ナツミ・シュバルツ嬢は友達が欲しい   作:ら・ま・ミュウ

30 / 30
想うということ

「―――どうだ。

自分はどれぐらい変わってみえる?」

 

「少なくともレムには外見に変化があったようには見えません」

 

早朝。青髪少女のレムはナツミ・シュバルツからの少し奇妙な問いかけに首を傾げながらも答えていた。

 

昨夜は酷くお疲れのようだったが、ラインハルト様と花を散らされてからはいつものように残業することもなく早めに就寝された。

不審な点といえば、先程ベッドメイキングをした際に小指ぐらいの血の跡が残っていたが、ラインハルト様が部屋を去られたのは入ってから一時間もしなかった。

身嗜みが崩れていた様子もなかったし、まさかその短時間で行為に及んだなんて事はないだろう。

 

「ですが、レムはナツミ様が少し変わったように見受けられます」

 

違和感と片付けられる小さなもの。中性的でどちらかと言えば男性よりだったナツミ様が少しだけ色気付いて見える。

いつもなら整えるだけだった化粧も、男性の目を意識して整えられているような気がした。

 

「うん。おう……そうか、これぐらいなら大丈夫かな」

 

「ナツミ様は」

 

「うん?」

 

「ナツミ様はあの男に好意を抱いているのですか?」

 

そんな相手とならば一人しか思い当たらない。

ナツミ・シュバルツの昔なじみであるユリウス・ユークリウスだ。

ラインハルトもナツミ・シュバルツと()()親しい異性に当たるが、彼に性欲の概念があるのかはレムの嗅覚を以てしても判別がつかない。それとは違いユリウスという男は不器用ながらもナツミ嬢を想う気持ちは全面的に押し出されている。

 

「全く、隠そうとしない否定的な顔だな。

レムはユリウスのことがそんなに嫌いか?」

 

ナツミ嬢の言うとおりレムはあの男が嫌い、もとい苦手だった。

 

「あのお方は危険です。あれほど濃い《魔女の残り香》を漂わせる人間が普通であるわけがありません」

 

それはレムが堪らなく嫌悪する魔女の匂いをユリウスが漂わせているから……。元からなのか最近になってからなのかは分からないが、レムが初めて会った時には彼はレムの心の深い所の傷である魔女の残り香をむせ返るぐらい匂わせていた。

 

「その魔女の匂いってやつが私には分からないけど、大丈夫だ。イアがアイツと契約している内は下手な事は起きないって」

 

目線を合わせて自分ではなく心配するレムを安心させようとする穏やかな声。

やはりレムにとってナツミ・シュバルツは、善き主であり、多忙ながらに自分を気遣ってくれる尊敬すべき人だとレムは思う。

 

実の両親と重ねるつもりはないが、どんな小さなことでも褒めて、何もしなくても寄り添ってくれるナツミ様にレムは母性と不思議な充実感を覚えていた。

 

そんなナツミ様の肩や手に魔女の匂いをする者が気安く触れるのを見ると、また壊されるのではないかと身の毛がよだって仕方がない。腸が煮えくり返るとはまさにこの事だろう。

 

出来れば、あんな男と金輪際関わらないで欲しい。

それが出来ないのならレムがあの男を……。ナツミ嬢に嫌われたくないレムはその言葉を喉口手前で押し止める。

 

「念のため、フェリスやラインハルトに診させてもらったけど、異常はないって話だし、本人は自覚しているって話だ。

きっとアイツなりに動いた結果なんだろうよ。自分から話たくなるまで懐の広い心でお淑やかに待ってやるのが大和撫子ってもんじゃねぇか」

 

「…そうですね。出過ぎた真似を、申し訳ございません」

 

ポンポンと頭に手をおかれてレムは謝罪する。

 

 

「(公の場じゃないんだし、そんなに畏まらなくてもいいって言ってるんだけどな)」

 

ナツミ嬢はレムと完全に打ち解けるには時間が掛かりそうだと思いながら仕事へと出掛けた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:20文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

Re:ナツミシュバルツは友達が欲しい(作者:戻ってきたミュウ)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

ナツキ・スバルは死んでナツミ・シュバルツ(貴族)となった。死に戻りは無い!王選候補者でもない!アストレア家の親戚!それだけ!▼(三期面白い!モチベ上がって続き書きたくなったけど前アカのパスワード忘れちゃった)▼


総合評価:3446/評価:8.67/連載:22話/更新日時:2026年06月09日(火) 00:00 小説情報

TS憑依転生オルガマリーの奮闘記(作者:手屋んDay)(原作:Fate/)

歴代型月作品の中でも有数の不憫キャラである、オルガマリー・アニムスフィアに転生した男の奮闘劇


総合評価:6208/評価:8.84/連載:4話/更新日時:2026年01月21日(水) 00:00 小説情報

石流龍(石流龍じゃない)の肉体を手に入れた(作者:和尚我津)(原作:呪術廻戦)

呪術廻戦の人類側噛ませ犬代表の、仙台藩の『大砲』こと石流龍(石流龍じゃない)に転生した男が、噛ませ犬の汚名を返上するために両面宿儺に挑む。▼


総合評価:32046/評価:9.2/完結:27話/更新日時:2026年03月05日(木) 21:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>