相手をねじ伏せる方法は何も腕力だけじゃ無い   作:赤いティントリップ (活動停止中)

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サブタイの必要性を感じる今日この頃……





第41話

 

 

解放されている無人の仮眠室の扉を勢いよく開けて、ベッドに物間を横たえ、一応ゴミ箱を掴んでベッドに近づけてからその目の前に自分も寝転び物間の視界がふさがるように抱き締めた上に掛け布団を2人とも覆えるように被る

 

 

「ゆっくり深呼吸して、落ち着いて、私の心音に意識を集中させて、ほら、深く息を吸って……吐いて…また吸って…、ねえ、私だけに意識を向けて」

 

 

背中を一定のリズムで摩り、少しでも症状が軽減するように声をかける

 

 

精神が安定すれば、不安定な時よりも取り入れられる情報に統一性が出る為、量は同じでも楽にはなるので、ひたすら声をかける

 

すると、過呼吸になっいた呼吸が早く浅いが、まだマシにはなってくる

 

 

「あ、頭が…痛い…、耳鳴りがする…」

 

 

か細い声でそう言いながら、震える指で私のワイシャツを縋るように握ってくるので、少しでも軽減できたらと頭を撫で、耳を手で塞ぐ

 

 

「割れるように頭が痛いね、誰も怒鳴ってないのにずっと酷い声が聞こえるよね、でも、大丈夫だよ、大丈夫だから」

 

 

そんな事をしても私の個性では情報の強制大量取得は止まらないが、それでも、相澤先生が来るまでのあと少しの間、声をかけ、意識を向けさせ、痛む頭に手を添える

 

 

「誰のものかわからない喜怒哀楽の感情、複雑な思考、欲深い願望、何もかもが流れ込んできて痛いよね」

 

 

そうしていると、ようやく先生が近くに来れたので、物間を抱えたまま、起き上がっておく、後は先生が入ってきたときに布団さえ取ればすぐに抹消してもらえるように

 

 

「大丈夫、もうちょっとだから、大丈夫、大丈夫だよ」

 

 

 

 

 

激しい音と共に扉が開くと同時に布団を取ると、髪が逆立ち真っ赤に発光しているような鋭い視線が向き、個性が解除された

 

 

 

そして、フッと強張っていた物間の体から力が抜けた

 

 

 

 

 

 

「おい、何があったか詳しく説明しろ」

 

 

ベッドに腰掛け、私が抱える物間を受け取りながら聞いてくる

 

 

「やめろとかなり拒絶したのに無理矢理食堂で個性をコピーされました。

 

私の個性、単純に言えば、オールマイトのあの規格外な個性の力を全て数値変換して、読心という能力を強化するためにその数値を全て全振りした様な個性なんですよ

 

だから、物間くんの身体は耐えきれずに嘔吐、痙攣、寒気、貧血、発熱、頭痛、などの症状が出ました、そして、これから少しの間重度の熱中症の様な症状が続きます」

 

 

 

「期末は受けれる程度か?」

 

 

「筆記は問題有りませんが、実技は受けれてもあまり良くないコンディションでしょう」

 

 

 

そんな話をしていたら、爆豪達と拳藤さんの5人が仮眠室の扉をノックした

 

 

 

 

「入っても大丈夫か?」

 

 

 

代表で切島くんの声がするので、チラッと相澤先生に視線を向けると、お前が決めろと言うように顎をくいっとされた

 

 

 

「大丈夫だよ」

 

 

 

そう答えると扉が開き始めたので、まるで悪い結果があるみたいに私は暗い表情を瞬時に作った

 

 

 

「その…物間は大丈夫?」

 

 

 

拳藤さんが入ってくるなり、私を見てそう尋ねてくるので…私は顔を悔しそうに歪めて視線を下に落とす

 

 

 

「やっぱり……駄目だった…いつ目覚めるかも分かんなくて……もしかしたら一生このままかも…」

 

 

 

声に涙を滲ませて目に涙の膜を張る

 

 

彼女には反省してもらわないといけないので、子役の実力を十二分に使い、鼻を軽くすすった

 

 

 

「私の個性強過ぎるから……昔私の個性を借りたおばさんみたいに……廃人に……なってしまって……」

 

 

顔をくしゃりと歪めて、昔本当にあったことを話しつつ嘘の涙を流すと、拳藤さんも泣き始める

 

 

 

 

相澤先生もだいぶ大雑把だが、事情を説明したからか、黙ってくれている

 

 

 

 

「おばさん……あの時から10年以上目覚めてないから………物間もいつ目覚めるかも分からない……………もしかしたら……もう二度と目覚めなくて…………ヒーローを目指すなんて夢にっ……」

 

 

 

それから耐えきれないと言わんばかりに両手で顔を覆った、もちろんおばさんの話は本当だが、物間はまあ、明後日くらいならまた普通に歩けるが、悲しそうに少し嗚咽を零しておく

 

 

 

「あの時私が止めておけば!そしたら物間はこんな事に…っ!」

 

 

 

そう言って、床に膝をつき、相澤先生が横向きに抱える物間の腹の上で顔伏せて泣き出したので、私は両手を顔から外した

 

 

もちろん、とっくに涙なんて出ていない

 

 

 

無表情で冷たく物間と拳藤のことを見る私に相澤先生はどこか感心した様な視線を向けてくる

 

 

 

そして、爆豪達は声こそ出してはいないが、皆胡乱な表情だ

 

 

 

 

「拳藤さん、後から悔やんでも遅いんだよ、今度からちゃんと物事を見極めれる様になろうね」

 

 

泣き続ける拳藤

 

 

「そんな、今更……」

 

 

「それが、今更じゃないの、物間くんは廃人にはならなかったよ、かなり危なかったけど、数日安静にしていれば日常生活は問題無いくらい、10日もあれば個性も身体的には問題無く使える」

 

 

「え…ほ、ほんと?」

 

 

「本当だよ、今は気絶してるけど、目覚めるだけなら、大体後1時間位でいけるよ、まあ、その時に目覚めても体力的にまたすぐ寝てしまうけど」

 

 

 

そう伝えながら吐瀉物の付着した上の服を脱ぐためにネクタイに手を伸ばすが、手が震え、力がまともに入らずネクタイが外せない

 

 

それでも何度か無理に外そうとしていると、誰かの手が伸びてきて、ネクタイを丁寧に外し始めてくれる

 

 

驚いて顔を上げると眉間にしわを寄せた爆豪が立っていた

 

 

 

「気絶してる男1人無理に抱えたらそらそうなるだろ」

 

 

「それもそっか、ありがとう」

 

 

 

必死だったからすぐに抱えたが、確かにかなり腕を酷使してようやく抱えられる重さだ

 

 

現に無理に使った両腕が今になって痛み出し、足も少なからずダメージを受けたのか、軽く震えている

 

 

かなりの無茶をした自分に自嘲気味の笑いが出てきた、私はそろそろ自分の力量を正確に把握しなければならないのかもしれない

 

 

 

 

ネクタイを外した爆豪は、そこですぐに終わりだと離れずに、内心で汚れた上の服をどうするか悩んでくれていたので、両手を合わせてお願いと言う仕草をすると、上のボタンを外し始めてくれる

 

 

 

「えっ!?ちょっ!爆豪!?」

 

 

「こいつがやれっつってんだよ」

 

 

 

慌てる切島に視線さえ向けずにボタンを外し切る爆豪

 

 

少しは手間取ると思っていたがさすが器用ですぐに中に着ているTシャツが見える

 

 

「おい、腕を抜け根暗」

 

 

言葉に優しさはひとかけらも見当たらないが、丁寧な手つきでワイシャツを脱がしてくれる

 

 

 

「Tシャツもよろしく」

 

 

そう頼むと、嫌そうに顔を歪めつつも、服の裾へと手を伸ばしてくれる

 

 

そして、服を掴みかける直前に、拳藤が爆豪の手を掴んだ

 

 

「ば、爆豪!私変わるよ、読解さん女子だし…」

 

 

成る程、私が女子だからと気を使って同性の自分が手伝うことを申し出てくれた訳ね

 

 

でも、それは余計なお世話だ

 

 

大人しく変わろうとした爆豪に震える腕を伸ばして抱きつく様にして留めつつ、手を伸ばしてきた拳藤の腕を避けた

 

 

本当は爆豪の服の裾を掴むだけにしたかったが、生憎今は指先に力が入らないのでそこは爆豪には仕方ないと言うことにしてもらいたい

 

 

 

「っ、!?んだよ」

 

 

「私は拳藤より爆豪がいい、自分に危害を与えようとした人になんて触られたくないし、なんなら近寄って欲しくないから」

 

 

 

そう伝えると、目が一度驚いた様に開いてから、素の表情に戻り、痛めた腕を気遣うようにやんわりと離されてから短くバンザイと声をかけられた

 

 

 

「ありがとうね、それとこの下についてはもう一枚シャツ着てるから」

 

 

 

内心でこのTシャツの下は女性用下着か、胸を潰すためのさらしがまかれているのか、鍋シャツか、と考える爆豪に言っておく

 

 

 

「なあ、今更だと思うんだが、その服脱ぐの後じゃ駄目なのか?」

 

 

 

 

居た堪れないと言うふうに顔を背けていた相澤先生が今になって急にそう声をかけてきた

 

 

確かにただ水に濡れただけとかならそれでもいいかもしれない

 

 

だが、私の服を汚す原因は吐瀉物だ

 

 

「確かに匂いや、感触は不快だと思うが、ここには着替えも無いし、そこまで急いで脱がなくても構わないだろ」

 

 

「構わなく無いです。

 

だって吐瀉物ですよ?匂いや、不快以前に、長いこと皮膚に付着していたら肌がかぶれてしまいます。

 

私は世間的にそれこそ天使の様な要素を求められる私は、この体に目立つ傷をこれ以上付けるわけにはいかないので、早急に脱ぐ必要があります」

 

 

 

脱がせてもらったTシャツの汚れていない部分で肌に浸みた部分を拭き取って貰うと、最後まで身につけていたシャツはタンクトップで胸元が広くデザインのため汚れておらず、取り敢えずこれ以上肌がダメージを受けないようになる

 

 

 

「テメェこの格好になってどうすんだ、この部屋から出れねぇだろ、それにあの端で顔赤くして壁に張り付いてる奴らも」

 

 

なるべく首より下には視線を向けない様にしつつも、そう尋ねられるので、体力的に疲れて回すのが面倒な頭を回し始める

 

 

「んー、物間と拳藤の監督不行き届きの責任をブラド先生に被せて、自教室から体操服を持って来させようかな」

 

 

理不尽な責任と言えなくもないが、まあ彼らの担任である彼なら持って来てくれる事だろう

 

 

「そ、その役目、お、俺がするというのはどうですか!?というか自教室に体操服があるなら俺ひとっ走りしてきます!」

 

 

 

そう言って切島くんが片手を上げて主張を始めた

 

 

 

どうやら欲望に勝てずに少しタンクトップ姿を見てしまった事を気に病んでるみたいだ

 

 

「俺も行ってきます!」

 

「俺も!」

 

 

そして、似たり寄ったりな理由により自らパシられるために挙手をする残りの2人

 

 

 

「私の教室に行ったら心操に声をかけて事情を説明して、体操服を取ってもらって、じゃ、よろしくね」

 

 

 

私の肌を見た対価を払いたがってるのを止める理由もないので、手を振って送り出した

 

まあ、別にタンクトップ姿くらい至近距離でガン見した訳じゃないしなんとも思わないけどね

 

 

「相澤先生ももう物間と拳藤を連れて保健室に向かってください」

 

 

「ああ、分かった、読解、お前も体操服を着たら保健室に来い、足や腕をリカバリーガールに見てもらわねぇと」

 

 

「分かりました」

 

 

 

返事をすると相澤先生は物間を両手で抱え、拳藤に扉を開けさせて部屋から出て行った

 

 

 

これで部屋は私と爆豪だけになる

 

 

 

 

 

「……おい、根暗」

 

 

律儀にも脱がした服を汚れた部分が内側になるように畳んでくれていながら声をかけてくる

 

 

 

「ん?何?」

 

 

何かだなんて、いつもなら聞かずに個性で見るが、もう、疲れていて個性を使う気になれず大人しく質問を返した

 

 

 

「モノマネ野郎のあの状態は無理に体に個性を入れようとして体が個性に耐えきれず壊れかけた状態という認識で合ってるな?」

 

 

「うん、そうだね」

 

 

物間は食堂で話している無理矢理個性を身体に入れてどうにかならなかったバージョンだ、まあ、気絶や嘔吐などの重度の熱中症みたいな状態にはなったが、これで済んだならまだ良かった方だろう

 

 

最悪死ぬ個性による影響が重度の熱中症で済んだ原因の1つには、廃人となってしまったおばさんより世代を重ねていたというのも理由が入ってくる

 

 

他にも理由は幾つもあるが、取り敢えず自分の若さに感謝しろよ、と思う

 

 

 

「お前が言った通りなら、お前は普段、そこいらのモブなら個性を使用した瞬間体に異常をきたすほどの強力な個性を制御してるんか?」

 

 

まるで苦虫を口いっぱいに突っ込まれたかのような表情で聞かれたことに対して、是である事を伝えるために軽く口角を上げた

 

 

 

「個性が発現してから基本的にはずっとしているよ、もちろん訓練も重ねてるし、体も個性に合わせて鍛えるしね」

 

 

 

 

そう伝えると、黙り込み、頭の中でなにかを考え始めるので、思考を少し読み取れば、流石オールマイトの子供だから体の構造から違うのか、とか出てきていて、オールマイト関連は心の健康に良くないので、これ以上はもうやめといた方がいいと思い、目元を片腕で覆って座っていた布団へと後ろ向きに沈み、深く息を吐いた

 

 

 

 

「ねえ、爆豪色々ありがとう」

 

 

 

 

目元を覆ったまま感謝の言葉をかけると、ん、と短く返事が返ってきた

 

 

 

 

「それでさ、何かお礼したいんだけど、なんか私に出来る事ある?」

 

 

「柔軟、組手」

 

 

 

どうやら、昨日私に比べ身体が大分硬かったことや、観戦試合での敗北が結構彼のプライドに傷を付けていたみたいだ

 

 

 

「分かった」

 

 

「直ぐにテメェなんか抜かしてやんよ」

 

 

 

「組手はまだしも柔軟は難しいよ、性別の差もあるし私もこれには自信があるし」

 

 

 

組手は筋力の差で押し切られる日 が割りとすぐにやってきそうだが、柔軟は昔から頑張ってるし、筋力勝負ではないのでまけたくない

 

 

 

「抜かし殺したラァ」

 

 

「なにそれ、こわっ」

 

 

 

本当に殺す気がないのは分かっているので、軽口で笑って返すと私が寝転んだベッドの隣に爆豪も座った

 

 

 

「覚悟しておけよ」

 

 

「楽しみにしておく」

 

 

 

私も抜かされないように頑張らなくてならない

 






物間廃人ルート回避






呼び名について・第二段

基本名前の後に女子ならさん、男子ならくんを付けて呼ぶようにしているが、

・自分に危害を加える人
・ある程度親しくなり他人行儀な呼び方が面倒になった人
・周りの人がそう呼んでいるから
・意図的に距離を詰めたい場合


などの理由に当てはまる人はその限りではない





と言うのが、心理の中の基準となっています



物間、拳藤の2人が1番上の理由

爆豪、瀬呂、上鳴、切島の4人が2番目の理由

心操が4番目の理由となっています


またこれからも大体この基準で名前の呼び方を徐々に変化させていけたらと思っています




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