友『TSしたら?』俺『おk、人生やり直すわ』改稿版 作:二ツ井 五時
旧作の方ではすっ飛ばしてしまった所を丁寧に書いていきたいと思います。
ではどうぞー
爽快なほど透き通った青い空!
遠くに浮かぶ白い入道雲!
エアコンガンガンに効いた部屋で食べるアイス!
やかましい蝉が止まってる木に蹴り入れて!
やって参りました夏休み!
ビバ!サマーバケーション!
「あーアイスおいしー」
「体冷えると、体調悪くするよ。ほどほどに、深月ちゃん」
「はーい湊士くん」
という訳で、私達は初めての夏休みを迎えていた。
そして始まったので何をするかと言えば、まず宿題。
私と湊士君にとって小学1年生の宿題なんて言うのはおちゃのこさいさい朝飯前なので、夏休みの後半にいくらでも遊べるようにと早めに終わらせようという魂胆だ。
しかし、1年生なので難しい内容は出ていないが、反復練習を推奨しているのか少々課題の量が多めなのでちょっと大変。
特に小学生特有の課題、自由研究なんかは親の協力がないと大変だったりする。
それは後でやるとしても、課題プリントは残しておいても得にならないので、こうして湊士君の家と私の家をお互いに行き来しながら課題を進めているのである。
幸いにも始まって3日目の今日にはもう終わる目処が立っている。
この調子なら自由研究にも沢山時間が裂けそうだ。
どうしようかなー自由研究。
一応貯金箱でも作って提出してしまえばそれは工作ということで自由研究扱いになるけど、折角だったらなにか大きな物を作りたい。
共同研究というのは認められてないので個人の範囲にはなるけど、前世よりもはっちゃけて生きると決めたからにはやっぱり自由研究というから研究をしたいところ。
さーて何を研究しようかなぁ。
あ、ちなみに今日は湊士君が私の家にお邪魔していて、リビングのテーブルで向かい合って課題を片付けている。
さっきのアイスはうちにあった棒アイスだ。
バニラ味の当たり付き。リーズナブルなお値段で買えるからお財布にも優しいし美味しいという最高の棒アイスである。
私は下を見続けて少々痛みを感じている首を軽く回しながら、湊士君に話しかける。
別に集中して解かないと解けない問題というのは無いので、多少片手間でも問題なく手は動かせる。
「にしても、国語と算数だけなのにいっぱいだね」
「うん、難しくないけど、手が疲れる。ちょっと大変」
プラプラと鉛筆から手を離し、軽く振って疲労を誤魔化す湊士君。
わかるー。
鉛筆ってシャーペンみたいにグリップが付いている訳じゃないから固くて長時間持つと指が痛くなってくるし、なんならペンだこ出来るからあんまり得意じゃない。
あと鉛筆の芯と紙が擦れると伝わってくる、あのザラザラとした触感が私は前世とても嫌だった。
しかし、鉛筆はマークシートに使ったり、絵を描くのに使ったりと何かと使う機会が多いのでできるだけ慣れるように努力はしてる。
あーーーーざらざらするーーーぞわぞわするーーー
ほんとに苦手なんだよなーこの感触と言い音と言い。
発泡スチロールが擦れる音とかダンボール同士が擦れる音も苦手だったりする。
逆に紙と紙が擦れたりするのは大丈夫だ。
黒板に爪立てて引っ掻くのはやめろ。あれは万民に効く音響兵器だ。
「うぇぇ……」
「大丈夫?」
思わず机に突っ伏した私を、湊士君が心配して声をかけてくれる。
私は軽く湊士君に手を振りながら問題ないことを伝えた。
「う、うん。でも鉛筆って苦手だな〜いちいち削らないと書けないし、持つところがどんどん小さくなってくるし、言ってもしょうがないんだけどさー」
「まあ、鉛筆使ってくださいって、言われてるし。我慢しよう。僕も我慢するから」
そう言って一緒にがんばろうって言ってくれる湊士君はほんとイケメンだと思います。
仕方ない、そう言って励ましてくれるのなら私も頑張ろう。
何せもうちょいで終わるんだ。
なら最後のスパート掛けて頑張った方が達成感がある。
私は、時折湊士君からの声援を受けながら、一生懸命課題プリントを進めていく。
その努力が実り、無事夕方には課題プリントは全て片付蹴ることが出来た。
そういえばとふと気になったので私は、湊士君に自由研究について聞いてみる事にした。
「ところで湊士くんは自由研究どうするの?」
「相対性理論について、纏めてみようかなって」
そーたいせーりろん?ワッツ?
あー!相対性理論ね。
相対性理論?!
「それ多分大人でもついていけない人居るやつだよ湊士くん…」
「え?面白いよ?」
つくづくこの幼馴染みは規格外である事を思い知らされる。
時折湊士君も私と同じ転生者なんじゃないかと疑ってしまう事もあるが、転生者なら真っ先に私に転生者かどうかコンタクトとってくるだろうし、こんなに頭が良いんだ。
とっくの昔に私が転生者であることなんて見抜いているだろう。
それについて触れてこない限りは私は何もしないし、それにそうでないのは何となくだけど分かる。
こんなに頭が良くても彼だって普通に小学生なところがあるのは、私だけじゃなく友達の佐藤くんや燈ちゃんだって知っている事だ。
頭脳明晰で体力お化けだけど、少し負けず嫌いな幼馴染。
そんな彼や友人達とずっと楽しく暮らせればきっと楽しいだろうなんて、思いを馳せながら、私は新しい棒アイスに齧り付くのであった。
後日の話だ。
私はお腹を壊してトイレにこもり、無事湊士君の介護を受けましたとさ。
いかがでしたでしょうか?
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では次回もまたよろしくどうぞー
訂正:前話の「来年はクラス別々に」という所を「クラス替えではクラス別々に」と訂正しました。