相手をねじ伏せる方法は何も腕力だけじゃ無い   作:赤いティントリップ (活動停止中)

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第4話

 

ヒーロー科、普通科、サポート科、経営科

 

新しく入学する、この4科コースの生徒がずらりと体育館に並ぶ中、ヒーロー科のA組のみ、出席しておらず、選ばれた奴は何してもいいのかとイラつきながらも、真面目に校長の無駄が多く長い話に耳を傾ける

 

校長の話が終わった後生徒同士の挨拶となる

 

まず、在校生代表として、1人の高校三年生が出てきた

 

「在校生代表、高校三年生、ヒーロー科、通形 ミリオ」

 

毎年在校生代表は先生からの推薦で選ばれていると、雄英の噂で聞いたことがあるので、きっと、先生からの覚えもよく、とっても強いんだろう

 

そして、新入生代表には、身長は高く、スタイルはかなりいいのに背中を丸め、長く黒い前髪で顔の大半を隠した陰気な女子が出てきた

 

新入生代表の選出方法は全科共通の普通科目テストの合計点数が高かった人で、例年ヒーロー科がすることが多く、あんな陰気な女子だが、強個性なんだろと思い、つい睨むように見てしまう

 

「新入生代表、普通科、読解 心理」

 

よりによって、普通科か

 

新入生トップになるほどの筆記の点を取ってもなお、ヒーロー科には入れないほど実技が悪かったのだろうか

 

まあ、ヒーロー科を併願してるとは限らないので、そうと決まったわけではないが、取り敢えず強個性ではない事が分かったので、向こうに咎められたわけでは無いが、なんとなく睨むように見てしまったことを勝手に申し訳なく思う

 

通形先輩が、壇上に登るなり、急に「ぜんとー!」

 

と叫び、それに答えるように「たなんー!」と三年生が叫返しているが、俺を含めて周りはただただ困惑するだけだ

 

「みんな返事ありがとう!読解さんも返事ありがとう!なかなかこれ初聞きで返してくれる人居ないのに!凄い!」

「いえいえ、正解の返事が出来て良かったです」

 

あんな意味不明な掛け声に返事をできるなんて本当に凄い、周りの新入生の中で、これに返事ができてるやつなんていなかった

 

流石学力トップと言ったところか

 

しかも代表の2人はそこで私的な会話をやめればよかったのだが、その後もマイクで声を拡張されながら世間話を続けていて、先生に注意され、どこの学校でもありそうなありきたりな事を言い、生徒同士の挨拶は終わった

 

その後は去年までいたがいなくなった先生の紹介、去年と引き続き勤務する先生の紹介、そして最後に今年から勤務することになった紹介で、オールマイトが壇上に上がった事により、盛り上がりが最高潮になった後、オールマイトからの挨拶で、入学式は終わった

 

体育館から出て、教室から戻る途中、クラスの列に新入生代表の読解さんが入ってきた

 

丁度近くにいた俺はうっかり、読解さんと顔をしっかりと合わせてしまい、話しかけられる

 

「はじめまして、私はさっき先生に呼ばれてたから知ってると思うけど、読解 心理、よろしくね、君の名前も教えてもらってもいい?」

 

顔が大半見えず、表情がわかりにくい代わりに声に感情を過剰に乗せて話しかけられる

 

「俺の名前は心操 人使、こちらこそよろしく」

 

グイグイ来るなぁと思いつつも、どうせ洗脳という個性を知ったら離れていくんだと思いながら返事をする

 

「心操くんかー、渾名とかある?」

「いや、特には、無い、読解さんは?」

「私も特には無いよ、けどまあ、これから1年同じクラスなんだし、心理って気軽に呼んで」

「じゃあ俺も人使って呼んでくれ」

 

誰かの名前を気軽に呼んだことも、人使と気軽に友人に呼ばれたことは今まで一度もなかったが、相手に合わせてそう返事をする

 

それにしても、新年度が始まるのは嫌いだ

 

なぜなら、親しげに来る奴程、名前の次に聞く個性で距離を取ってくるからだ

 

どうせ心理もそうなんだろうなと思い、個性の質問を待ち構える

 

「ねえ、人使、私君の…」

 

ほら来た…嫌な質問だよ本当…

 

「好きなものとか知りたいな、何かない?」

 

………………は?

 

「は?好きなもの…か?」

「うん、そうだよ、好きなもの、それとも通学手段から聞く?」

「なんで通学手段なんだよ」

 

個性に対する質問などではなく、通学手段と来たので、思わずつっこんでしまう

 

「一緒なら帰り一緒に帰ろうかと思って…同じ中学出身の人と一緒に帰りたくなくてね、もしかしてもうすでに一緒に帰る人いる?」

「居ない、というか、同じ中学出身の奴いるのかよ」

「うん、すっぽり抜けてたあのA組に2人知り合いがいる」

 

よりによってヒーロー科とは、3人で受験して一人落ちたとかで気まずいのだろうか

 

「私は母親がここの普通科出身だったから、私もここに来たんだけど、正直私はヒーローって職自体が苦手でね」

 

やっぱり実技が悪かったわけではないんだな

 

「そうだったのか、ヒーローが苦手な奴っているんだな」

「まあ、私は大分変わってると思うよ」

 

恐らく、訳ありなんだろう、声にありありと押し出されたここからは踏み込んでくるなという硬さに俺はどうして苦手なのかと聞こうと思い開こうとしていた口を閉じた

 

「そういえば、今日、オールマイトが今年からここで教員をするって聞いて、凄い驚いたな」

「あー、私は前から知ってたからそこまで驚かなかったよ」

 

殆どの人と話す時に、絶対外さない話題として名高いオールマイトの話を始め、前の話題を強制的に終了する

 

「前から知ってたって、新入生代表だからとかか?」

「んー、まあ、そんなところ」

「オールマイトが授業担当するの、どうせヒーロー科だけなんだろうな、いいよな」

「まあまあ、ここは普通科でも全科目プロヒーローから授業を受けれるしいいんじゃない?たしかにNo. 1じゃないけど、それでもやっぱりプロヒーローから授業を受けれるのは貴重だし」

「それもそうだな、大抵の学校はヒーロー科だけの特別授業のみプロヒーローが担当ってのが多いしな」

「そうだね」

「でもやっぱりオールマイトの授業とかってどんなのか知りたくないか?」

 

好奇心を抑えられず、先程同意を避けた彼女にもう一度そう聞いてしまう

 

「私は別に知りたくもないかな、だって私はヒーローになりたくないから」

 

そうはっきりと今までの声に比べて冷たさを感じる声で返されてハッとする

 

そうだ、心理は俺みたいにヒーローに憧れてヒーロー科を受けて落ちたわけではない

 

ヒーローという職さえ苦手なんだ、興味なんてあるわけがない

 

先程避けようと思い終わらせたはずの話題に戻ってきてしまってることに気づき、申し訳なく思う

 

「まあ、気になるなら、ヒーロー科の人に聞いてみたらいいんじゃない?私も聞けたら聞いとくし」

「あ、ああ、ありがとう」

 

柔らかく温かい声にまた戻り、言われた声に安心して、お礼を言うと、口角がキュッと上がった

 

「人使はヒーローに憧れてるんだね、頑張れ、まだその夢は努力すれば叶う域だから」

 

目元は見えてないはずなのに、心の奥底まで見透かしたかのような声にそう言われ、心が激しく波打った

 

「ああ…でも、俺の個性じゃどうせ無理だ」

「そう、諦めるならそれでもいいんじゃない?ただ、挑戦するのはタダなんだし、やれるだけやってみたらいいと思うけどね、私も出来る事があるなら協力するし」

 

どうしてこいつは今さっき初めて会った人間にここまで言えるのだろう

 

いつもなら猜疑心にまみれ、心理の言った言葉を信用しなかっただろう

 

だけど、この不思議と心の中まで見透かされてるような、そんな不快なはずなのに、あまりにすんなりと心の中を分かってくれる感じにこいつなら俺の個性を知っても離れていかないんじゃ無いだろうかと

 

寧ろもう、個性など知った上でそう言ってるのではないのかと思ってしまう

 

「なあ、今日会ったばかりの奴に聞くのはおかしいと思うが、聞いていいか?」

「いいよ、聞くだけなら会ってからの時間なんて関係ないと思うし」

「それもそうだな…、なあ、俺、ヒーローになれると思うか?」

「それは人使の努力次第だよ、私が決めることじゃないし、周りが決めることじゃない、君がどこまで本気かってことだよ」

 

彼女の言葉は真っ向から否定する大多数の人の声とも、両親などから言ってもらえると無責任に可能だという声とも違っていた

 

ただ、自分の道を決めるのは自分だと、言った

 

確かにそれは当たり前のことだが、いつも周りにはヒーローに向いてない、その個性は敵向きだと言われてて、自分の気持ちが折れそうになっていた

 

「ああ、そうだな、自分のことを決めるのは自分だよな、俺頑張るな」

「そう、頑張れ」

 

漸く広い校舎を移動し終わったと同時に、話も一区切りし、短い応援を口にした彼女は俺と離れた廊下側の最後尾に座った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜★〜☆〜数日後〜☆〜★〜

 

 

 

 

「理里ちゃん、やっぱり雄英落ちたのかぁ、どこにもそれらしき人いねぇし」

「だよなぁ、理里ちゃん賢そうに見えて実は俺らより馬鹿だったんだな」

「だな」

 

後ろの男子2人がそう話してる中、今までの学校生活と変わらず一人で過ごしている

 

初めは初対面ってことで何人かが話しかけてきたが、お世辞にも友好的に見えない人相と個性のせいで完全にクラスから孤立していた

 

何もしないままなのもあれなので、スマホを操作し、イヤホンを両耳にさして、曲を聴く

 

初日の日に、心理と友人に成れたし、この学校では上手くやれるかも知れないと思ったのは束の間の夢だった

 

心理とは同じ電車通学だったので、駅まで一緒に帰っており、大分仲がいい方だし、休み時間も話せたらいいのだが、生憎彼女は人気者で休み時間、フリーになっていることが珍しい

 

騒がしいのはあまり好きではないが、だからといってずっと一人で居たい訳ではもちろんなく、意味もなく曲選択の画面をスライドさせていると、急に画面に影がさし、自分の後ろ側から手元を覗き込まれた

 

「何の用」

 

後ろに立っていた心理にそう問いかける

 

「用って程のことは何も無いんだけど、人使ってそう言う曲を聞くんだなぁって思って、割と話が合いそうな感じの曲具合だし」

 

そう言って自分のスマホを操作し画面を見せてくるので、サッと目を通して思う

 

確かに合いそうだ

 

「でしょ?」

 

俺が納得がいった顔をしたからか、心理は満足そうに頷いている

 

だが、自分が一番昔からずっと聞いてる人のは入ってなくて、少し残念に思う

 

入ってる曲系統的に入っていてもおかしく無いので、自分の画面も見せて、指差し

 

「この人の曲とかは聞かないか?」

 

そう聞くと、動きが停止した

 

地雷とかだったんだろうか

 

「あ、うん、聞いたりするよ、その人の」

 

動き出してそう答えるので、地雷などではなかったと安心する

 

「やっぱ聞くのか、いいよな〈R〉の歌、たまに上がる本人の声の方が好きで」

「そうなんだね、でも、私はこっちの方が好みだったりするなぁ」

 

同じ系統の別の人のことを指差しながらそう言われる

 

「おお、その人もいいな」

「でしょ」

 

そしてふと、楽しそうに会話している心理を見てつい俺は疑問に思ってしまった

 

どうして彼女は洗脳という個性の俺と仲良くしてくれてるのだろうかと

 

まさか、クラス中に広まっている俺の個性を知らない筈はない

 

彼女には俺の個性が洗脳な事を教えてくれる友人くらいたくさん居て、現に何度か、友人に俺と関わるのをやめとけと言われてるのを聞いてしまった事もある

 

そして、疑問はもう1つある、彼女の個性についてだ

 

彼女はクラスの自己紹介の時、なんとなく色々なことがぼんやりと分かる個性と言っていた

 

例として、落し物が、最近落とされた身近な人のものであったならば、物から落とし主を見つけれると話していた

 

そして、人の強い気持ちも感じ取りやすいともいっていたが、正直もっと精度の高いものだと思う

 

でなければ、彼女は俺と初めて話す時に、わざわざ、あんなにしっかりと個性についての質問を避ける訳がない

 

「やっぱり、露骨に避け過ぎたかー」

 

考え込んでいた思考に対して、そう目の前の彼女が口を開いた

 

もしかして考えまではっきりと読めるのか

 

「まあ、はっきりとは分からないよ、ただ、なんとなく読み取って、そこから思考を自分の頭で推理してるだけ、本当にはっきりと何もかも読み取れるほどの能力はないよ、ただ単純に人の気持ちの機微に敏感だから、、それに個性も合わさって物凄く心を読みきれるように感じるだけだよ」

 

心配しなくても、君の心の全てを暴きはしない

 

そう言われてるようだった

 

なんでもない風に言いながらも、立っている心理を座って下から見てるお陰で少し見える目尻が下がっていた

 

前髪、眼鏡と2つのもので塞がれてるいつもなら絶対に見えない目元が少し見えた事で、顔の全容を初めて把握した

 

異様に下からという変なアングルだが、こんな野暮ったい格好をしている心理はとてつもなく美人だった

 

規則通りにぴっちりと着ている制服に、なかなか雄英では見ない、膝丈スカートの彼女の姿は、明らかに綺麗な見た目を隠すためのフェイクだ

 

「人使は本当の姿、見たい?」

 

そんなの見たい決まってる

 

縦に頷くと、口角を片方だけあげた意地悪な笑みを浮かべ

 

「今はまだ見せてあげない」

 

そう言って不敵な笑みを浮かべた

「……いつか見せろよ」

 

聞いたくせに見せないのかよとは思ったが仕方がない

 

だが、いつかは隠してる理由とともに、ちゃんと本当の姿を見たいと強く思った

 

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