ハーレム展開撲滅ゲーム   作:劇鼠らてこ

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こちらからでは見えない世界がある


ここが分岐点。運命と未来の分水界。

「な──……ん、だよ」

 

 振り返らずに。

 その目を見てしまえば、合わせてしまえば、何かが起こるという確信があった。

 

「あの日の事、覚えてる?」

「……さぁな。何の事なのかさっぱりだ。つか、話しかけてくんな。耳障りなんだよ」

「あの日。貴方が杉原君を殴った、あの日の事。もう人を殴らないで、って。私と約束した、あの日の事を覚えているかと、そう聞いているの」

 

 振り返らない俺に、彼女は、けれど矢継ぎ早にそう問いかける。

 中学二年生の頃の話だ。別に、特に面白い話じゃない。

 ただ、その時。杉原光一という、所謂"気の良い奴"がいて。

 男子で、唯一ハート状態になりかけた彼を──それを止める手立てを思いつかずにぶん殴った、というだけの話。

 ただ、場所と状況が最悪で。

 彼女や他の女子、クラスメイトの数人が見ている廃工場であった事が、どうしようもなくて。

 断れば良かったんだ。あの頃は、あの時は、色々な事を甘く見ていた。どうにかなると思ってた。肝試し、なんて。やらなければよかった。ゲーム本編にもない子供のイベントになんて。

 杉原の頼みなんか聞かなければよかった。ちゃんと断れていたら……あんなことには。

 

「砂埃と、色々な物が倒壊する音。轟音。破裂音。耳をつんざくような音の群れに、私達はみんな耳をふさいで、蹲ってた」

「うるせぇな、さっきから」

「でも──そんな、砂埃の中で。誰かの人影が見えたのよ。他の子は誰も気付いてなかったし、杉原君も意識を失っていたからわからなかっただろうけれど……誰かが居て」

「ぶつぶつぶつぶつうるせぇって、」

「その後──奇跡が起きた。どうしてか、私達の周りにだけ瓦礫が落ちて来なくて。怪我をしたのは、貴方だけで」

 

 よく、見ている。

 あの轟音と、あの砂埃の最中だ。自身の命すら危ういだろう状況で、周りを観察できる判断力。

 流石。いつもかっこいいな、由岐は。

 

「……知ってる? 病院に運ばれた杉原君が、目を覚まして、一番に、最初に何を言ったのか」

「知るか。それに、さっきから杉原杉原と……名前だけは覚えてるが、顔も忘れたよ、そんな野郎」

「"彩人に怪我はないのか?"って。"アイツが守ってくれたんだ"って」

「──……?」

 

 え?

 ……いや、それはあり得ない。彼女自身が先ほど述べたように、主人公の肉体から繰り出されたパンチで杉原の意識は刈り取られていたはずだ。初めて人を殴ったあの日。どうしようもなくなって、どうしたらいいかわからなくなって手が出てしまったあの日。

 だから加減なんかわからなくて、腰の入ったパンチをしてしまって。

 脳の揺れた杉原は崩れ落ちて、呼びかけにも反応できなかった程なんだ。それがどうして、俺の動きを察知出来よう。

 

 夢だ。そんなものは。

 

「今、この街に流れてる噂。知らない事は無いんでしょ? 貴方が、みんなの命を救って、守っているヒーローだ、って噂」

「……知らねえな。なんだ、その気色の悪い噂は」

「それで、確信した。やっぱりあの時の人影は貴方で、降り注ぐ瓦礫を全部、自分が怪我をしてまで払ってくれていたのは貴方で」

 

 好意ゲージの上がる音がする。

 振り向かない。振り向けない。振り向けば、全てが終わるような気がする。

 

「ね、──()()。貴方、本当は」

 

 ああ、でも。

 これが最後、なのかもしれない。

 対面で──彼女の笑顔を見ることが出来る機会、なんて。

 

 視界の隅で、見たくもないデブのにやけ顔が踊る。

 これを最後にするくらいなら、振り返って。

 

 

「うるせぇよ、ブス」

 

 

 振り返って。

 手の甲で、彼女の頬を叩いた。

 

 

「っ……?」

 

 譲司と違って、彼女の声は周囲に聞こえている。

 彼女の話を聞いてか、クラス中の好意ゲージが上昇しているのは音でわかっていた。

 ああ、成長なんか出来ていない。どうしようもない。

 

 だから、こうするしかなかったんだ。

 

 上昇音が止まる。

 

「もう隠す意味も無さそうだしな、言ってやるよ。あの時あの工場を倒壊させたのは、俺なんだよ。杉原が怪我をすれば万々歳ってな。が、アイツはクソみてぇな事を言ってきやがったから、カっとなって殴っちまった。流石にヒトゴロシは足が付く。あの場にいる奴らに口封じ、なんてのはダルかったからな。だから守ってやったんだ。そうすればアイツの人気は俺が奪える。そう思った」

 

 静かな教室に、朗々と、俺の犯罪自慢が響く。

 好意ゲージの上昇は止まっている。どころか、下がり始めている奴もいる。

 

「だが、お前らは自分の事ばっかで周りを見てなかったからな。助かったと分かれば、俺だけが怪我をしたとわかれば、やれ日頃の行いだの、やれ天罰だのと罵詈雑言のオンパレード。そっからだよ。俺がお前含めて、中学の奴らともつるまなくなったのは。俺の思い通りにならねぇ恩知らず達となんか付き合ってられねえだろ」

「……」

「あァ、噂だったか? 知ってる知ってる。そりゃ知ってるよ。だって流してんの俺だからな」

 

 結局、藤堂彩人良い人説の噂の出所は分からず終いだった。幾人かの少女だという人もいれば、黒服のグループだという人もいる。近所のおばさんから聞いた、妹から聞いた、友達から聞いた。それぞれが伝聞でそれぞれが又聞きで、参考になった話は一つもない。

 

 なら、利用してやる。

 

「最近流石に嫌われすぎてて面倒になってきててさ。へへ、チョロイもんだぜ。その辺の女に"ちょっとごめんね、お願いがあるんだ"とかなんとか甘いフェイスで囁いてやれば、イチコロ。今や街中が藤堂彩人を英雄扱いだ。つい最近まで酷評してたってんのに、単純な生き物過ぎて呆れる。こちらとしては大助かりだけどな」

 

 どうだ。良い噂で好意ゲージが高まったのなら、出所が俺であると判明した事で、それは反転するんじゃないのか。

 これは起死回生の一手になるんじゃ──。

 

「オイオイ、嘘は良くないぜ、イケメン君」

「は──」

「なぁ、みんな! ()()()()()()! ()()()()()()()()()()()()()()()()()! けひひ、ま、噂なんてとんでもねぇ、ちゃぁんと写真付きさ。新聞部の俺様はそういうとこ抜かりねぇんだ」

 

 そう、手を広げて、椅子の上に立って。

 奴が叫ぶように言う。

 

 その声を無視する者は、誰一人としていない。

 認識されてない? どこがだ。そうだよ、そもそも認識されないなんて、そんなファンタジーあり得るわけがない。クラス名簿にも名前があるんだぞ。どうやって認識されないんだ。

 

「……そうね。()()()の言う通り。貴方はそういうものに興味無いのでしょうけど、私達は彼の出している校内新聞を読んでいるのよ」

「へへ、今更悪ぶったって無理だぜ、藤堂! お前すげーんだよな、知ってる! 色んな子を救ってきて、色んな命を助けてきて、この前だって、俺達を守ってくれて!」

「嫌な奴なのは間違いない、とか思ってたけど、それも演技なんだろ? ホントはめちゃくちゃいい奴なんだろ? この前なんか、銃持った凶悪犯から妹を守ったらしいじゃないか! すげーよな!」

「それに加えて、水族館での一件な。オレには真似出来ると思えねえよ。流石は藤堂」

「私もあんなことされてみたい。藤堂君なら顔かっこいいし……」

「あんな風に笑えるんだねー藤堂君って」

「体育館事故の時も三木島助けてたしな!」

「ああ、あれ直撃したら死んでたんだろ? それを誰よりも早く察知して、誰よりも早く動いて……マジですげーよ藤堂は」

 

 なんだ。

 なんだ、これ。

 気持ち悪い。褒めるにしたって、もう少し濃淡があるだろ。なんでこんな、ペラペラのテキストみたいに、褒め言葉を上げ連ねられる。

 なんでこんな言葉で──下がりかけていた好意ゲージの全体が、上がり始めている。

 

 アイツは、味方ではなく──けれど敵じゃなかったんじゃ、ないのか。

 

「入学してすぐ、お前はこぉーんな事を思ってたよなぁ? "捏造した情報や脚色した情報を流布しまくるイベントメイカー"……けけけ、ご紹介頂きまして恐悦至極。ってかぁ!?」

「ッ!」

「敢えて今もう一回言うぜ。……大切なものを履き違えるなよ、イケメン君。誰が味方で誰が敵か、だって? 決まってんだろ、そんな事」

 

 世界ぜぇんぶ、お前の敵だよ、イケメン君。

 

「異物はお前だ。例外はお前だ。いつまでも続く平和であったこの世界をかき乱し、世に争乱と動乱を産み落とし、星を渡った先にまで戦乱の種を広げ、隔て異なる世界にまで混乱の手を伸ばす。お前がお前で無かったら起こらなかった──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、藤堂彩人の人生を曲げたんだよ、お前は」

「……これは、聞こえてんのか」

「いや? ゲームに忠実さ。俺とお前の会話は周囲に聞こえない。が、俺が誰からも認識されねぇはずねぇだろ、普通に考えてよ。"捏造した情報や脚色した情報を流布しまくるイベントメイカー"様が、誰からも認識されなくてどうするよ」

 

 ああ、その通りだ。

 ああ、そして、そうなのか。

 

 この世界は。

 この藤堂彩人は。

 

 ……浅海由岐の、個別ルートを辿る運命にあったのか。

 

「彩人」

「……なんだ」

「もう、いいから。貴方が何を悩んで、そんなことをしてるのか知らないけど。そろそろ、仲直りしましょう。あの時。凄く凄く昔の、遠い遠い昔の、あの日。私が笑いかけたら、貴方も笑ってくれたあの日。あそこまで戻りましょう」

「は」

 

 気付かれていたのか。

 俺がいつから変わったのか、を。

 よくそんなことを覚えている。良くそんな事に気が回る。"幼馴染"+"真面目"属性……。なるほど、これらは多くの属性を包含する二つ。特に"幼馴染"が広い。彼女は、浅海由岐は、様々な要素を持って、だからこんなにも気が利いて、気が回って、だから。

 

「──ちゃんと。私達を、ちゃんと見ていたあの頃に。戻ってほしいの。今のその、ラベルを眺めるような目をやめてほしいの」

 

 彼女の好意ゲージは──三のまま。

 ミリ単位ではあがっているけれど、ハート状態には行かない。クラスの奴らは一歩手前がゴロゴロいるのに、彼女だけは三のまま。

 停滞している。固定されている。

 

「なぁ、浅海」

「久しぶりに名前を呼んだわね。何?」

「お前さ。もしかして──」

 

 しかし、言い切れない。

 その続きを言う事は出来なかった。

 

 パリン、パリン、パリンパリンパリン、と。軽い音だ。けれど、高い音だ。

 続け様に響くその音は──当然、ガラスの音。

 ガラスの割れる音。

 

「きゃっ!?」

「なんだ!?」

 

 教室中の窓が割れている。いや、音を聞くに、他の教室も、他の校舎も。

 そうして割れて、ようやく気付く。

 

 轟音だ。暴風が外を吹き荒れている。空は快晴も良い所なのに、風だけが激しい。

 

「っ、大変。早く手当しないと!」

「これ、は」

 

 窓際に座っていたクラスメイトの幾人かが怪我を負ってしまったらしい。腕や額に赤が見える。

 けど、これは。

 死亡イベントなんかじゃない。

 

「さ、始まったぜ。()()()()()()

 

 小さな声なのに嫌に響くその言葉。

 割れた窓から大きく身を乗り出して──宙を見る。

 

 青だ。

 そして、黒だ。

 見えるわけがない。肉眼で視認する事なんて出来るはずがない。まだ、そんな距離には無いはず、なのに。

 

 それははっきりと視認できた。

 聞いていた大きさじゃない。それは、星を、砕く規模の。

 

「彩人、手伝って!」

 

 どうするべきだろうか。

 どうしたらいいんだろうか。

 前兆。そう言った。だからまだ、世界滅亡エンドが起きているわけじゃない。

 ただ、起きた瞬間に着弾するんだろう。何が明日の夜に起こる、だ。それは学期末で世界滅亡エンドが起きた場合の話だろう。

 

 今。もし。

 誰かと誰かが、ハート状態になったら。

 アレが。

 

「彩人!」

「……」

 

 怪我人の手当て?

 冗談だろ。そんな事よりアレへの手立てを考えなければ。

 今から晴巻夜明に連絡して、宇宙技術でなんとかしてもらうか? 連絡手段など持っていないが、委員会の番号にかければいいだろう。そうだ、それしかない。"転移者"のあの子がいないのだから、あと頼れるのは宇宙人くらいだろう。何か、持ってるんじゃないのか。インベーダーなんて名乗るくらいだ。俺の知らない何かを。

 

「ちょっと!」

「ッ」

 

 パシン、と、背中を叩かれた。

 

「何呆けてるの? 貴方は力持ちなんだから、みんなを保健室に運ぶの手伝って」

「なぁ、譲司」

 

 彼女をガン無視して、言う。

 問う。

 

「もし、俺が、ここで」

「……けひ」

()()()()()()。──みんなは俺を嫌ってくれるかな」

 

 どう思う? 譲司。

 

「俺が言える事があるとしたら……それは、馬鹿な選択だと思うぜ、イケメン君」

 

 ああ。ありがとう。そう言ってくれて。

 やっぱりお前は友達だ。あるんだろう、俺が恐れて、踏み込まなかった事情が。

 あるんだろう。お前にもどうしようも出来なかった何かが。

 

「由岐」

「な──何? 変な顔してないで、早く運ぶの手伝って、」

「ごめんな」

 

 踏み込んで。

 彼女を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全く、あの時はちょっと怖かったんだから」

「ごめんって。もう、何回謝らせる気?」

「謝って済む問題だと思ってるの? ……まぁ、誰も死ななかったから、良かったけど」

 

 公園のベンチは、春の日差しが暖かい。

 あの後、世界はちょっと変わった。"異世界"と呼ばれるところが遊びに来たのだ。

 侵攻や侵略ではなく、遊びに。リベルタ・モーディがこちらに門を開いたことで、あちらの世界の人々も安全にこの世界に渡れるようになった。

 異世界の技術により諸問題は解決。地球には防護結界が張られ、宙からの脅威にも目を向けなくて良くなった。無論宇宙からの来訪者には然るべき手続きの後訪問が許され、だからハルムの星々もたまに遊びに来ている。

 

「彩人はさ。怖くなかったの? ずっと独りで戦ってきたんでしょ?」

「怖かったよ。ちゃんとね。でも、ほら。ずっと由岐が見ててくれたし。由岐が僕を嫌ってないって、ずっとずっと、わかってたし」

「それは……だって、嫌えないでしょ。私の……初恋、なんだし」

「んー、聞き逃す事も出来るけど、ばっちり聞いちゃった」

「聞き逃してたら叩いてた」

「おーこわ」

 

 あの件の後、譲司はふらっと姿を消した。なんでも世界を旅してくる、のだそうで。

 異国の地で余計な噂を流していないか心配で仕方がない。日本にいるトウドウアヤト伝説、とか出来てたりしないよな。

 また、委員会も解散した。続ける理由がなくなったからな。"折角色々準備してたのに! でもまぁ、使わなくて良かったよー"とは唯葉の言だ。藍那は何か言いたい事がありそうだったけど、身を引いてくれた。本当に、ありがとうと思っている。

 

「今、別の女の事考えたでしょ」

「うぇ、由岐ってそういう束縛タイプだっけ?」

「考えるな、とは言わないけど。せめてデートの時くらい、私を見る努力が出来ないわけ?」

「仕方ないじゃん。僕にとっては、この三年間は激動のソレだったんだよ。色々な女の子に酷い事しちゃったし、男子も同じ。大翔とか光一には謝っても謝り切れないよ」

「別に、夕闇君も杉原君も気にしてないと思うけどね」

「だといいんだけど、まぁこっちの問題」

 

 好意ゲージは消滅した。

 世界滅亡エンドが起きたあの瞬間に消えなかったのは、ある意味で救いだったんだと思う。それが僕らの運命を分けた。

 アレだよね。ネバーギブアップって奴。バケモンにはバケモンぶつけんだよ! って奴。

 

「今、幸せ?」

「勿論。ホントはずっと、こうしたかった。由岐が笑いかけてくれた時、僕は君を好きになったんだ。さっき初恋、って言ったけどさ。こっちも同じだよ。なんなら小声じゃなくて、声を大にして言う。僕は君が初恋で、今まで生きてきてそれは変わってない。ずっとずっと好きなんだ。愛してるレベル」

「……私もよ」

「じゃ、ちゅーしようよ今」

「い、今?」

 

 あの時。

 彼女を殺さなくて、殴らなくて、本当に良かった。

 馬鹿な考えだったと猛省してる。多分、たとえもし、本当に、あそこで彼女を殺してしまっても……間に合いはしなかっただろう。ただ彼女を殺して、その事に絶望して──世界も滅亡していた。

 そんな最悪を引いてしまっていたはずだ。

 

「今。出来ない?」

「そういう……ちょっと強引になった所は、成長かもね。昔は私の方が強かったのに」

「なんならちゅーの後、お姫様抱っこもしてあげるけど」

「要らない。ほら、早くしてよ」

「はいはい、お姫様」

 

 でも、大丈夫。だから。

 もう大丈夫だ。まだ、間に合うよ。

 

  これ以上彼女と僕を引き裂く物事は訪れない。これ以上はもう。ちゃんと考えるんだ。ちゃんとこの、幸せな未来を引き当てるんだ。

  このまま、僕は彼女と幸せな未来を歩んでいく。こうやってたまにキスをして、手を繋いでまだ手はあるよ。この解放リボンは、決して、偽りの未来を見せる道具じゃないって。

 

 もう、世界滅亡は訪れない。君が証明するんだ。

 

「……あの時も思ったけど、彩人ってキスの時目を瞑らないのね」

「え、だってキス顔見たいじゃん」

「変態。……でも、私も見たいから、今回だけは彩人が目を瞑ってよ」

「えー」

 

 それがたとえ、幸せな夢だとしても。最適解を引き当てるのは、得意だろ?

 それがたとえ、一時の幻だとしても。僕はあのお嬢様苦手だけどね。

 

 僕はようやく、彼女を好きだって。それじゃ、僕は目を閉じるから。

 そう言えるんだ。このキスの感触は、自分自身で掴んでね。

 

「ん……」

「──」

 

 

 

 

 

 

「No.1-浅海由岐──エンド『彼女との、ありふれた幸せな日常へ』「No.X-浅海由岐──エンド『彼女との、いつか夢見たその先へ』

 




No.1とNo.X
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