あれから何とか逃げ延びた俺たち。
ユリウスも俺も傷だらけで、お互い良く生き残れたもんだと笑いあった。
しかし、
……俺の手首、魔獣に噛まれたのはユリウスも同じだが、“呪い”を掛けられていたとか何とかで、治癒術士の姉ちゃんが気づかなければ今頃ポッくり逝っていたらしい。
ユリウスの家柄は地位的な意味で俺よりだいぶ低かったらしくユリウスの家の本家の奴らはそれにカンカンで、ユリウスは俺の目の前で罵声を浴びせられ激しい折檻を受けていた。
「まてよ!ゆりうすにたのんだのはおれッ…わたしの責任だから!ゆりうすは何もッ!」
元はと言えば、俺も悪いんだし弁解ぐらいさせて欲しかった。いや、するべきだったし俺は声を上げたんだ。
だけど、あの野郎……
「…何で、あそこで微精霊使って黙らすのかねぇ~」
「うひゃー、フェリちゃんこれにはユリウスに同情せざるおえないにゃ」
「あぁん?どういうことだよ」
十五年の月日が経ち、俺もアイツもすっかり大人の仲間入りを果たした頃。
言葉使いやマナーがなんだと五月蝿い連中とは違い、素の状態で話せる数少ない友人の一人フェリスは呆れたように首をふる。
ちなみに、言葉使いどころか見た目、仕草共に完璧な美少女であるこいつは男である。前世でいう男の娘という奴だ。
ユリウスと同じく、親戚同士の顔合わせで出会い、すぐに打ち解けた俺達だが、彼方には騎士という立場があるため、いくら訂正しようと変えようとしない堅苦しい話口調に、少しムカムカしていた。
まぁクルシュさんの騎士様に選ばれて…気づいたら今みたいになったんだが、こいつがユリウスに同情?何の冗談だ?
「いいですかナツミ様、ユリウスは貴方の事を」
「おいっ止めろ。お前にまで堅苦しくいられたら痒すぎて死ねる」
「……何か、二人の仲が進展しない理由が分かった気がするにゃ」
フェリスは一人納得し、冷えきった紅茶を飲む。
「ナっちゃんって、ユリウスが未だに敬語使っているのはどう思ってる?」
「――嫌がらせ?」
(うにゃ……コレは脈なしにゃ。第一ナツミ様がユリウスに好意を寄せるイベントなんて欠片もないのに、あのバカは何一人勝手に納得してるんだか)
フェリスは一人の男を思い浮かべてため息をついた。
薄々気付いてはいたが、やはりナツミ嬢はユリウスの事を完全に友人と割りきっているのだろう。
しかし……あのバカはナツミ様が未だにフリーな事をいいことに完全に脈ありだと思い込んでいる。
『騎士として仕える事が出来なくなった以上、私はナツミを娶るべきなのでは?』
真顔であんな事を言ってきた時は必死に堪えたものだが、今度あったらぶん殴ってやろうかな?
フェリスは思った。
ユリウス(21歳)
ナツミ嬢を傷物にした責任もあるし、騎士として支える事が出来なくなった以上、最終的には娶るしかないと思っている。
別に下心があるわけではない。
騎士として支えることが出来ないのは原作同様アナスタシアの騎士になったから
ナツミ嬢(17歳)
男と結婚とかあり得ねぇ。一生独身であり続ける。
ユリウスはずっ友。
こう見えて公務員