイオンの塊を撃ち込まれると、起動式を形成するサイオンのパターンが攪乱され、効力のある魔法式が構築されず、魔法は未発のまま霧散する。

 そう、今のように。

 

「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」

 

 ほのかのCADが展開中だった起動式が、サイオンの弾丸によって砕け散っていた。

 サイオンそのものを弾丸として放出する、魔法としては最も単純な形態ながら、起動式のみを破壊し所有者本人には何のダメージも与えない精緻な照準と出力制御は、射手の並々ならぬ技量を示している。

 その声を聞いて、ほのかは魔法によるもの以外の衝撃で蒼白となった。よろめいたほのかの背中を、雫が抱き留めている。

 ほのかが声を聞いたただけで顔面が蒼白なり、並々ならぬ射手の技量を持つ人物といえば俺は1人しか知らない。

 警告を発し、サイオン弾で魔法の発動を阻止したのは、生徒会長の真由美だった。

 

「あなた達、1ーAと1ーEの生徒ね。事情を聞きます。ついて来なさい」

 

 冷たい、と評されても仕方ない、硬質な声でこう命じたのは、真由美の隣に立った女子生徒。入学式の生徒紹介によれば、彼女は風紀委員長、渡辺摩利という名の3年生だ。

 渡辺先輩のCADは既に起動式の展開を完了している。

 ここで抵抗の素振りでも見せれば、即座に実力が行使されるのは想像に難くない。

 この場にいる殆どの者は言葉なく硬直している。

 そんな中、達也は泰然とした足取りで、しずしずと背後に付き従う深雪と共に、摩利の前へ歩き出した。

 達也の行動に、渡辺先輩は訝しげな視線を向けるが、その眼差しに達也は動ずることなく受け止め、礼儀を損なわない範囲で軽く一礼した。

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました」

「悪ふざけ?」

 

 唐突に思えるそのセリフに、渡辺先輩の眉が軽く顰められる。

 

「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学の為に見せてもらうだけのつもりだったんですが、あんまり真に迫っていたもので、思わず手が出てしまいました」

 

 あ、森川じゃなくて森崎か。

 渡辺先輩は、エリカが手にする警棒と、地面に転がった拳銃形態のCADを一瞥し、視線を巡らせ違法にCADを使おうとした森崎とほのかを震え上がらせてから、達也を見て、冷笑を浮かべた。

 

「では、その後に1ーAの女子が攻撃性の魔法を発動しようとしていたのはどうしてだ?」

「驚いたんでしょうね。条件反射で起動プロセスを実行してしまったんでしょう」

 

 今度は、俺が前に出て答えた。

 森崎の事を何にも知らなかったが、それっぽい事を言って誤魔化す。

 

「君達の友人は、魔法によって攻撃されそうになっていたわけだが、それでも悪ふざけだと主張するのかね?」

「攻撃といっても、彼女が発動しようと意図したのは、目くらましの閃光魔法ですよ」

「それも、失明したり視力障碍を起こしたりする程のレベルではありませんでしたし」

 

 再び、息を呑む気配。

 渡辺先輩の冷笑が感嘆に変わる。

 

「ほぅ・・・どうやら君達は、展開された起動式を読み取る事ができるらしいな」

 

 起動式は、魔法の設計図であり魔法式を構築する為のプログラム・・・要は膨大なデータの塊だ。

 魔法師は、魔法式がどのような効果を持つものであるかについては、直感的に理解することができる。魔法式がエイドスに干渉する過程で、改変されまいとするエイドス側からの反作用により、魔法式がどのような改変を行おうとしているのかを読み取ることが可能だ。

 だがそれ単独ではデータの塊に過ぎない起動式は、その情報量の膨大さ故に、それを展開している魔法師自身にも、無意識領域内で半自動的に処理することができるのみ。

 起動式を読む、ということは、画像データを記述する文字の羅列から、その画像を頭の中で再現するようなものだ。

 ()()()()理解することなど、()()()できない。が、俺も達也も()()()出来ない事を出来たりする魔法師だ。

 

「実技は苦手ですが、分析は得意です」

「俺は実技も分析も人並み以上には得意だと思ってるんで」

 

 達也は事も無げに、「分析」の一言で片付け、俺もそれに倣う。

 

「・・・誤魔化すのも得意のようだな」

「誤魔化すなんてとんでもない。隣に居る奴はともかく、自分は只のニ科生です」

 

 達也がそう言うと、矢面に立っていた兄を庇うように、深雪が進み出る。

 

「兄と悠馬さんの申したとおり、本当に、ちょっとした行き違いだったんです。先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」

 

 達也と俺とは違い、微塵の小細工もなく、真正面から深々と頭を下げられて、渡辺先輩は毒気を抜かれた表情で目を逸らす。

 

「摩利、もういいじゃない。達也くんに悠馬くん、本当に只の見学だったのよね?」

 

 その言葉に俺と達也は笑みを浮かべると、真由美は何となく、得意げに見えるーーまるで「貸し一つ」とでも言いたげなーー笑みを浮かべた。

 

「生徒同士で教え合うことが禁止されているわけではありませんが、魔法の行使には、起動するだけでも細かな制限があります。このことは一学期の内に授業で教わる内容です。魔法の発動を伴う自習活動は、それまで控えた方がいいでしょうね」

 

 真面目な表情に戻って訓示を垂れる真由美の後を受けーー本性を知っている俺からすると違和感満載ーーて、渡辺先輩もまた、形式を意識した言葉遣いで審判を下した。

 

「・・・会長がこう仰られていることでもあるし、今回は不問にします。以後このようなことの無いように」

 

 慌てて姿勢を正し、呉越同舟なから一斉に頭を下げる一同に見向きもせず、渡辺先輩は踵を返した。

 が、一歩踏み出したところで足を止め、背中を向けたまま問いかけを発した。

 

「君達の名前は?」

 

 首だけで振り向いた切れ長の目は、達也と俺の姿を映している。

 

「一年E組、司波達也です」

「一年A組、九島悠馬です」

「覚えておこう」

 

 そう言い残し渡辺先輩はその場を去るのだった。




 如何でしたか?
 後半、主人公が何もしていませんが達也さんが有能過ぎて何も出来なかった。
 主人公は生徒会からの勧誘を受けているので摩利さんに関わる事は達也よりかは少ないとはいえ何かしらさせたかった。
 と、こんな感じで不定期の駄文ですが、これからも読んでいただけると幸いです。

追記
流石にアレだったんで、後半は修正しました。
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