相手をねじ伏せる方法は何も腕力だけじゃ無い   作:赤いティントリップ (活動停止中)

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長い事更新してなかったお詫びの連日投稿!






忘れられない記憶・2

 

 

 

 

頑張って走ってようやく着いた収録スタジオの前、ここまで全力疾走したせいで乱れた髪や服を直し、息を整える

 

 

そして、私はまるで私がこのスタジオにいるのは当たり前だと言うように静かに侵入した

 

 

大人の人の視点では私は見逃しやすいのを利用してカメラが回り、実際に収録しているところを見えやすく、でも人の目には着きにくい場所を探してコソコソと移動した

 

 

そして、その場所に立ち、ようやくオールマイトを直接しっかりと見れる場所に立てた

 

 

だが、いざ真っ直ぐと見て、読み解ける場所に立つと急に怖くなった

 

 

 

 

 

 

もし、世間のイメージと違ってとっても怖い人なら?

 

 

 

もし、オールマイトが胸の内に信じられないくらいの巨悪を抱いていたら?

 

 

もし、オールマイトが狡猾で卑劣な人なら?

 

 

もし、オールマイトが偽善に塗れた人なら?

 

 

 

 

もし、…

 

もし、…

 

もし、…

 

もし、…

 

もし、…

 

もし、…

 

 

 

 

一度始まると止まれない思考がどんどん悪化していく

 

 

 

 

もし、ママの事を綺麗さっぱり忘れていたら?

 

 

もし、とっくに家族がいたら?

 

 

もし、私以外に既に子供がいたら?

 

 

 

 

 

何1ついいことなんて頭に浮かばなくて、ただひたすらに暗雲が立ち込めるかのように暗い考えが出てきた

 

 

 

そして、ぐずぐずと悩むこと数秒、急に体から力が抜けてその場に崩れ落ちそうになって、慌てて足に力を入れてなんとかしっかりと立つ

 

 

 

ああ、そうだった

 

 

 

私には悩んでいる余裕なんて無いんだった

 

 

つい、思考の沼にどっぷりと浸かってしまっていたが、無理矢理現実世界に意識を引きずり戻し、頬を軽くパチンと両手で叩いて気合いを入れる

 

 

時間的な余裕は自分の体が肉体的に限界が近いからほとんどない

 

 

そう覚悟を決めて目を瞑ったまま大きく息を鼻から吸い込み、口で深く吐き出してから顔をしっかりとあげ、目を開けた

 

 

 

 

 

初めて画面や記憶を挟まずに見たオールマイトはなんというか、世間的なイメージ通りの人だった

 

 

 

心から人を助けたいと思い、その通りに行動できる人

 

 

 

胸の内に巨悪なんて無くて、心から優しくて、肉体的に鍛え上げられた強い体

 

 

 

 

「エンデヴァー 、そういえば君の所の末っ子はいくつになったんだっけな?」

(確か女の子が1人、男の子が3人だったよな)

 

 

「5歳だ」

(何故オールマイトなんぞに答えてやらなきゃやらないんだ)

 

 

「もうそんな歳になるのか!プレゼントは何がいい?」

(子供の成長っていうのはやっぱり早いな、私に子供がいない分余計に成長の度合いがわからない)

 

 

「貴様からは何も受け取らん」

(絶対に受け取らないからな)

 

 

 

駄目だ、会話とその裏ばかりを読み取ってしまう

 

 

もっと、もっと集中して

 

 

オールマイトの過去の心を解き明かさなきゃ

 

 

そう思ってより強く個性を発動した瞬間、急に真後ろから本当に心臓を後ろから鷲掴みされたんじゃ無いかと錯覚するほどの殺意が湧き出てきて、反射的にその場から飛び退いた

 

 

 

着地も何も考えない本能的な回避だっため、撮影機材の配線が沢山置かれた所をゴロゴロと転がってしまう

 

 

 

そして、そんなことをして仕舞えば、当たり前だが注目が集まってしまう

 

 

 

 

「コロッ、殺ス、殺シテヤル、……殺シテヤルー!!!!」

 

 

 

 

だが、私の背後に現れたヴィランに直ぐに注目が移った

 

 

 

それにしても、No.1・2揃ってる時に襲撃とか捕まえてくださいって言ってるようなものでしょ、なんでこんな時に来たのよ

 

 

そう思った瞬間、個性が発動して、私に向けられた殺意が身体に突き刺さった

 

 

 

「ヒィッ、やだっ、死にたく無い!」

 

 

正気を失ってるのか、目を緑色に発光させて、口の端からゆだれを垂らす姿は狂気にまみれている

 

 

 

慌てて倒れたままの身体を起こして、スタジオのヒーローの方へと走ろうとした

 

 

 

だが、ヴィランの目がより強く緑の発光をした瞬間、下に沢山散らばっていた配線がまるで命でも吹き込まれたかのように手足に絡みついてきた

 

 

 

「きゃあっ!やめてっ!」

 

 

 

遂に首に巻きついてきそうになった瞬間コードが目の前で燃え尽きて灰となった

 

 

 

だが、まだ手や足にはコードが巻きついたままで、皮膚に密着してるから焼き尽くすわけにもいかないので、更に巻きつくことだけは無いように床に散らばるコードが全て燃え、オールマイトが手を掴んで火の所から私を退けた

 

 

 

「子供の周りに火をつけるとは危ないな!」

 

 

「俺が子供に引火や火傷をさせるわけないに決まってるだろ!」

 

 

 

そんな言い合いをヒーローがしてる間に腕や足に絡みついていたコードが更に上に上がってきて、衣装がボロボロになり、また首まで覆われそうになり、慌ててエンデヴァー が掴み局所的に焼き尽くした

 

 

 

「この子は任せた」

 

 

 

そう言って、私の事をエンデヴァー に押し付けて、配線や撮影機材を浮かせて武装したヴィランの方へとオールマイトは行ってしまった

 

 

 

「人質を回収してきた所は褒めてやるが、人に押し付けて行きやがって」

 

 

そう言いながらも丁寧に肌や髪が燃えてしまわないように絡みつくコードを焼いてくれる

 

 

 

だが、肌に食い込むようにミチミチと絡むコードは量が量なのと、完全に焼き尽くさなければ破片が動くのもあってかなり厄介だ

 

 

「痛い!ねぇ、エンデヴァー、助けて!」

 

 

「おい!ヴィランをさっさと倒せ!オールマイト!!」

 

 

 

そこまでの力は込められないのか、コードで身体を締めての圧死は無さそうだが、肋骨や胸骨辺りにそろそろどこかヒビが入りそうな程の力が込められてる

 

 

 

「かなり個性増強していて厄介なんだ!加勢は!?」

 

 

「この子を見捨てられない!」

 

 

 

チラッとヴィランを伺うと個性増強薬だけでなく、かなり麻薬漬けになってるみたいで、数発はオールマイトの攻撃も通ってるはずなのに、なんとも無いように机をオールマイトに飛ばしてる

 

 

 

「悪いな、もう少し耐えてくれ」

 

 

首だけは締められたら即アウトなので、そこに巻きつこうとするのだけをなんとか掴んで焼き落としながら申し訳なさそうにしてる

 

 

 

ああ、それにしてもいつになったらオールマイトは倒してくれるんだろう

 

 

 

 

別に室内だからって遠慮なんてしなくていいじゃん、ぶっ放せよ

 

 

 

 

なんで、私がこんな痛い目に合ってるのに周りへの被害とか考えてるの?

 

 

 

あ、そっか、人を巻き込んじゃダメだもんね

 

 

まだ、避難が完了してるか分からないもんね

 

 

それに、私は別に"特別"でもなんでもないもんね

 

 

 

でも、大丈夫だよ、元々このフロアはこの撮影しかしてないし、スタッフは全員こっち側に避難してるだからさ

 

 

 

 

あ、ダメだ、肋骨と胸骨一本ずつヒビ入った

 

 

 

 

「オールマイトォォォオオ!!!出入り口側、それの背後にはこのフロアに誰もいないからさっさとぶっ倒せ!!!!」

 

 

 

さっきまで痛い、救けてって泣いていた女の子がよく通る声で急にそう怒鳴ったのは一番近くにいたエンデヴァーはもちろん、その場にいた全員を驚かせるには充分すぎたらしい

 

 

空気が一瞬で凍ったが、私がして欲しいのは固まるじゃなくて倒すだ

 

 

 

「いつまでちんたらしてんだ!!!!さっさと勝て!!!」

 

 

 

そして、大声で怒鳴るために肺に無理矢理空気を沢山入れたのがダメだったらしい、更に派手にビビが入ったし、痛みが酷くなった

 

 

 

「カハッ、ゴホッゴホッ、ケホッ、」

 

 

 

まずい、更に肋骨にもヒビが入った、始めての骨折で信じられないほどの痛みが身体を襲う

 

 

 

空気が足りずに喘いでいると、ドゴンッと言う激しい打撃音がして、身体に巻きついていたコードから力が抜けた

 

 

良かった、これで助かった

 

 

そんな安心感と一緒にどうしてお母さんがオールマイトと別れたかハッキリと分かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、お母さんはオールマイトの"特別"が欲しくて痛感したんだ

 

 

 

 

どんなに好きと言われても

 

どんなに大切に扱われても

 

どんなに愛されても

 

 

 

 

 

絶対にオールマイトは"特別"をくれないって

 

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