相手をねじ伏せる方法は何も腕力だけじゃ無い 作:赤いティントリップ (活動停止中)
しかも、文字数も多い人とか崇め奉ってます。
警察の人からお叱りの言葉を頂いてから、スマホを見てみると、ネットニュースのトップにはよく知った顔がトップに来ていた
「ちゃんとした活躍とはこう言う事を言うんだろうね」
ネットニュースになっている読解さんが避難誘導をしていた話を読みながらそう口から漏らすと、轟くんが画面を覗き込み、納得の声を漏らした
「ヒーロー科の俺らよりも読解の方がよっぽどヒーローみたいだな」
凛とした姿で声を張り上げている動画を見ながら轟くんは無表情ながらも悔しそうしている
「読解はヒーローになりたい訳じゃない筈なのに、強くて、ヒーローらしい行動をできて、色んな人から人気で本当に凄いよな」
「うん、老若男女、全ての世代から人気を獲得している読解さんの能力は本当に凄いよ」
「へえー、そんなに褒めてくれるんだ、ありがとうね」
部屋の入り口から急にそんな声がしたと思ったら、僕たちと同じ入院服を着た読解さんが立っていた
「まあ、私はヒーロー殺しを学生3人でプロヒーローっていう荷物を背負った上で相手したのも大分凄いと思うけどね、普通あんな怖いの見つけてしまったら私なら恥も外聞も捨てて全力逃走開始する」
ヘッと鼻を鳴らすような笑い方をしている読解さん
彼女怪我をしてしまった為、入院となったことは知っていたが、入院服で出歩ける距離の部屋に入院しているとは思ってなかった
「私、有名人だし、隔離対象に入るんだよね、だから、あんまり色んな人に会うわけにはいかないけど、3人なら会ってきてもいいって許可貰ったし、一人部屋で暇だから遊びに来ちゃった」
出入り口の扉を閉めて、取り敢えず目が一番に会ったからか、僕の方まで歩いてきたので、僕が見ていた動画を覗き込んできていた轟くんと共に彼女が座りやすいようにお互いに距離を取るように端に寄り、読解さんは間に座った
「いま隔離対象扱いされているの、私とヒーロー免許も無いのにヒーロー殺しと個性を使用して戦った3人だけだから、ここしか遊びにこれないんだよね」
「戦いたくて戦ったわけでは無い!」
飯田くんが座っていた自分のベッドから立ち上がり、反論をしながらこっちに歩いてきた
「そんな事知ってるよ、復帰して早々ヒーロー殺しに対応するために保須市で活動していたお兄さんの所に職場体験に行って、急に湧いて出てきた脳無の相手をしていたら、路地から悲鳴が聞こえたから単独行動して見に言ってみると運の悪いことにヒーロー殺し会ってしまったことくらい、兄弟揃ってヒーロー殺しに会う運命でも持ってるの?」
まるで見ていたかのように飯田くんの事情を淀みなく読解さんは言い返している
昨日、出会ったタイミングにでも個性で読み取っておいたのだろう
「そんな運命は無いと思いたいな」
嫌そうな表情でこっちまで寄ってきた飯田くんは結局、轟くんの横に座った、そのため、読解さんが僕の方に寄ってきたので、ほんの少しも体が触れてしまわないように端に詰めた
あれ?どうして僕のベッドに横並びに4人も座ってるんだろう
一番端で壁のシミにでもなりたいのかってほどに壁に体を寄せながら飯田くんの行動に首を傾げる
「そういえば、読解くん、君はどうして怪我をしたんだ?」
昨日合流した時から痛々しい背中の傷が見えていた読解さんに対して3人とも疑問に思っていた事を飯田くんが代表して質問してくれる
「ああ、なんか両腕が鎌鼬みたいになった脳無にザシュッと、そのネットニュースにになってる避難誘導の最後の最後で脳無に狙われちゃってね。
上手にヒーロー達の方に逃げれた上に対応できるエンデヴァーが居なかったら私今頃ここじゃなくて、棺の中だったかもね」
笑いながら話してるが、全く笑えない
寧ろ、腹の底から身体が冷たくなってくる
「子役としてその背中の傷、大丈夫なのか?」
触れるほど近くに座っている轟くんが読解さんに対して心配そうに声をかけた
「運のいいことに、物凄く切れ味のいい鎌だったから綺麗に切れたお陰で完治すれば傷は殆ど残らないよ、まあ、切れ味が良い分、結構いったんだけどね、良かったら背中見てみる?」
「ああ」
服の裾に手をかけ、自分の隣に座る轟くんに見えやすいように、そして、必然的に轟くんのとなりに座る僕にも見えるように読解さんは入院服の上をずり上げた
あまりに自然で思い切りのいい行動に、思わず、両手で顔を覆って目をそらす事すら出来ずに、ゆっくりと脱ぐその姿を見てしまうと、背中一面に包帯が巻かれていた
女子の背中を見てしまった疚しい気持ちよりも、痛々しいその包帯の方に意識が向き、目をそらす事が出来ない
「広範囲に斜めに切り傷が入ったから仰向けになる事すら出来ないんだよね」
入院服から両腕や頭を抜くと、胴体をグルグル巻きにしている包帯がようやく全て見える
細くくびれた腰や胸元の柔らかい膨らみ全てを覆って巻かれた包帯が怪我の酷さを物語っている
「背中以外にも傷はあるけど、他は正直家にある救急箱で対処できるくらいだから、本当にこの背中の傷はやっちゃったなーって感じなんだよね」
どこか自虐的な笑みを浮かべた読解さんは自分の身体を抱きしめるように両腕を自分の体へと回した
「いつもは強い戦闘向きの個性なんて要らないって思ってるんだけど、こういう時はなんで私には戦う力が無いんだろうって考えてしまうんだよね」
悲しそうな表情で言って俯く姿は弱々しく、いつも強気な読解さんらしくなくて、彼女でもそういうことで悩む事を意外に思ってしまう
それほどに、脳無の事や、背中をザックリといったのは、彼女の心にダメージを与えてしまったのだろうか
気持ちが沈んだ読解さんになんて言葉をかけようかと迷っていると、読解さんは俯いていた表情をあげて、ニッコリと笑った
さっきまで凹んでたのに、急に笑い始めるのは心臓に悪い
「まあ、生まれつき向いてない事が人よりできるようになりたいとか無茶だよね!
私みたいな戦闘向きじゃない人は荒事なんてヒーローに任せとけばいいんだよ。
大人になってもっと人気の女優になったら今以上に危ない目に沢山会う機会が増えるだろうし、今まで襲ってきた事がない脳無とかもくるかもしれないけど、もう今度からは避難誘導なんてせずに大人しく逃げる。
私はやっぱり他人を体を張ってまでも守りたいと思えないから」
顔は笑っているのに対して、声は、まるで何処か自分に失望したかのような声で、でも、納得をしたような声だった
「3人は頑張ってヒーローでいてね」
くしゃっとした本心からだと思える声と表情が一致した状態で言われたその言葉は僕にとって重くて、でも、背負わなくてはいけない重さだった
「「「もちろん」」」
3人で声を合わせて答えると読解さんは嬉しそうに軽く笑った
そして、手に持っていた入院服を着直そうとするのだが、服を着ようと両腕を入れようときた所で動きが止まってしまって動かなくなった
「大丈夫か?」
停止した読解さんに轟くんが心配そうにきく
「大丈夫じゃなかった、背中の傷が痛くてこれ以上体を前に倒すことも、腕をあげる事も出来なくて、どうしようもなくなっちゃった」
再度服から手や頭を抜き、困った表情になっている
「でも、まあ、うん、そんな事もあるよね」
考えるのが面倒だったのか、完全に思考を放棄した言い方で心配になってくる
というか、この発言以外にも、今日は発言や行動はいつものような隠しきれない賢さが溢れる感じとは違い、情緒不安な上に無計画さが目立つ
「こうなるなら脱がなきゃよかったかな、けど、もう脱いじゃったしなぁ」
やっぱり、今日はなんか行き当たりばったりで行動が幼くなってる
「ねえ、着せて貰ってもいい?」
ほら、幼くなってるよ、行動が!
同級生の異性にそんな事頼まないよ、いつもの読解さんなら
「ね、お願い」
標的を僕に絞ったのか、自分の上の服を胸元に押しつけるように渡しながら可愛らしい感じでお願いをしてきた
ただでさえ壁に追いやられていたのに、さらに距離を詰められ、本当に壁のシミになれそうな気すらする
両手を顔の前にやり、頭を激しくブンブン左右に振るが、無邪気に服を押し付けてくる上に僕に縋るように上目遣いまでしてくる
やっぱり、見た目がいい!顔がいい!
「ちょっと着替えの手伝いをお願いしてるだけだよ、緑谷くんも怪我してるけど、ちゃんと両腕動きそうだからさ、ね、お願い」
「俺がやろうか?」
「ああ、轟くんが着せてくれるんだ、よろしくお願いします」
僕に押し付けていた服を反対側の轟くんに渡し、轟くんは特に照れた様子もなく怪我を気遣いながら読解さんに着せた
そして、僕は轟くんに注意が向いてるこの隙に、僕のベッドの隣にある轟くんのベッドへと移動した
「ありがとう」
柔らかい甘えるような笑顔で礼を言う姿は純粋に可愛くて、至近距離で笑いかける轟くんがどうして素面で居られるかが分からない
「そ、その、読解さん今日は、なんというか、その…お、幼いね?なんか、こ、個性とかの影響?」
「うん、そうだよー」
ニコニコと可愛い笑顔と共に肯定されたので、個性の影響なことはわかったのだが、なぜ彼女の心を読むという個性で幼くなるのかが分からない、もしかして誰かに個性でもかけられたのだろうか
少し聞けば疑問は晴れると思っていたが、こちらの意図を全く汲み取らない読解さんから帰ってきた言葉は短か過ぎて、結局意味がわからない
「君の個性でどうして幼くなるんだ?」
轟くんの隣から僕の隣へと移動しながら飯田くんが質問した
「私の個性はね、私が知りたいって思うのと同時に無意識で発動されるの、だから、どうしても個性を使いたくなかったら、ずっと何もわからない幼い子供のような精神状態を保たないといけないから、今こんなに幼い感じになっちゃうの」
「もしかして、個性を使いたくないのは昨日脳無を見てしまったせい?」
「いや、そんな事はないよ、ただ、この個性、取り入れる情報量が多過ぎて周りの人と共感覚になる事が多い個性なの。
で、平常時ならそうはならないように操作することも出来るんだけど、今はとにかく背中が痛くてね、というか全身痛くてね、個性の操作なんてやってられないの。
そして、そんな状態で話す相手が自分と同じように怪我をしてる3人組、まあ、万が一にも共感覚なんて絶対味わいたくないよね、痛いのは嫌なので」
両手で大きくバツを作って笑ってるが、確かに痛みに慣れていない人が自分の痛みに耐えている上に僕ら怪我人と共感覚なんて笑い事では済ませないほど嫌だろう
そりゃあ、幼くもなる訳だ
「あーあ、痛い思いなんて全くせずに、楽して生きていきたいなー」
自分の願望を口にしながら身体を半回転させてうつ伏せでベッドの上へと倒れ込んだ
そう、よりによって、僕が寝ていたところに女子が寝転んだ!!
しかも、あの読解さん!!
僕なんかとは比べものにならないほど別世界の住人で姿形が物凄く、それはもうとっても整っている読解さん!!
「駄目だ、眠たくなってきた……そろそろ自室に戻るね」
ベッドからゆっくりと起き上がった彼女は眠たそうに欠伸をして立ち上がり……の時に思いっきりバランスを崩し一瞬で顔が青褪めた状態で目の前の僕に突っ込んできた
思わず反射で受け止めたが、かなりヤバイ、なんか、凄いいい匂いがする…っ!
「ダッ…ダイジョーブ!?ヨミッヨッ、読解…サン…」
声裏返ったー!
「ありがとう、大丈夫足から急に力が抜けただけだから」
グッと僕の肩を押して体を僕から離し、今度はしっかりと背筋を伸ばして地面に立ち上がった
「遊びに来た私がいう事じゃ無いけど、安静にね、じゃ」
ヒラヒラと手を振って問題なさそうに部屋から出て行く彼女に手を振った
「読解の事、本当に強いやつだと思ってたけど、あいつも守るべき一般市民の一人なんだな」
「ああ、どれ程強くても読解君はヴィランと戦う訓練は行なっていない」
「頑張らないとね、本当にヒーローになりたい僕達が」
恐らく今回の出来事は社会的に彼女がヒーローとなる事に対して背中をかなり押す出来事となる事だろう
ヒーローに憧れる人間ならいいが、憧れも何も無い人間からしたら、ヒーローを推されるのは正直嫌だろうし、確実に迷惑だろう
ただでさえ平穏に女優をするのが難しい環境にいる彼女が少しでも真っ直ぐに歩きたい道を勝手に祈る事しか僕にはできなかった
面白いアイデアを思いつく能力と、素早く文章を構成する個性が欲しいです。
多分、個性に名前をつけるとしたら【神作者】とかになりそうな個性誰か授けてくれませんかね?