―――俺の名はナツキ・スバル。無知蒙昧にして天下不滅の無一文!
…だったんだが、コンビニ行く途中でトラックに撥ねられ目が覚めたらあら不思議!
「お喜びください!可愛い女の子です!」
最近流行りの?
異世界転生ってやつで、女の子になっちゃったわけよ
名前はナツミ・シュバルツ。何で異世界に“
…………無茶苦茶孤立した。
親御さんの集まりみたいな茶会に参加して、小さい子は近くで遊んできなさ~いって、きゃっきゃっきゃっと戯れる中、俺だけがマザーの膝上でふんぞり返ってお菓子を頬張っている。
「まぁナツミ様はお母さんっ子なのね!」
「うちの子は、中々かまってくれなくて羨ましいわ」
あー、はいはい。お世辞ですね(わかりマス)
前世引きこもりな社会不適合者は、こんな歳になっても友達一人作らず親のすね齧って生きているんですよ。
性の戸惑いってやつもあるけど、同世代の奴と話すのがトラウマって……今はよくても後五、六年もしたら絶対陰口案件だわ。
最低でも……一人ぐらい友達作らねぇとヤバイな。
マザーの豊満な胸に頭を預けてお菓子を食べるナツミ・シュバルツは焦りを覚えた。
「レディ、よろしければ散歩などどうでしょう」
あぁん?誰だ、この後頭部に伝わるパイ乙の感触を妨害せんとする不届き者は……て、ユリウスやん。
「――行く!」
お菓子をパクっと飲み込んだ俺は手をとった。
他の奴なら付いていかねぇけど、こいつ七歳の子供の癖して魔法使えるめっちゃすごい奴なんだよ。
キラキラして手のひらから炎出したり氷を作ったり、見ているだけで飽きないわ、一度ねだってみたら俺にも教えてくれる普通に良い奴だし、異世界に来て『魔法』とか我慢出来る訳なくね?
「ゆりうす!きょうは、なにをみせてくれるんだ!」
「そうですね、イア」
ユリウスの回りをクルクルと動く微精霊がナツミの前で止まり、首を傾げるナツミに彼は離れた場所にある石を指差して一言。
「ナツミ様あれに人差し指をお向け下さい」
「おおう?」
言われるがまま指を向ける。するとイアと呼ばれる微精霊がナツミの人差し指にくっついた。
「はぅ!?ゆりうす!こ、これって!?」
「――ええ、ご想像の通りかと」
前世オタクな俺は直感する。
――絶対『霊丸』的な奴やないかコレ!!!
「れい…がん!」
勢いよくナツミの人差し指から射出するイア。
石に突撃してドカンッと派手に爆発しやがった。
「ふわあああ!!!」
オタク死す(イアは死んでなかった)。胸の高鳴りを抑えられないナツミはその日、熱を出した。
「ゆりうす……まじお前やべぇわ……さいこうだわ」
――てか、よくよく考えたら友達いたわ。(ユリウスだけだけど)