僕のヒーローアカデミア 飛べない鳥   作:残月

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長くなったので分割。なので短めです。


第十話

 

 

勝己と別れ、帰宅した焦凍は一年前の事件を調べた。まだ一年と言うべきなのか、もう一年と言うべきなのか話題に上がったニュースだから検索をするとすぐに出てきた。

 

『折寺中で無個性の女子生徒が苛めと無個性を苦に自殺を図った』とニュースサイトの文字を見つめる焦凍。この事件は焦凍にとっても印象に残っている事件だった。

何せ、自分と同じ年齢の女子が学校の屋上から飛び降りたと、かなりインパクトのあるニュースだったからだ。小学校の教師をしてる姉の冬美も悲惨な話だとニュース見て嘆いていたのも印象的だった。

 

この超常社会では無個性は軽く見られるのは世の中の当たり前となっている。それを苦に自殺を図るとは彼女に何ほどの思いがあったのか。

そして飛び降りた女子生徒は勝己の幼馴染みだった。だから勝己は病院に彼女の見舞いに行っていた。

 

それを思えば、勝己が戦闘訓練でマジギレしたのは出久の事を思ったからなのではと焦凍は思う。

「戦闘においては左側は使わない」その発言は無個性を苦に自殺を図った出久をバカにした様な発言とも言える。それに対して勝己は怒りを露にした……と焦凍は考えたが、実際の所は勝己が飛び降り事件に関わっていた罪悪感と舐められていた事にキレていただけなのだ。が、それを知らない焦凍は自分が悪かったと考え始めていた。

 

自分はエンデヴァーから「オールマイトを超える為の存在」として虐待気味に育てられた。父の個性を嫌い母の個性のみでトップを目指そうとしたのはエンデヴァーの反抗心からだった。

だが、それは自分自身に課した思いであり、クラスの皆には関係ない。真っ先にキレた勝己がそれを体現していた。

 

あんなクソ親父の言いなりになって堪るかと言う思いと、自分の行動が『自分勝手な思いで他者を傷付ける』エンデヴァーの行動と同じだったと言う思いが生まれ始めていた。

更に病室のベッドで眠る出久の姿に長年会っていない母の姿を重ねた焦凍は苦悩する。自分は母に会うのを躊躇っていたが勝己は病室で眠る幼馴染みの見舞いに行っていた。その姿勢は焦凍には無いものだ。

 

 

「弱いな……俺は……」

 

 

自分の部屋で呟く焦凍。その一言は今の自身を表していた気がした。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

「おい……何のマネだ?」

「見舞いに行きてぇ」

 

 

翌日、放課後になり出久の見舞いに行こうとした勝己の後を焦凍が付いて歩くという異常事態が見られた。当然のように勝己はキレ気味だったが。

 

 

「テメェはデクと何の関係も無いだろうが!」

「あの子……デクって言うのか?」

「テメェがデクとか言うなや!」

 

 

キレ気味だった勝己は焦凍の一言にキレた。

 

 

「悪りぃ、あの子の名前を聞いてなかった」

「誰が教えるか!」

 

 

ギャーギャーとキレる勝己と天然丸出しの焦凍。相性が悪い筈の二人が会話してるだけでもレアだが、揃って歩いてるのも更にレアな状態だった。

 

 

「病院に来ても病室には入んなよ!」

「それ、もう見舞いじゃねーよ」

 

 

あくまで拒む勝己と意地でも見舞いに行こうとする焦凍。

バラバラな方向を見ている筈の二人は緑谷出久という一人の少女によって同じ方向を見始めていた。

次に関わるキャラは?

  • 八百万百
  • 耳郎響香
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