雄英高校のUSJで行われる災害救助訓練、ボク達ヴィラン連合はオールマイト殺害のため、そのタイミングに襲撃しに来た。
しかしまさか、ここで君の顔を見ることになるなんてね。
「久しぶりだね、かっちゃん」
「クソデクゥゥゥ!!!!」
こちらに一直線に迫る一人の生徒。爆豪勝己。ボクのかつての幼馴染みだ。
「爆豪!止まれ!」
ボサボサの恐らく教師であろう人物が止める。
「テメェェェ!!何しとんだゴラァァ!!」
「知り合いですか、緑谷出久」
「昔のね」
黒霧さんからの言葉を返す。
相変わらず、ヴィランよりヴィランしてるね。かっちゃん。
「無視してんじゃねぇぞクソナードがぁぁぁぁ!!」
爆破で加速しながら迫りくるかっちゃん。ボクは右手を払って生み出した風圧で遠くへ吹き飛ばす。
「クソがぁぁぁぁ!!」
「13号にイレイザーヘッドですか。先日頂いた教師側からのカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが……」
「どこだよ、せっかくこんな大衆引き連れてきたのにさ……平和の象徴、オールマイトがいないなんて。」
ボク達の後ろにはこの作戦を行うために連れてきたヴィランたちがいた。
「子どもを殺せば来るのかな?」
ニヤリと笑う弔くん。その顔は悪意に満ちていた。
「先生!侵入者用のセンサーは!?」
「もちろんありますが……」
「センサーが反応しねぇなら、向こうにそういう個性持ちがいる。馬鹿だがアホじゃねぇぞあいつら。……用意周到に画策された奇襲だ」
「13号!避難開始!上鳴!学校へ連絡を試みろ!」
イレイザーヘッドは指示をして、ヴィランの集団へと立ち向かう。
出入り口に向け避難を開始する13号と生徒たち、しかし。
「させませんよ」
黒霧さんがいつのまにかモヤを広げて立ち塞がっていた。彼なら作戦通りに生徒を散らしてくれるだろう。
「緑谷、お前はどうする?」
弔くんに尋ねられる。ここには脳無もいる。作戦では生徒を散らす予定だったが…ちょうど暇になってしまった。ボクもどこかへ行こうかな?
「待てやぁぁぁぁ!デェクゥ!!!!」
その必要は無かったようだ。彼に向き直る。今までは怖くて怖くて仕方なかったが、今はもう恐怖は消えていた。
「何かボクに言うことでもあるのかな?」
「テメェ……母親ほっぽりだしてなにしてやがんだ、あぁん!?」
「君にそんなこと言われるなんて心外だね。他でもない、君に……。ボクをいじめ続けて、ゴミみたいな扱いしてたくせに」
忘れもしない。幼い頃は無個性のくせに、反抗してきたボクを、動けなくなるまで爆破で攻撃されたり、中学までいじめてきたことを。
あの日には自殺教唆までしてきたくせに。
「クソナードがヴィランになっただけでずいぶん調子に乗ってるじゃねぇかよ!えぇ!!……ぶっ殺して、引き摺ってでも連れて帰る!!」
「へぇ……面白い冗談だね。ボクを連れて帰るだなんて。出来るものならやってみなよ」
手を眼前に突き出し、エネルギーを溜める。溜めたエネルギーを圧縮して闇色に光らせる。
「まぁ、無理だろうけどね」
人差し指を指して狙いを定めてレーザー光線を放つ。高速で飛来した光線はかっちゃんの頬を掠める。
「ふふ……避けないと死んじゃうよ?」
「っ!?」
今度はレーザーを間隔なくばら撒く。爆破で宙に逃げるかっちゃんに高速で接近して叩き落とす。
「がはっ!?」
無様に地に堕とす。まだだ、まだこんなもんじゃない。
「今までの全部を君に返す」
「全力で来なよ。かっちゃん。君の全力を捻じ伏せてあげる」
構える。接近戦で君を倒すために。
「道端の…道端の石っころだったくせによぉぉぉ!!」
こちらに向かってくる。しかし、遅い。ハエでも止まってるみたいだ。
「ダークネス・カウル20%」
ガラ空きの胴に、拳をめり込ませる。すかさず膝蹴りを叩き込み、衝撃波を手から生み出し、弾き飛ばす。
「浅いな…」
打撃の衝撃を瞬間的な反射で咄嗟に逃している。涙ぐましい努力だね。
「どうだい?今まで見下してきた存在にボコボコにされる気分は?」
懲りずに向かってくる彼の攻撃を躱す。右の大振り、爆破、爆破を利用して蹴り。
「ちっ…避けてんじゃねぇぞ!!」
「まだわからないのかい?君は」
「僕より…弱い!」
「カオス・スマッシュ!」
爆破を躱して顔に右拳を叩きつける。地面を惨めに転がっていく。
「ぐはぁっ!?」
なんとか立ち上がろうとするも、ダメージが蓄積されている。震える体を起こそうとして、崩れ落ちる。
「クッソがぁっ…!!」
「まだ諦めていない…その目…ムカつくね…」
立てないかっちゃんを見下す。君が一番されて嫌がることだったね。
「見下してンじゃねぇ…!!」
「徹底的に君の心を折ってあげないと」
両手にエネルギーを集め前に突き出す。
「ギルティ・パニッシュ!!」
極大の闇の奔流が地面を巻き込みながらかっちゃんへ迫る。
「ガァァァァァァァ!!!!」
爆破で対抗するも、一瞬の均衡の末、闇の光が呑み込む。
「終わったね」
そこには砂煙が晴れ、ボロボロになり倒れ伏した幼馴染みの姿があった。
「そこで眺めてなよ。平和の象徴が殺される瞬間を」
ボクは中央で戦っている弔くんの元へ足を進めた。
「は?一人逃した?黒霧…お前、ワープゲートじゃなきゃ壊してたよ…」
中央へ戻り、弔くんの元へ合流する。
「弔くん、状況は?」
「緑谷か…イレイザーヘッドはこのザマさ」
脳無の下敷きになり血を撒き散らすイレイザーヘッドの姿があった。
あの数のヴィランを退けたのは流石だけど、脳無には敵わないね。
「でも、救援を呼ばれちゃったよ」
「ゲームオーバーさ…」
オールマイトは来ないし、救援を呼ばれたのか。
「でも、帰る前に」
そう、帰る前に。やらなければいけない。
「子どもたちを殺して行こう」
「そうだね」
ボクは出入り口の生徒たちに目を向ける。
「なら、ボクが行く。弔くんはそこで眺めてなよ」
足を進めた瞬間、氷に足を凍らされる。
「新手か」
氷の元を辿り、白髪と赤髪で分かれた生徒を目視する。
「そうはさせねぇ」
「オラァァァァァ!!」
今度は体を硬化させた生徒がこちらに向かってくる。これが、雄英の生徒。勇敢だなぁ。
「カオス・スマッシュ」
氷を割り、衝撃波で生徒を吹き飛ばす。隙が生じた氷の生徒へレーザー光線を放つ。
「ブラックレーザー」
「ちぃっ!!」
貫通力に特化したレーザーを氷の氷壁が防ぐ。その隙に抜け出す。
「彼らは任せたよ弔くん」
「わかった。やれ、脳無」
邪魔が入ったが目的は変わらない。一足で出入り口まで跳ぶ。
「麗日!芦戸!13号連れて下がれ!!」
目の前には5人の生徒がいた。マスクをつけた腕が6本ついている男。黄色いコスチュームを身にまとった男。ヘルメットを被り肘に射出口がある男。パツパツのスーツの女の子。ピンク色の髪をした女の子。
そのどれもが、難関な試験を潜り抜けた天才たちだ。
「やぁ、ヒーローの卵たち。さっそくだけど」
「死ぬ覚悟はできたかなぁ?」
威圧感を出し、希望など無いということを身に刻ませる。
「っ!?」
彼らの顔を冷や汗が伝う。怯えてる者すらいる。誰から、殺そうか?
「お前は爆豪と何か話していたな、何者だ!?」
マスクの男からの質問。クラスメイトと何らかの関わりを持つ人間がいたら時間稼ぎを含めて情報が欲しくなるよね。
「そうだね、知りたいよね。」
「ボクの名前は緑谷出久。かっちゃん……爆豪勝己とは幼馴染みってところかな」
「緑谷……出久!!」
「ヴィランネームはそのままGreen Valley」
「君たちを殺す者の名だ」
醜悪に嗤ってみせる。
「ひっ!?」
あんまり、無抵抗な子を殺すのは少し気が引けるけど、ヒーローの卵なら頑張って立ち向かってきてよね。
「爆豪はデクと言っていたな」
耳が良いね。
「それは蔑称さ。出久は漢字にすると、何も出来ない役立たずのデクの棒のデクとも読めるからね。これ以上話すつもりはないよ。」
「時間稼ぎもここまでだ。じゃあ、殺すね」
告げた瞬間、黄色いコスチュームの男のラッシュを受ける。速いね。増強型かな?右、左、右と繰り返される拳を見極め躱しながらダークネス・カウルを20%に引き上げる。さぁ、反撃だ。顎を撫でるように拳を放ち体勢が崩れたところに、一撃を叩き込む!
「カオス・スマッシュ」
振りかぶって繰り出される腕。当たる瞬間に横から何かが、彼に巻きついて、回避する。仕業の主を見れば、射出口からテープのようなものが出ている。あれで躱されたのか。
息をつく間も無く、酸のような液体が襲いかかり、マスクの男の6本の腕で体を叩きつけられる。
「やったか!?」
砂煙から上げる地面から立ち上がる。
「全く効いていない!?」
「なるほど……筋力増強に、腕や体の器官を複製。テープに酸か。どれも強い個性だ」
「この場でもバランスを取れている。少し厄介だな」
「なに、ブツブツいっとんの!!」
パツパツスーツの子から岩の雨が放たれる。何かを打ち出す個性か?
岩を弾き飛ばす。しかし、周りに岩が集まって囲まれる。
「解除!!」
重さを忘れていたような岩たちが一斉に降り注ぐ。これは…無重力か!
「カオス・スマッシュ!」
腕の一振りで全ての岩を吹き飛ばす。これで全員の個性の把握が終わった
「うそやろ…?」
「まずは、後衛から潰す。ブラックレーザー」
後ろの3人、無重力、テープ、酸を無力化するべく光線が放たれる
「麗日!!芦戸!逃げろ!!」
テープで、二人をレーザーから救ったか……しかし、代償にレーザーが体を貫いた。
「ぐはぁ!」
「瀬呂君!」
「瀬呂!」
「テメェェェ!!」
筋力増強の個性持ちをあしらう。繰り出される拳を更に強力な膂力で弾く。
「カオス・スマッシュ!」
「砂藤!」
すかさず、割り込む複製碗。6本の腕を全てガードに費やす。ボクの一撃が彼を岩場に叩きつける。
最後に、砂藤と呼ばれた男の土手っ腹に拳をめり込ませる。
「ぐはぁっ!!」
倒れ伏す男たち。少し順番が変わってしまったが最初に一番厄介なテープを倒せたことが大きかった。
「くらえっ!!」
酸が飛ばされる。近接がいなくなった今、諦めの悪いそれを手から生み出した突風で弾く。
「つ、強すぎ…!!」
「さて、これで終わりだ」
ボクは彼女らに近づき、衝撃波を放った。強力な推進力を持った衝撃が彼女らを襲う。しかし。
「もう大丈夫!」
「私が来た!!!」
その直前に巨大な影が、衝撃波を打ち返した。
「オールマイト…!遅かったですね」
「やってくれたな!少年!!」
「これは…少し痛い目にあってもらうぞ!!」
悠然と現れたオールマイト。その顔にはいつもの笑顔は浮かんでいなかった。