お試しの初投稿です。

1 / 1
エロゲショップにバイトしている主人公がはエロゲ談義したり、ラブコメするお話。
リハビリ、お試し版です。


エロゲ店員の日常

「すごくムラムラする」

「何言っているんだあんたは」

 

 タブレットで今月の発売するエロゲの仕入れを操作しながら僕は答える。

 カウンター越しにいる常連のお客様ーーたしか牛場さんだったか。

 

「すごくムラムラするんだ」

「二度も言うな。ここがエロゲショップだからって堂々と言うな」

 

 タブレットをカウンターに置いて顔を上げる。

 そこには疲れ切った二十代後半に入ったサラリーマンの顔。

 

「まぁ聞いてくれよ。鍵くん。ここのところ連勤、残業で疲れているんだ。ムスコも恋人の右手と触れ合う時間もなくて寂しがっているんだ」

「はぁ……」

「それでさ。こんな疲れた体を癒やしてムラムラを解消する手軽なエロゲとかない?」

「そんな場末の居酒屋で『今日のおすすめなに?』 みたいに聞かないでください」

「ナニだけにな!」

 

 あはっはっはっは! と笑い出す。酔ってんのかこいつ。いや、おっさんになってきて親父ギャグで笑えるようになっただけか。

 僕はため息を吐いてカウンターから出る。

 他のお客様もいないことなので僕は牛場さんにおすすめするエロゲを店の中で物色する。

 このエロゲショップは店長がエロゲコレクターでもあるため品揃えはいい。それこそ電気街の大型電気販売店と同じくらいある。

 

(心を癒やしてムラムラを解消する手軽なエロゲか。なら泣きエロゲや燃えエロゲじゃなくて抜きエロゲかな。それも調教、陵辱はやめておこうかな)

 

 ……となるとこれかな。

 準新作コーナーの戸棚にあるエロゲを手にして牛場さんに渡す。

 

「これなんてどうですか『どっぷり中出し! おっぱいハーレムVR学園!』」

「おっ! 巨乳もの! いいですねー! 絵柄もいいしパッケージだけでも良作だとわかりますよ! ちょっとおっぱいが大きすぎる気もしますが」

 

 それはそうだろう。牛場さんに渡したエロゲ、『どっぷり中出し! おっぱいハーレムVR学園!』通称。『どっぷりハーレム』はタイトルでわかる通り、巨乳抜きゲーでヒロイン12人、サブヒロイン6名で全員Iカップ以上。バストの平均は100㎝を超える作品だ。

 無論。このエロゲはヒロインの胸の大きさだけじゃない。

 

「『どっぷりハーレム』は12人の各ヒロイン全員にアニメーションHシーン搭載。さらにHシーンでは通常、アヘ顔、ハート目の三種類のパターンの切り替え機能搭載です」

「ハート目機能は初めて聞きました。いいですよね。ハート目。最近じゃ、娘から貰ったハート型シールにも性的興奮を覚えちゃいますからね」

 

 完全にパブロフの犬状態じゃねぇか。しかもは妻子持ちかよこのおっさん。

 

「話は世界初の完全没入VRの学園が舞台。主人公がある日、VR学園の常識、世界改変機能を見つけ、それを利用して学園ハーレムを目指す話です。まぁ、巨乳ヒロインとひたすらHするエロゲです」

 

 さらに、鑑賞モードにHシーン全解放機能が付いているので起動から5秒でHシーンが見れるから下半身待機している紳士も風邪引かないエロゲだ。

 僕は導入も大切なシュチュエーションだと思うので共通パートからやったが。

 

「なるほど。ところでハーレムとタイトルにありますが当然ハーレムシーンは?」

「ありますよ。学年別、親子丼、ヒロイン全員とパターンも豊富です」

 

 たまにタイトルにハーレムと付くくせにハーレムシーンのないエロゲがあるが、個人的に許せない。何のためのハーレムだよ!? と大いに叫びたい。

 

「よし。購入で! 」

「8800円になります」

 

牛場さんから料金を受け取る。

 

「こちら商品になります。それとこちら二階のBARのドリンク半額チケットになります」

「どうも。今度はそちらも利用させてもらいますね」

 

 わっほほーい!と今にも下半身を脱ぎ出しそうなテンションで牛場さんはエロゲのパッケージを両手に抱えたまま去って行った。

 

「ありがとうございましたー(棒読み)」

 

 エロゲを袋から出したまま外に出るなと思ったが僕は何も言わなかった。これ以上彼に関わるのがめんどかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、今更ながら自己紹介しよう。僕の名前は蔵等 鍵(くらとう けん)20歳。趣味はエロゲのどこにでもいる大学生だ。

 現在僕は近所のエロゲショップ「ブルースカイ」でアルバイトしている。

 時刻は21時50分。現在客はいない。店長も二階にあるエロゲBARにいるので僕一人しかいない。

 閉店まであと10分。少し早めの帰りの清掃をしようかなと思っているとし新たにお客様が入ってきた。

 いらっしゃいませとは言わない。ここはエロゲショップ。コンビニみたいなフレンドリーさはいらない。ここで僕が

 

「いらっしゃいませー。エロゲショップブルースカイへようこそ! 本日触手エロゲーがお安くなっておりますよ! おすすめは『ハイエース触手に転生した俺の日本横断陵辱旅行記』です!」

 

 なんて言ってみろ常連以外速攻で逃げるぞ。

 今来たお客さんも店をキョロキョロして明らかに新規のお客様で……すっごい美少女だ。

 身長は155㎝くらいの少し小柄で髪は濡れ烏の黒髪に顔は芸能人顔負けの美少女がエロゲを買いに来た。

 とはいえ、ここで声をかけたりはしない。エロゲを買いに行くときは性癖を語らず、隠さず、一人で楽しむものだ。そしてエロゲを楽しんだ後、仲間内で語り合うものなのだ。

 そうして、お目当てのエロゲを見つけたのか彼女は一本のエロゲを手に取りレジへとやってきた。

 

 「あの……すみません。これをください」

 

 緊張してるのか少し頬を赤くした彼女から差し出されるエロゲ。それは半年前に発売された有名ライトノベル作家と原画氏がコンビを組んで作った萌えゲーアワードでも金賞を取った有名なエロゲだった。

 

「すみません。年齢確認のため身分証の提示をお願いします」

「み、身分証ですか?」

「はい、最近条例とかがうるさいので」

 

 当然ながら、エロゲはエロ本と同じ18禁。18歳未満もしくは高校生に売ることはできない。

 

「えっと、マイナンバーカードで大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫ですよ」

 

 財布から取り出されたマイナンバーカードを受け取り確認する。

 顔写真は一致、名前は佐野場 柚子(さのば ゆず) 生年月日から年齢は18歳と年齢は問題ないが……。 

 

「えっと、すみません。高校生ですか?」

 

 僕がそう言うと彼女はスマホを見せて答える。

 

「大丈夫です! 本日卒業しました!」

 

 佐野場さんのスマホには近所でも有名な女子校の卒業証書が撮られた画像。

 高校卒業。ということは彼女ー佐野場さんに残酷なことを伝えなければならない。

 

「あー、すみません。こちらの商品をお売りすることはできません」

「え」

「高校の卒業式を終えても基本3月31日までは高校に在籍という形になりますので」

 

 佐野場さんの赤らめていた頬が青くなる。

 

「……こちらの商品は18歳未満、高校生にはお売りすることができませんので」

 

 佐野場さんの顔が青から再び赤くなる。それはもうリンゴのように真っ赤に。

 うん。恥ずかしいよね。初めて買うであろう18禁エロゲを買うために自信満々に高校卒業証書の画像を見せて変えませんと言われたら。

 

「その……4月1日以降なら購入できますので来週また来てい――」

「――し、失礼しましたぁーー!」

 

 マイナンバーカードを奪い取り、彼女はぴゃあああああ!! と叫びながら走り去っていった。可愛い。

 

「ありがとうございましたーまたのお越しをー」

 

 多分二度と来ないと思うけど。

 佐野場さんが出た自動ドアが閉まると同時に店内に閉店を知らせる音楽が鳴る。

 

「……本日のお仕事終了っと」

 

 清掃してから店長のいるBARで1杯飲んでから帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、彼女は4月1日にゲームを買いに来てくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




蔵等 鍵
20歳 。大学デビューに失敗した半ボッチの大学生。
好きなジャンルは萌えゲー 雑食でいろんなエロゲをやっている。
好きなエロゲは【Re:!Re:!Re:!】

佐野場 柚子
18歳。全国に12店舗展開してるローカルファミレスを経営しているオーナーの一人娘。
好きなジャンルは泣きゲー
好きなエロゲは【花守の竜と乙女の剣】



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。