相手をねじ伏せる方法は何も腕力だけじゃ無い 作:赤いティントリップ (活動停止中)
この話の視点は容姿どころか、名前さえ決めてないC組のモブ女子です。
「なあ、心操と読解に用事があるから呼んでくれ」
教室の出入り口の横で昨日に引き続き男装姿の読解さんや他の女子と話しをしていると小汚いおじさんが扉を開け、急にそんな事を言ってきた
誰?というのが全面的に押し出されていたんだろう
「俺はA組担任の相澤だ」
と、面倒くさそうに付け足される
「人使ー!相澤先生が呼んでるぞー!」
声を低くした読解さんが自分の席に座り静かにスマホを弄っていた心操に向かって叫ぶと、怪訝そうな顔をして顔を上げ、クッと読解さんが視線で促した方を見ながら席から立ちこっちに来た
「相澤先生、すみません、読解は……居ないですね…」
教室を見渡す仕草をしながらいけしゃあしゃあとそう謝る読解さん
「そうか、だったら会ったら伝えておいてくれ、相澤が呼んでいたから職員室に来るようにと」
「はい、分かりました」
「何が分かったんだ、自分が読解だろ」
こっちに来た心操が呆れ顔で読解さんに突っ込んだ
「おい、バラすなよ人使」
「よみ……と、き?」
「心理、あの黒髪ロングの変装が公になったんでこれに変えたんです」
「そうだったのか、よくできてるな、男装、心操と並ぶとまるで兄弟だ」
そう言われた2人は微妙な表情でお互いの顔を見つめ合っている
「相澤先生、もし俺らが本当に兄弟だとしたらどっちが兄だと思いますか?」
「は?」
「直感でいいんで答えてください」
すぐに答えない相澤先生に心操も相澤先生に少し距離を詰めて聞く
「心操」
「よぉおしっ!!」
「うーわ!マジかー!」
拳を突き上げて喜ぶ心操とうなだれる読解さん
「いや、でも、まだ俺の方が18:6で圧勝中だからな」
気を取り直した読解さんが自慢げな表情で心操にいうと、心操も負けじと余裕ありげな表情を浮かべた
「ここから逆転に決まってんだろ」
「3倍の差はなかなか難しいぞ」
「お前ら、何でもいいから取り敢えずその話は一旦終えて俺の話を聞け」
「「はい」」
相澤先生の呆れた声に2人して頷き付いて来いと言われ、大人しく付いて行っていた
相澤先生は何の用事か言わなかったが、恐らく2人とも雄英の体育祭の決勝トーナメントに出た為、ヒーロー科移籍の話をしに来たのだろう
流石に決勝トーナメントに進んだからすぐに移籍とはならないだろうが、もし2人共移籍してしまうとしたら寂しく感じる
特に読解さんはクラスの皆と仲が良く、勉強がとても良くでき、教えるのも上手い、そして、あの理里として芸能活動をしている憧れの存在だ
学力、見た目、運動能力、そして性格まで全てが揃っている夢の世界の人間のような読解さん
その上、オールマイトという不動のNo. 1ヒーローの一人娘
だが、その事が体育祭で公になった今でも誰も彼女にその事を深く聞けていなかった、読解さんはどこか皆に壁を作り、決してクラスメイトの殆どに踏み込ませない領域がある
その領域の外側にいて、近づけない私達は誰も隠し子なんて踏み込んだ内容について聞けなかった
ただ、このクラスでその領域に踏み込む事を許されている心操だけは聞いたのだろうか
それとも、心操でさえその事に触れられないのだろうか
もし、例え心操でさえ触れさせてもらえなかったとしても、それでも心操は彼女に一番近い
このクラスで心操といるときだけはまるで小説の中のとても良くできた優等生そのままの性格とは違い、素の状態で楽しそうにしている
何が彼女の領域に踏み込むために必要なのかは分からない
そして、その何かをクラスの中で唯一持っていた心操の事がクラスの皆は羨ましくてたまらなかった
これからもこの愚作をよろしくお願いします。