相手をねじ伏せる方法は何も腕力だけじゃ無い   作:赤いティントリップ (活動停止中)

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今回は焦りましたって事で2連投!


第50話

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side・心操

 

 

 

 

物間はあれから一度心理の元へと来て、かなり深く頭を下げ、誠心誠意謝罪してくれたそうだった

 

 

正直、先生の許可無しで個性を使い心理に危害を加えた人間が謝罪のみで許され、特に罰がないのは納得できないが、被害者は心理、彼女が許すというなら俺には何もできない

 

 

だが、ふとした瞬間などには、まだ俺の顔には不満と書かれていたか、頭の中でかなり不満だと思っていたんだろう

 

 

俺の事を見て、心理はクスッと微笑みを浮かべた

 

 

 

「今日のお昼ご飯は体育館の裏の階段で2人きりで食べよう」

 

 

「またそんな人気のない、そこ告白スポットの1つだろ」

 

 

「まあまあまあ、気にしなさんな」

 

 

 

ああ、これは何か犯罪ではないけど世間的にあまりよろしくない、主に心理にとって得のある話だなと確信した

 

 

 

 

 

それから、授業を受け、お昼の時間になるなり、今は黒髪黒眼鏡のどこにでもいるな真面目な男子生徒の姿をした心理と一緒に人気のない方へと向かう

 

 

 

「物間のさ、私実はちょっと仕組んでたんだ」

 

 

「は?」

 

 

初っ端からあまりに驚きの事実で頭の処理がちょっと追いつかない

 

 

あれ、仕組んだって、何、え?どゆこと?

 

 

あまりに混乱していると、心理に落ち着いてと言われながら深呼吸を促され、一度平静になった

 

 

「まあ、仕組むといっても、なんていったらいいんだろ、あそこは危険地帯ですよって口頭で一回だけ注意はしたけど、その危険地帯に目に見える危険はないし、そこを避けて通れば回り道になってしまう上に、黄色いテープで囲ってもなければ、注意喚起の看板もないって感じ」

 

 

「あー、で、案の定物間は入ってしまったって訳か」

 

 

「そゆこと」

 

 

当たり、と人差し指を立てている姿はいつもの解説モードに入った時の心理のくせで、俺は結構好きだったりする

 

 

「でも、個性をコピーされて何か心理に利点あったか?」

 

 

正直死ぬ気で救護をしなくてはならなくなって、不利益を被ったようにしか感じない

 

 

「物間の副作用が見れた、私の個性をコピーすればどうなるかの」

 

 

「それの何がいいんだ?」

 

 

「昔、大体7歳位の時に、人の個性を借りれるという個性の私達より四回り、つまり丁度二世代位上にちょっと貸してって借りられたの」

 

 

立てていた人差し指のさきをクルクルと回しながら昔の話を始めた

 

質問の答えになってはないが、関係のない話をこういう時にブッ込んでくるタイプではないので素直に聞く

 

 

「人の個性を借りれるって二世代上にしてはかなりの強個性だな」

 

 

「んー、いや、借りれる個性は一日一人まで、しかも使用可能率はわずか50%ってところだったから、そこまで強くは無いかな、異形系とかはそもそも無理だし」

 

 

「結構縛りが多いな、で、借りられてどうしたんだ?」

 

 

まあ、その人が強個性かどうかは今然程重要ではないので、続きを促す

 

 

「借りた瞬間、痛む頭を抑えて胃をひっくり返したみたいな勢いで吐き、それから尋常じゃない量の汗をかいてからの、意識混濁で、そのまま意識不明、ついでに目覚めてない」

 

 

くるくると回していた指の動きをぴたっと止まったのが、まるで動いていた心臓が止まってしまったみたいで不吉で、思わず聞いてしまった

 

 

「も、もしかして、その人は亡くなってしまったのか?」

 

 

「いや、死んでないよ、まだね、ただ、正直今の医療では時間の問題だと思ってるし、たとえ目覚めることができてもどうにもならない脳の障害がかなり残る」

 

 

淡々と話す心理の横顔からは、感情というものが抜け落ちていて、何も読み取れない

 

 

「でね、そんな事があったから私そういう人の個性を使用できる系統の個性の人を物凄く避けてと通ってたし、万が一にも二の舞を出さないように気を付けてたの」

 

 

 

そこで言葉を切り、グッと両手を握り、震えるほどの力を込めていて、それの力の入り具合や肩の強張りは心理の過去の出来事に対する怯えを表してるのに、相変わらず表情だけは感情が抜け落ちたままだった

 

 

 

「自分で扱い切るのも困難、人が使えば再起不能、こんな個性を使えるキャパシティを持ってる人は多分自分がおばあちゃんになる頃にならないと居ないと思ってたの」

 

 

「でも、見つけてしまったのか、コピーという個性で、ヒーロー科に入学できる程の運用性があり、キャパシティも大きい物間を」

 

 

 

俺の言葉に対して深いため息をつき、組んでいた手を解き、顔を覆ってしまった

 

 

 

「自分の個性を扱い切れないのは分かってたの、でもね、どうしても、どうしても抑えられなくて、つい罠を仕掛けてしまった。

 

けどね、自分で仕掛けておきながら、やっぱりかかると怖くなって、また、昔のようになってしまうって思って危険だって教えたの。

 

なのに、せっかくの忠告を無視して個性を使ってきた」

 

 

顔を覆っていた手を離し、隣に座った俺の手を両手で急に握ってきた

 

 

突然のことに驚きながらも、辛そうな心理の顔を見て、そっと握り返す

 

 

 

「結局私はさ、向かってきた物間や拳藤の2人を本気で止める気は無かったの、忠告を聞かなかったのは2人だ、個性を使ってきたのは向こう、私は悪くないって言い訳してさ

 

先に人を煽って原因を作り、罠に誘導したのに被害者面して本当、何やってんだろね」

 

 

心理の自虐的で悲痛な表情を見てられなくて、握った手を引っ張り、体を寄せて、頭を胸元に抱えると、握っていない手で胸元が軽く握られる

 

 

「心理、そんなに自分を責めるな、確かに心理も煽っていたけど、始め絡んできたのは物間の方だった

 

それに、心理が仕掛けた罠にわざわざ危険だと教えてやったのにかかったのはあいつらの意思だし

 

そこまで気に病む必要はない」

 

 

「ありがとう、人使は優しいね」

 

 

 

悲しそうな無理に作った笑顔で言われた言葉は、その言葉の裏に込められた"私は優しくない"というのが痛いほど分かる言葉だから、首を横に振って否定する

 

 

「そんなに自分を卑下するな、俺も優しくない」

 

 

結局忠告を聞かなかった物間の為に心を痛めれる心理が優しく無いなら、俺も優しくなんかなくていい

 

 

「ありがとうね、人使」

 

 

照れた表情でお礼を言う心理はなんだかとってもいつもより可愛く見えた

 

 

 

「さてさて、色々話したけど、まあ結局副作用とかの具合とかは見れたのは良かったし、私の糧にさせてもらうよ、起こってしまった事はもうどうしようもないしね」

 

 

「筋肉痛の分だな」

 

 

「後、変装を変えた手間賃かな」

 

 

 

ニヤッといつもの心理の悪戯っ子みたいな笑い方に戻り、ようやくお昼ご飯を一緒に楽しく食べ始めた

 

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