オリ主が茨木童子になって鬼滅の世界にGOする話   作:鉢巻

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秘密の修行場にて

「おお…!」

 

雄大に流れ落ちる滝を見て、思わず感嘆の息が漏れた。

柱合会議から三日後、胡蝶さんに案内され辿り着いたのは、蝶屋敷から一時間程かけて移動した先にある山の中。近くには岩柱の悲鳴嶼さんの屋敷もあるらしい。

この辺り一帯は鬼殺隊当主、産屋敷家が管理している土地の為、民家もない。これなら存分に鍛錬に励めそうだ。

…それはそれとして、

 

「しかし鬼と手合わせをする日がこようとは!人生何があるか分からない物だな!」

 

なーんで煉獄さんがいるんでしょうか。しかも勝手に手合わせする事になってるし。

 

「私がお願いしたんです。鍛錬の途中に逃げられたら厄介ですから」

 

「いや、吾は別に逃げる気などは…」

 

「そう言うな茨木少女!鍛錬というのは一人でやるより、誰かと競い合った方が何倍もの効果がある!」

 

いやそういう事じゃなくて…ダメだ、話聞いてくれそうにないな、この人。

 

「真剣は危ないからな!木刀を使う事にしよう!」

 

「あ、ああ。分かっ「では構えるがいい!いくぞ!」ちょっと待てまだ心の準備がってうひゃあっ⁉︎」

 

瞬きの間に、煉獄さんが胸元に向けて木刀を振り下ろしてくる。慌てて後ろに飛び退き、なんとか回避に成功する。

 

「うむ!中々いい身のこなしだ!ならば、これはどうだ!」

 

煉獄さんが構える。おそらくこれから繰り出されるのは、鬼殺隊が代々引き継いできたという『呼吸』の技。確か煉獄さんが使うのは…!

 

(炎の呼吸、壱ノ型 不知火!)

 

爆ぜる炎の如き瞬発力による一撃。回避はできない。ならば受けきるのみ!

木刀がぶつかり、衝突音を放つ。重い。とても人間が放つとは思えない一撃だ。

 

「ぜっりゃぁぁぁぁ!」

 

足の踏ん張りをきかせ、煉獄さんを弾き飛ばす。今度はこちらが仕掛ける番だ。煉獄さんを目掛けて跳び、木刀を叩きつけるように構える。おそらくこの一撃は避けられる。ならば回避した所を狙うまでだ。ーーーそう思っていたのだが、

 

(避けないのか⁉︎)

 

煉獄さんが回避行動をとる様子はない。こちらの攻撃を正面から受けるつもりだ。

 

「む!」

 

乾いた音をたてて、木刀がぶつかる。

 

(受けられた!なら次はーーーー)

 

瞬間、煉獄さんの姿が消える。どこに行った?右か?左か?そんな事を考えている俺の意識を、死角から迫ってきた刃が刈り取った。

 

 

時は遡り、産屋敷邸、柱合会議での出来事。

 

「しかし、期待していた鬼舞辻の情報が何もなしとはな。煉獄から逃げおおせたと言うからどんな派手な奴かと思っていたが、とんだ期待外れだぜ」

 

そう言ったのは、輝石で装飾された額当てを付けた男、音柱、宇髄天元。

 

「期待外れ、と言うにはまだ早いですよ。この鬼はどういう経緯か、太陽の光で死なず、人の血肉を喰わずとも生きていける体となっています。…それはもう分かっていますよね、おはぎ好きの不死川さん?」

 

「うっせえな!殺すぞ蟲女!」

 

先程から殺気を撒き散らしていた風柱、不死川に蟲柱の胡蝶が嗜めるように言い放つ。

 

「だから何だというのだ胡蝶。性質が違うと言えど、その姿はどう見ても『鬼』その物だろう。幾ら希少な検体とはいえ、我々に被害が出てからでは元も子もない。今すぐこの場で処分すべきだ」

 

「で、でもこの子すごくいい子だよ?さっきパンケーキを食べた後も、ちゃんとお礼言ってくれたし。それにお館様のお話だと、浅草のお茶屋でお手伝いさんしてたんだよね?本当に悪い鬼なら、わざわざそんな事しないと思うし…」

 

恋柱、甘露寺の反論に、蛇柱の伊黒は不満げな顔をしながらも押し黙る。

 

「…これはあくまで推測でしかないのだが、この茨木童子という鬼は我々の知る『鬼』とは完全な別種なのではないのかと考える。だがそうなれば、我々の知らぬ脅威が一つ増えたというのもまた事実。嗚呼…お館様のお言葉に反してしまいますが、若い芽は今の内に摘んでおいた方が良いかと…」

 

「…(あの子の髪、キラキラしてて眩しいなぁ。あ、ちょうちょ)」

 

全く関係ない事を考える霞柱、時透と、涙を流しながら訴える岩柱、悲鳴嶼。その悲鳴嶼の言葉に、産屋敷家当主、産屋敷輝哉が口を開く。

 

「うん、皆の意見も尤もだ。茨木童子が敵が味方か、ここで判断するには、まだ情報が少な過ぎる。…杏寿郎、君はどう思う?彼女と一番最初に接触した、君の意見が聞きたい」

 

産屋敷が赤髪の剣士、炎柱、煉獄にそう問いかける。その問いに煉獄は、

 

「正直、全く分かりません!」

 

あっけらかんとした表情で、そう言葉を返した。

 

「お館様のお言葉の通り、この鬼についてはまだ情報が足りません!そこで一つ、茨木童子!君に問いたい事がある!」

 

そう言って煉獄は、拘束着で縛り付けられている茨木童子を見る。

 

「君は何故あの時私を殺さなかった!君の巨大な手で私を掴んだ時、そのまま握り潰そうと思えばできた筈だ!だが君はそれをしなかった!それは何故だ!」

 

煉獄は知りたかった。あの時の茨木童子の行動に、どんな理由があったのか。それに対して、茨木童子は、

 

「いや、だって汝人間だし…」

 

そんな事を聞かれても困る、とでも言いたげな表情で、そう答えた。

 

「そもそも、汝が最初から話を聞いておれば、吾は戦うつもりなど全くなかったのだからな。それを汝がいきなり斬りかかってくるものだから、殺されまいと応戦しただけだ」

 

茨木童子の言葉を聞いて、柱の面々は呆気に取られた表情で固まる。それもそのはずだ。柱達からしてみれば、『鬼』は人を殺して当然の生き物。しかし、この(・・)茨木童子からしてみれば、人を殺すという行為は禁忌(タブー)その物なのだ。

 

「…なるほどな。ーーーお館様、私はお館様のご意見に賛同致します!しかし、柱の中には不満に思う者もいましょう!そこで一つ提案なのですが、今後の彼女の行動には、柱が一人監視に付き、いざという時にはその場で処分を下す、というのはいかがでしょうか!それならば、皆も納得致しましょう!」

 

煉獄の言葉に、他の柱達は沈黙で答えを返す。

 

「…うん、決まりだね。これからよろしく頼むよ、茨木童子」

 

こうして、柱合会議は終わりを迎えた。

 

 

「う…む……」

 

どれくらい意識を失っていたのだろうか(二回目)。

意識を取り戻して最初に目に入ったのは胡蝶さんの顔だった。

 

「顎に一発、見事に昏倒していましたね。私もあの時、毒を使うのではなくこうしていれば、簡単に捕まえる事ができたんでしょうか」

 

何物騒な事言ってんのこと人。

体を起こし立ち上がると、真っすぐな瞳でこちらを見る煉獄さんがいた。

 

「力、速さは一級品だ!柱に匹敵すると言っても過言ではないだろう!だが技術が圧倒的に足りない!はっきり言って素人以下だ!これでは今後の戦いで生き残れないぞ!」

 

本当にはっきり言ってくれるな、この人。その通りだから全く反論できないけど。

 

「そこでだ!これから俺が君に剣術を教えてやろう!鬼である以上継子にはできないが、些細な事だ!」

 

……ゑ?今何て言った?柱が俺に稽古してくれるの?それは願ったり叶ったりだけど、いくらなんでも急過ぎでは…

 

「そうと決まれば俺の屋敷に行こう!まずは素振り一万回からだ!」

 

「待て!数がおかしくないか⁉︎それに吾はまだ行くとは言っておらぬだろう!おい!首元を掴むな!胡蝶!胡蝶ー!」

 

助けを求めて手を伸ばすが、胡蝶さんはにっこり笑いながら手を振るだけだった。

…こうなったら、やれる所までやってやるよ!(泣)

 

▼おまけ 療養中の出来事

 

「〜♪」

 

「茨木ちゃん、何してるの?」

 

「おお、甘露寺か。丁度良かった、今焼き上がった所だ」

 

「焼き上がる?そういえば、なんだかすごくいい匂いがする…!何を焼いてたの?」

 

「マカロンという菓子の生地の部分だ。後はこうしてクリームを挟んで…よし、できたぞ!」

 

「わぁ、小さくて可愛いね!これ、貰っちゃっていいの?」

 

「うむ!前のパンケーキの礼だ。遠慮せず食べるがよい!」

 

「それじゃあ一つ……‼︎何これ美味しい!外はサクサクしてて中から甘いクリームがほんわりと…!」

 

「クハハハ!そうだろうそうだろう!何せ吾の大好物だからな!まだまだある故どんどん食らうがよい!」

 

「ホントにいいの⁉︎うわーありがとう!茨木ちゃん大好き!」

 

この後、甘露寺の食べる量に度肝を抜かれる茨木童子だが、それはまた別のお話。




閲覧ありがとうございます!
Q.大正時代にマカロンの材料があるの?A.細かい事はいいんだよ。
蛇足ですが生地の焼き上げは叢原火に、材料の調達は炭治郎にお願いしています。ではまた次回!
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