オリ主が茨木童子になって鬼滅の世界にGOする話   作:鉢巻

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無限列車にて

俺と炭治郎達は汽車に乗った後、間もなく煉獄さんと合流。そして俺が買ってきた弁当を食べながら、炭治郎は『ヒノカミ神楽』について煉獄さんに尋ねていた。しかし、

 

「ヒノカミ神楽という言葉も初耳だ!君の父がやっていた神楽が戦いに応用できたのは実にめでたいが、この話はこれでお終いだな!」

 

残念ながら、収穫はなかったようだ。しょんぼりする炭治郎に、ドンマイと肩を叩く。

 

「あの、すみません。俺も一つ聞きたい事があるんですけど…」

 

恐る恐る、といった様子で黄色い髪の少年、善逸が手を挙げる。一体どうしたのだろうか。

 

「さっきは気が付かなかったんですけど、そちらの茨木ちゃんって…その…人じゃないですよね?でも鬼とも少し違うみたいだし…一体何者?」

 

…何で分かったの⁉︎俺変化解けてないよね⁉︎なのにどうして……え、音が違う?どういう事?てかどんだけ耳いいの君?

 

「実は、だな。かくかくしかじか」

 

これまでの経緯を善逸に説明する。若干引き気味になりながらも、なんとか納得してくれた。おふざけのつもりで「がおー」って言ったらめちゃくちゃビビってたけど。そんな事をしている内に、汽車が動き始めた。すると間もなく、汽車の車掌さんが切符を切りにやってきた。

俺の元いた時代では自動改札が当たり前だったからな。車掌さんに直接切符を切って貰うのは初めてーーー

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

目の前に広がる、見慣れた景色。俺は今まで何をしていた?

 

「…ああ、そうか。今日は休みか(・・・・・・)

 

壁にかけたカレンダーを見ながら、俺は自室で呟いた。時間は朝八時、休みの日にしては早く起きた方である。

 

「今日は用事もないし、洗濯して買い出しして…その前に朝飯か」

 

布団から抜け出た俺は、着替えをする為に立ち上がった。

 

 

(ーーーーー何、ここ)

 

目の前に広がる、見慣れない景色。所狭しと立ち並ぶ建物、それは浅草の街の比ではない。その光景に少女は戸惑いながらも、本来の目的を思い出し、走り始める。

 

(まず夢の端まで行って、それからーー)

 

扉がいくつもある通路を抜け、階段へと辿り着く。階段を登ろうとすると、見えない壁にぶつかる。そして少女は、手に持った錐を見えない壁に突き立てた。すると、見えない壁は紙を破いたように裂ける。その先に、少女は迷う事なく足を踏み入れた。

 

「ーーー何よこれ、あの子の夢は一体どうなってるのよ⁉︎」

 

少女が入って行ったのは、人が誰しも持つ無意識の領域。その領域には、その人間の心象風景が反映される。夢と無意識領域の景色が違うのは珍しい事ではない。むしろ当然の事だ。

だが、少女の目の前に広がる景色は明らかに異常である。先程は作りも空気もまるで違う異世界のような景色。そして今現れたのは、異様な禍々しい邪気を纏った、巨大な門。空には赤い月が浮かび、門の不気味さを一層際立たせていた。

 

(精神の核はこの先にあるの?もう何でもいい、さっさと壊してここから…)

 

少女はある事に気付く。門の前に誰かが立っているのだ。少女のいる場所からは距離が離れており、その姿がはっきり捉えられない。

 

(今度は一体何…………‼︎)

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。忘れない内にログインしとくか」

 

コーヒーを片手にスマホの画面を開き、いつもやっているゲームを起動させる。数年前からこのゲームをやっているが、これが中々面白い。ゲームのストーリーやバトルシステムもさる事ながら、何より登場するキャラクターが魅力的なのだ。

 

「あ、今日剣の修練場の日じゃん。ピース集めるついでに、どんくらい火力が出せるか試してみるか」

 

頭に描いた編成を、ゲームの画面に反映していく。

 

「…あれ?」

 

おかしい。いつも使っているはずのキャラクターがいないのだ。間違えて売却してしまったか?いや、それはない。ロックもしてたし、聖杯も注ぎ込んでスキルも絆レベルも最大にしていたキャラクターだ。間違って売却するなんて事はありえない。なら何でいないんだ?不具合だろうか。

 

「一体どこに行ったんだ、茨木ーーー

 

 

 

 

「ーーーーーーばらき、聞こえるか、茨木⁉︎」

 

名前を呼ぶ声で目が覚める。そして気付く。そうか、俺は夢を見せられていたのか。今となっては懐かしい、あの時の夢を。

 

「…すまぬ、油断した」

 

周りを見渡してみると、俺と炭治郎、そしていつの間にか出てきていた禰豆子ちゃん以外はまだ夢を見せられているようだ。

自分の姿を見ると、眠っていた間に変化が解けていたようで、いつもの茨木童子の姿に戻っていた。

 

「よかった、目が覚めたんだね」

 

「ああ、しかし、夢を見せてくる鬼とはな。さっさと片付けて…」

 

自分の視界に、ある少女が目に入った。その少女は列車の壁に寄り掛かり、カタカタと小刻みに肩を揺らしていた。

 

「おい、大丈夫「いやッ‼︎」

 

列車に響き渡る、拒絶の声。その少女の顔に映るのは、恐怖の色。

 

「来ないで……化物…!」

 

 

…ちょっと待って。これ俺が悪いの?何でこの子こんなに怖がってんの?何があったのか教えてくれよ炭治郎。

 

「分からない。禰豆子が綱を焼き切った後に目が覚めたみたいなんだけど、その時にはもうこの状態で…あまり、深く聞かない方がいいかと思って…」

 

なるほど、て事はあれか、俺の今の姿が原因か。確かに見る人が見れば恐ろしい姿をしているからな。下手に刺激するのは良くないし、とりあえずそっとしておくしかないか。

 

「茨木は禰豆子と一緒にここで皆を守っていてくれ。俺は鬼を探しに行く」

 

「分かった。気を付けろよ、炭治郎」

 

炭治郎が前の車両へ走って行くーーと思ったら列車の屋根に飛び乗った。鼻が利く炭治郎の事だから、鬼の居場所には気付いているのかもしれない。

 

「さて、此奴らの起こす方法を探らねばな…っと⁉︎」

 

び、びっくりした。いつの間にか一人の青年が、震える少女の側に寄り添っていた。

 

「…待て、何故汝は起きているのだ?此奴らの目を覚まさせる方法を知っておるのか?」

 

「…ごめん、分からない。僕はあの人に言われて、君達の精神の核を破壊する為に来ていたんだ。この子や、そこで気を失っている子達と一緒に」

 

あの人、と言うのは、俺達を夢に閉じ込めようとした鬼の事だろうか。どうして人間が鬼に協力を…?

 

「僕は…結核なんだ。もう先も長くない。だからあの人に頼んで、幸せな夢を見せて貰おうとしていたんだ。だから…」

 

そうか、そういう理由で鬼に協力してしまう人もいるのか。そこにいる少女も、その一人なのだろう。

 

「ところで、僕も聞きたいんだけど、君もあの人と同じ鬼だよね。どうして人間の味方を…」

 

「それはーーーーーッ!」

 

青年の背後、列車の天井から生え出て来た腕に向かい、骨刀を投げつける。

 

(嫌な気配が広がっていく、これは…!)

 

天井、荷物置き、座席から、肉のような物が湧き出てくる。まさかこの鬼は、汽車と一体化したとでも言うのだろうか。

 

「そこの娘と一緒に伏せておれ!絶対に動くでないぞ!禰豆子!乗客を守るぞ!」

 

次々と生えてくる腕を斬りつける。前の鬼と言い、何で俺は腕が多い鬼の相手をする事が多いんだ。それはそうと、

 

(早く煉獄さん達の目を覚まさせないと!俺と禰豆子ちゃんの二人じゃ限界が…!)

 

ふと前方の車両に目をやると、こちらの車両と同じく肉片に包まれつつあった。これは本格的にまずい。こうなったらぶん殴ってでも皆を…!

 

(ん?これは…)

 

自分の足元に何かが落ちていた。それは、この汽車に乗る時に買った切符ーーその破片だった。それはまるで何かに燃やされたかのように焦げておりーーー

 

「…まさか!叢原火!」

 

叢原火を呼び出し、眠っている三人の切符を燃やさせる。すると、

 

「ーーーーーウオオオオオ!猪突・猛進!」

 

雄叫びと共に、伊之助が目を覚ます。切符から微かに感じた鬼の気配、やはりこれが人と夢を繋ぎ止める鍵になっていたのか。

 

「伊之助!乗客を守るのを手伝ってくれ!吾ら二人だけでは手に負えん!」

 

「仕方ねえな!子分の頼みとあらば、聞いてやるのが親分の務め!どいつもこいつも、俺が助けてやるぜえ!」

 

伊之助は体を空に浮かせ、体を捻り四方八方に斬撃を繰り出す。

 

「獣の呼吸、伍ノ牙・狂い裂き!」

 

なんてでたらめな太刀筋だ。でも滅茶苦茶に切り刻んでいるように見えて、ちゃんと乗客は避けている。

ーーと、伊之助に目を取られている間に、禰豆子ちゃんが肉片に動きを封じられていた。助けに行かなければ、と足を踏み込んだ瞬間、

 

「雷の呼吸、壱ノ型・霹靂一閃・六連!」

 

雷のような衝撃音が響く。その雷鳴と共に、禰豆子ちゃんに纏わりついていた肉片が斬り落とされた。

 

「禰豆子ちゃんは俺が守る……フガフガ」

 

ぜ、善逸なのか?かっこいいな今の技!というか君そんなに強かったんだ⁉︎

 

「吾も負けてはいられないな。そぉら!」

 

後方の車両へ飛び込み、体を回転させながら、眠っている乗客達に忍び寄る肉片達を斬り裂く。床に落ちた肉片がぶにょぶにょと蠢く。汽車全体程の巨体になると、再生速度も落ちるのだろうか。

 

「ならば、更に再生に時間がかかるよう細切れにしてくれよう。いくぞぶッ⁉︎」

 

突如汽車が揺れ、足を滑らせて床に顔面からぶち当たる。一体何だというのだ。

 

「待たせてしまったな!茨木童子!」

 

この声は…!体を起こして声の主を見上げる。そこには、見覚えのある派手な赤髪の青年が立っていた。

 

「煉獄!遅かったではないか!」

 

「うむ!すまなかった!柱として不甲斐ないばかりだ!早速で悪いが指示を出す!この汽車は八両編成だ!内三両は黄色い少年と竈門妹が守る!残り五両は俺と君で守る!以上だ!」

 

「待て、炭治郎と伊之助はどうするのだ!」

 

「二人には鬼の首を斬ってもらう!どんな形になろうと、鬼である限り急所は変わらない!必ずどこかに首があるはずだ!二人が鬼の首を斬るまで時間を稼ぐぞ!」

 

「承知した!っとうわっ⁉︎」

 

再び列車が揺れると同時に、煉獄さんが姿を消す。そうか、揺れの正体は煉獄さんが移動した衝撃波だったのか。列車が揺れる移動って、どんな脚力してるんだよ。

 

「まあ、吾も人の事を言えた身ではないが、な!」

 

再生しつつあった肉片を斬りつけ、次の車両へと飛び移る。ここからは持久戦だ。手早く頼むぞ、炭治郎、伊之助!

 

 

どれほど時間が経っただろうか。肉片との攻防は今も続いていた。

 

(まだか、まだなのか、炭治郎!)

 

体力にはまだ余裕がある。この一ヶ月の煉獄さんの鍛錬のおかげだろう。しかし鬼と直接戦いに行った二人の様子が気になる。まさか、やられてしまったのではないだろうか。

そんな不安が頭をよぎった直後だった。

 

「ギャアアアアアアア‼︎」

 

断末魔のような何かの叫び声が響く。すると、汽車の車体がまるで生き物のように跳ね上がった。

 

(炭治郎達がやったのか!だが、これは…!)

 

汽車が横転する。鬼の最後の悪足掻きか、それとも単にのたうちまわっているだけか、いずれにせよこのままでは乗客が危ない。

ふと煉獄さんの方へ目をやると、車体と地面の間で、凄まじい速度で呼吸の技を繰り出していた。横転の衝撃を緩和する為だろう。

俺にはあんな器用な真似はできない。ならば、

 

「おっりゃあああああ!」

 

右腕に魔力を集め、巨大な手を作り出す。そして車体と地面の間に入り込み、右手で車体を支え、脚でブレーキを掛けていく。

 

(普通ならこんな事できないけど、茨木童子の耐久がA+で良かった!)

 

速度は見る見るうちに落ちていく。これなら大丈夫そうだ。そう思った直後だった。

 

車両の入り口、そこから人影が飛び出してくる。それはさっき俺に怯えていたあの少女でーーー

 

「くうっ!」

 

切り離した右腕はそのまま、少女に向かって駆ける。その少女を抱き抱えた直後、俺は地面と衝突した。

 

 

「ッ、いたた……」

 

ほんのわずかの間、気を失っていた。だが生きている。腕も、足の感覚もちゃんとある。咄嗟に変化で防御力を上げたのが功を奏したのだろう。ふと目を開けると、茂み越しに横転している汽車が目に入った。

 

「おい娘、汝は無事か」

 

腕の中の少女に声をかける。外傷は無さそうだが、問題は心の方か。少女は抱き抱えているのが俺だと気付くと、顔を真っ青にして震え始めた。

 

「…汝が吾の夢で何を見たかは知らんが、そう怯えるな。夢は夢、ここにいる吾は、少なくとも汝が夢で見た化物とは違う」

 

優しく少女に語りかける。きっとこの子も何か理由があって、鬼の力を頼ってしまったのだろう。許される事ではないが、だからといってそれを責め立てる事も良くない。

 

「後ろばかり向いていては何も始まらない。前を向け。何があろうと進むのをやめるな。そうすれば、自ずと道は開いていくものだ」

 

慰めるように少女の頭を撫でる。震えはもう、止まっていた。

 

「さて、汝はここで助けが来るのを待っておれ。吾は他に閉じ込められている人間を助けに行く。立てるか?」

 

少女はこくりと頷き、立ち上がった。この様子なら、もう大丈夫そうだ。しかし、この少女は一体何を見てーー

 

「ーーー!」

 

音が聞こえる。誰かが戦っているのだろうか。

汽車の鬼は炭治郎と伊之助が倒したはず。他に鬼が潜んでいたのだろうか。

少女を置いて、音のする方向へ移動する。茂みを抜けて目に入ったのはーーー

 

(あれはーー⁉︎)

 

赤みがかった短髪、白い体に黒い線のような刺青が入った男。そしてその男から感じる、強者の気配。今まで戦ったどの鬼よりも強い、そう確信した。

その男に立ち向かうのは、炎のような半纏を羽織った男ーー煉獄さんだ。だが彼は体のいたる所に血を滲ませ、満身創痍である事が見て取れた。

 

「俺は俺の責務を全うする‼︎ここにいる者は、誰も死なせない‼︎」

 

煉獄さんが構える。一度だけ手合わせで見せてくれた、奥義の構え。

対する鬼も、足元に陣形のような物を展開する。間違いなく次で勝負が決まる。だがあの状態では、結果は見えている。

 

「ッ!」

 

大地を蹴り、駆ける。そして二つの力が、衝突した。




閲覧ありがとうございます!
FGOのアニメ、良かったです。そしてまさかソロモンがアニメ化するとは…
という事は茨木童子が動く姿が見られるって事かな⁉︎楽しみで仕方がないね!ヒャッホウ!
それはそれとして、以前の話でマカロンについて助言を下さった方、ありがとうございます。一応自分で調べはしたのですが、あまり自信がなかったもので…
更新についてですが、今までのように大体週一ペースで更新できればと思っています。それではまた次回!
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