オリ主が茨木童子になって鬼滅の世界にGOする話   作:鉢巻

2 / 19
浅草にて

茨木童子になってから、早くも一ヶ月が過ぎた。

夜通し走ってようやく辿り着いた街で俺はーー

 

「いらっしゃいませー!みたらし団子はいかがかー!」

 

絶賛労働に勤しんでいた。

 

 

「お疲れ様、トウコちゃん。はい、今日の分のお給金」

 

「うむ!感謝するぞ女将。ではまた明日な!」

 

給料を受け取り、ルンルン気分で帰路に着く。

この浅草に着いて、色々と分かった事がある。

まず、ここは日本、しかも大正時代という事。マジかー、異世界かと思ってたけど普通に故郷だったわ。

しかし、この日本は俺の知っている日本と違う点がある。そう、あの化物の事である。

これについてこの数週間、かなり調べているが、情報がほとんど出てこない。この街で調べて分かったのは、あの化物は人を喰らうという事、そして『鬼』と呼ばれるという事、この二つだけだ。あいつが言っていた同類というのは、この事だったのか。

そしてもう一つ、これもかなり重要な事だ。それはあの鬼を殺す集団、『鬼殺隊』なる物があるという事。

この鬼殺隊についてだが、何と、俺はこの街にくる前に一度遭遇している。

かなりヤバいやつだった。目がギョロギョロしてて怖いし、何だあの髪の色。日本人にあんな派手な赤髪の人なんていたの?

何より驚いたのはその強さだ。最初に戦った鬼とは比べ物にならない。羅生門大怨起で強引に突き放して、何とか逃げ切る事ができたが、あのまま戦っていたらどうなっていたか…

とりあえず、鬼という存在はこの世界では人間に敵対する存在だという事が分かった。故に俺は今姿を変えて、人の中に紛れて過ごしているという訳だ。ちなみに見た目はイバラギンの髪を黒くして、角をなくした感じね。いやー、イバラギンに変化のスキルがあってよかった。

そして俺の普段の過ごし方だが、昼はさっきのように茶屋でバイト。夜はーー鬼を狩っている。

鬼を狩っている理由だが、人を襲うという理由が一番だが、実は俺自身の鍛錬も兼ねている。

今はうまく隠れてはいるが、あの赤髪みたいな奴と再び遭遇してしまう可能性も低くない。その時の為に自分を鍛えているのだ。

あ、ちなみに正面から戦う為じゃないよ。隙を突いて逃げる為だからね。俺鬼だけど平和主義者だから。

あ、そうそう。鬼を狩っている時に分かった事もある。まず、鬼は俺の刀で首を切らない限り死なない。腕を切ったり脚を切ったりしてみたが、すぐにくっついたり再生したりした。

あと鬼は太陽の光に弱いらしい。太陽の光に当たると灰になって消えていった。…何か、その辺吸血鬼に似てるような気がする。

 

ともかく、俺が今この世界でするべき事は二つ。鬼をできるだけ狩る事。そして鬼殺隊から逃げる事だ。だが、その前に。

 

「腹が減っては戦はできぬ。見つけたぞ、今日の晩ご飯!」

 

うどんの看板をつけた移動式の屋台に向けて、足の回転を早める。あの亭主は少々頑固者だが、作るうどんは絶品なのだ。

 

「亭主!きつねうどんをひと…つ…?」

 

辿り着いた屋台で俺が目にしたのは、青筋をたてて怒鳴る亭主と、

 

「ムー…」

 

眉を八の字にして困り顔をする、女の子の鬼の姿だった。

 

 

「だーかーらー!何度言わせりゃ分かるんだ!金の問題じゃねぇんだ!お前が俺のうどんを食わねえのが問題なんだ!まずはその竹を外せ!そして俺のうどんを食え!話はそれからだ!」

 

亭主、ブチ切れのお知らせ。そしてもう一人は…

 

「…(・ω・`)」

 

鬼…だよな。うん、気配からして間違いなく鬼だ。何で竹を咥えてるんだ?そもそも何でうどん屋に?

…とりあえず、声を掛けてみるか。

 

「おお、茨木の嬢ちゃんか。いやな、この嬢ちゃんともう一人羽織りの坊主がいたんだがよ、俺のうどんを注文したくせに、坊主はどっか行っちまうし、この嬢ちゃんは竹を咥えたまんまだんまりときた!しかも俺のうどんを地べたにぶち撒けやがった!だから俺は怒ってんだ!」

 

あー、そりゃ怒るわなー、この亭主だったら特に。

しかし、だからといって「どうぞご自由に」と言う訳にもいかないし…

 

「んで、茨木の嬢ちゃんは何にすんだ?」

 

「え、この状況で注文受けるのか?」

 

「あったりめぇよ。それはそれ、これはこれ。全く別問題さね」

 

「そ、そうなのか。ではきつねうどんを一つ頼む」

 

「あいよ!茨木の嬢ちゃん、そっちの嬢ちゃんが逃げださねぇよう見張っといてくれよ」

 

人、いや鬼使いの荒い亭主め。まぁいいけど。

 

「して、汝はなぜこんな所におるのだ?」

 

そう問いかけながら、鬼の女の子の隣に座る。

 

「…」

 

返事はない。竹を咥えているから当然か。なら、

 

「もう一人一緒にいたと言っていたな。そいつはどっちに行った?」

 

そう聞くと女の鬼は静かに指をさした。ふむ、街の方か。

 

「なぜ汝を置いて行ったのだ?理由は聞いてるか?」

 

ふるふると首を横に振る。理由は分からない、か。

 

「一緒にいたのは汝の恋人か?」

 

「…」フルフル

 

「なら兄妹?兄か?」

 

「…」コクリ

 

「そうか…」

 

よしよし、優しく頭を撫でる。

この子からは他の鬼のような嫌な気配も、血の匂いもしない。鬼にもこんな大人しい子がいるんだな。そんな事を考えていると、女の子がスッと立ち上がった。

女の子の視線の先を見ると、こっちに向かって走ってくる男の子の姿が見えた。

 

「ーー」

 

そうか、あれがお兄ちゃんか。黒い詰襟を着て、

 

「ーーい」

 

羽織りを羽織って、

 

「おーい」

 

刀を…持っ…て……

 

「禰豆子!置き去りにしてごめんな。…あれ、誰か一緒にいたのか?何だか変わった…団子の匂い?」

 

「はい、きつねうどんお待ち…ってあれ、茨木の嬢ちゃん?どこ行った?」

 

「茨木の…嬢ちゃん?」

 

「あ、さっきの坊主!お前よくもーー」

 

 

危なかった危なかった危なかった!

何で鬼殺隊が来るんだ⁉︎でもあの女の子を殺しにきた感じじゃなかったし…。一緒にいた兄ってあの子の事か?何で鬼殺隊と鬼が一緒に?

とにかく撤退だ。今日の所は、仕切り直し!

 

後日、うどん屋の亭主に謝りに行きました。うどん二杯食べたら許してくれました。満腹。




閲覧ありがとうございます!
早速感想をくださった方、ありがとうございます!感想欄にあった説明については後程物語の中で書いていく予定です。
ちなみにこれから投稿頻度が落ちます。私次第ですがかなり空いてしまうかも…どうか気長にお待ち下さい!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。