エピローグと言ったな。あれは嘘だ!
噂の後日譚の後日譚というやつさ!!!
まさか、投稿されるとはわたしも思っていなかった!!
あのまま綺麗な形で終わるのも良かったけれど、わたしの筆が動いた!ごめん!!砂糖が足りなかった!!!
尊くて可愛い可愛いトガちゃんにナニが勃ってしまったそこの罪深い君!!!こっそり感想で教えに来なさい!!怒らないから!!
完結したのに、これを見に来てくれた方は間違いなくわたしのファン!!よろしく!!
【挿絵表示】
挿絵を挿入しました!!トガちゃん可愛い!!!
愛の逃走★挿絵あり
白い砂浜が見渡す限り一面に続いており、透き通ったエメラルドグリーンの海から聞こえる小波は、まるで僕たち2人を静かに、そして優しく祝福していた。
しかし、太陽の光がその身を焦がすかのように情熱的に僕たちに降り注ぐ。この身を焦がす恋の炎のように。
「デクくん…!やっぱりわたしぃ…もう我慢できないよ…!」
「ト、トガちゃん…こ、こういうのは順序を踏んでからの方が…」
耳元で、どこまでも甘い声が囁かれる。声を聞くだけで胸が高鳴り、顔が真っ赤になる。
「えへへ…デクくんも、したいよねぇ…!!」
まるで発情期の猫のような矯声を発し、発情した顔の悪魔が僕を拐かす。彼女を視界に入れるだけで頭が働かなくなり、正常な思考が出来なくなる。
「デクくんの口からも言ってほしいなぁ…」
ニヤニヤとこちらを見上げ、要求を突きつけられる。彼女のこれは要求ではなく、強制と言った方が正しいか…!
「ぼ、僕の口から…そんなこと…!」
期待に目を輝かせるトガちゃん。やめて下さい。僕はその目に弱い。
「そ、その…海で…!」
声が上擦る。胸が張り裂けそうだ。
「うんうん。海で、海で?」
続きを促すお姫様。彼女は両手を握りしめもう一声、もう一声と、身を乗り出し、僕に催促する。
「海で…!!!」
その言葉を口に出す。自分の想いを全てぶつけるように。
「海で!!!泳ぎたーい!!!!」
「いぇーい!!!!行きましょう!!今すぐ!!!なうです!!」
ここまで静かで綺麗な絶好のデートスポットでやること!!それは海で泳ぐ!!!メタイことを言えば、この小説はR-15だ!!!間違いは起こらない!!!
走り出すトガちゃん。彼女は赤いビキニを着ており、その白くて穢れの無い艶かしい肢体を太陽の元に惜しげもなく晒していた。いつもシニヨンにして結っている髪は下されており、綺麗な金色の艶髪はさらさらと柔らかく風に靡いている。
「待って!トガちゃん!!」
彼女の細くて綺麗な手首を掴み、引き留める。
「ぶー!なんですかー!!」
動きを止められて、ふくれっ面を見せるトガちゃん。その顔も可愛いよ。
「海に入る前に準備体操をしようね?」
「むー…わかりました。…準備体操やります」
不承不承に頷く。ごめんね、でも大事なことなんだ。
「トガちゃんが怪我しちゃったら僕、悲しいな。それにほら、ずっと笑顔を見ていたいかな」
「デクくん…!心配してくれたんだ!嬉しい!!」
ガバっと、抱きつかれる。僕の腰に足を絡ませて密着される。巷で言うだいしゅきホールドをなんとか踏ん張って受け止める。
「お、おもっ…!」
全体重を乗せられて、つい口を滑らせてしまう。し、しまった!
「そういうこと女の子に言うの、ダメだよねぇ…」
さっきまでの甘い雰囲気が嘘のように消え、彼女の目が恐ろしい程に鋭くなり、僕を睨みつける。そんな顔も可愛いのがトガちゃんのずるいところだけど、これは本格的にまずい!
「あっ、あはは…!かっ、軽いよ!もう羽みたい!ほら!」
その場で彼女を抱えてクルクルと回り必死に軽さアピールをする。この状態で機嫌を更に損ねればナイフが一切容赦なく殺意増し増しで飛んでくるので、最大限に注意しなければならない。僕が彼女としばらく過ごしてなんとか得た経験だ。
「んふふっ!仕方ないですね、そういうことにしてあげちゃいます!」
なんとか、首の皮は繋がったようだ。不用意な発言は死を招く。心の中で溜息が漏れる。次は気を付けねば!っと心の中で誓う。
彼女は僕から降りて白い砂浜に小さな足跡を付けていく。そして、そのまま、小走りで水の中に入り、膝辺りまでを浸からせる。
「ほら、デクくんも!はやく!!」
呼びかけに応える。しかし、何かを忘れているような…あっ!
「あー!準備体操してないじゃないか!!こらー!」
彼女を連れ戻しに駆け足で近づく。
「わ!デクくんが怒った!」
彼女は水に手を浸し、腰を屈めて、手をこちらに振るう。僕の顔面に飛びかかる水。反応が出来ずにモロに目に入り、海水の浸透圧が目を襲う。海の水って目に染みるよね。
「わぷっ!」
締まりのない声をあげてしまう。やったな!!
「あは!わぷって!わぷって!!」
ツボに入ったのかお腹を抱えながら、肩を上下させて可愛らしい笑顔で笑われる。ちょっと怒っていた感情が消え失せ、僕も釣られて笑ってしまう。
「仕返しだぁ!」
同じように水をかける。顔は狙わない。多分顔にかけたら、酷いことになると思うので。
「きゃあ!えへへ…!えーいっ!」
可愛らしい声を出すトガちゃん。僕たちは水を掛けあう。今を全力で楽しみ幸せそうに微笑むトガちゃんに僕の心も満たされてゆく。来てよかった…と。
そんな幸せは長く続かない。ボン、ボンという何かが爆破される音が次第に近づいてくる。あれは…!!
「クソ出久ぅぅぅぅぅぅぅ!!やっと見つけたぞゴラァ!!!!!」
僕たちの幸せを邪魔する存在。そう、あれは…かっちゃん!!
「まずい…!かっちゃんが来た!!トガちゃん!逃げよう!!」
トガちゃんの手を握り、走り出す。
「きゃー!見つかっちゃいました!!」
まるでこの状況も楽しむように、彼女は笑顔だ。す、すごいな…!あの凶暴な顔は間違いなく過去1でキレているのに。
「逃げんな!出久!!!イカれ女も出久を誑かしてんじゃねぇ!!!」
追いすがる彼の顔はもう、怖すぎて見れない。
「誑かすなんて!!出久くんが先にわたしを救ってくれたのです!!」
そ、そうだね!たしかにそうだけど!今暴露されるとちょっと恥ずかしいかな…!
「ご、ごめん!かっちゃん!!そういうことだから!!」
「待てやぁぁぁ!!!」
水の掛けあいをしていたら、いつの間にか鬼ごっこになっていました。僕たちは、彼に見つからないように森の中へ入り、その先にある薄暗い洞窟に隠れて、振り切る。
「はぁ、はぁ、見つかるのはや…!流石かっちゃん」
執念で、探してくる幼馴染みに舌を巻きながら、息を整える。
「えへへ…楽しかったです!ここも、また離れないとです」
目まぐるしく各地へ移動し、疲れているはずなのに彼女は笑顔を崩さない。
「トガちゃんは逃げるの、疲れていないの?」
だから、聞いてしまう。我慢しているなら、言ってほしくて。
「わたしは闇に潜むヴィランですから、逃げるのには慣れてます」
「それに、いつも一人で逃げてましたが、今は違います」
彼女は過去を思い出し、眼を伏せる。そして、満面の笑みで僕に言い放つ。
「隣にデクくんが居てくれてるだけで、何でも出来ちゃいます!」
胸が高鳴ってばかりだ。いつも彼女はどんな思いで逃げていたんだろうか。もうそんな思いはさせないと誓う。
「トガちゃん…」
「デクくん…!」
愛しい彼女を抱き寄せ、口づけをする。彼女が僕を離さないように、僕も彼女を離さない。
「んぅっ…今隠れたばっかなのに…こんなことしてちゃ見つかっちゃいます…」
「なんだか追われてると、余計にいけない気分になるよね?…スリルを味わいながらこういうことするのって」
「デクくん…変態です…!」
甘い甘い時間がやってくる。見つかるかもしれない。でも、そんな時だからこそスリルを味わいたくなる。ピンチはチャンスだ。
しかし。
「テメェの性癖なんて、どうだっていいよ、なぁ?」
入り口に陣取る乱入者。またもや、甘い雰囲気を散らしていく。
「大人しく捕まれや!!てめぇら!!!」
爆破で接近!トガちゃんをお姫様抱っこして、かっちゃんを躱す。そのまま入り口を抜け、全速力で逃げる。
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」
謝りながらも足は止めない。
「デクくん!速ーい!!!」
「待てやぁぁぁぁぁぁ!!!逃げんなぁぁぁ!!」
白い砂浜。エメラルドグリーンの海を背景に、僕たちは逃げ続け、かっちゃんはそれを追いかける。
でも、ごめん。捕まるわけにはいかないんだ。だから。
「トガちゃん!いくよ!」
「はい!デクくん!」
ボクたちは身を隠す。闇に紛れる。
「どこだぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
1人のヒーローを残して。
もう心残りはない…!!!!!さらば!!!