オリ主が茨木童子になって鬼滅の世界にGOする話   作:鉢巻

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鍛冶屋の隠れ里にて弍

オッス、オラ茨木童子(擬)。

刀鍛冶の里に来て三日が経った。甘露寺さんの刀はかなり特殊という事もあり、手入れの方は時間がかかっているようだ。

ちなみに俺はというと、鍛錬をしながら温泉を堪能する日々を続けていた。時折甘露寺さんに手合わせをしてもらったりしたのだが、女の人とはいえ流石は柱。体操選手顔負けのアクロバティックな動きに、俺は終始翻弄されっぱなしだった。

そして今日。甘露寺さんは刀の調整で工房に行ってしまい、日課の鍛錬を終えてやる事がなくなった俺は、先程焼き上げたクッキー(叢原火から死守した)を里の人達に配り歩いていた。ここの所お世話になってばかりだからな。たまには恩返ししないと。

 

「さて、残りは一袋か……」

 

お世話になった人達には渡し終わったし、どうしようか。と考えていると、黒い詰襟を着た女性が目に入る。里に常駐している鬼殺隊の人だろう。よし、最後の一つはあの人に渡すとしよう。

 

「おーい、そこの人ー」

 

声を掛けると女性が振り返った。それを見て、俺は小走りしながら女性の下へと向かう。

 

「えっと、貴女は、甘露寺様と一緒にいた…」

 

「茨木と申す。早速なのだが菓子はいらぬか?里の者達に配っていたのだが、一つ余ってしまってな。よければ貰ってくれぬか?」

 

クッキーを見た女性の目がキラリと輝く。フフフ、分かるぞ。この人も中々のお菓子好きと見た。

 

「そういう事でしたら…是非」

 

「うむ、遠慮なく受け取るがよい!」

 

そう言って女性にクッキーを手渡す。喜んでくれているようでなによりである。

 

「……」

 

ん?どうしたんだろうか。なぜか女性が俺の顔をじっと見つめてくる。美人さんにそんなに見つめられると照れてしまうじゃないか。

 

「あの、もしかしてなんですけど……私達、どこかで会った事あります?」

 

「む?奇遇だな。吾もそう思っていたのだ」

 

そうなのだ。この人、どこかで会った事がある気がする。いつだったかな。確か、この世界にきてまだそれほど経っていない頃のような…

 

「おーい、尾崎さーん。ちょっと手伝って貰えるー?」

 

「あ、はい!今行きます!」

 

女性に声が掛けられた。尾崎っていうのか、この人。

 

「すみません。私、もう行きますね。お菓子、ありがとうございます」

 

ぺこりと頭を下げ、尾崎さんは去って行った。それにしても、一体どこで会ったのだろうか。うーむ、思い出せん。いつか『君の名は』的なドラマティックな展開に期待するか。

 

 

「ん?あれは…」

 

昼頃、食事処へと続く廊下を歩いていると、特徴的な髪型をした男の後ろ姿が目に入った。この世界であんな髪型をしている人物は一人しかいない。よし、声を掛けよう。

 

「玄弥!」

 

「あァ?…って茨木⁉︎何でこんな所に…?」

 

不死川玄弥。初めて出会ったのは、岩柱、悲鳴嶼さんの所で稽古(という名の監視)をつけてもらっていた時だ。俺の正体が鬼である事を知る数少ない鬼殺隊員である。

 

「甘露寺の誘いで療養にな。汝は?」

 

「お、おう。弾の補充と刀の調整だ。丁度今日からな」

 

最初はかなりツンケンしていたが、今ではかなり打ち解ける事ができた。

 

「しかし二ヶ月もどこに行ってたんだ?悲鳴嶼さんも心配してたぞ」

 

「少々厄介な敵に絡まれてな。動くに動けなかったのだ。悲鳴嶼にもその旨は伝えておる」

 

「アンタが厄介って言うとなると、また十二鬼月絡みか?」

 

「うむ…まあそんな所だ」

 

十二鬼月どころかその始祖と遭遇しちゃってたんだけどね!

一応、俺が鬼舞辻と遭遇した事は口外しないようにと指示を受けている。中途半端な情報が広がるのを防ぐ為と、情報源の俺が目立たなくする為だ。一応鬼殺隊の中でもトップシークレット的な存在ですのよ、俺。

 

「それで、汝は今から昼餉か?なら一緒にどうだ?」

 

「いや、俺はいい。悪いがアンタ一人で行ってくれ」

 

……オイオイオイ。今の発言、もしやこいつ。

 

「玄弥、貴様ちゃんと飯は食っておるのか?」

 

俺の言葉に、玄弥の顔が少し曇る。

 

「そうかそうか。ーーーーーーよろしい、ならば昼飯だ」

 

玄弥の首根っこを掴み、強引に食事処へと引きずっていく。

 

「いや、俺はいいって!食欲ねぇんだよほんとに!」

 

「喧しい!鬼喰いばかりしておるからそうなるのだろうが!休暇中ぐらいちゃんと飯は食え!育ち盛りであろうが!」

 

「いや俺は別に休暇中ってわけじゃ「言い訳無用!」……ウス」

 

とりあえず飯三杯は食わせよう。特異体質だからといって普通の食事を忘れていいわけがない。食べる事も鍛錬の一つ。逃げられるとは思わない事だ(悪い顔)。

 

 

「そりゃぁ!」

 

昼食を終えた俺と玄弥は、腹ごなしの運動を兼ね、裏山で打ち合い稽古に励んでいた。

 

「ッ!相変わらず、小さい体のくせにとんでもねぇ力だな、っと!」

 

「そう言う汝も随分鍛えたのだな。以前より体捌きに磨きがかかっておるではないか!」

 

木刀のぶつかり合う音が木々の間に響いていく。

それにしても玄弥は本当に腕を上げている。以前会った時とは別格に、だ。炭治郎達もそうだが、みんな修羅場を越えてどんどん強くなっているんだな。そう考えるとだんだん気持ちが昂ってきた。

 

「さて、そろそろギアを上げるぞ、玄弥!」

 

聞き慣れない言葉に首を傾げる玄弥に剣撃を叩き込む。玄弥の持つ木刀がミシリと音を立てた。

 

「痛!っておい!変化解けてるぞアンタ!」

 

「承知の上だ。この場所ならそうそう人目にはつかぬだろうからな。なにより変化したままでは力が出しきれんのだ。という訳で…まだいけるな、玄弥!」

 

「…ハッ、上等。丁度、雑魚鬼の相手ばっかで厭き厭きしてた所だ。来いやぁっ!」

 

木刀を構える玄弥を目掛けて駆ける。ここまで熱くなってしまえば、誰も俺達を止める事はできないーーーーーーーーーそんな事を考えた矢先、

 

(おんやぁ???)

 

突如頭をよぎる死の予感。力のベクトルを反転させ、すぐさまその場から飛び退く。

 

「あれ、避けられた。案外素早いんだな」

 

抑揚の無い透き通った声。その声の主を、俺は知っていた。

 

「時透⁉︎何故汝がここに⁉︎というか今完全に吾を殺しにきてたよな⁉︎」

 

霞柱、時透無一郎。個性的な面々が揃う柱の中でも、特に掴み所のない人物だ。

 

「何でって、君が鬼だからに決まってるじゃないか。それより、どうして僕の名前を知ってるのかな?どこかで会った事あったっけ」

 

そういえば前に胡蝶さんから、この子は記憶に少し問題があるって聞いた事があるな。前に会ったのもかなり前だし、俺の事忘れられてるっぽい?

 

「時透さん、何やってんだよ!アンタ、柱ならこいつの事知ってるだろ⁉︎」

 

「うるさいなぁ。耳元で喚かないでくれる?」

 

時透君が玄弥の首元に手刀を打ち込む。恐ろしく速い手刀、俺でなきゃ見逃しちゃうね。とか考えてる間に玄弥気絶。うむ、ヤバし。

 

「あれ、そういえば何で昼間なのに生きてるの?…まあいいや、どうせ今から君は死ぬんだし」

 

時透君が構える。どうも戦闘は避けられそうにない。そういえばこの子の技って初見だな。ハハハ……やっべえぞ。

 

彼の姿がふわりと消える。と、直後に再び首元に冷たい感覚が。それが到達する前に骨刀を出現させ、刃を受け止める。

 

「ッ!話を聞く気にはならぬか…!」

 

「どうして君の話を聞かなくちゃならないの」

 

刀を弾き、間合いを取ろうと後退する。しかし、

 

(はっっっやいなオイ!刀を奪おうかと思ってたけど、こりゃ無理だな!)

 

四方八方から撃ち込まれる斬撃の嵐。他の柱と比べてもダントツの剣速だ。無論、一撃でも喰らえばただでは済まない。迫り来る刃を防ぎながら、反撃できる隙を伺ってみるが、

 

(やっぱ無いよね!まだ子供とはいえ柱だもんね!)

 

一旦『仕切り直し』を使って逃げようか。しかし後の事を考えると面倒な事になりそうな気しかしない。ならここで誤解を解いておくのが一番だけど…待てよ、誤解を解いた所でこの子どうせ忘れるんじゃ…

 

「しぶといなぁ、君」

 

おっと空気が変わった。何か仕掛けてくるぞ。

視界いっぱいに刃が迫る。逃がさないようにと手数で攻めてきたか。さて、どうするか。

 

・たたかう

・にげる

 

・たたかう

→・にげる)Click!

 

よし!『仕切り直し』を使って逃げよう!さっきも思ったけど、誤解を解いても忘れられちゃうかもしれないし、なによりこのままだと本当に殺されちゃいそうなので迅速に撤退を「ゴッ」ん?足に何かが…

 

(GE☆N☆YA☆)

 

いつの間にかお昼寝中(気絶)の玄弥の所に来ちまってた!まずい、変に退いたら時透君の攻撃が玄弥に当っちまう!迎え撃つしかねぇじゃねえか!

 

(仕方ない、腹を括れ!でもどうする?玄弥も守りつつ防ぐとか結構難易度高くないか⁉︎)

 

俺の喧嘩殺法では防御には限界がある。ならどうする?気合か?気合で何とかするか?などと考えている内にも、時透君の刃は迫ってくる。どうすーーーーーあ、そうだ!

 

刀を構える。いける。これなら玄弥を守りながら、時透君の剣を防ぐ事ができる。

 

(技、借りますよ。煉獄さん!)

 

重心を落とし、体を固定する。そして迫り来る刃に向かい、渦巻く炎を描くように、刀を薙ぎ払う。

 

(見様見真似、炎の型・盛炎のうねり!)

 

金属音が響く。俺の目論見通り、見事に時透君の斬撃を防ぐ事に成功した。しかし喜んだのも束の間、俺は衝撃的な光景を目に入れた。

 

(あれ?時透君の刀…あれ、折れ…折れて……)

 

何度も目を擦って見直す。しかし、結果は同じ。間違いなく折れてしまっている。時透君の刀が。

 

(やっちまったああああああああ‼︎‼︎‼︎)

 

当の時透君も、折れた刀を見て固まってしまっている。どうしよう、弁償とかで済むのだろうか?いやそもそもお金の問題じゃないか?柱の刀なんだし、実は甘露寺さんの刀みたいに特殊な作りだったのかもしれない。どうしよう……

 

「…ねえ、今の煉獄さんの技だよね。どうして君が使えるのかな」

 

あれ、刀よりもそっちの方が疑問なの?とりあえず、ここは普通に答えておく事にしましょう。

 

「稽古中に何度も見せられたからな。嫌でも覚えておるわ」

 

「稽古?煉獄さんと、君が?」

 

「うむ。覚えておらぬか?以前の柱合会議で、吾は鬼殺隊に身を置く事となったのだ。無論、お館様も同意の上でな。汝もその場におったぞ」

 

俺がそう言うと時透君は腕を組んで首を傾げる。何とか思い出してくれないか。ていうかなんだその「うーん」という仕草。顔立ちが中性的なせいでちょっと可愛いと思っちまったじゃねえか。

 

「お館様様が?そういえば君の髪、見覚えがあるような…」

 

そうそういいよいいよ!その調子で思い出して!何で髪に目がいったのかは分からないけど、とにかく今は思い出してくれればーーー

 

「ちょっとちょっと!二人共やめてー‼︎」

 

死角から何かがぶつかり、弾き飛ばされる。柔らかかった。そしてすごくいい匂いだった。一瞬だけど。

 

「何か音がすると思って来てみたら!二人共何やってるの⁉︎稽古かと思ったら二人共真剣使ってるし、怪我したらどうするの⁉︎」

 

飛び込んできた人の正体は、皆さんご存知甘露寺蜜璃さん。よかった、これで助かった。

 

「甘露寺さん、来てたんだ」

 

「うん、来てたよ。じゃなくて!ダメよ無一郎君、稽古に真剣使っちゃ!ーーーってあら⁉︎こっちには伸びちゃってる子もいるじゃない⁉︎一体何があったの⁉︎」

 

なんだろう。空気が一気に騒がしくなったな。泣いたり驚いたり感情コロコロ変わってるし…。

 

「とにかく、稽古をする時は木刀を使ってね。…あ、ほら。ここにちゃんとあるじゃない。どうして最初から使わなかったの?」

 

そう言って甘露寺さんは俺と時透君に木刀を渡してくる。あれ、これもしかして……

 

「私はこの子連れて屋敷に戻ってるから、晩ご飯には戻って来てね。せっかくだからみんなで一緒にご飯食べましょう。じゃあね」

 

やっぱり戦闘続行の流れになってる⁉︎待って行かないで!俺を一人にってああ行っちゃった。あーあ、どうすんだこれ。

 

「…」

 

無言の時透君。そして握り心地を確かめるように、二回程木刀を振る。

 

「……とりあえず、やろっか」

 

(なんでさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎‼︎⁉︎)

 

数時間後、息絶え絶えで地面に這いつくばう茨木童子の姿があったとさ。

 




閲覧ありがとうございます!

気が付けば前回から二ヶ月強…更新遅くなり申し訳ありません!
今後の投稿ペースについてはなんとも言えませんが、完結までは持って行きますのでどうか温かい目で見守って下さい。それではまた次回。
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